世界最古のチーズの一つ「カッテージチーズ」を作って、化学変化を実験しよう!
「チーズは時間をかけて発酵・熟成をさせて作られるもの」
そう思っていませんか? 実は、発酵させなくても簡単に作れるチーズもあるのです。
それが今回作る「カッテージチーズ」。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、カッテージチーズはイギリスまたはオランダで生まれたといわれている、世界最古のチーズの一つです。
たんぱく質やカルシウムなどの栄養成分を含む一方で、脂肪分が少ないという特長があるため、ヘルシー志向の料理や、ダイエット中にもおすすめです。 クセのない軽い風味のため、色々な料理に使えます。
今回はこの「カッテージチーズ」を手作りし、「たんぱく質×酸」の化学変化を実験してみましょう!
実験の準備をしよう!
【実験に必要な材料・器具】
・材料
牛乳・・・400ml(成分無調整)
酢・・・大さじ2
・器具
厚手の鍋
温度計
ザル
キッチンペーパー
ボウル
ゴムベラ
計り
手作りカッテージチーズに挑戦!
【手順1】
鍋に牛乳を入れて中火にかけます。底や側面が焦げないように、ゴムベラでゆっくりと混ぜましょう。
【手順2】
時々温度計で温度を測り、牛乳が60℃~70℃になったら火を止めて酢を入れます。
ここがポイント! 観察しよう。
・60℃~70℃になると、牛乳はどんなふうに変化したかな? 観察して記録してみよう。
・温度が低すぎても、高すぎても上手に固まらないので注意しよう。温度が均一になるように、時々混ぜるとよいでしょう。
【手順3】
全体を混ぜたら、そのまま10分~15分ほど置きます。
【手順4】
下にボウルを置き、キッチンペーパーを2枚重ねてしいたザルに、鍋の中身を注ぎます。
【手順5】
キッチンペーパーを畳んで優しく包み、ゴムベラで上からやさしく押して、水気を切ります。
【手順6】
「キッチンペーパーの中に残ったもの」と「ボウルにたまった白い液体」を、それぞれお皿に取り出します。
この「キッチンペーパーの中に残ったもの」が「カッテージチーズ」です。「ボウルにたまった白い液体」は「乳清(ホエー)」と呼ばれています。
ここがポイント! 観察しよう。
・400mlの牛乳から、何グラムのチーズができたかな? 計って記録してみよう!
・「乳清(ホエー)」はどんな味や香りがするのかな?
【学習のポイント! 】たんぱく質が変化する理由は?
牛乳の栄養素の一つである「たんぱく質」は、酸や熱などによって変化する性質があります。
今回は温めた牛乳に酢(=酸)を加えることで、牛乳の中に含まれる「たんぱく質(カゼイン)」が固まり、チーズができました。
牛乳から固形物(たんぱく質と乳脂肪分)を取り除いたものが「乳清(ホエー)」です。
乳清は身近なところでは、ヨーグルトをスプーンですくったときに上澄みに出てくる水分として、よく見るかと思います。
もっと実験していろいろ比較してみよう!
牛乳の代わりに「豆乳」でも作ってみましょう。酢は「レモン汁」や「リンゴ酢」でも作ることができます。出来上がりを食べ比べてみて、味の違いを比べてみましょう。
実験が終わったら、作ってみよう!
今回の実験では、約80gのカッテージチーズを作ることができます。
ここからは、実験で作ったカッテージチーズや乳清(ホエー)を活用する2つのレシピをご紹介しますので、ぜひ料理にもチャレンジしてみてください!
なお、2レシピとも作る場合には、実験の材料を倍量にしてみてくださいね。
カッテージチーズでおしゃれランチ!「夏野菜のトルテッリ風」
出来上がったカッテージチーズは餃子の皮で包んで、パスタの一種「トルテッリ」風にして食べてみましょう!
【材料】4人分
カッテージチーズ・・・80g
レモンの皮(すりおろし)・・・適量
餃子の皮・・・20枚
プチトマト・・・12個
ズッキーニ・・・1/2本
ナス・・・1本
パプリカ(黄)・・・1/2個
ニンニク(みじん切り)・・・1片
オリーブ油・・・大さじ2~
塩・・・適量
粉チーズ・・・適量
バジル・・・4枚
【作り方】
1. プチトマトは半分に切ります。ズッキーニ、ナス、パプリカは食べやすく切ります。
2. ボウルにカッテージチーズ、レモンの皮を入れて混ぜます。
3. 餃子の皮に2をのせてふちに水を塗り、空気を抜きながらしっかりと包みます。両端をつけて形を整えます。
4. 鍋に湯を沸かして塩を加え、3を入れて皮に透明感が出るまで茹でます。(約1分)
5. フライパンにオリーブ油大さじ2、ニンニクを入れて火にかけます。香りが出たら、プチトマト以外の野菜を入れて、塩をひとつまみ加えて炒めます。
6. 野菜が柔らかくなったら、プチトマトと4、ゆで汁少々を加え、塩で味を調えます。
7. 器に盛り付け、粉チーズをかけます。バジルを飾り、好みでオリーブ油をかけます。
カッテージチーズがスイーツに!「シフォンカップケーキ」
【材料】6cm(直径)×5cm(高さ)マフィン型 6個分
卵黄・・・2個分
グラニュー糖・・・20g
サラダ油・・・20g
乳清(ホエー)・・・15ml
[A]
薄力粉・・・45g
ベーキングパウダー・・・小さじ1/2
卵白・・・2個分
グラニュー糖・・・30g
[B]
生クリーム・・・100g
グラニュー糖・・・大さじ1
カッテージチーズ・・・60g
粉砂糖・・・適宜
ブルーベリー・・・適宜
ミント・・・適宜
【作り方】
1. 卵黄はほぐしてグラニュー糖を加え、白くもったりとするまですり混ぜます。サラダ油、水を少しずつ加えて混ぜます。Aをふるい入れ、ツヤが出るまで混ぜます。
2. 別のボウルに卵白を入れて泡立て、グラニュー糖を2~3回に分けて加えます。その都度よく泡立てしっかりとしたメレンゲを作ります。
3. 1に2の1/3量を加えて混ぜます。混ざったら残りの2/3量も加えてさっくりと混ぜ、絞りだし袋に入れて型に分け入れます。
4. 焼きます。
ガス高速オーブン(予熱あり)170℃ 約20分
5. Bを泡立てて、トロミがついてきたらカッテージチーズを加えてなじませます。5㎜の丸口金を付けた絞りだし袋に入れて、3に絞り入れます。
6. 上に粉砂糖をふり、ブルーベリーやミントを飾ります。
オリジナルレシピを作ってみよう!
実験で作ったカッテージチーズを使って、オリジナルレシピを作ってみましょう。「ワークシート」は以下からダウンロードできますので、ぜひ活用してみてくださいね。
ワークシートには、自由研究テーマやそのテーマを選んだ理由が書き込めるだけでなく、自分で作ったレシピの材料や作り方、出来上がり写真、工夫した点や感想、家族からの一言が書き込めるようになっています。シートを活用してオリジナルレシピブックを作ってみるのもいいですね。
ワンポイントアドバイス!
・乳清(ホエー)はビタミンやミネラルなど、栄養をたっぷり含んでいます。捨てずにスープやみそ汁、オレンジジュースに入れて飲んでみましょう。
・手作りカッテージチーズは日持ちがしないので、翌日までには食べきりましょう。