SDGsは身近なことからできる!
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のこと。貧困や差別、気候変動など地球上の課題を解決する方法をさまざまな立場から考え、「誰一人取り残さない」を合言葉に、より良い世界の実現を目指す目標です。
2015年の国連サミットで採択され、2030年までの達成を目指しています。
グローバルな課題解決なんて自分とは程遠い・・・と感じてしまいますが、家庭でも簡単に取り組めることはたくさんあると、SDGsコミュニケーターとして活動するなんばゆうこさんは言います。
「何かを選ぶときの新しい『物差し』として、SDGsを使ってみてください」となんばさん。つまり、何かするときにはSDGsに照らし合わせて行動する、ということ。
考えてみれば「何を食べるか」「どの服を着るか」など、日々の行動は「選ぶこと」の連続です。SDGsの視点を取り入れても、楽しんで続けられることは見つかりそうですね。
参考:外務省「SDGsとは?」
家庭でできることからSDGsに取り組もう!
SDGsの中に、子どもと一緒に家庭で手軽にできることはあるのでしょうか。なんばさんに、お家の中でできること、外出先でできることを伺いました。
お家の中でできるSDGs
お家で過ごしながら、SDGsのためにできることを紹介します。
フードロス(食品ロス)を見直す
フードロスとは、本来食べられるのに捨てられる食べ物のこと。農水省によると、日本国内のフードロスは年間570万トンで、これは日本人1人当たり毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているのと同じくらいの量です。
フードロスを減らすことは、SDGsの「目標12:つくる責任 つかう責任」の中で「世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる」と記されている取り組みです。
「食事は毎日のことなので、無理せず、楽しく続けられることを見つけてください。お子さんと一緒に取り組むのもおすすめです」(なんばさん)
以下に、フードロス削減のための具体策を3つ、なんばさんに紹介していただきました。
1. 冷蔵庫チェック
食材を買いに行く前に、まずは冷蔵庫の中身をチェックしましょう。在庫が把握できれば無駄な買い物を防げますし、庫内の食材で作れる料理がひらめいたら、買い物に行かずに済むので家計の節約にもなります。
【子どもと一緒にやってみよう】
「お子さんと一緒に冷蔵庫をのぞいて、『これで何ができるかな?』と料理をあれこれ考えるのも楽しいですよ」(なんばさん)
2.賞味期限と消費期限の違いを知る
消費期限は「安全に食べられる期限」、賞味期限は「おいしく食べられる期限」。賞味期限を過ぎても食品の安全性が失われるわけではありません。「これを知るだけでも食品を無駄にせずに済みます」(なんばさん)
【子どもと一緒にやってみよう】
冷蔵庫チェックの際に、お子さんに表示を確認してもらうのもいいお手伝いになりますね。
3.皮ごと調理する
「野菜は皮と実の間にたくさん栄養素が詰まっています。捨ててはもったいないです!」となんばさん。洗って皮ごと使えばその分ゴミの削減にもなります。
【子どもと一緒にやってみよう】
野菜の皮むきをお子さんが手伝ってくれているなら「皮むきの代わりに、野菜に付いている土をキレイに洗ってもらいましょう。そういった『行動の変化』がSDGsにつながるんだ、と伝える機会にもなります」(なんばさん)
参考:農林水産省「食品ロスとは」
節水する
水を出しっぱなしにしないことは、蛇口をひねって手軽にできることの一つ。洗顔や歯磨き、手洗い、お風呂など水を使う機会は多いので、お子さんと一緒に節約する方法を考えてもいいかもしれません。
【子どもと一緒にやってみよう】
使った水の量を把握するために、一度、水を流さず、洗面器など容器にためてみるのもいいアイデア。流しっぱなしの場合と、使うときだけ出した場合とで量を比べれば、その差も実感できます。夏休みの自由研究にも使えそうですね。
節水が水道代の節約になるのはもちろんですが、SDGsに照らし合わせると、実はもっと大きな課題の解決につながるのだそう。「節約できるのは水だけではありません」となんばさん。
「節水すれば、水の浄化や運搬に使う電力の削減にもなります。電気の節約はCO2の削減につながり、温暖化防止、異常気象が原因の水不足や食糧不足の解消、さらに水戦争を防ぐ可能性へとつながります。これらは非常に間接的ですが、間接的だからこそ大きなことにつながるとも言えるのです」(なんばさん)
電力の削減は「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、CO2削減は「目標13:気候変動に具体的な対策を」、水不足の解消は「目標6:安全な水とトイレを世界中に」、水戦争の防止は「目標16:平和と公正をすべての人に」へ・・・。こうして考えると、家庭の蛇口さえも世界につながっているのですね。
節電する
節電はCO2排出の削減につながります。使わない電気を消したり、電源を切るときにコンセントを抜いたりすることは手軽にできますし、家計の節約にもなります。
【子どもと一緒にやってみよう】
使っていない電化製品のコンセントを探すなど、寝る前や出掛ける際にお子さんと取り組むのも一つの方法です。
注意したいのは、抜いてはいけないコンセントをお子さんが誤って抜かないようにすること。
「あらかじめ印を付けておけば安心です。お子さんが失敗してやる気を削いでしまってはもったいない。印付けの段階からお子さんが関わってもいいと思います」(なんばさん)
小さいお子さんの場合は感電しないよう親が見守る必要もあるので、成長段階に合わせてできることを考えたいですね。
電気の切り替えも社会貢献に! 東京ガスの「さすてな電気」
どうせなら、環境に優しい電気を使いたい。
そんな方におすすめなのが東京ガスの「さすてな電気」です。
「さすてな電気」は、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーが持つ環境的な価値に与えられた「非化石証書※1」を東京ガスが購入することによってCO2排出量を実質ゼロとし、東京電力 スタンダードS/Lと同等料金※2で実質再生可能エネルギーとしてお客さまにご提供するものです。
さらに、新規ご契約1件につき、東京ガスが1本の植林を行います。
「さすてな電気」で、毎日使う電気を、地球に優しい電気にしてみませんか?
