住宅リフォームを考えるなら、知っておきたい支援制度のこと
ライフスタイルの変化や、より快適な生活環境を求めてリフォームを検討される方も多いと思います。せっかくリフォームするのなら、お得な制度をうまく活用したいものですよね。
今回は、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会さんに、住宅リフォームの支援制度の仕組みや活用方法について伺いました。
住宅リフォームの際に使える支援制度とは?
住宅リフォームの支援制度には、「減税制度」「補助制度」「融資制度」の3つがあります。
・「減税制度」・・・所得税の控除や固定資産税の減額が受けられます。
・「補助制度」・・・国や地方公共団体が、リフォームに要する費用の一部を補助金として交付します。
・「融資制度」・・・国や地方公共団体が、民間金融機関と連携してリフォームの貸付を行います。
これらの支援制度は、要件を満たすことで併用利用が可能なものもあります。また制度ごとに申請のタイミングや適用範囲が異なるため、リフォームを検討する段階で早めに情報収集を始めるとよいでしょう。
住宅リフォームで使える【減税制度】について
減税制度とは、住宅リフォームの工事内容などによって各種税金の控除を受けられる支援制度です。このうち覚えておきたい項目は、「所得税の控除」と「固定資産税の減額」の2つです。
ちなみに、「所得税」「固定資産税」とは以下のような税金のことです。
・「所得税」とは・・・個人の1年間に生じた所得に課される税金
・「固定資産税」とは・・・保有する土地や建物など固定資産にかかる税金
所得税の控除とは?
「所得税の控除」では要件を満たすリフォームを行った場合、税務署への確定申告時に手続きを行うことで控除を受けられます。「投資型減税」「ローン型減税」「住宅ローン減税」の3種類の制度があり、リフォームローンの有無や期間が異なります。
固定資産税の減額とは?
要件を満たすリフォームの実施で、該当家屋への固定資産税が減額されます。こちらは工事完了後3カ月以内、市区町村等での申告手続が必要です。
所得税の控除と、固定資産税の減額はリフォームの種類により適用の可否が異なります。以下で、各リフォームの内容について詳しく見ていきましょう。
減税制度が使える住宅リフォームの種類についてご紹介
減税制度の種類により、対象となるリフォームが異なります。制度が使えるリフォームの種類についてご紹介します。
耐震リフォーム
耐震リフォームとは、地震など自然災害で建物が倒壊しないよう対策するためのリフォームです。具体的には住宅の土台となる基盤補強や腐朽箇所の修繕、壁や柱の補強などがあります。現行の耐震基準に沿った改修工事を行い、要件を満たす場合は「所得税の控除」「固定資産税の減額」の措置が受けられます。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームとは、高齢者や障害者が安全に暮らせる環境を整えるためのリフォームです。具体的には手すりやスロープの設置、車椅子の幅に合わせた部屋・廊下幅の確保、段差の解消工事などがあります。要件を満たすリフォームをすることで、「所得税の控除」「固定資産税の減額」の措置が受けられます。また特徴として、所得税の種類によっては控除に「50歳以上の方」などの年齢の要件を含むことが挙げられます。
省エネリフォーム
省エネリフォームとは、自宅の省エネ性能を上げるためのリフォームです。具体的には窓や壁などの断熱工事や太陽光電池の設備設置、高効率な給湯器への交換などがあります。要件を満たすリフォームをすることで、「所得税の控除」「固定資産税の減額」の措置が受けられます。また減税を受けるためには、「全ての居室の窓全部の断熱工事」が必須要件※となるので注意しましょう。
※平成29年4月以降、「住宅性能評価書」や「増改築による長期優良住宅の認定通知書」により一定の省エネ性能が証明できる場合は、この要件はありません。
同居対応リフォーム
同居対応リフォームとは、親子孫の三世代で快適な生活を送るための住宅環境を整えるリフォームです。具体的には以下の4種類が挙げられます。
1. 調理室の増設
2. 浴室の増設
3. 便所の増設
4. 玄関の増設
4つの工事のいずれかを行い、必要な要件を満たすことで「所得税の控除」が受けられます。また改修工事後は調理室、浴室、便所、玄関のうちいずれか2つ以上の部屋がそれぞれ複数になることが必要です。
