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上履きやスニーカーの頑固な汚れは落とせる! プロに聞く洗濯のコツ

子どもの学校用の上履きやスニーカーなどの布製シューズは、気が付くとかなり汚れてしまっていることも。頑固な汚れに苦労しながら、お家で洗濯をしている方も多いのではないでしょうか? そこで、汚れやすい布製のシューズを家庭できれいに洗濯するためのコツを、プロの洗濯・しみ抜き術をテレビや雑誌などでも発信している「洗濯ハカセ」こと神崎健輔さんに教えていただきました。

最終更新日:2024.2.21

目 次

なぜスニーカーや上履きなどの汚れは落ちにくい?

神崎健輔さん

Kensuke Kanzaki

子どもの学校用の上履きやスニーカーなど、気が付くと頑固な汚れが付いていて、洗濯に苦労されている方も多いのではないでしょうか? そこで、クリーニング師の資格を保有する洗濯・シミ抜き職人「洗濯ハカセ」こと神崎健輔さんに、布製シューズをご家庭できれいに洗濯するコツを教えていただきました。

まずは、汚れを落とすためには汚れを知ることから。
神崎さんに、上履きやスニーカーの汚れが落ちにくい理由を聞いてみると、それには2つの原因があるそうです。

原因1 粒子タイプの汚れが付きやすい

上履きやスニーカーの主な汚れは、教室のほこり、泥や土といった「粒子」と呼ばれる汚れなのだそう。

神崎さん「衣服に付く汗や皮脂であれば界面活性剤の力を使って溶かせるので、あとは水の力で汚れを引き剥がして洗い流すことができます。しかし、粒子が付着した汚れの場合は簡単に溶かせないため、水の力で洗い流すことが難しいのです」

原因2 素材や形状が洗濯に向かない

上履きやスニーカーの汚れが落ちにくいのは、洗いづらい形状や素材の性質にも原因があるようです。

神崎さん「上履きやスニーカーは水を通しにくい素材でできているので、汚れが落ちにくいということもあります。洗濯というのは、いかに『水の力で汚れを落としやすい条件をつくれるか』がポイントなのですが、こういう素材の場合、汗や皮脂の水分や粒子の汚れが繊維の中に押し込められてしまうため、さらに汚れが落ちづらくなります」

プロが教える! 家庭でできる上履きやスニーカーの洗濯技

石鹸

uchicoto

クリーニング師の資格を持つ神崎さんに、家庭ではどうすれば上履きやスニーカーが上手に洗濯できるかを具体的に教えてもらいました。

まずは洗剤と道具を選ぶことから

さまざまな方法を試したという神崎さんが最も効率が良いと感じたのは、固形石けんと酸素系漂白剤を使う洗濯方法です。

神崎さん「固形石けんは『純石けん分』が多い石けんが良いです。その後で酸素系漂白剤を使えば、一番汚れを落としやすい状況をつくれます」

「純石けん分」とは石けんの材料となる脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムのことで、この含有量が高い方がおすすめなのだそう。
布製シューズの洗濯のために石けんを選ぶ時は、パッケージの成分表で「純石けん分」の割合を確認してみましょう。

神崎さん「例えば、脂肪酸ナトリウムが98%含まれている石けんはおすすめの一つです。そのまま使うと大きくて持ちづらい場合や、お手伝いでお子さんに洗ってもらう時は、石けんを半分に細長くカットすると、持ちやすく力を入れて洗いやすくなります」

洗濯道具としてはブラシやタワシを用意しましょう。シューズ洗濯用ブラシでも、タワシでも、手に持ちやすく、力を入れやすいものを選ぶといいでしょう。

洗濯ハカセ流 上履きの洗い方

神崎健輔さん

Kensuke Kanzaki

次に、洗濯ハカセ・神崎さん流の上履きやスニーカーの洗濯手順とコツを紹介します。

【手順1】

シューズを水で洗ってから、石けんを塗り込みブラシで擦ります。

【コツ】石けんを持ちづらい場合は半分に切ります。ブラシは洗う人が持ちやすいものを選びます。

【手順2】

40度程度のシャワーで洗い流します。

【コツ】洗い流す時に、「水の力」を最大限に活用しましょう。シャワーの水圧を利用して、汚れを押し出すようにして、繰り返しすすぎます。

【手順3】

酸素系漂白剤に30分~1時間ほどつけます。
説明書通りの分量、時間でシューズをつけ置きします。

【コツ】シューズ全体を漂白剤につけたいので、ジップロックなどの密閉できる袋にシューズと液体を入れてつけるのもおすすめです。

【手順4】

つけ込んでいたものを洗い流し、まだ汚れが残っていたら【手順1】から繰り返します。

「石けん洗いと漂白剤を逆の順序で行うやり方もありますが、先に酸素系漂白剤につけ込むと粒子の汚れを余計繊維の奥に閉じ込めてしまう懸念があるので、私はこのやり方をすすめています」(神崎さん)

ナイロン地のシューズも、上履きと同じ洗濯方法で問題ありません。しかし水に弱い革靴は、指定の手入れ方法に従ってください。また、泥汚れが多い運動靴は先にソール部分を洗っておきましょう。

神崎さん「ソールに汚れが付いたまま靴全体を水につけてしまうと、ソール部分の汚れが水に移り靴全体に汚れが付着してしまいます」

落とせそうな汚れは、ブラシなどで先に落としておくのもポイントですね。

実際に上履きを洗濯してみた!

