リンス・コンディショナー・トリートメントの違いとは?
リンス・コンディショナー・トリートメント。それぞれの役割や効果に違いはあるのでしょうか?
シャンプーやトリートメント類の製造と販売を行う、株式会社ミルボンの開発本部研究開発部 基礎研究グループの長谷部未来さんに、それぞれの役割の違いや、効果的な使用方法を教えていただきました。
長谷部さん曰く、「シャンプーやリンスなどのヘアケアによって髪の毛の状態は大きく変わる」とのこと。髪の毛を大切にケアしたい!という方は必見です。
早速ですが、リンス・コンディショナー・トリートメントは、それぞれ何が違うのでしょうか?
長谷部さん「実は、メーカーの間で取り決められている明確な定義はありません。最近はリンスよりも、コンディショナーやトリートメントの表記をよく見かけるようになりましたが、基本的に髪の毛をケアする、といった意味では3つに違いはありません」
「コンディショナーは髪の毛の表面を整えるもの」「トリートメントは髪の毛の内部を補修するもの」といった言われ方をすることもありますが、それらはメーカーや商品ごとに決められているだけなのだそう。
長谷部さん「コンディショナーだから、トリートメントだから、と選ぶよりも、商品自体の効果を確認して選び、使い分けるのがおすすめです」
例えば、くせ毛が気になる人用のヘアケアシリーズとダメージを補修したい人用のヘアケアシリーズでは、目的が大きく異なるので、トリートメントやコンディショナーの役割も変わります。
リンス・コンディショナー・トリートメントの役割って?
そもそも、リンス・コンディショナー・トリートメントには、一般的にどのような役割があるのでしょうか? 長谷部さんに髪の毛の仕組みも含めて教えていただきました。
長谷部さん「髪の毛のほとんどはタンパク質で、他は油分や水分などで構成されていますが、カラーやパーマ、普段のアイロンなどでダメージを受けると、髪の毛はすり切れたり、パサついたりしてしまうんです。リンス・コンディショナー・トリートメントには、髪の毛の表面を覆う『キューティクル』を保護してくれる役割があります」
キューティクルは、髪の毛をうろこ状に覆うコーティングのようなもので、これらを補修してあげることで、手触りよく、つやがある髪の毛になるそうです。
上述の通り、リンス・コンディショナー・トリートメントは、それぞれ髪の毛の表面を整えるもの、髪の毛の内部を補修するもの、という定義があるわけではなく、効果は商品によって変わるので、自分の髪の毛にとって必要な効果で選ぶようにするといいですね。
リンス・コンディショナー・トリートメントの選び方は?
さまざまな種類の商品がある中で、どのようなものを選んだらよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。長谷部さんによると、選ぶ際のポイントとして、「自分の髪の毛の質を知る」ことが大切なんだとか。
長谷部さん「自分の髪の毛の質を知るためには、美容院や理容室で相談するのがおすすめです。自分ではくせ毛で扱いにくいと悩んでいたけれど、実はヘアケア商品が合っていないせい、なんてこともあります。また、年齢や季節によっても、髪の毛の状態は変化します。まずは、普段行っている美容室で相談してみてくださいね」
また、リンスやコンディショナー、トリートメントの効果はダメージ補修だけではないのだそう。
長谷部さん「自分に合うヘアケア用品を使うと、髪型を整えやすくすることにも繋がります。お恥ずかしい話ですが、私も『シャンプーは髪を洗うもので、リンスやコンディショナー、トリートメントは髪の毛を補修してしっとりさせるもの』程度の認識だった頃がありました。でも、自分に合うヘアケア用品に出会って、ダメージ感が整っただけでなく、まとまりにくかったクセも整えやすくなったんです。一人一人、『こんな髪の毛になりたい』という思いがあるはずなので、ぜひ自分に合う商品を選んで、効果的なヘアケアを行ってくださいね」
大切なことは、自分の髪の毛の特徴を知って、その上で効果的なヘアケアを行うことなのですね。
効果的な髪の毛の洗い方をご紹介!
