バスボムとは?
バスボムとは、固形の入浴剤のことです。お風呂のお湯をまろやかにする重曹と、ピーリング効果などがあると言われるクエン酸が主な材料です。水につけると溶けだして二酸化炭素がシュワシュワ発泡することから、「バスボム:bath bomb」直訳すると「お風呂爆弾」といわれています。
このバスボム、実はおうちで簡単に作れるってご存じでしたか? 普段、お風呂を嫌がるお子さんでもバスボムがあれば、喜んでお風呂に入ってくれるかもしれません。
東京都市大学教授・温泉療法専門医の早坂信哉先生に、お子さんと一緒にお風呂に入る意味や、バスボム作りのポイント・バスボム入りのお風呂の効果について伺いました。
子どもと一緒にお風呂に入る意味とは?
――子育て世代からは、子どもがお風呂に入りたがらないという声を聞くことがあります。子どもと一緒にお風呂に入るメリットとはどんなことがあるのでしょうか。
(早坂先生) 調査をしたことがあるのですが、日本のご家庭においては、子どもがいる場合は特に、季節に関係なく湯船につかっていることが多いようです。実に9割以上がシャワーではなく、入浴している、という結果が出たこともあります。
一緒に入浴することで会話を楽しんだり、遊んだり、というコミュニケーションの場にもなりますね。あいうえお表などをお風呂場の壁に貼って、「学びの場」にしていることもあるようです。
また、お風呂は裸になる数少ない場なので、ケガや皮膚疾患など健康面をチェックすることもできます。特に子どもは、はしかや風疹など発疹が出る病気も多いので、お風呂で最初に気づくこともあるかもしれません。
お風呂はこうした子どもの健康チェックや親子のコミュニケーションの機会にもなるので、子どもがすすんで入るよう、工夫できると良いですね。
子どもと一緒に手作り! 基本のバスボムの作り方
バスボム作りは簡単で、自由研究の題材にもよく選ばれています。手作りキットも販売されているほど。今回は、100円均一やスーパーマーケットなどで簡単に手に入る身近な材料と道具で作れる、早坂先生に伺った基本レシピをご紹介します。
手作りバスボムの基本レシピ
【材料(1回分)】
重曹 30g(食用)
クエン酸 15g(食用)
エッセンシャルオイル 適量(お好みのもの)
食用色素(お好みで)
【バスボム作りに便利な道具】
計量カップやはかり
フリーザーバッグ
(大量に作る場合)ボールや泡だて器
お菓子の型(シリコン製)・食用ラップ・カプセルトイの容器など
竹串
霧吹き
【作り方1】
重曹とクエン酸を混ぜます。この時、フリーザーバッグなどに入れてしっかりと口を閉じ、振ったり揉んだりするとよく混ざります。
【作り方2】
お好みで食用色素を加えます。食用色素は少量でしっかり色がつくので、少しずつ混ぜましょう。
※湿らせるまでは発色しないため、少なすぎると思うかもしれません。入れすぎに注意してください。
【作り方3】
霧吹きで少し湿らせます(全体が少し湿って、指でぎゅっと押すと固まる程度でよい)。大量の水を入れると、混ぜている間に発泡してしまうので、霧吹きで少しずつ水分を足しましょう。よく混ざっていないと、バラバラになって固まらないので、しっかり混ぜるのがポイントです。
【作り方4】
お好みのアロマオイルを適量入れます。
【作り方5】
ラップを使って丸めたり、お菓子の型、カプセルトイの容器に詰めます。おもちゃ入りバスボムにする場合は、この時におもちゃを入れます。
【作り方6】
乾燥させ、型から取りだせば出来上がり!
【大学教授に聞く】バスボム作りの素朴な疑問
バスボムについて、気になる効能や作り方のポイントなど、まとめて早坂先生に伺いました。
バスボムを入れたお風呂の効能は?
―― バスボム作りで重曹だけでなくクエン酸も入れるのは、何か意味があるのですか?
(早坂先生) ただの入浴剤ならば、重曹だけでも一定の効果が見込めます。重曹だけだと、温泉でいうと炭酸水素塩泉に近い感じですね。
一方で、重曹とクエン酸を合わせることでお湯触りが少し変わります。化学反応が起こって二酸化炭素(炭酸ガス)が発生し、湯船に入れるとシュワシュワと溶けだします。
―― バスボムを入れたお風呂に入ると、身体にはどういう効果があるのでしょうか?
