きのこの正しい保存方法とは
食物繊維、ビタミンB群、D、カリウムなどたくさんの栄養素が含まれているきのこ。積極的に摂取することで、疲労回復、免疫力や睡眠の質の向上、腸内環境の改善が期待できます。
しかし、きちんと保存できていないとどんどん傷んでしまい、味はもちろん栄養素の質も落ちてしまうという事態に。そこで、栄養素を損なわずに保存する方法やおいしいきのこの選び方について、きのこの総合メーカー ホクトの管理栄養士・德田美咲さんに伺いました。
きのこの冷蔵保存方法
購入後にすぐに調理する予定であれば、冷蔵保存が自然な食感が楽しめるのでおすすめ! 冷蔵室はもちろん、野菜室で保存するのもいいでしょう。
1.保存の仕方
德田さん「シイタケ、ブナシメジ、エリンギ、ヒラタケ、マイタケなどのきのこはスーパーで透明袋などのパッケージに入れて販売されていますが、このとき、きのこは仮眠状態になっています。きのこは生き物のため呼吸をしているので、少しずつ劣化していくのです。そのため調理するまではパッケージから出さずに、冷蔵保存がおすすめです」
開封後に保存する場合は、きのこをキッチンペーパーで包み、その上からラップするか、ジップ付き保存袋に入れて保存します。
「そのまま保存すると冷蔵庫内にある水分や汚れがきのこに付着するため、それらから守るためにキッチンペーパーで包みます。きのこは乾燥しやすいため、さらにラップやジップ付き保存袋に入れることで、適度に保湿をしてあげましょう」(德田さん)
2.保存可能な期間
きのこの冷蔵保存での日持ちは、スーパーなどで購入してから1週間程度。ただし、きのこは外気温の影響を受けやすいため、湿気の多い時期や夏は傷みの進みが早いので注意が必要です。
また開封後は3日以内に食べるのがおすすめ。おいしさも損なわれず、安心して食べられる目安です。
きのこの冷凍保存方法
特売などできのこをたくさん購入し、すぐに食べる予定がないときは、鮮度を保つために早めに冷凍するとよいでしょう。徳田さんによると、冷凍するときのこの細胞が壊れるため、うまみがドリップとして表に出てきやすくなってしまうという特徴があるとのこと。
「冷凍きのこは調理の際は凍ったまま使うことがポイントです。解凍してしまうと料理が水っぽくなってしまいます」(徳田さん)
1.保存の仕方
德田さんによると、「きのこは一般的にどの種類も水分を多く含むため、冷凍してしまうと凍ったままでは切ることが難しいです。そのため冷凍する前に石づきがあるものは取って、使いやすい大きさにほぐしておくことが大切です」とのこと。
ほぐしたきのこはジップ付き保存袋や密閉容器など、密閉できるものに入れて冷凍保存。空気に触れると冷凍焼けしてしまいきのこが酸化して、品質が落ちてしまうので注意してください。
2.保存可能な期間
冷凍きのこの保存期間の目安は約2週間です。それ以上になると水分が抜けたり、冷凍焼けにより風味が落ちてしまうことも。冷凍してもなるべく早めに消費するように心掛けましょう。
きのこの調理保存方法
きのこには調理して保存する方法がいくつかあります。火を入れて調理すれば雑菌を減らすことができるので、おいしい状態で日持ちしやすくなります。
「塩や酢と和えることも保存方法としてはおすすめです。オリーブオイル漬けも調理したきのこが空気に触れないため劣化を防いでくれます」(德田さん)
他にも、料理の水分を減らすことで雑菌が増えにくくなるため、炒めたり煮込んだりして水分を飛ばすレシピも保存に向いているのだそう。
徳田さんおすすめのきのこの保存レシピをご紹介します。
甘辛きのこダネ
ブナシメジ・・・100g
ブナピー・・・100g
マイタケ・・・100g
[A]
砂糖・・・大さじ4
酒・・・大さじ2
醤油・・・大さじ2
ブナシメジとブナピーは石づきを落としマイタケと共に小房に分ける。鍋にきのこ、Aを入れ火にかけ、汁気がなくなるまで加熱したら出来上がり。
味噌きのこ
ブナシメジ・・・100g
マイタケ・・・200g
生姜(みじん切り)・・・1片
[A]
ゴマ油・・・大さじ2