※1非化石証書取引市場等から購入し、電気と組み合わせることで、実質再生可能エネルギーの電気を供給することができます。
※2 東京電力エナジーパートナー株式会社の電気料金プラン「スタンダードS/L」と比較して、kWhあたりの単価において1円以上の差がないことを指します。なお、燃料費調整額に上限価格を設けておりません。これにより、燃料費の高騰によって上限を設けている他社の料金プランと比べ、高くなる場合があります。
当社の電源構成【LNG火力71%、石炭火力5%、水力1%、再エネ(FIT)2%、JEPX16%、その他】・CO2排出・非化石証書使用状況はこちら
外出先でできるSDGs
外出先で、SDGsに向けてできることもたくさんあるそうです。
エコバッグやマイボトルは「お気に入り」を持ち歩く
エコバッグ持参で買い物に行くことが定着してきて、「使い捨てをしない」という意識が高まってきているようです。
一方で、エコバッグを買ったりもらったりする機会が増えているのも事実。いくらお店でレジ袋を辞退しても、エコバッグを大量に持っていては本末転倒です。なんばさんがおすすめするのは「お気に入りを持ち歩くこと」。
「やたらにたくさん持つのではなく、お気に入りを一つ見つけて大事に使いましょう」(なんばさん)
これはマイボトルやマイ箸にも言えること。「好きなものを使えば気持ちも上向きになりますし、結果的に一つのものを長く使うことにもなります」(なんばさん)
必要なものを必要な量だけ、必要に応じて買う
無駄な買い物を減らすことは家計の節約にもつながるので、続けて取り組みたいところ。フードロスでも紹介した「冷蔵庫チェック」は無駄な買い物を防ぎ、家庭のフードロスを減らす有効な手段です。
買い物する際に必要なものだけ買うことはもちろん、「この選び方で本当によいのだろうか?」という視点を持つこともSDGsにつながるのだそう。
例えば食品を買うとき、賞味期限などはできるだけ先の日付のものを手に取ってしまいがち。でも、「すぐに食べる予定があるなら、その行動を見直してみては」となんばさん。
そのためにおすすめするのは、「手前取り」したり「値引き品」を選んだりすることだそうです。
「手前取り」とは、陳列棚に並ぶ商品は手前のものを選ぶこと。「値引き品」は、消費期限が近づいているほか、商品の入れ替えのために安くしているものを指します。これらを選んで買えば、フードロス削減につながります。
さらに、値引き品を選ぶ際のコツとしてなんばさんが実践しているのは「胸を張って買うこと(笑)。これを買うことで子どもたちにより良い未来を手渡せるんだと思ってやっています」
確かに、ケチケチしていると思えばネガティブなイメージですが、胸を張って選べばポジティブな行動ですね!
また、電化製品などを省エネ型のものにするという方法もありますが、「まだ使えるものを急いで買い替えるのはおすすめしません」となんばさん。電化製品の原料調達から製造、運搬などで使用する資源や消費エネルギー、そしてデジタル機器の電子ゴミ問題のことを考えると、必ずしも省エネ型への買い替えがSDGsにはつながらないためです。
「まずはあるものを大切に使いましょう。その上で、買い替える商品はSDGsの『物差し』で選んでほしいですね」(なんばさん)
【子どもと一緒にやってみよう】
買う品目や賞味期限、商品の包装形態について「本当に必要か?」という視点でお子さんに考えてもらいましょう。時には大人が驚かされるような発想が、SDGsにつながるかもしれません。
また「SDGsを実践する姿をお子さんに見せることも、SDGsにつながります」となんばさん。エコバッグ持参や「手前取り」などを続けつつ、機会を捉えてSDGsを話題にしてみてはいかがでしょうか?
