墨汁は服につくとどうして落としにくいの?
落としにくいシミの代表でもある墨汁。どうして墨汁は服につくと落ちにくいのでしょうか? クリーニング店を運営する傍ら、シミ抜きのプロとして全国で講師も務める横倉靖幸さんにお話を伺いました。
(横倉さん)「墨汁の主成分は粉末の炭素(たんそ)と接着剤の役割を果たす膠(にかわ)です。炭素の粒子は1つひとつが大変小さいため、墨汁が衣類につくと、粒子が衣類の繊維に引っかかっている状態になります。そのため、引っかかっている炭素の粒子を繊維からはがして、流し出す必要があるのです」
【洗濯物についた墨汁の落とし方1】まずは応急処置でティッシュで押さえる
ーーー服に汚れがついてしまったらなるべく早く対処することが肝心と言いますが、墨汁の場合はどうなのでしょうか?
(横倉さん)「墨汁が衣類についてしまったら、まずはシミが広がらないように応急処置をします。墨がついた部分をティッシュで挟んで水分を取り除いてください。この時ゴシゴシこすってしまうと、汚れが広がってしまうだけでなく繊維を傷めてしまうので注意しましょう」
【洗濯物についた墨汁の落とし方2】固形石鹸をシミにつけ揉み込む
横倉さんいわく、墨汁のシミを落とすには、固形石鹸がオススメとのこと。墨汁は細かい炭素の粒子を膠(にかわ)で定着させています。固形石鹸に含まれる界面活性剤は、この膠(にかわ)をはがしやすくしてくれる役割があるそうです。なお、液体石鹸よりも洗浄力の強い固形石鹸が良いようです。
墨汁のシミを落とす手順
- 墨汁のシミに少しだけ水をつけます
- 石鹸を墨汁のシミの部分に直接つけて、揉み込みます。
- 泡立ってきたら優しく揉み洗いする。
- 最後に水で流す。
上の工程を繰り返して汚れを落としていきます。
【洗濯物についた墨汁の落とし方3】固形石鹸でも落ちない! そんな時には?
ーーー墨汁のシミはとても頑固な汚れです。固形石鹸で、揉み洗いしてもなかなか落としきれないことも・・・。そんな時はどうすれば良いのでしょうか?
(横倉さん)「固形石鹸を揉み込んで洗った後、男性用のスクラブ洗顔料を使うと良いでしょう。スクラブは、金平糖のようにトゲトゲとした形状をしています。固形石鹸の界面活性剤が墨汁に含まれる膠(にかわ)をはがした後、スクラブが炭素の粒子を絡め取ってくれるのです」
墨汁の頑固なシミを落とす手順
- 石鹸を汚れの部分につけて揉み込み、水で流す
- 墨汁のシミにスクラブ入りの洗顔料を塗り込む
- 汚れが落ちたら水洗いして普段通り洗濯する
墨汁専用のシミ抜き液を使う場合の注意点とは?
墨汁のシミを落とす時は専用のシミ抜き液を使うことも一つの方法ですが、衣類の種類によっては色落ちしてしまう可能性もあるので、目立たないところで試してから行いましょう。またレーヨンやシルクなど、繊維によってはシミ抜きが適さない場合もあるので、少しでも不安があればプロのクリーニング店に依頼しましょう。
おわりに
墨汁のシミは落としにくい汚れですが、すぐに対応すれば自宅でも落とすことができます。ぜひ参考にしてみてください。
※シミがついてから時間が経過していた場合や衣類の素材によって上にご紹介した方法で落ちない場合もあります。また色落ちや変色などのリスクがあるため、失敗したくない衣類の場合は、プロのクリーニング店に依頼するようにしましょう。