「冬の睡眠は質が下がりがち・・・」夜間、エアコンは使うべき?
寒い冬は睡眠の質が下がりやすくなりますね。手足が冷えて眠りにつけなかったり、明け方に寒くて目が冷めてしまうことも。また、エアコンを付けて寝ると部屋が乾燥して、朝には喉が痛くなることもありますね。
冬、質の良い睡眠を取るためには、どのようにエアコンを使うのが良いのでしょうか?
快眠セラピストの三橋美穂さん(以下敬称略)に、「冬の寝室でのエアコンの使い方」や「睡眠の質アップのコツ」について伺いました。
ーーーエアコンを一晩中付けっぱなしにすると部屋が乾燥して喉が痛くなるのが嫌で、厚手の布団を被って寝ています。なんだか質の良い眠りが取れていないような気がします。
三橋:「寒ければ着衣や寝具で調整すれば大丈夫」とおっしゃる方は多いのですが、室温が低い状態で布団の中との温度差が大きいと、ヒートショックのリスクがあります。布団内の快適温度は約33℃ですが、例えば寝室が10℃だとしたら、20℃以上の温度差がありますね。
あまり知られていませんが、寝室は浴室と並んでヒートショックが起こりやすい、危険な場所なんです。寝室もほどよく温めることが大切です。
それに、掛ふとんを何枚もかけると、布団の重みで血行が悪化します。睡眠の質が下がる原因になってしまいますよ。多くても3枚に留めましょう。
睡眠の質を高くするのに上の「6つの要素」が大切です。
特に冬は以下を意識しましょう。
- 温度・・・18℃以上はキープします。18~23℃で快適だと感じる温度に設定するのが良いでしょう。
- 湿度・・・40~60%をキープするために加湿器などを活用をします。
- 気流・・・すきま風があると寒く感じます。断熱材などで対策を。
- 寝具・・・保温性にすぐれて蒸れにくい寝具がオススメ。体を圧迫しないよう掛けるのは2~3枚程度に。
- 着衣量・・・自分が心地よく感じられるパジャマや肌着を選びましょう。どの程度の厚みが快適か試してみることが大切です。
- 体質・・・ご自身が暑がりなのか寒がりなのかにより、快適な環境は異なります。
「室温を高めに設定して夏物の薄手のパジャマが快適」という人もいれば、「低めの室温に設定して、厚手の布団をかけるのが快適」な人もいます。人により体質や好みが違うので、この6つの要素をいろいろ調整しながら、自分にとって快適な睡眠環境を探してみると良いですよ。
【冬の睡眠時のエアコンの設定方法 パターン1】一晩中付けっぱなしにする
三橋:睡眠時は「エアコンを付けっぱなし」にするのがベストです。ただ、エアコンを付けると湿度を「40~60%」にキープするのが難しくなります。一緒に加湿もしましょう。加湿器を付けても良いですし、室内干しや観葉植物を置くのも、加湿効果が期待できますよ。
エアコンを付けたままにすることのメリットは「室温が一定に保たれる点」です。夜中のお手洗いや朝布団から出るタイミングでも、ヒートショックが起きにくいので安心です。
エアコンの設定温度は18~23℃くらいの中で、試してみると良いと思います。
ただデメリットは「電気代がかさむこと」ですね。より経済的な方法も以下にご紹介しましょう。
【冬の睡眠時のエアコンの設定方法 パターン2】エアコンをタイマーで設定
三橋:エアコンの付けっぱなしは電気代が気になる・・・。そんな場合はエアコンのタイマーを使う方法が良いですよ。
身体の仕組みとして、睡眠が深くなるにつれ、深部体温と呼ばれる身体の内部の温度が下がるようになっています。
冬に寝付きが悪くなるのは、「身体が冷え切っていてそれ以上身体の温度が下がっていかないから」だと考えられます。
まずは寝る前に寝室を暖めておきましょう。これにより身体が冷え過ぎず、寝付きが良くなります。寝る前の1~3時間前に湯船に浸かって身体を温めておくのもオススメです。
そして寝るタイミングで一旦エアコンを消し、起床30分前にエアコンが付くようタイマー設定しておきます。起きたタイミングでは部屋が温まっているので、布団から出た時のヒートショックを避けることができますし、気持良く目覚めることができますよ。
タイマーを使ったエアコンの設定方法
- 寝る前に寝室を温めておく
- 寝る時にエアコンを止める
- 起床30分前にエアコンが付くように設定する
【冬の睡眠時のエアコンの設定方法 パターン3】エアコンの「快眠モード」を活用する
三橋:最新のエアコンには「快眠モード」や「おやすみモード」など睡眠のためのモードがあり、温度や湿度を自動で調整してくれます。
機種によって具体的な設定はさまざまですが、上の2でご紹介した「タイマー設定」に近い温度調整を自動的に行ってくれたり、風速や風量を調整してくれたりします。中には湿度も調整してくれる機種もありますよ。
お手持ちのエアコンにそのような機能があれば、使うと良いですね。
ーーー次に冬の睡眠に関するお悩みについてご紹介します。
【冬の睡眠の悩み1】光熱費が気になる。室温が下がりにくい寝室作りのコツは?