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームとは、長期に渡り安心・快適に住める環境整備のため、住宅の耐久性を向上させるリフォームです。長期優良住宅(増改築)認定を取得することで、「所得税の控除」「固定資産税の減額」の措置が受けられます。
また長期優良住宅化リフォームでは、着工前に認定の手続きを行う必要があります。リフォームを検討した時点で、早めに事業者へ相談するのがよいでしょう。
住宅リフォームで使える【補助制度】について
補助制度とは、一定の要件を満たすことで、国や地方公共団体から住宅リフォームで発生する工事費の一部を補助金として受けることができる制度です。地域ごとにさまざまな補助制度が設けられているため、利用できる制度を確認して、うまく活用しましょう。
また、補助制度は単年度ごとに予算が決まっているため、締め切られる前に早めの申請を済ませることをおすすめします。
ここからは、住宅リフォームで使える補助制度についてご紹介していきます。
グリーン住宅ポイント制度
グリーン社会の実現および地域における民需主導の好循環の実現等に資する住宅投資の喚起を通じて、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の回復を図ることを目的とした制度です。一定の性能を有する住宅を取得する者等に対して、「新たな日常」および「防災」に対応した追加工事やさまざまな商品と交換できるポイントが発行されます。
詳しくは、「グリーン住宅ポイント事務局ホ一ムページ」、または「グリーン住宅ポイントでおとくにリフォーム!」をご確認ください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の長寿命化や複数世帯の同居のために実施するリフォームに対し、国が工事に要する費用の一部を支援する事業です。
具体的には工事前のインスペクション、構造躯体の劣化対策、耐震化、省エネ化やバリアフリー化といった性能向上リフォーム、三世代同居や子育て世帯向けの改修工事にかかる費用に対し補助金が支給されます。
前章で触れた長期優良住宅(増改築)の認定は必須ではないものの、補助金の額に大きな差異があるため注意が必要です。
住宅・建築物安全ストック形成事業
住宅・建築物安全ストック形成事業とは、地震による住宅・建築物の被害を軽減するため、多くの地方自治体が実施する制度です。耐震診断・改修リフォームにかかった費用の一部が補助されます。
対象となる要件は地域ごとに異なるため、補助の可否は自分の所属する市区町村に確認してみましょう。
介護保険法に基づく住宅改修費の支給
介護保険法に基づく住宅改修費の支給は、介護保険にて要支援または要介護の認定を受けた方の住宅リフォームに対し、最大20万円までの補助が受けられるというものです。
具体的な工事内容としては手すりの設置や段差の解消、引き戸等への扉の取り替え、洋式への便器の取り替えなどがあります。
こちらも詳しい要件や申請方法については、自分の所属する市区町村に確認してみましょう。
住宅リフォームで使える【融資制度】について
国や地方公共団体では、民間の金融機関と連携することでリフォーム時に使用できる融資制度を多数設けています。低金利で長期間の融資が受けられるため、要件を確認しお得に活用したいところです。
住宅金融支援機構【フラット35】
住宅金融支援機構の【フラット35】は、中古住宅の購入と合わせてリフォームするとき、融資を受けられる制度です。住宅の購入資金とリフォーム工事の費用を、セットで1つの住宅ローンと扱うのが特徴です。
最長35年の融資が受けられ、また固定金利なので借り入れのタイミングで全ての金利と返済額が確定します。安定した資金計画を立てやすいのが魅力です。
住宅金融支援機構 リフォーム融資(満60歳以上の方を対象とリフォームローン)
満60歳以上の方が部分的バリアフリー工事または耐震改修工事を含むリフォームを行う場合に、毎月のお支払いは利息のみ、借入金の元金は申込人(連帯債務者を含む)全員が亡くなられたときに、相続人の方が融資住宅および敷地の売却、自己資金などにより、一括して返済する融資です。
おわりに
今回は住宅をリフォームすることで受けられる「減税」「補助」「融資」に関する3つのお得な制度について、住宅リフォーム推進協議会さんにお話を伺いました。
適切なリフォームを行うことで、私たちは健康的で快適な暮らしを手に入れることができます。ぜひ今回ご紹介した制度をうまく活用して、お得に賢く、満足のいくリフォームを検討してみてください。
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