そもそもバリアフリーとは?
「バリアフリー」とは、生活の不便や活動の障壁(バリア)をなくす(フリーにする)ことです。
一見すると快適に暮らせそうな住まいでも、高齢の方や妊婦の方、小さいお子さんにとってはバリアに感じる部分がたくさんあることも考えられます。
何歳になっても安全・安心・快適な暮らしを送るには、住まいの機能そのものを見直すことが大切です。
今回は東京・西新宿にある住まいとインテリアの情報センター「リビングデザインセンターOZONE」の住まいづくりコンサルタント 高木さんに伺いました。
バリアフリーを目的としたリフォームにはどのような種類がある?
バリアフリーを目的としたリフォームには、「バリアフリーリフォーム」と「在宅介護リフォーム」の2種類があります。それぞれの違いを確認してみましょう。
ライフステージによって変わる「バリアフリーリフォーム」
「バリアフリーリフォーム」とは、家の中で起こる事故を防ぐため、住まいの危険や負担を減らしたり、機能を追加したりする住宅リフォームのことです。手すりの装着から間取りの変更まで、多種多様なリフォームが含まれます。
もちろん、高齢の方だけが対象ではありません。妊婦の方や小さいお子さんなどの危険や負担を減らすために行われる場合もあります。足腰が弱っている高齢の方や妊婦の方であれば、手すりを付けて歩きやすくしたり、段差を解消したりといったバリアフリーリフォームが考えられます。
大掛かりなリフォームになると、階段に昇降機を付けたり、エレベーターを設置したりすることが必要になります。小さいお子さんであれば、滑りにくい床材に変えたり、コンセントやスイッチの位置を変えたりといったバリアフリーリフォームが必要な場合があります。
介護のしやすさを叶える「在宅介護リフォーム」
「在宅介護リフォーム」とは、自宅での介護にあたり、介護する人・介護を受ける人の双方が暮らしやすい住まいに作り直すことです。
介護を必要とする方の住まいには、安全・安心につながる機能が必要不可欠です。同時に、介護する方の負担を減らし、暮らしやすい環境を整えることが重要です。
具体的な検討に移るタイミングで、設計士といったプロに改修工事の内容・建築条件・費用についてアドバイスを受けるといいでしょう。在宅介護リフォームにあたっては、介護保険制度や自治体の助成金を活用できる場合があります。介護度の区分や自治体によってさまざまですので、ケアマネージャーや自治体の窓口への問い合わせをおすすめします。
バリアフリーリフォームをするときに気をつけておくべきポイント
ここでは、バリアフリーリフォームをするときに気をつけておくべきポイントを4つご紹介します。
【リフォームポイント1】住まいの温熱環境を確認しよう
自宅で快適に過ごすためには、湿度や温度の管理が重要です。住まいの湿度や温度は健康にさまざまな影響を与えます。過度な温度差は、高齢の方や小さなお子さんの身体には大きな負担がかかりかねません。適切な温熱環境の確保は、ヒートショックや熱中症のリスク抑制につながります。
リビングや寝室などの居室と廊下などの非居室との間に温度差がある場合、冷暖房設備や住宅の断熱性に問題があるかもしれません。室内の温度変化は断熱性によって左右されます。そのため戸建ての場合は、床下や壁、天井、冷気や暖気が侵入しやすい窓の断熱性を高める断熱リフォームが、室内の温度環境を整える上で有効です。
分譲マンションの場合は、区分所有者の判断だけで窓サッシを変えられません。ただし、部屋の中にもう1つ窓サッシを取り付ける「二重サッシ(インナーサッシ)の取り付け」であれば可能です。二重サッシにするだけでも、冷気や暖気の侵入をかなり防げます。
また、お風呂や脱衣所など温度差が生じやすい場所への冷暖房設備の設置も重要です。自動制御や遠隔操作ができる設備だと、室内の温度をコントロールしやすくなります。
【リフォームポイント2】外出しやすいように設計しよう
玄関の段差があることにより、高齢になり身体の機能が衰えている方や、車いすを利用している方にとっては転倒の危険があったり、外出を妨げる原因になりかねません。外出は地域社会からの孤立の回避や生きがいにつながりますので、可能な限り外出しやすい環境を整えましょう。
ポイントは、居室から家の外に出るまで安心して移動できるような工夫です。部屋から玄関までの手すりはもちろん、玄関で立ったり座ったりしやすいように縦の手すりを付けると転倒防止になります。玄関から外に出るときに階段がある場合は、スロープを設置すると安心です。