Q:エアコンを付けていても消した瞬間にすぐ部屋が寒くなります。冬は電気代がかさんで困ります。
三橋:寝室が冷える一番の原因は「窓からの冷気」です。室内の暖かい空気が窓際で冷やされて、床に滞留して部屋全体が冷えていきます。「窓からの冷気」を防ぐことで光熱費を削減できますよ。
外気をブロック! 室温をキープする窓の断熱対策3選
- 断熱カーテンを床までかける
- 窓に断熱シートを貼る
- 窓を二重窓にする
窓際の冷気を防いで、室温が下がるのを防止しましょう。
三橋:エアコンの暖かい空気を寝室に行き渡らせるために、サーキュレーター(扇風機)を使いたいとおっしゃる方もいます。しかし、風が当たると体感温度は下がります。寝室に入る前に「エアコンと併用して部屋を暖める」といった用途には良いですが、寝る時に風が当たらないよう注意が必要です。
【冬の睡眠の悩み2】寝室は暖かくても布団の中が寒くて寝付けない
Q:寝室を暖房で暖めておいても、布団に入ってから寒くて寝付けません。
三橋:冷たい布団に入ると、筋肉がキュッと収縮して深い眠りに入るための体温の放熱ができません。結果的に寝付きが悪くなります。寝る前に布団の中を人肌くらいの温度に温めておくと良いですよ。
布団の中を温めるのには、布団乾燥機や湯たんぽが便利ですよ。
Q:電気毛布を使うのはどうでしょうか?
三橋:電気毛布は温かいですが、ずっと同じ温度をキープするので、身体の深部温度が下がりにくくなります。また乾燥しやすくなるというデメリットもあります。
寝始めだけ使って寝る時に消すか、一番低い温度設定にしておいて朝まで付けておくのが良いでしょう。低温火傷の可能性もあるため、使い方については取扱説明書の内容もチェックしておくのが良いと思います。
【冬の睡眠の悩み3】布団と毛布、どんな順番で重ねるのが正解?
Q:毛布は「掛ふとんの上からかける」のと「掛ふとんの内側に敷く」のでは、どちらが温かいのでしょうか?
三橋:毛布と掛ふとんの順番は種類によって異なります。
羽毛布団を使う場合
羽毛布団は身体に直接触れる形で使うのがオススメです。体温の力で膨らみ布団の中に熱がキープできます。マイクロファイバー毛布を上からかけて羽毛布団を体に密着させ、肩口からの冷気を防ぐと良いでしょう。
それでも寒い場合には、ウール、カシミア、キャメルなど動物の毛の毛布を羽毛布団の内側に敷きます。動物性の毛布は保温性・吸放湿性にすぐれているので、蒸れることなく温かさをキープできます。
綿の掛ふとんを使う場合
綿の掛ふとんは温まりにくい性質があります。毛布を綿の掛ふとんの内側に敷き、身体に密着させるのが良いでしょう。
敷ふとんの上に毛布や敷きパッドを敷く方法も
また、保温性に優れた起毛敷きパッドを使ったり、アルミシートを敷き布団の下に敷くのもオススメ。温かい状態が維持しやすいですよ。
おわりに
冬は夏とも並んで睡眠の質が下がりやすい季節です! エアコンや暖房器具を上手に使って、冬の睡眠の質を高めましょう。
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