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窓の結露はなぜできる? カビができる結露の原因と対策とは

朝、気が付くと結露で窓がびしょ濡れ・・・ということはありませんか? 窓拭きの手間を少しでも減らすには、「なぜ結露が起こるのか」というメカニズムを知って、結露が起きにくい環境をつくることが大切です。結露ができる原因と対策や、結露がもたらすトラブルについて、窓ガラスメーカーの日本板硝子株式会社に聞いてみました。

最終更新日:2024.1.12

目 次

結露の原因と起こる仕組み

結露で濡れている窓辺

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窓まわりをびしょ濡れにしてしまう不快な結露。放っておくとカビの原因にもつながります。

結露の原因とはいったい何なのでしょう。日本板硝子株式会社によると、結露には「湿度」と「飽和水蒸気量」が関係しているといいます。

温度と飽和水蒸気量の関係

温度と飽和水蒸気量の関係

出典:日本板硝子株式会社

ちょっと難しい話になりますが、飽和水蒸気量とは、空気が含むことのできる水蒸気の最大量のことです。飽和水蒸気量は気温によって一律で決まっていて、温度が高いとよりたくさんの水蒸気量を保つことができ、温度が低いほど少なくなります。

同じ湿度50%でも気温が変わると水蒸気の量は変わる

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よく言われる「湿度50%」というのは、”相対湿度”のこと。その温度の時に空気が保持できる水の量(=飽和水蒸気量)に対して、どのくらいの水分が溶け込んでいるかの割合を示しているため、気温が高い時の湿度50%と、気温が低い時の湿度50%では、水分量が異なります。

表面に浮かび上がった結露

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結露というのは、水蒸気をたくさん含んだ空気が急激に冷やされることで、空気中に水分を保持できなくなり、水となってしまう現象です。

例えば、温度20℃・湿度60%の状態から、温度だけが15℃に下がったとします。すると、同じ水分量でも、湿度は82%に上昇します。さらに温度が下がって、湿度が100%を超えると、空気中の水蒸気は凝縮(液化)されて霧や水滴に姿を変えます。この時の温度を『露点』といい、この水滴が結露の正体です。

窓ガラスの結露は、窓ガラスの表面温度が『露点』の温度より下がることで、空気中の水分が水滴となってガラスの表面に付いてしまった状態なのですね。

冬の朝は要注意。窓が結露しやすい時期は?

室内と室外の気温差の図

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日本板硝子さんによると、窓が結露しやすい時期と時間帯は、冬の朝方だそう。これはいったいなぜなのでしょう。

冬は、室内と室外の気温差がより大きくなる季節。そして、外気温は夜明け近くに最も低くなります。室内は日中、暖房で温められているため多くの水蒸気が空気中に溶け込んでいますが、夜明け近くになると外気の影響で窓の表面温度も低下。

そのため、窓ガラスの表面付近で一気に水になり、水滴=結露になるのだそうです。

結露は冬だけじゃない。冬型結露と夏型結露の違い

エアコンのフィンが結露している様子

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冬の結露はよく目立ちますが、実は結露という現象は1年中起こるものなのだそうです。

冬、窓ガラスなどに発生する結露は冬型結露、夏に発生する結露は夏型結露と呼ばれます。

夏型結露の特徴は、住宅の床下・基礎部分や壁の中で発生する点です。家具の裏やクローゼットの中など、空気の流れが悪い部分に発生することもあります。

夏に結露が発生する原因は、高温と多湿、そして冷房時の冷たい空気が関係しています。

夏は湿気が多く、外壁の建材などにもたくさんの水分が含まれます。これらが太陽の熱で温められて蓄えていた水分が放出され、壁の中に侵入していきます。ところが、室内はエアコンで外気より冷やされた状態。冷やされた空気は壁を伝わり、壁の中の温度を下げます。その結果、壁内の低温部分に結露が発生してしまいます。

なぜ結露は「窓」にできるの?

窓辺に発生した結露

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窓は壁などと同様に、屋外と室内を隔てているもの。なぜ窓だけに結露ができてしまうのでしょう?