また、玄関は足元が暗くなりがちなので、特に物が見えにくい高齢の方だと不安のもとになる可能性も。足元を明るくするフットライトなどの照明を設置すると、目で足元を確認しやすくなります。
他にも、玄関で靴を脱ぎ履きしやすいようにベンチを置いたり、キャリーカートや杖など移動に必要なアイテムの収納スペースを作ったりするのもおすすめです。
【リフォームポイント3】日常生活の主要な動線をバリアフリーにしよう
身体機能が衰えると、日常生活の何気ない移動で転倒してしまうこともあります。転倒しにくい環境づくりで大切なのは、介護される人の主要な動線をバリアフリーにすることです。
また、小さなお子さんがいらっしゃる場合は、玄関から部屋までの導線を考えることで、住みやすい環境を作ることができます。
動線のバリアフリー化で重要なのは「段差の解消」「部屋の出入りのしやすさ」「手すりの設置」の3つです。
まず「段差の解消」は、どの段差がつまずきやすいかを確認し、危ない段差を優先的にリフォームしましょう。特に、目で認識しにくい数ミリの高さの段差には注意が必要です。
次に「部屋の出入りのしやすさ」ですが、部屋の扉は押し引きして開く「開き戸」よりも、左右に開閉できる「引き戸」のほうが、押し引きの動作もなく省スペースでおすすめです。リフォームで開口幅を広くすることで、車いすでの出入りもしやすくなります。
最後に、歩行をスムーズにして転倒を防止するためには「手すりの設置」が有効になります。主要な動線には手すりを設置しておくと安心です。手すりの太さや握りやすさは製品ごとに異なるので、メーカーからサンプルを取り寄せて確かめましょう。
【リフォームポイント4】安全性を高めるための設備の導入・更新を検討しよう
高齢になると、掃除や料理など毎日の家事が負担になったり、また、小さいお子さんがいると、勝手にコンロの火をつけてしまわないか心配で目が離せなかったりなどがあります。このような方々には、安全に使える設備機器の導入や更新が大切になります。
古いガスコンロをお使いの場合は、全てのバーナーにSiセンサーが搭載された安全性の高い最新のコンロを導入するのがおすすめです。チャイルドロック機能が付いているものもあるので、小さいお子さんがいても安心ですね。
また、座って使える洗面台や調理台などを導入すると、高齢の方や妊婦さんの足腰への負担を減らすことができます。他にも、センサーで自動的にオン・オフできる蛇口に変えると、水道の蛇口をひねる作業に不便を感じる方や、お子さんを抱っこして片手しか使えない場合でも、使い勝手がよくなります。
他にも、浴室や脱衣場、トイレなどにも配慮が必要です。例えば、お湯の温度を自動調整できるような給湯器の導入、脱衣場は介助しやすいように広めにリフォームする、自動で流れるトイレにリフォームすることで、介助される側だけでなく、介助する側の負担を減らすこともできますね。
おわりに
バリアフリーリフォームは、暮らしにどのような困難や不便を抱えているのかをくみ取ることが重要です。その上で、どうすれば困難や不便を解消できるのかを検討しましょう。バリアフリーにすることで、住まいの機能が向上し、家庭内の事故のリスク軽減にもつながります。ぜひ、この機会にリフォームを検討してみませんか?
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「リビングデザインセンターOZONE」とは
「リビングデザインセンターOZONE」は、新宿パークタワーの3~7Fに展開する「住まいとインテリアの情報センター」。
家具や生活用品、住宅設備、建材まで、個性豊かなショールームとショップ、住宅デザインの書籍や製品カタログを集めたライブラリーなどの情報フロアで構成されています。
毎日を快適に、暮らしが楽しくなるような住まいの実現に向けて、セミナーやワークショップなどの他、コンサルティングを重視した専門家による家づくり支援やインテリアデザインのプログラムを実施しています。ぜひ、お越しください!
リビングデザインセンターOZONE
◆住所:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー内
◆電話番号:03-5322-6500(代)
◆営業時間:OZONE 10:30~18:30
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※ザ・コンランショップ 新宿本店、OZONEパークサイドオフィスは休館日が異なります。