正しいアイロンのかけ方を知ろう!
きれいにアイロンがけされた洋服は、見ていて気持ちが良いですよね。でも、「アイロンがけって意外と難しい」「なかなか上手にアイロンがけができない」など、アイロンがけに苦手意識をもっていらっしゃる方も少なくないのでは。
そこで、家事支援サービス「カジタク」で家事代行や家事アドバイスを行っている山口奈穂子さんから、正しいアイロンがけの方法やきれいに仕上げるコツを教えていただきました。
山口さん「皆さんご存じの通り、アイロンがけはしわを伸ばして衣服を美しく仕上げることが目的です。特にビジネスの場などにおいては、シャツのしわで印象が左右されてしまうこともありますよね。でも、それだけでなく、アイロンがけをすることで、雑菌やニオイを飛ばす副次的な効果もあるんです」
衣服を美しく仕上げるだけでなく、衣服に付着した気になるニオイや雑菌にも効果を発揮するアイロンがけ。
基本となるシャツのアイロンがけだけでなく、洋服別の注意ポイントや時短テクニックもご紹介しますので、アイロンがけに苦手意識がある方はもちろん、もう一度正しいアイロンのかけ方を確認したい、という方もぜひ参考にしてみてください。
きれいなアイロンがけは、洗濯物を干すところから!
アイロンがけがきれいにできるかどうかは、実は洗濯物を干す時から始まっているんだとか。
山口さん「洗濯が終わった洋服をそのまま干してしまうと、洗濯の時についたしわがそのまま残ってしまいます。干す際にひと工夫するだけで、仕上がりがきれいになるだけでなく、アイロンがけの時間短縮にもなります」
それではまず、洗濯物の干し方を見直してみましょう。
しわをはたいて伸ばす
ワイシャツだけでなく、トレーナーなどでも実践できる技です。
山口さん「干すときに、はたいてしわを伸ばす方も多いと思いますが、ポイントは縫い目を起点にパンパンとはたくように伸ばすことです。身頃だけでなく、袖や肩回り、丸まりやすい裾など、全体的にしわを伸ばしてからハンガーにかけて干しましょう」
ワイシャツの場合は、上のボタンを留めてハンガーにかけるのがおすすめ。
山口さん「干している間に風が吹いても、ずれにくく、型崩れもしにくくなります」
ハンカチはたたんで干す?!
裏ワザとして、ハンカチの干し方も教えていただきました。
山口さん「ハンカチは毎日使う方も多いですよね。アイロンをかけた方が仕上りはきれいですが、日常使いであまりしわを気にされないような場合は、干し方を工夫するとアイロン不要の仕上がりになりますよ」
山口さんによると、四隅の1箇所を洗濯ばさみで留める方法は、縦にしわが入ってしまう上、型崩れするのでおすすめできないんだそう。
山口さん「ハンカチは、干す段階でたたんでしまいましょう。販売されている状態のようにきれいに折りたたんで、軽くはたいてから洗濯ばさみに留めて干します。そうすると、形がきれいになりますよ」
ただし、これは薄手のハンカチに有効なテクニックとのこと。タオルタイプや厚手のものは生乾きになる恐れもあるので、控えるようにしましょう。
アイロンをかける前のチェックポイント
次に、アイロンがけを行う前にチェックしておきたいポイントや、アイロンがけの準備について、山口さんに伺いました。
アイロンマークと生地を確認しよう
一口にアイロンがけといっても、全ての洋服に同じようにアイロンがけをするのはNGです。アイロンをかける前に、表示ラベルを必ず確認し、アイロンをかけてよい生地かどうか、また、適切なアイロンの温度をチェックしましょう。
山口さん「アイロンの可否を判断するには、洋服についているタグの洗濯表示を確認しましょう。アイロンマークには4種類あり、マークの中に●が1個のものは低温、2個は中温、3個は高温、バツ印がついているものはアイロンがけ不可のものになります」
山口さんによると、一般的にコットンや麻100%の生地はアイロンの適温を高温とするものが多く、ポリエステルのような化学繊維が混ざっていると低く設定されていることが多いのだとか。また、化学繊維は高熱に弱いものも多く、温度を間違えると溶けてしまう可能性もあるのだそう。事前に洗濯表示を確認するようにしましょう。
アイロンがけは低温でかけられるものから!