日本板硝子さんによると、ガラスは木やコンクリートよりも断熱性が低いため、外気温が下がるとどうしても、壁より窓のほうが表面温度が下がってしまうとのこと。

また、窓はガラスだけでできているわけでなく、アルミなど金属のサッシ(窓枠)に入っています。金属は、素材にもよりますが、ガラスの約10倍ほど熱を伝えやすい性質があります。ガラスそのものは熱を遮断していても、サッシを伝わってガラス全体が冷えてしまうため、窓に結露ができる原因の一つになっているそうです。

結露を招く、その他5つの原因とは?

暖かいものを室内で調理する様子

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結露の主要な原因は室内と室外の温度差ですが、その他にも原因はさまざまあります。主に挙げられるのは以下の5つ。室内の湿度を上げる生活が、結露につながります。

結露の原因1.煮炊きをする

温かいものを調理すると、室内に多くの水蒸気が放出されます。また、ストーブやガスファンヒーター(室内排気タイプ)は、灯油やガスを燃焼させる時に大量の水蒸気が発生するため、つけっぱなしにしておくと部屋の湿度が上がります。

結露の原因2.植物が部屋にある

観葉植物は土に多くの水分を含んでいます。土や葉から放出される水分も、結露につながります。

結露の原因3.部屋干しをする

洗濯物を室内に干すと、洗濯物に含まれる水分が拡散し、結露の原因になります。冬場は、雨が降っていても空気中の水蒸気量は室内よりも低く、洗濯物が直接雨にあたらなければ屋外で干すほうが効果的です。

結露の原因4.換気を怠っている

人の呼気は多くの水蒸気を含んでいます。室内で煮炊きをしなくても、生活をしているだけで部屋の湿度は上がるため、窓を閉め切ったままだと湿度が逃げず、結露の原因になります。

結露の原因5.過剰に加湿をしている

感染症対策や乾燥対策として加湿器を使う場合は要注意。暖かい室内では湿度が保たれていたとしても、室温が下がるとその水蒸気が水滴となって現れ、結露してしまいます。加湿器を使う際は、湿度は40~60%の適正な状態を保ちましょう。

さまざまな原因が挙げられる結露ですが、どのように対策すれば良いのでしょうか。
結露を対策する3つのポイントをご紹介します。

結露対策3つのポイント【その1】こまめに換気する

換気のイメージ

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結露を防ぐポイントは、室内の湿気を追い出し、湿度を下げること。そのため「換気」がとても重要です。

現代の住宅は気密性が高いので、換気は意識して行う必要があります。24時間換気などで定期的に家の中の空気を入れ替えるだけでなく、1日に数回、5分から10分程度の換気を行う必要があります。

換気をすると冷暖房効率が下がるから・・・と、ついつい換気を避けていませんか? 夜間のリビングなどは人がいなくなるタイミングで換気をして室内の水分を追い出しておくだけで、翌朝の結露が減るそうです。

結露対策3つのポイント【その2】湿度計で正しく湿度をチェック

さまざまな種類の温度計

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いま、過剰な加湿が問題になっています。暖房を使う際は一律で加湿してしまわず、湿度をこまめにチェックして、適正湿度の40~60%を下回るときだけ加湿器を使いましょう。

温湿度計はなるべく精度の高いものを。デジタルのものや簡易的なものなどさまざまな種類がありますが、購入時には計測精度をチェックしておき、精度が低い場合はあくまで目安と考えましょう。

結露対策3つのポイント【その3】ガラス・サッシの性能を上げる

一枚ガラスと複層ガラス

画像提供:日本板硝子株式会社

結露を直接的に防ぐには、窓の表面温度を下げ過ぎないことがポイント。

窓の表面温度を下げない工夫として、金属のサッシを熱が伝わりにくい樹脂に変える、ガラスとガラスの間に空気の層を持っている複層ガラスに変える、などの方法もあるそうです。

意外にも、空気は非常に断熱性に優れているそうです。わかりやすい例では、カップラーメンの容器。熱湯を注いだカップ容器を直接手で持つことができる理由は、容器の素材が発泡スチロール(ポリエチレン、ポリスチレン)でたっぷりと空気を含んでいるため。空気の断熱性能の高さを実感できますね。

