家づくりのコツは「出会い」と「コミュニケーション」
東京・新宿にある「リビングデザインセンターOZONE」にて、OZONE住まいづくりコンサルタントの山内亮美さんによるセミナー「はじめに知っておきたい 心から満足できる家づくりの進め方」が開催されました。
新築や建て替え、リフォームにおいて、中立的な立場からアドバイスをしている山内さん。ただ、完成を目指すのではなく、「満足できる」家づくりをするためのコツは、以下の2点に集約されるといいます。
- より良い依頼先に出会う
- 依頼先とより良いコミュニケーションを取る
「依頼先」となる業態は大きくわけて建築家、工務店、ハウスメーカーの3つ。まず自分に合った業態を選び、その後、依頼先と契約するというのが家づくりにおける基本の流れになります。ただし、これらの依頼先を探す前に大切なことが「テーマ」を決めることです。
【家づくりの進め方】前提条件のあぶり出しをおこなう
家づくりにおいては、家族構成や、敷地の条件、予算やスケジュールなど、家づくりを計画する初期段階から決まっていることがあります。これらの前提条件の確認を最初に行います。
たとえば「子どもが大きくなったので子供部屋がほしい」「老齢の両親と住むためバリアフリーに」など、それぞれ家づくりのキッカケとなるものがあります。そして、いざ家づくりをしようと決めると「窓を大きくしたい」「書斎がほしい」など新たな要望も生まれてきます。
山内さんは、こうした要望はたくさんあって良いといいます。ただし、それらに「優先順位」をつけ、明確にすることが大事なのだそうです。この要望のあぶり出しと、優先順位を明確にしたものが、家づくりにおける「テーマ」です。
依頼先選定前の大切なプロセス! 家づくりの「テーマ」決め
テーマ決めにおける考え方は、大きく分けて「機能」「性能」「デザイン」の3つのバランスを見ながら考えます。
たとえば「機能」に関しては、家族構成で部屋の数も変化します。また、休日の過ごし方がどういったものなのかで部屋の間取りも変わってきます。来客が頻繁にあるのかといった家族以外の要因も考慮し、どの部分が最優先であるのかの順位付けをしなければなりません。
また「性能」は、耐震、耐火、バリアフリーといった「住宅性能評価」の指標の中で何を最優先するのかを決めます。
さらに「デザイン」は、“オシャレにしたい”といった場合だけでなく、“普通でいい”といった場合の“普通”が何を意味するのかなど、デザインの方向性を居住する家族間で共有する必要があります。「木の風合いを活かしたい」といった、素材や色合いなども先に決めておくと良いでしょう。
山内さんは、予算やスケジュールが決まっている中で、「要望すべてを満たすのは難しい」といいます。そのため、優先順位をつける必要があるのです。そして、原点に立ち返ると、新築や建て替え、リフォームを決めた理由が必ずあります。その理由を見失わないようにすることも大切です。
依頼先の選定前に、このプロセスをしっかりと踏んでおくことで、より良い依頼先との出会いやコミュニケーションが可能となるのです。
【家づくりの進め方】より良い「依頼先」との出会い
依頼先となる建築家、工務店、ハウスメーカーの3つの業態は、それぞれに魅力と注意点があります。
山内さんはそれぞれの業態において、最終的な契約までに以下のポイントを押さえておくことをおすすめしています。
建築家
これまで設計したものを見て、その雰囲気が気に入るかが重要です。
デザイン的に気に入りそうだとわかれば、あとは自分のテーマを共感してもらえるか。その点がクリアできれば、プランを策定してもらいましょう。
契約時は、予算やスケジュールなど大事な部分を押さえて契約すること。ただし、建築家に依頼した場合、工事そのものは別の会社が行うため、図面の段階で工事業者の見積もりをとってもらうようにすると安心です。
工務店
依頼先となる工務店の“社風”が気にいるかが大切です。その上で、自分のテーマに共感してもらえれば、見積もりをとりましょう。
ただし、良い工務店ほどすぐに見積もりを出してもらえない場合があることも。
また、建築家に比べれば、間取りがシンプルな場合が少なくありません。そのため、間取り全体が気に入るものであるのかを判断してから契約するようにしましょう。
ハウスメーカー
現在は、自由設計をうたうところも多くあります。ただし、部材などは指定のものである場合が少なくありません。
まずは、自分たちのテーマに共感してもらえることを大前提にし、間取りと金額を押さえてから契約しましょう。
【家づくりの進め方】依頼先とのより良いコミュニケーションとは?
山内さんは、依頼主のテーマや要望を明確にし、さらに依頼先の建築家、工務店、ハウスメーカーとの間に立って、コミュニケーションを円滑に行う業務を行っています。
このコミュニケーションで大事なことが、お互いの齟齬(そご)をなくすことです。
たとえば、新たな要望がでた場合、依頼主は「『やります』と言ったから、元のスケジュール内で完成するだろう」と思い、依頼先は『追加の依頼だから、納期は伸ばして良いだろう』と思います。お互いにとって、“都合の良い”ように考えてしまうのが、コミュニケーションにおける障害となります。
こうしたすれ違いが起きないために、予算やスケジュールは常に確認しておく必要があります。また、完成してから「思っていたのと違っていた」となっても困ります。そのため、適宜気になる部分を確認することが重要なのです。
山内さんはこの日のまとめとして、以下のように締めくくりました。
「テーマ、予算、スケジュールを“共感しあえる”依頼先と、テーマ、予算、スケジュールを“常に確認しあい”ながら、完成まで運ぶこと。これが“心から満足できる”家づくりのコツです」
住まいのご相談はOZONE家designへ
リビングデザインセンターOZONEでは、住まいづくりのサポートメニュー「OZONE家design」をご提供しています。住まいづくりコンサルタントが、新築・建て替え・リノベーションなど、お客さまそれぞれの家づくりのご要望に合わせてご対応します。
「リビングデザインセンターOZONE」とは
「リビングデザインセンターOZONE」は、新宿パークタワーの3~7Fに展開する「住まいとインテリアの情報センター」。
家具や生活用品、住宅設備、建材まで、個性豊かなショールームとショップ、住宅デザインの書籍や製品カタログを集めたライブラリーなどの情報フロアで構成されています。
毎日を快適に、暮らしが楽しくなるような住まいの実現に向けて、セミナーやワークショップなどの他、コンサルティングを重視した専門家による家づくり支援やインテリアデザインのプログラムを実施しています。ぜひ、お越しください!
リビングデザインセンターOZONE
◆住所:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー内
◆電話番号:03-5322-6500(代)
◆営業時間:OZONE 10:30~18:30
◆休館日:水曜日(祝日除く)・夏期・年末年始
※ザ・コンランショップ 新宿本店、OZONEパークサイドオフィスは休館日が異なります。
おわりに
家は一生ものの買い物。理想の家づくりを叶えるためにプロの力を借りるというのも、有効な選択肢の一つです。ぜひ、参考にしてみてくださいね!