「ハウスダスト」ってどんなもの?
アレルギーを引き起こす原因の中でも、「ハウスダスト」は大きな割合を占めているそうです。
日本医科大学大学院医学研究科教授で、アレルギーを専門とする大久保公裕先生に、ハウスダストが原因で起こる可能性がある症状やその対策について聞きました。
まず、ハウスダストとはそもそも何なのでしょうか?
ハウスダストは、読んで字のごとく「家の中のチリやホコリ」のことですが、これらの中でも特に1mm以下の小さくて目には見えないもののことを言うのだそう。
このハウスダストは非常に軽く、家の中で人が動くと空中に舞い上がってしまいます。
大久保先生「ハウスダストにはホコリ、ダニの死骸、ペットの毛、カビ類などが含まれます。その中で特にアレルギーの要因になりやすいのは、ダニの死骸です」
ハウスダストによってどんな症状が起こる?
ハウスダストを体内に吸い込んだり触れたりすると、さまざまな症状を引き起こしてしまう可能性があります。
大久保先生によれば、ハウスダストが原因のアレルギー疾患には、アレルギー性鼻炎、結膜炎、喘息、アトピー性皮膚炎などがあるそうです。
「人間というのは毎日同じものに接していると、アレルギーになりやすい傾向にあります。そのためハウスダストの多い環境にいると、ハウスダストが原因のアレルギーになることがあります。人は通常、口を開けて呼吸することはないので、空気中にあるハウスダストは鼻から吸い込まれるんですね。よって、鼻に出る症状の『アレルギー性鼻炎』が一番多く、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが三大症状です」(大久保先生)
くしゃみや鼻水などの症状は花粉症として春に多いですが、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎は、どんな季節に起こりやすいのでしょうか?
大久保先生「ハウスダストによるアレルギーは通年で起こるものですが、夏にダニが繁殖した後、秋に死骸が増えますので、秋口に多いといえます。あとは、季節の変わり目ですね」
子どもはハウスダストの影響を受けやすい!
実は、ハウスダストが原因で起こるアレルギー性鼻炎は子どもに多いそうです。
大久保先生「ハウスダストは通常、床上1メートルより低い位置にありますので、ハウスダストが原因の症状というのは、大人よりも背の低い子どもに起こりやすいのです。床に近いところにいる子どもや赤ちゃんの方が、ハウスダストを吸い込んでしまいやすいということですね。そのため、低い部分にあるハウスダストが空中に浮遊しないように、日常生活の中で減らしていくことが大事です」
家庭でできるハウスダスト対策は?
空気中に浮遊するハウスダスト。減らすためには、生活の中でどのようなことを心掛けるといいのでしょうか。
家庭でできるハウスダスト対策について、大久保先生に伺いました。
ハウスダスト対策その1 掃除の仕方に注意する
家の中のハウスダストを減らすためには、ハウスダストの集まりやすい場所に気を付けながら掃除することが大事だそう。
大久保先生「現代の住宅は高気密になっています。ハウスダストというのは、気密の高い中央部でなく、部屋の隅に集まっていきます。したがって、掃除の際に部屋の四隅のホコリをしっかり掃除することを心掛けましょう。また、ホコリが舞い上がらないよう、掃除の最後は水拭きで仕上げましょう」
フローリングであれば細かいごみやホコリを取って、掃除機をかける、その後で湿り拭きをするといった基本に沿って、掃除をしたいものです。部屋の隅、壁際の隅といったホコリが残りやすい部分には掃除機の細口ノズルなどを使うなどして、丁寧に行いましょう。
ハウスダスト対策その2 換気をしっかりする
ハウスダスト対策には、風通しの良い空間にすることも有効です。
大久保先生「換気の重要性は、新型コロナウイルスの流行が始まって以来よく言われることですが、ハウスダストに関しても同様です。部屋の空気がこもっているとダニが繁殖しやすい環境になってしまいますので、部屋の換気をしっかりしましょう」
上手な換気の仕方については以下の記事も参考にしてみてください。
換気で住まいを健康的に! 季節ごとの工夫の仕方も【メーカーに聞いた】
ハウスダスト対策その3 リビングに空気清浄機を
人が集まるリビングはホコリが舞い上がりやすい場所なので、家の中で最も配慮すべきスペースといえそうです。
大久保先生は「リビングに人のいる時間帯はできるだけ空気清浄機を使い、空気を循環させるためにサーキュレーターを併用しましょう。さらに徹底したい場合は、高性能なHEPAフィルター(0.3μm以上の粒子を捕集できるフィルター)を搭載した空気清浄機や換気システムを使うのもおすすめです」とアドバイスします。
ハウスダスト対策その4 床材や室内の布製品に注意
大久保先生「カーペットや畳はダニの温床になりやすいので、できればフローリングにしてマメに掃除を行うのがおすすめです。ソファは布製は避けて、できれば皮、ビニールなどの素材が望ましいです。また、お子さんの古いぬいぐるみもダニの温床になりがちです。定期的に洗濯する、部屋に置く数を絞るといった配慮が必要でしょう」
その他、厚いカーテンや、布製クッションなども注意すべきアイテムといえます。
ぬいぐるみの正しい洗い方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
ぬいぐるみはドアより汚れてる!? 適切な洗濯方法をプロに聞きました!
ハウスダスト対策その5 寝室では加湿器を活用
寝室は一日の中で長く過ごす場所なので、ハウスダストによる症状を抑えるために気を付けたいことがいくつかあります。
大久保先生「寝室は、寝る時しか入らない場合はハウスダストは舞い上がりにくいのですが、寝る前に加湿器を付けておくと、ハウスダストが水分を含むことで重くなり、床に落ちるため、舞いにくくなります。湿度を高めにすると鼻の粘膜の状態がよくなり、症状も和らぎます。
寝具はダニが侵入しにくい高密度繊維のものを使い、週に1回程度はベッドに掃除機をかけましょう。毛布を使う場合はまめに洗うといいですね」
加湿器を活用することで、ハウスダストが空気中に舞うのも防げて、乾燥も防ぐことができるので一石二鳥ですね。また、ベッドは布団乾燥機なども活用し、防ダニの工夫をするようにしましょう。
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おわりに
子どもへの影響も大きいハウスダスト、家族の健康のためにも日頃から対策を心掛けたいですね。一方で、ハウスダストをゼロにするのは難しい面もあります。今回紹介したような対策を試してもアレルギー症状が改善しない場合は、アレルギー科、耳鼻咽喉科などを受診して医師に相談してみましょう。