日本板硝子さんは、複層ガラスよりもさらに断熱性能が高い「真空ガラス」も開発・製造しています。

「大気がない真空の状態では、熱移動の3原則『伝導』『対流』『放射』のうち、『伝導』と『対流』が起こらないため、極めて熱が伝わりにくくなります。弊社の真空ガラスは、ガラスとガラスの間にわずか0.2mmの真空層をつくることで、一枚ガラスの約4倍、一般的な複層ガラスの約2倍の断熱性能を実現しています」(日本板硝子株式会社)

真空ガラスは厚さが一枚ガラスとほとんど変わらず、今使っているサッシを変えることなくガラスの交換が行えるそう。科学の原理を応用した断熱技術、すごいですね。

実はやめた方がよい!? 窓に緩衝材を貼る裏ワザ

緩衝材

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気泡の入ったプチプチつぶせるタイプの緩衝シートを窓に貼る方法がありますが、寒さ対策や結露対策としては効果的なのでしょうか?

窓に緩衝シートを貼る方法は、結露対策として時々見かけますが、窓ガラスの専門家である日本板硝子さんは「おすすめしない」とのこと。

窓に緩衝材を貼ることによる結露発生(冷放射)の低減効果は、非常に限定的。冷放射の低減だけであればカーテンでも一定の効果があり、むしろそちらの方がおすすめとのことです。

緩衝材の凹凸の間や、緩衝材シートとガラスの間には結露が発生してしまう可能性があり、いったんそこに結露が発生すると水分の始末がかえって面倒になります。ホコリも溜まりやすく、拭き残った水分とホコリでカビなどの発生を促進してしまう可能性も。

何よりも、窓にシートを貼ると、応急処置的な見た目が微妙ですね。ガラスの透視性も損なわれ、シートをはがす時に接着剤が残って窓ガラスを汚してしまう可能性もあるため、避けた方がよさそうです。

結露が起こりやすい部屋とは?

暖房の置いてある寝室

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結露に最も注意すべき部屋は「寝室」です。

寝ている間に人がコップ1杯分の汗をかくことはよく知られていますが、汗を吸った寝具はそのままになってしまうことも多いため、寝室は想像以上にジメジメしています。

それに加えて寝室は、水まわりのように換気扇などがなく、換気環境が十分ではありません。大きな寝具があることで部屋の中の空気も対流しにくいですし、日中足を踏み入れることも少ないためこまめに換気をしないことも。カビの温床となりやすいエアコンの掃除も、寝室まではなかなか行き届きませんね。

寝室の結露を防ぐ方法は、換気を効果的に行うこと。日本板硝子さんによると、寝る前に一度寝室を換気して湿度を下げておくのが重要なのだそう。

寝室に暖房を入れる場合は、暖房を使う前にまず換気をして湿度を下げておくと、朝方の結露を減らすことができるそうです。

結露が引き起こすトラブルとは?

結露で濡れた窓辺

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結露をそのままにしておくと、人体と建物、二つの側面で悪影響があります。

人体への影響で最も大きいのは、結露がカビ・ダニの発生原因になってしまうこと。窓や壁に付着した汚れ・ホコリに結露が付着したり、結露によって溶け出した建材や接着剤は、カビの栄養分になります。カビの繁殖は、カビをエサとするダニの繁殖にもつながり、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎、小児ぜんそくなどの症状・疾患の原因の一つになる可能性もあります。

建物への影響としては、結露による建材の腐食やさびなど。そのまま放置すると耐久性や性能の低下などを誘発するだけではなく、家具や壁紙にもカビ・シミなどが発生して傷みが進みます。

結露を防止することは衛生環境を改善し、人体や建物に与える悪影響を抑えることにもつながるのですね。

おわりに

冬になると窓の結露やカビ、窓の木枠の変色が気になる・・・というご家庭は少なくありません。昨今、結露対策ができる窓も人気ですが、生活の工夫で結露を減らすことができるというのは朗報ですね。日々のこまめな換気で、感染症対策&結露対策を心掛けましょう。

取材協力:日本板硝子株式会社
窓のお手入れに関するさまざまな情報は『窓リフォーム研究所』(運営:日本板硝子株式会社)

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公開日:2021.12.27

最終更新日:2024.1.12

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