味噌・・・100g
酒・・・大さじ2
みりん・・・大さじ2
ブナシメジは石づきを落としマイタケと共に小房に分ける。フライパンにゴマ油を入れ火にかけ、きのこと生姜を入れて混ぜたら、Aを加え、水気がなくなるまで炒めたら完成。
酢きのこ
ブナシメジ・・・200g
エリンギ・・・200g
オリーブオイル・・・80g
[A]
酢・・・100ml
顆粒コンソメ・・・大さじ1/2
はちみつ・・・大さじ1
赤唐辛子・・・1本
塩・・・小さじ1/2
ブナシメジは石づきを落とし小房に分け、エリンギは半分の長さにして5mm幅に切る。鍋にAを入れ火にかけひと煮立ちさせバットに入れておく。フライパンにオリーブオイルを熱しきのこを中火でしんなりするまで炒めたら、熱いうちにバットに入れて混ぜ、ラップで覆って漬けて完成。
霜降りひらたけの塩きのこ
霜降りひらたけ・・・約200g
塩・・・小さじ1と1/2
ひらたけは小房にほぐし、熱湯でさっと茹で、水気を切る。熱いうちに保存瓶に入れ、塩を振ったら冷蔵庫で保存する。
どのレシピも家にある調味料で簡単に作ることができるので、作り置きしておけば、毎日の献立はもちろんお弁当にも活用できます。ぜひ参考にしてみてください!
おいしいきのこの見分け方
「新鮮なきのこほど食感もよく、おいしさも増します。そのため売り場ではより鮮度の高いきのこがどれなのか、見極めることが大切です」と德田さん。
エリンギやブナシメジ、ヒラタケの場合、かさの下にある軸がきれいな白色である方が新鮮。さらにエリンギの場合、かさに丸みがある方がいいそう。かさが広がってきているのは鮮度が落ちてきているサインで、ヒラタケにも同様のことが当てはまります。
マイタケは水っぽくなってくると、鮮度もダウン。売り場の状況にもよりますが、パッケージの袋の内側に水滴がたくさんついているきのこは、鮮度があまりよくないそうです。
きのこの保存Q&A
正しい保存方法以外にも、知っておくとよりきのこを安心に、おいしく食べられる方法を紹介します。
乾燥保存はできる?
きのこは水分量が多く雑菌が繁殖しやすい食品のため、家庭で乾燥きのこをつくることはおすすめできません。きのこを天日で乾燥させたとしても、菌が繁殖したりカビが発生する可能性があります。
「市販の乾燥きのこは雑菌が増えない環境で、プロが作っています。そのため安心して使うことができるのですが、家庭で作るのは危険! 最近ではきのこを日光に当てることでビタミンDが増えると話題になり試している人もいるようですが、おすすめしていません」(德田さん)
常温保存はNG?
きのこは収穫後も生きている生き物です。そのためパッケージを開けていない状態でも、冷蔵庫のような低温環境で保存することが大切です。
「生き物のため、周りの温度や湿度に敏感に反応します。高温多湿になる場所では傷み方も早く、おいしさや栄養素もあっという間に損なわれることに。冬場でも屋内は暖かいので、冷蔵庫に入れるようにしてください」(德田さん)
鮮度が落ちるとどうなる?
きのこの軸部分が茶色、黄色に変色してきたら危険信号。なめこを除いてはぬめりや粘つきも腐っている可能性があります。変なニオイがするようなときも、食べるのをやめてください。
「時間が経つと、たまにきのこに白いふわふわがつくことがあります。これはカビではなく胞子と呼ばれる、きのこの一部です。人体には無害ですがこれが出てきたときは鮮度が落ちてきているということ。食べることはできますが、気になるようなら濡らしたキッチンペーパーや布巾などで拭き取って、早めに食べるようにしましょう」(德田さん)
おわりに
おいしいだけでなく、たくさんの栄養素が取れるきのこですが、保存方法を間違えるとあっという間にそれらが損なわれてしまいます。保存方法で日持ち日数が変わり、きちんと保存すれば長い期間きのこを楽しめるので、ぜひ実践してみてください。
あわせて読みたい
簡単だけど旨味たっぷり「きのこのスープ」レシピまとめ
【水洗いはNG? 】きのこの栄養&食べ方のコツを正しく知ってパワーアップ!