山口さんによると、アイロンがけは低温でかけられるものから行うのがおすすめなのだそう。
山口さん「何枚かまとめてアイロンがけをする場合には低温のものから始めて、中温、高温と行いましょう。一度高温にしたアイロンは、低温に戻すまで時間がかかってしまいます」
ちょっとしたポイントですが、しっかり意識して行うことで、時短にもつながりますね。
アイロンがけに必要なものを確認しよう
アイロンがけをする際には、下記の3点を用意しましょう。
- アイロン
- アイロン台
- 霧吹き・あて布
山口さんによると、洗濯物の状態や洋服の生地によっては、霧吹きやあて布があると便利なのだそう。霧吹きやあて布の使い方は、後半の「ひと工夫」で詳しくご紹介します。
基本のアイロンのかけ方【シャツ編】
ここからは、アイロンがけの方法をご紹介していきます。
まずは、基本でありながら意外ときれいに仕上げるのが難しい、「シャツ」のアイロンのかけ方を教えていただきます。
山口さん「シャツのアイロンがけは順番がポイント。襟、肩、袖、身頃の順番でアイロンがけをすることで、一番しわが目立ちやすい身頃をきれいに仕上げることができます。肩と袖は順番が逆でも大丈夫。ご自身の慣れた順番でやってみましょう」
【ステップ1】襟のアイロンのかけ方
「襟の中でも、アイロンがけの順番があります」と山口さん。
アイロンをかける順番は、
1.内側の襟
2.外側の襟
の順で行い、外から中心に向かって伸ばしていくようにアイロンをかけます。
山口さん「横長のアイロン台に対して、縦になるようにシャツを置き、襟がアイロン台の手前の縁にかかるように置くと、真っ直ぐにかけやすくなります。襟は正面が一番見られやすいので、アイロンをかける時も外から中心に向けてしわを伸ばすと美しく仕上がります」
時間がない時には、人の目に留まりやすい外側にアイロンをかけてあげるだけでも、印象がかなり変わるのでおすすめだそうです。
ワイシャツによっては、襟にカラーステイと呼ばれる、襟の形を整えるためのプラスチックが入っているものがあります。これはアイロンの高熱で溶けてしまう恐れがあるので、必ず外してからアイロンがけを行いましょう。
【ステップ2】肩のアイロンのかけ方
肩をアイロンがけするときには、アイロン台をうまく活用するのがポイントです。
山口さん「アイロン台の先端、カーブを描いている所にかぶせるようにして置くと、アイロンがけしやすいですよ」
【ステップ3】袖のアイロンのかけ方
袖は、袖口、腕全体の順序でアイロンがけを行います。
山口さん「袖口を開き、内側にアイロンの先端を入れるようにしてアイロンがけを行います。袖全体は、脇の部分から先端に向けて伸びている縫い目を起点に袖全体を整えてから、内側の縫い目と、外側の折り目がずれないように注意しながらアイロンがけします」
また、ボタンがついている袖口や、タック(生地の端をつまんだりたたんだりして縫ってできたひだ)のついている袖はなかなか難しいもの。
山口さん「立体的な製法が使われていてアイロンがけしにくい箇所は、少しだけアイロンを浮かし気味にしてかけましょう。無理に押し付けてしまうと、変な折り目やくせがついてしまいます」
【ステップ4】身頃のアイロンのかけ方
身頃は、前身頃の左右どちらか、背面、残ったほうの前身頃、の順番でアイロンがけをします。基本的には、表側のみで、内側はアイロンがけしなくてよいそうです。
山口さん「前身頃は、アイロン台のふちに縫い目を合わせるように置くとアイロンがけしやすいでしょう。ボタンの部分は、アイロンの先端を上手く使ってボタンとボタンの間をくぐるようにかけます。肩に近い部分も、アイロンの先端を使うとかけやすいですよ」
背面は、タックがついているかどうかを確認してからアイロンをかけましょう。
山口さん「タックがついている場合は、タックの始まりの箇所何センチかだけ、タックの折り目に沿ってかけ、あとは全体に軽くアイロンをかける程度がよいでしょう。身頃全体を通して、丸まりやすい裾にしっかりとアイロンをかけてあげるのもポイントです」
アイロンがけしたシャツは、ハンガーにかけて、型崩れしないようにボタンを留めて保管しましょう。
洋服別のアイロンのかけ方のコツ
基本のアイロンのかけ方としてシャツのアイロンがけを教えていただきましたが、洋服の種類によって、アイロンのかけ方も微妙に変わってくるもの。
今回は、ズボン、ニット、スカートのアイロンがけをきれいに仕上げるポイントについても教えていただきました。
