食から取り組むSDGs
近年、世界的な人口増加による肉の消費量は増え続けています。しかし食料資源や環境保護の問題から、畜産を拡大するのは困難と言われています。そこで食から始めるSDGsへの取り組みとして、肉の代わりになる「代替肉」が非常に注目を集めています。また、フレキシタリアンといった肉を取らずに食事を楽しむ方も増えています。
今回のコトコト小話は、そんな代替肉の種類や食べ方、野菜だけでも満足度の高い料理を仕上げるポイントについて、簡単に作れる美味しいレシピと共にお伝えします。
自宅で気軽に取り組めて、しかも美味しい! そんな環境と身体に優しい過ごし方をご提案します。今週末、いつもと少し違ったおうち時間を過ごしてみてはいかがでしょう?
「代替肉」ってどんなもの?
最近ではスーパーでも手軽に手に入れることができるようになった「代替肉」。ファストフード店でも代替肉を使用したメニューの開発に取り組んでいますね。代替肉が注目される背景には、環境問題などSDGsの観点のほか、個人的嗜好や宗教上の理由による菜食主義者のタンパク質不足なども挙げられます。
代替肉には一般に大豆など植物由来の肉と、培養技術を用いた培養肉があります。培養肉は試験段階なので、まだ市場に出回ることはほとんどありませんが、現在も研究が進められています。
植物由来の肉の原材料は、大豆のほか小麦、エンドウマメ、ソラマメというものもありますが量は少なく、大豆が多くを占めます。呼称も大豆ミートやソイミートと呼ばれることが多いのですが、小麦の場合もあるのでその場合はグルテンミートと呼ばれます。そのほか植物由来の代替肉の総称としてプラントベースミート、またはオルタナティブミート、フェイクミートなどとも呼ばれます。
大豆ミートとは?
代替肉の一つである大豆ミートは、食感や食べ応え、見た目がお肉にそっくりです。栄養価が高く、低カロリー低脂肪のため、ダイエット食としても注目されています。大豆が主原料ですので、大豆イソフラボンやミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富なのもうれしいポイントですね。
大豆ミートはサイズもさまざまです。大きな肉の塊のようなサイズから、細かいフレーク状のひき肉サイズまで、メーカーによっても形状が違います。
最初にどのサイズを買うか迷ったら、とりあえずひき肉サイズの細かい物から挑戦してみましょう。ドライカレーや麻婆豆腐などのしっかり味のお料理に、ひき肉の代わりに使ってみると、とても食べやすくて、本当の肉のように仕上がります。
また、長期保存可能な乾燥タイプの他に、そのまま使えるレトルトタイプや冷凍タイプも売られています。
乾燥タイプの物は、戻してから使いますが、茹でこぼして使うのが一般的です。大豆のニオイが気になる場合には2回程度茹でこぼすと大変食べやすくなります。戻すと2~3倍くらいになりますので、茹でるお鍋のサイズには気を付けましょう。
なお、気になる大豆ミートの味ですが、少し独特ではありますが、古くから醤油、味噌、豆腐と大豆製品にはなじみのある日本人には、意外と抵抗なく受け入れられるようです。
いま注目の「フレキシタリアン」って?
肉を口にしないベジタリアンや、卵や乳製品といった動物性食品も一切取らないビーガンに対し、環境への配慮や健康を意識して週に何度かベジタリアン料理を楽しむ新しいスタイルがあります。柔軟を意味するフレキシブルとベジタリアンを合わせて「フレキシタリアン」と呼ばれ、日本では「ゆるベジタリアン」と呼ばれることもあります。
普段は動物性食品を控えるけど、無理をせずに状況によって肉や動物性食品を取る! 完全な菜食主義ではないので、肉が大好きな方でも取り入れやすく、日本でも広まりつつあるスタイルです。
野菜だけでも満足度の高い料理を作るコツとは?
肉や乳製品に比べるとうまみ、味のパンチが弱くなりがちな野菜料理ですが、工夫をすることで満足度の高い料理に仕上がります。
いくつかポイントをまとめてみました。
【調理法を工夫する】
しっかりと焼いて香ばしさをプラスしたり、乾燥させて水分を飛ばすことで味を濃縮させてみましょう!
