外出自粛ストレスの実態から、おうち時間を楽しむアイディアを考える
2020年4月、緊急事態宣言が発令され、これまでに誰も経験したことのなかった「外出自粛」という生活が始まりました。
「STAY HOME」が求められた中、私たちはいったいどんなことをストレスに感じたのでしょう。
東京ガス都市生活研究所では、このような状況の中で人々の暮らしがどのように変化したのか、行動と意識の両面から捉える調査を行いました。
調査期間は、2020年4月24日~27日。まさに緊急事態宣言の真っただ中に、一都三県の男女1,200名へ行ったアンケートから見えてきたのは、世代や性別によるストレスの違いや、「おうち時間」を快適に過ごすことの大切さでした。
ウィズコロナ時代を迎え、これからの暮らしを楽しむキーワードとは、何なのか。
東京ガス都市生活研究所とリビングデザインセンターOZONE、生活にまつわる各ジャンルの専門家が創出した「おうち時間を楽しむアイディア」も合わせて、お楽しみください。
外出自粛期間中、4人に3人が「暮らしが変わった」と実感
感染拡大以前と直近1週間の暮らしの変化について、アンケートに回答した75%以上、つまり4人に3人は「変わった」「やや変わった」と回答しています。
世代・性別を問わず、多くの人が外出自粛の影響を受けたことがわかりますね。
では、暮らしの項目別に、どの世代・性別に変化が見られたのかを細かく見てみましょう。
【家事の変化】30代・40代・50代女性の変化が顕著に
まず、家事の変化はどうだったのでしょう。調査によると、性別の差が顕著に現れました。
特に「変わった・やや変わった」と回答したのは、30代~50代の女性。
家族の在宅による食事の準備や、外出自粛にともなう買い物の仕方の変化、在宅ワークによる掃除や洗濯時間の変化など、さまざまな要因があげられそうですね。
【家族時間の変化】子育て世代の女性の間で特に大きく変化
家族との過ごし方は、全世代とも女性の変化が顕著でした。
特に30代女性では「変わった・やや変わった」と答えた人は70%に迫る勢いに。
夫の在宅ワークや子どもの休校が、女性の暮らしに大きく影響したことが分かりますね。
【働き方の変化】40代男性・20代女性の働き方が特に大きく変化
働き方は、現役世代の20代~60代での変化が顕著。特に、男性や、既婚者が少ない20代女性の働き方が変わったことがわかります。
最も「変わった・やや変わった」の回答が多かった男性40代では、「変わっていない」と答えた人は3割に満たないという結果に。
多くの人が働き方を変えて、状況に対応したことがわかります。
【余暇の変化】全世代で半数以上が変化
余暇の過ごし方が変わった人は、全世代で半数を超えました。
外出自粛によって、集団でのスポーツや外食、友人知人との対面での交流などが控えられた分、自宅でできる趣味や料理、オンラインの交流に切り替わっていったことがわかります。
自粛期間中に女性を悩ませた、家事育児タスクとひとり時間のなさ
家事の仕方、家族との過ごし方が大きく変わった30代~50代の既婚女性。
在宅勤務や休校で一家が終日ひとつ屋根の下で過ごすことになり、朝・昼・晩と三食の料理に加え、仕事をしながら子どもの世話を担うなど、さまざまな変化が女性の生活に起こったことがわかります。
実際、外出自粛によって増えた時間を聞いたところ、30代・40代女性には顕著な傾向がみられました。
【余暇の変化】全世代で半数以上が変化
外出自粛によって増えた時間を具体的に聞いてみたところ、「料理」「掃除」「育児時間」が特に増えています。
30代女性は料理・掃除ともに6割以上が「増加」と回答、40代女性の育児時間の多さも、全世代の中で突出しています。
逆に、男性を見ると、料理・掃除・育児の時間が増加した人はいずれも半数以下。
外出自粛によって、すべての世代の暮らしが変化したとはいえ、男性は女性ほど時間の使い方が変化したわけではないことが分かります。
「料理頻度が増えたこと」は40代既婚女性のストレスの第一位に
外出自粛生活における自宅でのストレスについて聞いたところ、全体の1位は「運動量が少ないこと」。
コロナ太りという言葉も生まれたほど、運動量が減ってしまったことをすべての世代でストレスに感じていました。
そして、性別の違いがくっきりと出たのが
「子どもが常に家にいること」
「料理頻度が増えたこと」
「子どもの面倒をみたり、相手をすることが増えたこと」
「自分の時間が持てないこと」の4項目。
子どもや夫が家にいることで、女性に多くの家事育児タスクが押し寄せ、結果として自分の時間が持てなくなってしまったことが、ストレスの原因になったようです。
ストレス解消をしたいのにできない!? 理想と現実のギャップ
家事育児に追われ、ひとりの時間や空間がなかなか持てなかった、外出自粛期間中の既婚女性。
アンケートの結果からも「ひとりになりたいのになれない」という本音が見えてきます。
