揚げ油の使用回数の目安とは?
揚げ物をよくする家庭では、揚げ油を何回か使いまわすことも少なくありませんが、油の使用回数は3~4回をめどに処分するようにしましょう。
油は長時間加熱し、そのあと空気に触れることで、酸化していきます。酸化した油を食べると、気分が悪くなったり、むかむかと胸やけを感じる場合も・・・。鼻につくようなニオイが出るほどの油では、嘔吐、下痢、腹痛といった、食中毒に似た症状が出ることもあるようです。
酸化した油は色、泡、煙、ねばり、ニオイで見分ける
酸化した油を見分けるポイントは5つ。
■色・・・見た目に色が濃くなる、茶色っぽくなる
■泡・・・泡が消えにくい、食材を取り去った後もしばらく泡が残る、揚げている食材が見えないほど泡立つ
■煙・・・揚げ物の適温である180℃ぐらいで煙が出る(新鮮な油は230~240℃までは煙が出ない)
■ねばり・・・油の温度が下がった時にねばりがある
■ニオイ・・・加熱すると枯れ草や塗料のような油臭い不快なニオイがする
これらの様子が見られたら、処分しましょう。古い油をよみがえらせる伝承として「梅干しを揚げる」「水分の多い野菜を入れる」などもよく聞きますが、これらは迷信なのだそう。酸化した油は元に戻らないことを頭に置いておきましょう。
唐揚げやカキフライの後は油が汚れがち?
揚げ油に食材の成分や揚げカスが残っていると、油の劣化が進んでしまいます。
素材の成分が油に溶け出しやすい食材は、カキ、魚、鶏肉など。また、フライ、唐揚げは、パン粉や小麦粉が沈んで油を汚しがちです。
油の劣化を防ぎつつ、何回も揚げ物を楽しむには、野菜など汚れにくい食材から始めて計画的に油を使いまわしましょう。一回使った油は、オイルポットなど揚げカスを取り除いてくれる容器に移してから使うのがポイントです。
賢い揚げ物スケジュール
1回目:素揚げ(野菜)
2回目:天ぷら(野菜→魚介の順)
3回目:フライやカツ、コロッケ
4回目:鶏のから揚げなど下味をつけたもの
またその都度 “さし油”をするのも大切です。オイルポットの油だけでなく、新しい油もつぎ足して揚げましょう。
油をそのまま流しに捨てるのはNG!
使い終わった油を流しに捨てるのは、絶対にやめましょう。
水質が悪化し環境負荷が高まってしまうだけでなく、家庭の排水管をいためたり、詰まりの原因になったりします。
では、使い終わった油はどうするのがいいのでしょうか? 以下で油の捨て方や処理方法についてご紹介していきます。
【油の捨て方1】紙パックを利用する
飲み終わった牛乳などの紙パックは、耐水・耐油性が高いため、油を捨てるのにピッタリです。
紙パックに新聞紙や使用済みの紙タオルなどを詰め、冷ました油をしみ込ませ、さらに水をしみ込ませます。水をしみ込ませておくことで自然発火を避けられます。
紙パックの口は粘着テープなどでしっかりとめて、油が漏れないようにしてから燃えるごみと一緒に捨てます。
【油の捨て方2】ポリ袋を利用する
揚げ物鍋が大きめの場合や、注ぎ口がない場合は、ポリ袋を使った捨て方がおすすめです。開口部が大きいためこぼれにくく、手早く処理できます。
ポリ袋やレジ袋などに、新聞紙や古布など吸油性のよいものを入れて、冷ました油をしみ込ませます。こちらも紙パックと同様に、自然発火を避けるため、最後に水をしみ込ませましょう。
捨てる際は、輪ゴムなどで口をしっかりとめて燃えるごみへ。袋を二重にしておくと、万が一袋に穴が開いていた場合の漏れ防止になります。
【油の捨て方3】油凝固剤で固める
市販されている油凝固剤を使い、油を固めて、燃えるごみとして出す方法です。
凝固剤の多くは、80~90℃に油を温めてから使います。油の量が多すぎたり、少なすぎたりすると、固まらずにかえって後処理が大変になります。規定量をきちんと守るのがポイントです。
【油の捨て方4】自治体でリサイクルしてもらう
自治体によっては、使用済みの揚げ油を回収しているところがあります。
ルールも自治体によってさまざまです。ペットボトルに入れて持ち込む、申し込みをして回収にきてもらう、収集日にごみ集積所に出すなど、お住まいの地域のリサイクルルールを調べてみましょう。
なお、動物油・鉱物油・常温で固まる油などは不可の場合もありますので、あわせて確認するようにしましょう。
残った油は調理でうまく使い切ろう
炒め物など日々の調理で使う油に、揚げ物の残り油を使いましょう。油を捨てると、どうしても環境負荷がかかるため、できれば捨てずに使い切る道を考えたいものです。
調理のたびにオイルポットから油を出し入れするのが手間になる・・・という方は、揚げ油を熱いうちに漉したあと、冷ましてからペットボトルに取り分けておくと使いやすくなります。
その際は、光で油が劣化しないよう、アルミホイルなどでペットボトルを覆っておくのもおすすめです。
揚げ油をおいしく長持ちさせるコツとは?
油の使用目安は3~4回。その間の保存方法に気を付けると、劣化のスピードがゆるやかになり、おいしく揚げ物を楽しむことができます。
油の品質を長持ちさせるために行っておきたいポイントは以下の3つです。
【揚げ油を長持ちさせるコツ1】熱いうちに揚げカスを取る
鍋の底に残った揚げカスは、油のいたみの原因になります。
揚げカスは、揚げている最中からこまめにすくい取っておくのがポイント。残った揚げカスも、冷めてしまう前に取り去りましょう。
小麦粉やから揚げ粉など細かくてすくいにくい揚げカスは、あくとり用など網目の細かい網じゃくしを使うと、きれいにすくえます。
【揚げ油を長持ちさせるコツ2】冷めないうちに漉してオイルポットへ
油は冷めすぎると粘りが出て、漉しにくくなります。アツアツの状態から「ほどほど」の熱さになったら、油を漉しましょう。油漉し器にコーヒーフィルターやキッチンペーパーなどを1枚入れると、細かな揚げカスも取り除けます。
「ほどほど」とはいえ、温度の高い油がこぼれると危険です。自分の方へ向けて注がないよう気を付けましょう。
【揚げ油を長持ちさせるコツ3】冷めてからフタをして保存
オイルポットのフタをするのは、油が冷めてから。油の温度でフタの裏に水蒸気が溜まり、油に水が混じってしまうと、次に揚げる際に油がはねやすくなったり、劣化の原因になったりします。
オイルポットはフタをして冷暗所で保存しましょう。フタをしないまま置くと、空気に触れて酸化しやすくなるほか、ホコリや虫などが混入する原因になります。
また、油の寿命を延ばすコツは、しっかりと残りカスを漉し取ること。
目の細かい油切り網や活性炭を使ったフィルターなど、高い濾過性能を備えたオイルポットは、揚げ油をクリーンに保ってくれますよ。
おわりに
揚げ物の頻度が少ないご家庭では、気が付くと「最後に使ったのはいつだったかな・・・」という揚げ油が残っていることもあります。体調を崩してしまっては大変なので、オイルポットなどを活用して、上手な保存と賢い使い方を考えたいですね。
参考:日清オイリオ「教えて!油のき・ほ・ん」