ズボン・スラックスのアイロンのかけ方
折り目やタックがあるズボンやスラックス。
以下の順番でアイロンがけをすると、きれいな仕上がりになるんだとか。
- 片方の足の内側の膝から下、内側の膝から上
- 反対側の足の内側の膝から下、内側の膝から上
- 片方の足の外側の膝から下、内側の膝から上
- 反対側の足の外側の膝から下、内側の膝から上
- 腰回り
山口さん「ズボンやスラックスをアイロンがけする時は、まず元の折り目に沿ってアイロン台に置きます。片方の足回りの部分をめくるようにして、上記の順番でアイロンがけをしていきましょう。腰回りのアイロンは、スチームをかけて少し浮かし気味にかけましょう。特にタックが細かいものやポケットのあるものは、強めにアイロンをかけると変な癖がついてしまうことがあります」
また、ズボンやスラックスの場合はあて布をするのがおすすめ。テカリの防止になるそうです。
ニット・セーターのアイロンのかけ方
アイロンをかける順番は、基本的にはワイシャツと変わりませんが、かけ方にコツがあります。
山口さん「強く押し付けるようにかけると繊維が傷ついてしまうのでNG。少し浮かし気味にかけましょう。ニットやセーターの場合は、ハンガーにかけたままで使用できる衣類スチーマーもおすすめです」
プリーツのあるスカートのアイロンのかけ方
細かいプリーツのあるスカートは、アイロンがけ初心者にはなかなかの強敵です。
山口さん「方法としては、アイロン台に乗る面のプリーツを整えて、少しずつ慎重にアイロンをかけていくことになりますが、私たちから見ても、プリーツスカートは難易度が高いものになります」
家事のプロの山口さんでも、プリーツのアイロンはなかなか神経を使うんだそう。慣れていない方は、クリーニングに出してもよいかもしれませんね。
アイロンをかける時に知っておきたいひと工夫
アイロンがけの基礎がしっかりマスターできたところで、よりきれいに、効率よくアイロンがけするためのひと工夫を教えていただきました。
アイロンをかけるタイミングは「半乾き」がベスト!
山口さん「アイロンをかけるベストなタイミングは、半乾きの時です。頃合いとしては、触ってまだ湿り気が感じられるくらいの時。乾いてしまうと、圧力で押し伸ばすようなアイロンのかけ方になってしまい、あまりおすすめできません」
とはいえ、常に半乾きのタイミングで洗濯物が取り込めるとも限りませんよね。
山口さん「そんな時に、霧吹きが役に立ちます。洋服に吹きかけてからアイロンをかけるだけで、効きが良く、時短にもなります。アイロンのスチーム機能を使ってもよいですね」
あて布は必要?
アイロンをかける時に度々登場するあて布。何のために必要なのでしょうか?
山口さん「あて布は、テカリの防止と、生地を守る効果があります。黒っぽい生地だと、アイロンをかけることによって変色したりテカリが出てしまうことがあるので、スラックスやスカートなどにはあて布を使用したほうがよいでしょう。また、さまざまな素材が混ざっているような洋服にも、あて布を使った方が安心ですね」
シャツ類は、あて布をしなくても大丈夫とのこと。
あて布は、ハンカチや手ぬぐいなど薄い生地のものがおすすめ。山口さんは、お気に入りの日本手ぬぐいを使うことで、アイロンをより楽しめるように工夫されているそうです。
ガス衣類乾燥機「乾太くん」でスピーディに乾燥!
衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!
ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。
だからガス式は短時間で乾くんですね。
さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。
衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。
おわりに
家事支援サービス「カジタク」の家事アドバイザー・山口奈穂子さんに、ご自宅でできる正しいアイロンのかけ方や、きれいに仕上げるコツを教えていただきました。全てのしわを完璧に伸ばすことは、素人にはなかなか難しいものですが、かける順番や方向を工夫することで、よりきれいな仕上がりになります。ぜひ、ご家庭でも実践してみてくださいね。
取材先紹介
アクティア株式会社 家事支援サービス「カジタク」
山口 奈穂子さん