買い物するお店や商品を選ぶ
できるだけ地元のものを買ったり、地元のお店を利用したりすることもSDGs。地域経済を守ること(SDGs の「目標11:住み続けられるまちづくりを」)や、物流にかかるエネルギーを減らすこと(目標7)につながるからです。
フェアトレードや認証マーク入りなど、自然の環境や労働者の環境に配慮した商品を選ぶこともSDGsのためにできること。最近は量り売りのお店も増えているので、そういったお店で買い物をすれば、容器の使い捨てを減らすことができます。
「ものを買う前に一度立ち止まり、環境への負荷がないか、誰かが不当に扱われていないか考える癖をつけることがSDGsにつながります」(なんばさん)
買い物のたびに実践するのは難しくても、SDGsに配慮したお店へ足を運ぶ機会を見つけてみてはいかがでしょうか。
意外! こんなこともSDGsになる!
日ごろの何気ない行動の中にも、意識すればSDGsにつながることは意外とあるようです。
お下がりを着る・補修する
お下がりを着たり、ちょっとしたほつれなら補修して着続けたりすることもSDGsの目標12のためにできることです。
衣服の製造に関わるCO2排出や水の消費は、環境への負荷が懸念されています。環境省によれば、日本人1人当たりが1年間に購入する衣服は18枚。一方、手放すのは12枚で、1年間一度も着ない服は25着あるそう。
服を大切に着て長持ちさせたりお下がりを活用すれば、新たに買わずに済み、家計の節約に。環境への負荷を減らすことにもつながります。SDGsの目標6、7、 13などが関係しますね。
「エコバッグやマイボトルのところでもお話ししましたが、新しく買うときには本当に気に入ったものを選びましょう。好きなものだと大切に扱いますし、結果的に長持ちにつながります。何より、好きなものを身に着けると気分よく過ごせますよ! 」(なんばさん)
参考:環境省 サステナブルファッション
散歩をする
車で移動する代わりに、歩いたり自転車に乗ったりすれば、ガソリン代の節約になり、CO2 削減につながります。
しかし、SDGsの視点で考えるとそれだけではありません。「街を散策すると、それまで知らなかったお店を見つけたり、働いている人の様子を観察したりと、新しい発見があります」(なんばさん)。これはSDGsの目標11にもつながる行動ですね。
【子どもと一緒にやってみよう】
一緒に出掛けたとき、目的地や自宅の一つ手前の駅で電車を降りて、街を散策してみましょう。実際に目で見て初めて分かることも多いもの。自分が住む街に興味を持てば、街の魅力や抱える課題に気付くきっかけにもなります。「まずは身近な世界を一緒に感じる、ということも親子でできるSDGsです」(なんばさん)
「男のくせに」「女の子なんだから」と言わない
SDGsの目標の一つに「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」があります。「私たちの中には無意識のうちに、男性・女性を分ける固定観念があります。こういった言葉を使わないよう気を付けるだけでもSDGsにつながります」となんばさん。
【子どもと一緒にやってみよう】
もしもお子さんが言った場合には「いきなり否定せず、まずはお子さんの意見を聞きましょう」となんばさんは言います。
その上で「自分が相手だったらどう思うかを考えてもらう。相手の立場でものを考えることはすぐ身に付くものではありませんので、その場で答えを出す必要はありません。親の意見を押し付けるのもNGです」(なんばさん)
焦って答えを求めることが、SDGsへの近道になるとは限らないのですね。
親子の対話には「そうだね」を使う
対話といってもSDGsの話題に限ったことではないそうですが、一体どのようにSDGsにつながるのでしょうか?
「対話の中で、お互いの意見が違うことがあると思います。大事なのはこの『違い』に気付き、自分の考え方が全てではないと知ること。『違ってもいいんだ』と思えることは『多様性の尊重』で、SDGsの根幹の一つと言えます」(なんばさん)
話し合いには、討論(ディベート)、議論(ディスカッション)、対話(ダイアログ)などがありますが、なんばさんが親子の話し合いに使ってほしいのは「対話」とのこと。
そのためには、「正解を求めるのではなく、子どもの意見にはまず『そうだね』と理解を示す。それから理由を尋ねましょう。子どもは親に褒められたくて同調しがち。だから親が考えを伝える際には、子どもが忖度することはできるだけ避けなければいけません」(なんばさん)
なんばさんがSDGsの根幹にあるという「多様性の尊重」も、こういった対話を重ねながら、家庭の中でその土台を築いていけるのですね。
おわりに
SDGsを日常に取り入れるコツとして「好き」や「楽しい」から始めるアイデアのほか、SDGsの視点からものを見るヒントも、なんばさんに教えていただきました。
「多様な文化や価値観を認めるからこそ、SDGs達成の方法には『正解』がなく、正解を見つけることよりも、そこまでの過程を探すことが大事。そのためのツールとしてSDGsを使ってほしい」となんばさん。
子どもと一緒にできることもまだまだありそうなので、親子で探しながら、SDGsを楽しく実践できるといいですね。