(早坂先生) バスボムがお湯に溶ける時に二酸化炭素が発生し、湯船につかっていると、皮膚から二酸化炭素が吸収されます。二酸化炭素はもともと身体に不要なものなので、早く除去しようとする働きで血管が広がって血液の流れが良くなります。
温かいお風呂に入ることで得られる、「血流が良くなる効果」が上増しされるということです。他にも、皮膚の表面は効果が出やすいので、アトピーなどにもよいかもしれません。ただし、温泉療法でも人によって効果の有無は変わってくるので、様子を見ながら試した方がいいですね。
バスボムが固まるまでの時間は?
―― 作ったバスボムが固まるまではどれくらいかかりますか?
(早坂先生) 乾燥して固まってくると、見れば分かります。自然乾燥ならできるだけ湿気の少ない場所で、2日くらい乾燥させます。
もちろん、乾燥する前に使っても構わないです。ラップを使って、両端をキャンディーのようにくるくるねじって形を作っておけば、固まらなくてもそのまますぐ使えます。ただし、浴槽に入れる時に崩れるので注意してください。
また、固まっていない粉のままだと、浴槽に張ったお湯の表面で溶けて発泡してしまいます。沈んだ状態で発泡させた方が、本来のバスボムの効果が出ます。
手作りバスボムをより楽しむポイント
――バスボム作り初心者でも、知っておくとよい、バスボム作りのポイントはありますか?
(早坂先生) 重曹とクエン酸だけだと少し固まりにくいので、塩を「つなぎ」として混ぜることもあります。
また、混ぜ合わせるときに食紅など食用の色素をほんの少し入れると、色がついてかわいくなります。ただし、かなり色がつくので、ほんの少しで大丈夫です。
―― バスボムの中に何か入れてもよいのでしょうか?
(早坂先生) ゴム製のおもちゃなどは大丈夫だと思います。お風呂なので、ケガしないように尖った形状のものや、小さすぎて飲み込まないようなものにしてください。
―― 手作りのバスボムを、浴槽に一度にいくつか入れても大丈夫ですか?
(早坂先生) はい。一般で販売されている入浴剤は多くて1回分で50gくらいなので、それを目安に、手作りバスボムを複数入れても大丈夫です。ただし、色をつけた場合、いろんな色が混ざるとお湯の色が汚くなることがあるので注意してください。複数入れるなら同じ色の方がいいと思います。
手作りバスボムの注意点は?
せっかくの手作りバスボムを安全に楽しむために、さらにいくつか注意することがあります。バスボム作りやお風呂タイムを満喫するためにも、あらかじめしっかり確認しましょう。
お風呂の給湯器の取扱説明書を確認!
バスボムの材料によっては、お風呂の追い焚き(だき)機能付き給湯器を傷めることもあるようです。バスボムを使用する前に、給湯器の取扱説明書を確認してみてください。
追い焚き(だき)機能やジェットバスの運転をする場合、泡が出る入浴剤は不可となっている可能性が高いです。さらに、給湯器自体が発泡系の入浴剤の使用を禁止している場合は、バスボムの使用を控えた方がよいでしょう。
エッセンシャルオイルの使い方に注意!
バスボムの香りづけにエッセンシャルオイルを使う場合は、特に注意が必要です。3歳未満の乳幼児・お年寄り・既往症のある方や皮膚の弱い方などが入浴する可能性がある場合は、エッセンシャルオイルの使用は控える、もしくはごく少量にしましょう。先ほどお伝えした分量だと1・2滴で充分です。
また、エッセンシャルオイルは、開封するとすぐに酸化が始まります。香りにもよりますが、開封後1年以内のエッセンシャルオイルを使うように心がけてください。
希釈していないエッセンシャルオイルに直接触れるのもよくありません。泡だて器やフリーザーバッグでしっかり混ぜ合わせるまで、肌につかないよう注意しましょう。
おわりに
自分が手作りしたバスボムで入るお風呂は、子どもにとって心が躍る体験になることでしょう。この記事を参考にして、ぜひバスボム作りとお風呂を楽しんでください。
普段、お風呂嫌いのお子さんも、手作りバスボムがあれば、喜んでお風呂に入るかもしれませんね。親子でゆっくりとお風呂タイムを満喫しましょう。