ナスやパプリカをグリルで焦げ目が付くまで焼いて、皮をむいて使用したり、トマトはオーブンや天日干しをしてセミドライトマトにしてもよいでしょう。
【調味料で味に変化を】
調味料の使い方でも味の感じ方が変わります。
特に酸味を上手に使うことで味にキレや厚みを出すことができます。酸味を強めにきかせて味にパンチを加えたり、甘味と組み合わせて濃厚さをプラスしたりします。柑橘系の酸味を加えれば、清涼感も出せます。
【油分を補う】
植物性の油脂を使ってしっかり感を出しましょう。
揚げたり、仕上げに油をかけて風味をプラスするほか、ココナッツミルクなどの油分の多い食材を使うのもポイントです。
【ハーブやスパイスを使う】
ハーブやスパイスは複雑な香りを作り、強く濃厚な印象を残します。辛味や酸味を加えるスパイスもあるので、上手に使い分けましょう。
【食感にもアクセントを】
味だけではなく、食感をプラスすることで、満足度が上がります。
サクッとした食感が出るように揚げたり、また仕上げにカリカリのナッツを散らしたりするのもよいでしょう。
大豆ミートを使って満足度UP! エスニックランチに挑戦
それでは、暑い日にもおすすめのエスニック料理をご紹介します。
大豆ミートをうまく取り入れ、野菜料理のポイントなども抑えれば「肉を使ってないけど満足度の高いランチ」が出来上がります。ぜひ挑戦してみてください。
大豆ミートで作るガパオライス
ひき肉タイプの大豆ミートで作るガパオライス。調味料やハーブでしっかりと味と香りをプラスすれば、大豆ミート独特の味も気になりません。初めて挑戦する代替肉料理にはおすすめの一品です。
【材料】2人分
大豆ミート(乾燥、フレークタイプ)・・・約80g
茹でタケノコ・・・50g
ピーマン・・・1コ
赤ピーマン・・・1コ
[A]
ニンニク(みじん切り)・・・1片分
赤唐辛子(小口切り)・・・2本分
サラダ油・・・大さじ1
[B]
砂糖・・・大さじ1/2
水・・・大さじ2
ナムプラー・・・大さじ1
オイスターソース・・・大さじ1/2
バジル・・・6g
卵・・・2コ
サラダ油・・・大さじ1
バジル(飾り用)・・・適量
ご飯・・・適量
【作り方】
1. 大豆ミートは2回程度茹でこぼします。水にさらし、絞ります(戻った状態で180gを使います)。
2. 茹でタケノコは5㎜角に切ります。ピーマンと赤ピーマンは半分に切って種を取り、5㎜幅に切ります。
3.フライパンにサラダ油を入れて火にかけ、温度調節機能を180℃に設定します。卵を割り入れて目玉焼きを作り取り出します。
4.同じフライパンにサラダ油とA入れて火にかけます。ニンニクの香りが出てきたら、1を加えて炒めます。
5. 全体に油が回ったら、2を加えて炒めます。Bを加え、ちぎったバジルを加えます。
6. 器にご飯を盛り、4、5、をのせて、バジルを飾ります。
ステップアップポイント!
・大豆ミートはメーカーによって名称や戻し方が違います。ソイミート、ベジミートなどの名前で売られているものもあります。戻すと2~3倍の重さになります。
・目玉焼きは多めの油で少し揚げるように焼くと、こんがりとした香ばしさも増します。
・ご飯は好みでジャスミンライスにしてもよいでしょう。
ナスのエスニック風サラダ
ナスをグリルでこんがりと焼いて香ばしさを出しました。酸味もプラスして味に深みをプラス。仕上げにフライドオニオンやナッツを散らし食感のアクセントに!爽やかな夏の定番サラダになりそうです。
【材料】2人分
ナス・・・4本
[A]
ショウガ(すりおろし)・・・15g
バジル(みじん切り)・・・3枚
ナムプラー・・・大さじ1
レモン汁・・・大さじ1
砂糖・・・大さじ1
赤唐辛子(小口切り)・・・1本分
サラダ油・・・大さじ1
紫タマネギ・・・30g
フライドオニオン・・・適量
アーモンドダイス(ロースト)・・・適量
パクチー・・・適量
【作り方】
1. ナスはガクを取り、皮に浅く包丁目を入れ、グリルで焼きます。
両面焼き水なしグリル 上・下強火 約12分
焼きあがったら冷水にとり、皮をむいて食べやすい大きさに切ります。
2. Aをボウルに入れてよく混ぜ合わせ、サラダ油を少しずつ加えてドレッシングを作ります。
3.紫タマネギはスライスして水にさらします。
4. 器に紫タマネギを敷き、1を盛り付け、2をかけます。冷蔵庫でよく冷やし、食べる直前にフライドオニオン、アーモンドを散らしてパクチーを飾ります。
ステップアップポイント!
・ナス以外にもパプリカやミニトマトをグリルで焼いて彩り良く仕上げるのもおすすめです。
・出来上がったら冷蔵庫でしっかり冷やしましょう。味も染み込み、美味しさがさらに増します。
金時豆のココナッツミルクぜんざい
ココナッツミルクと豆で作る濃厚なデザートは、ランチの満足度がさらに上がります。
【材料】2人分
ココナッツミルク・・・150ml
水・・・50ml
金時豆(水煮)・・・100g
グラニュー糖・・・40g
塩・・・少々
【作り方】
1. 鍋にココナッツミルクの2/3量と水を入れて火にかけます。
2. 温まったら金時豆を入れ、沸騰したらグラニュー糖を加えて煮ます。
コンロ調理タイマー 約3分
3. 残りのココナッツミルクを加え、ひと煮立ちしたら火を止めて器に盛り付けます。
ステップアップポイント!
・火が強いと豆が割れる原因になるので気を付けましょう。
・ココナッツミルクを1/3量最後に加えることで、風味やコクが増します。
おわりに
週末だけのゆるーいベジタリアン。おうち時間を楽しむ一つのスタイルとして、取り入れてみてはいかがでしょうか?
東京ガスや私たち料理教室スタッフはどんな時でも「食を通じて皆さまの幸せな生活」を応援します。次回もお楽しみに。