自分に合ったリンスやコンディショナー、トリートメントを選ぶことも大切ですが、実は洗い方によっても効果は変わります。
今日からできる、正しい髪の毛の洗い方やお手入れ方法を教えていただきました。
髪を洗う前のポイント
髪のお手入れは、髪の毛を洗う前から。
まず、乾いた状態で、目の粗いコームや櫛を使って簡単にブラッシングを行います。
長谷部さんによると、絡まった髪の毛同士に空間ができ、埃やチリが取れやすくなるのだそう。
その後、シャンプーの前にお湯で髪の毛全体を洗う「予洗い」を行います。
長谷部さん「さっと濡らしてすぐにシャンプーをする方もいるのですが、ここで予洗いをしておくと、スタイリング剤以外のほとんどの汚れが落ちやすくなる上、シャンプーの泡立ちも良くなります。シャワーの温度は38℃程度、1分半程度かけて行うと効果的です」
ぬるめの38℃だと、頭皮の保湿成分を逃しにくく、汚れも落としやすくしてくれるそうです。
シャンプーを使うときのポイント
予洗いが終わったら、髪の毛の水気を軽く切ります。
シャンプーを適量手に取って、手で軽く泡立たせてから髪の毛にのせましょう。
長谷部さん「洗顔料のようにふわふわに泡立てる必要はありませんが、シャンプーを手のひらになじませてから洗い始めると泡立ちやすくなります。シャンプーの一番の目的は、髪の毛を洗うことではなく頭皮を洗うことです。頭皮にシャンプーを行きわたらせて、指の腹で頭皮を動かすようなイメージでもみ出す洗い方がおすすめです」
すすぐときは、洗い残しがないようにしっかりとすすぎましょう。
長谷部さん「襟足や耳の裏などは元来汚れがたまりやすい場所ですし、シャンプーなども残りやすい箇所です。かゆみの原因にもなりますので、しっかりとすすいでください」
リンス・コンディショナー・トリートメントを使うときのポイント
シャンプーの後、手で軽く髪の毛の水気を切ってから、適量を手のひらに伸ばしてなじませ、毛先から中間にかけて塗布します。
長谷部さん「先述した通り、リンス・コンディショナー・トリートメントの役割は髪の毛のケアです。基本的には、頭皮につける必要はなく、毛先から中間にかけて軽くもみ込むようにしましょう。根元は、余った分をなじませる程度で大丈夫です」
ただ、頭皮の保湿をうたっている商品などの場合は使い方が異なる場合があります。商品ごとの使い方も確認するようにしましょう。
長谷部さん「一概には言えませんが、リンスやコンディショナー、トリートメントは少し時間を置いたほうがなじんで効果を感じやすいことが多いです。蒸したタオルをターバンのように巻いて、数分置いてあげるだけでも効果が違いますよ」
リンスやコンディショナー、トリートメントも、シャンプー同様にしっかりとすすぎましょう。
洗い流さないトリートメントの場合は、髪の毛をタオルで軽くふいた後に、毛先から中間にかけてなじませるようにしましょう。
乾かし方のポイント
長谷部さんによると「髪の毛の生え方やくせによっても、乾かし方は変わる」とのことですが、ここでは一般的な髪の毛の乾かし方をご紹介します。
ドライヤーで乾かすときには、下記の順番を守りましょう。
1.前髪
2.根元
3.上から下に向けて
長谷部さん「髪の毛を乾かすときは、髪の毛をいたわることはもちろんですが、髪型が決まりやすいかどうかも重要ですよね。その意味では、まずは前髪から乾かすことをおすすめします。乾かすときの原則は、髪の毛が密集している根元からです。頭皮が濡れたままだと、悪いニオイのもとになる上、スタイリングもしにくくなってしまいます」
また、全体を通して風は上から下にむけて当てるようにします。髪の毛のキューティクルは根元から毛先に向かってうろこ状についているので、その流れに沿って髪の毛を乾かしてあげることで艶が出て整いやすくなるそうです。
おわりに
リンスやコンディショナー、トリートメントのそれぞれの役割や、効果的な髪の毛の洗い方について、株式会社ミルボンの開発本部研究開発部に所属する長谷部未来さんにお話を伺いました。「それぞれに大きな違いがないなんて」と驚いた方も多いのではないでしょうか。大切なのは、自分の髪の毛の特徴を理解して、その髪質にあった効果的なヘアケアを行うこと。美しい髪の毛のために、ぜひ実践していきたいですね。