燻製の効果とは? どうして「燻製」するとおいしくなるの?
燻製とは、塩漬けした肉や魚を、木材などを燃やした煙で燻(いぶ)す調理法のこと。劇的に風味が変わり、食品のうま味とおいしさが引き立ちます。
ところで、なぜ燻製をするとおいしくなるのでしょう?
まずは燻製をする工程で、塩漬けや乾燥によって物理的に味が濃くなること。
そしてもう一つは香り。人間は味わう際に嗅覚を使っています。燻製によって煙のかぐわしい香気が加わることで、口から鼻へと伝わる香りがおいしさを引き立てるわけですね。
食品を長期保存する技術として生まれた「燻製」
燻製という技術が生まれたのは、人類が火を使い始めた石器時代といわれています。貴重なたんぱく源(肉や魚)を長期保存するため、古くから燻製を保存や調理に使っていたことが、紀元前の資料などからも発見されています。
煙には殺菌効果があります。食材を燻すと殺菌作用がはたらくことに加え、食材の水分が抜けるため、保存性がアップします。
燻製をするとおいしくなるだけでなく、保存がきくようになるという効果もあるのですね。
自家製の燻製が大人気! 室内で燻製をするときはどうすれば?
キャンプブームのいま、「キャンプ飯」として燻製を楽しむ人が増えています。
モウモウと煙を上げるダイナミックな調理法はアウトドアのレジャーにピッタリですが、「自宅で燻製をするなんてとても無理! 」と思っていませんか?
実は、煙をほぼ出さず、食卓で楽しめる燻製器があるんです。
それが、長谷園(ながたにえん)の燻製土鍋「いぶしぎん」です。
モクモク煙が出ないから、食卓で燻製パーティーができる!
「いぶしぎん」は江戸期から続く伊賀焼の窯元である長谷園が作った陶製の燻製器。
伊賀焼は、細かい気孔が蓄えた熱を保ち続けるため、温度がなかなか下がらないのが特徴です。
「いぶしぎん」はその蓄熱性を活かした伊賀焼ならではの余熱調理器。温度をぐっと上げたらあとは火を止めて待つだけ。余熱でじっくりと木片が燻され、ほったらかしで燻製ができあがります。
なんといってもうれしいのは煙が出ないこと。
煙も香りも「いぶしぎん」に閉じ込めることで、自宅のテーブルの上で燻製を楽しめるというすぐれものです。
強火で焼いて、ほったらかすだけ。「いぶしぎん」の使い方。
「いぶしぎん」はチップ(木片)と食材をセットして蓋をせず4~5分強火にかけたあと、蓋をして4~5分加熱、さらに火を止めて約20分放置するだけ。
約30分であっという間に燻製料理が楽しめてしまいます。
1. チップ・汁受けを敷く
アルミホイルを敷いた上にチップを入れて、その上に汁受け用に丸く形を整えたアルミホイルをセットします。チップは5g(大さじ1)程度でOK。汁受けのアルミホイルはふんわりと乗せます。
2. お好みの食材をセット
同梱されている丸い網の上に、塩や香辛料をすり込んだ食材をセット。2段になっているので上下で調理ができます。
肉類など火の通りにくいものは、火力の強い下の網へ。手羽元など厚みのある肉はあらかじめ常温に戻しておく、電子レンジで熱を通しておくなどの下準備をしておくと生焼けの失敗を防げます。
3. 強火で加熱
蓋をせずに強火で4~5分加熱。ふわっとした煙が出てきたら蓋を閉めます。難しい火加減は不要。強火で一気に加熱してOKです。
4. 溝に水を注いでシーリング
蓋を閉めたら、水を蓋受けの溝に注ぎます。溝に水を注ぐことで煙が出ないように密閉されるという仕組み! このまま強火で4~5分し、火を止めたら約20分放置して余熱調理をすれば完成です。
変わりダネ燻製も楽しい!「いぶしぎん」で楽しめる食材とは?
写真は「いぶしぎん」で作った燻製。ほんのり色づいたカマンベールとプチトマトがおいしそうです。こんな変わりダネ燻製を楽しめるのも、自宅用の燻製器のいいところ。
上の写真は、ウチコト編集部が実際に試してみた燻製メニューです。
鶏手羽先、たこ、イカ、明太子、イクラしょうゆ漬け、ししゃも、ナッツ、たくあん、チーズ(チーズ+かまぼこ)、カニカマ、しょうゆとさまざまな食材や調味料の燻製ができました。
食材はしっかりと塩味がついたものほどおいしいようです。特にイクラや明太子は絶品!
絶対に失敗しない食材ベスト3は「プロセスチーズ、うずら卵、ソーセージ」だそう。燻製初心者の入門編として、ぜひ試してみたいですね。
土鍋に最適な伊賀焼は、朝ドラで有名な信楽焼のお隣さん!
高い耐火性と蓄熱効果で、土鍋に適した陶器として知られる伊賀焼。その名のとおり、三重県伊賀市に窯元があります。
朝ドラ「スカーレット」で注目された甲賀の信楽焼とは、山をひとつ隔てたお隣同士。「いぶしぎん」の窯元である長谷園は、天保3(1832年)年創業で、旧登り窯が国の有形文化財にも登録されるなど、歴史のある伊賀焼の窯元としても知られています。
写真は、東京・恵比寿にある長谷園のアンテナショップ「長谷園 東京店イガモノ」店長の長谷伊佐子さん(左)と、土鍋コーディネーターの竹村謙二さん(右)。
お二人とも、毎日の生活に取り入れられる伊賀焼の魅力を発信されています。
おわりに
アウトドアのイメージがある自家製燻製。まさか自宅で燻製ができるなんて! と、目からウロコが落ちた人もいるのではないでしょうか。高い蓄熱性と密閉性で自家製燻製が楽しめる「いぶしぎん」は、日本の伝統産業を見直すきっかけにもなりそうです。
長谷園では「いぶしぎん」のほかにも、用途別に様々な土鍋を取り扱っていらっしゃいます。日々の暮らしを楽しむ逸品を見つけてみてはいかがですか。