「ひとりになれる場所・時間を作る」ことがストレス解消のために重要だと考えている人は、全世代の中でもダントツに高い55.7%(全体は34.3%)。
しかし、実際にできているかどうかを聞くと、ひとりの場所・時間を持てた人は、半数以下の20.7%に・・・。
ひとりになれる場所と時間を持つのが大事だということはわかっているけれど、この生活の中ではまったく持てないというのが、外出自粛期間中の既婚女性の実態でした。
女性のストレスを解消しながら、おうち時間を楽しくするアイディア3選
そんな既婚女性がおうち時間を楽しめるようになるアイディアとして、東京ガス都市生活研究所・リビングデザインセンターOZONE・各界の専門家が考案したのは、こちら。
すぐには実現が難しいアイディアもありますが、考え方をヒントに、身近なもので工夫してみてはいかがでしょうか。
※アイディアはイメージであり、実際に商品化されているものではありません。
【おうち時間を楽しむアイディア1】「巣ごもりうずまき」
パートナーの目が気になって読書や仕事に集中できない。
別部屋にこもるとすぐに子どもが仕事の邪魔をしにくる。
という人は、パーテーションを活用して「少しだけ閉じられた空間」をつくってみてはいかがでしょう。
上記のアイディア「巣ごもりうずまき」は、「ひとり」を手軽にどこでも自由につくれる、うずまき状のパーテーション。
ふだんは巻いて収納し、使いたいときには好きな形のパーテーションに。半分だけ開かれた空間は、家族との心地よい距離感と、自分だけの居場所をつくってくれます。
【おうち時間を楽しむアイディア2】「メンズ厨房」
「今日のごはんは何」という夫の質問に、日々ウンザリしてしまう妻。お互いのストレス解消のためにも、男性が料理を楽しめるキッチンがあるといいのかもしれません。
道具にこだわり、モノを飾って楽しめる、まるでガレージや実験室のようなクールなキッチンなら、男性も趣味として料理を楽しめるようになるのでは?
料理を通じて健康意識も高まり、父子で料理をすると算数や理科の生きた学習にもなりますし、シニア世代にとって料理は何よりの脳トレになります。
手始めに、キッチンで使う家電や調理器具は夫の意見を尊重してチョイスしてみると、当事者意識をもって料理に取り組んでくれるようになるかもしれません。
【おうち時間を楽しむアイディア3】「ハンパない半畳空間」
なかなか広い家に住めない子育て世代。自分だけのスペースがなく、趣味のアイテムや本などが家のあちこちに散らばってしまっていませんか。
あまり広くない家でも、半畳くらいのスペースならなんとか確保できないでしょうか。
書斎や趣味のスペースは、極小ながらも「ひとりにひとつ」をルール化してみると、気持ちが落ち着く空間を家の中につくりだすことができますね。
住まいのご相談はOZONE家designへ
リビングデザインセンターOZONEでは、住まいづくりのサポートメニュー「OZONE家design」をご提供しています。住まいづくりコンサルタントが、新築・建て替え・リノベーションなど、お客さまそれぞれの家づくりのご要望に合わせてご対応します。
「リビングデザインセンターOZONE」とは
「リビングデザインセンターOZONE」は、新宿パークタワーの3~7Fに展開する「住まいとインテリアの情報センター」。
家具や生活用品、住宅設備、建材まで、個性豊かなショールームとショップ、住宅デザインの書籍や製品カタログを集めたライブラリーなどの情報フロアで構成されています。
毎日を快適に、暮らしが楽しくなるような住まいの実現に向けて、セミナーやワークショップなどの他、コンサルティングを重視した専門家による家づくり支援やインテリアデザインのプログラムを実施しています。ぜひ、お越しください!
リビングデザインセンターOZONE
◆住所:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー内
◆電話番号:03-5322-6500(代)
◆営業時間:OZONE 10:30~18:30
◆休館日:水曜日(祝日除く)・夏期・年末年始
※ザ・コンランショップ 新宿本店、OZONEパークサイドオフィスは休館日が異なります。
おわりに
東京ガス都市生活研究所では、生活に関する満足度や今後の見通しなどについて、経年アンケート調査を実施しています。
2011年から実施しているアンケート調査結果を経年比較すると、2020年の特筆すべきポイントとして「経済的・精神的満足度が低下した一方で、時間的満足度は上昇した」ことがあげられます。
世の中の見通しについては、東日本大震災直後の2011年と同程度の人が「暗い」と回答。
自身の生活の見通しについては、2011年から開始した調査のうちで最も「暗い」と回答。
確たる「先」が見えないいま、不安はつきまといますが、そんなときこそ「増えたおうち時間」を楽しく充実させたいものですね。
出典:東京ガス都市生活研究所「新型コロナウイルスによる暮らしの変化とおうち時間を楽しむアイディア」(2020年5月)