汚れた上履き

uchicoto

上の写真は、筆者の中学生の息子の学校の上履きです。1年以上使用しているためか、2カ月ほどでこんなに汚れてしまう上に、今までのやり方では汚れが落ち切らず、黒ずみが残ってしまっている状態・・・。

そこで早速、洗濯ハカセ流の洗濯方法で洗ってみます。長く使って頑固な汚れが付いた上履きがどうなるのか楽しみです。

子どもと一緒に上履きを洗濯してみよう

神崎さんおすすめの石けんをチェックするため、ドラッグストアに行くと純石けん分の多い石けんが売られていました。ブラシもそろえて、準備万端です!

神崎さんの方法で手順【1】から【4】を行いました。
念のため、もう一度石けん洗いを繰り返します。石けん洗い→酸素系漂白剤→石けん洗いの順です。

石鹸で上履きを洗う様子

uchicoto

浴室で上履きに石けんを塗り込む作業をしていると、子どもが興味深そうに「やってみる!」と言って、石けん洗いのパートのお手伝いをしてくれました。

神崎さんも「上履き洗いは自分で」を方針にしていて、お子さんが自分一人で洗うそうです。

真っ黒だった上履きがこんなに白く!

きれいになった上履き

uchicoto

洗濯ハカセの技で、黒く汚れた上履きがこんなに白くなりました!
手間としてはいつもの上履き洗いとそれほど変わらず、ここまで白くできるのは感激です。

ポイントは、「石けん洗い→酸素系漂白剤→石けん洗い」の手順。
石けん洗い後のすすぎは、神崎さんのアドバイスを参考にして、水圧強めのシャワーで流しました。

子どもも、自分が洗うのを手伝って上履きがきれいになったのでうれしそうでした。

洗濯した布製シューズを上手に乾燥させる方法

ハンガーで干す上履き

uchicoto

せっかく洗ってきれいになったシューズを手早く乾燥させたいものですが、天候が悪い時期の乾燥の仕方なども気になります。神崎さんに、上手な乾燥方法についても教えていただきました。

置いて乾かすのはNG。「浮かす」のがコツ

シューズを乾燥させる際、床に敷いたタオルの上でシューズを乾燥させる方も多いですが、その方法だとニオイが発生しやすくなるようです。

神崎さん「床に置きながらの乾燥は時間がかかり、雑菌が繁殖しやすい状況をつくってしまうため、ニオイの原因になります」

きれいに洗濯したシューズがすぐに臭ってしまうのは悲しいですよね。ニオイの原因を抑えるためには、置くのではなく浮かせて乾燥させることが重要なのだそう。

神崎さん「雑菌の繁殖を抑えるには、『浮かせて』手早く乾かしましょう。市販の靴用ハンガーや、針金ハンガーの両端を上向きに折り曲げて利用するのもおすすめです」

天気が悪い時や早く乾かしたい時には、機械の力も借りる

上履きをガス乾燥機で乾かす様子

uchicoto

気温が低かったり悪天候が続いていて、せっかく洗った布製シューズが乾きにくかったり、
早急に乾燥しなければいけない状況で困った経験のある方も多いのではないでしょうか。
そんな時でも慌てないで済む、とっておきの技を神崎さんに教えていただきました。

神崎さん「サーキュレーターを上向きにして、サーキュレーターの上にシューズを逆さまに置くと、中まで空気が入り乾燥が促進されます。この方法だと夜に洗っても朝には乾いていますよ」

また、ガスが熱源の衣類乾燥機「乾太くん」を使うのもおすすめとのこと。

神崎さん「『乾太くん』などのガス乾燥機は有効活用してほしいです。ドラム式洗濯機に搭載されている乾燥機能は乾燥に特化しているわけではないため、乾きが不十分なこともありますが、ガス乾燥機はパワフルで乾燥性能が優れていると思います」

ガス衣類乾燥機「乾太くん」でスピーディに乾燥!

乾太くん

Rinnai

衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!

ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。

だからガス式は短時間で乾くんですね。

さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。

衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。

おわりに

今回は、上履きやスニーカーの汚れに特化したプロの技について、「洗濯ハカセ」こと神崎健輔さんに教えていただきました。

石けんを持ちやすいようにカットしたり、つけ置き洗いに密閉できる袋を利用したりと、ちょっとした工夫で洗いやすくなることに驚きました。
おうちで上履きやスニーカーなどの布製シューズを洗濯する時には、ぜひ参考にしてみてください。

  • この記事取材先プロフィール

    神崎 健輔

    クリーニング店白洋社部長/株式会社クラスタス CTO/宅配クリーニングNexcy CTO

    神崎 健輔

    幼い頃から実家が経営しているクリーニング店でお手伝いをしながら育つ。その後、クリーニングとはまったく別の職種に就職。28歳で脱サラし実家のクリーニング店に入社。国家資格であるクリーニング師の資格を保有する洗濯・シミ抜き職人になる。「洗濯ハカセ」として、テレビ・雑誌などメディアにも多数登場し、家庭でもできるプロの洗濯・シミ抜き術を発信中。

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公開日:2022.6.23

最終更新日:2024.2.21

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