気になる! ガスコンロの火の消し忘れ
外出時にみなさんはどんなことで不安になりますか? 東京ガス都市生活研究所が調査した「外出時にご自宅のことで不安になること」の回答では、「玄関の鍵のかけ忘れ」「冷房・暖房器具の消し忘れ」「窓の閉め忘れ」というお悩みに次いで、「コンロの火の消し忘れ」のことで不安になるという方が約2割と、高い割合でいらっしゃることがわかります。
消し忘れが原因で火事になることも
「ガスコンロを消し忘れたかも?」 という心配は多くの方が経験していますが、実際に消し忘れた場合、どのような危険があるのでしょうか。
令和5年の消防白書によると、ガスコンロが原因で起こった火災の多くが「消し忘れ」によるものです。下のグラフで見ると、その危険性がよくわかります。
大塚さんによると、ガスコンロの消し忘れによる「空だき」と「油の過熱」は大きな火災につながるので特に注意が必要とのこと。
空だき
調理中の鍋や水を入れたやかんなどを火にかけたままにしていると、やがて空だき状態になります。
「鍋の中の水分が蒸発して空だきになることで、火災につながる場合もあります。アルミ製の鍋の場合、鍋自体が溶けて異常燃焼を起こし、付近の可燃物に着火するという危険も考えられます」(大塚さん)
油の過熱
天ぷら鍋など、食用油が入った鍋を火にかけたままにすることはさらに危険です。
「フライや天ぷらなどの揚げもの調理は通常油温175℃前後で行いますが、コンロの火の消し忘れなどでそのまま加熱し続けると、たとえ弱い火であっても、油温がどんどん上昇します。そして、370℃前後に達すると自然発火してしまいます」(大塚さん)
周りに燃えるものがなくても、油そのものが発火して火災が起こる可能性があることを知っておきましょう。
ガスコンロの消し忘れ防止のためにできること
大きな事故につながるかもしれないガスコンロの消し忘れ。防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。大塚さんに伺ったことを元にまとめてみました。
火を使っている場所から離れない
大原則は、「火のそばを離れない」こと。やむをえず離れる場合は必ず火を消す習慣をつけましょう。
揚げ物をしているときは気をつけていても、煮物などの長時間調理の場合は油断しがちです。ガスコンロを使って調理しているときには、火のそばを離れないことはもちろん、携帯電話やテレビなどに気を取られることのないよう注意が必要です。
安全装置がついているコンロを選ぶ
Siセンサーコンロを使用することも火の消し忘れ対策として有効です。
2008年10月以降家庭用のガスコンロは全口センサー搭載が義務化され、3つの安全機能(調理油過熱防止装置・立ち消え安全装置・コンロ消し忘れ消火機能)を標準でつけることになりました。
このSiセンサーの普及によってガスコンロ火災の件数は減少しており、Siセンサーの搭載が義務化された2008年のガスコンロ火災が5124件であったのに対し、導入が進んだ2021年では2247件と半減しています。
出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会『「ガス安全⾼度化計画2030」の取組状況について(製造者)』
カセットコンロには要注意
現状、カセットコンロや業務用コンロについてはSiセンサーの搭載は義務化されていません。カセットコンロは可燃物が多く置かれている場所で使うことも多いため、使用の際には注意が必要です。
タイマーを活用する
調理中にキッチンタイマーなどを活用することも、ガスコンロの消し忘れ防止に役立ちます。
また、タイマー機能が搭載されたガスコンロなら、セットした時間になると自動消火されるので安心。調理時間の管理とともに、消し忘れの防止ができるので便利です。
オートメニューやコンロ連動アプリを活用する
最近のガスコンロには、オートメニュー機能やスマホアプリと連携してオート調理する機能がついているものもあります。オート調理の場合、火加減の調節や消火も行ってくれるので、うまく活用すれば安全&省エネ調理の強力なアシスタントになるでしょう。
ガスコンロの消し忘れに気づいたときにやるべきこと
消し忘れに気づいた時にやるべきことは状況によって異なります。在宅中の場合と外出先で気づいた場合に分けて、それぞれ解説していきます。
在宅中にコンロの消し忘れに気づいたら
消し忘れに気づいた場合、基本的にはすぐにガスを消します。
既に鍋やフライパンから炎が上がっていて、ガスを消せない場合は、落ち着いて消火をしてください。
空だきや発火が起こっている場合
空だきや油の発火が起きている場合、消防庁は次のような対処法を推奨しています。
- 消火器があれば、消火器を使用します。火元から4~5メートル程度離れたところから放射し、徐々に近づき消火します。
- 消火器がない場合は、鍋の蓋などを被せます。火傷をしないよう、手などをタオルで保護してから被せましょう。シーツを濡らしてゆるく絞り、手前から手を隠しながら覆う方法も有効です。
- 沈火後も、蓋などで空気を遮断し続けることが大切です。その後、ガスの栓を締めます。
水をかけるのは絶対にダメ
炎をみると、すぐに水をかけたくなりますが、これは絶対にやってはいけません。水をかけることで油が飛び散り火炎が広がり、火傷の恐れがあるからです。
ただし炎が天井まで届いている場合は、消火活動はせずに、すぐに避難してください。その後、消防署に通報しましょう。マンションの場合はドアを閉じて空気を遮断して避難しましょう。
参考:総務省消防庁「初期消火」
外出先でコンロの消し忘れに気づいたら
東京ガス都市生活研究所の調査結果(2018年)によると、外出中にガスコンロの火を消し忘れたことに気づいた場合、約70%の方が「急いで家に帰る」と回答しています。
大塚さんも、まずは帰宅を推奨しますとのこと。
しかし、すぐに帰宅することが難しい場合もあります。そのようなときはどうすればよいのでしょうか。
「賃貸住宅の場合は管理会社や大家さんに連絡して対応してもらうなどの方法があります」(大塚さん)
そして、ガス会社に相談するのも一つの方法です。東京ガスでは24時間365日対応するサービス「マイツーホー」を提供しています。
ガスコンロの消し忘れを確認、遠隔遮断もできる! 「マイツーホー」
ガスコンロの消し忘れに関する不安を解消してくれるサービスが、東京ガスの「マイツーホー」です。「マイツーホー」は月額500円(税込)でご自宅のガスメーターを遠隔遮断することができるサービス。ガスコンロのほか、お風呂や床暖房など、ご自宅のガス設備全体の管理ができます。
(※マイツーホーのご契約には、ご自宅のガスの検針がスマートメーターで行われている必要があります。サービスのご加入については、東京ガス マイツーホー申込サイトでご確認ください。)
東京ガスの新サービス「マイツーホー」でできること
マイツーホーの主な特徴は、以下の4点です。
- ガスの消し忘れ確認・遠隔遮断サービス
- 自動通報サービス
- ガス未使用のお知らせサービス
- エネルギーご使用量のお知らせサービス
順番に紹介します。
ガスの消し忘れ確認・遠隔遮断サービス
外出先でガスの消し忘れが気になったとき、LINE、Web、または電話で連絡すれば、ガスの使用状況を確認し、必要に応じてガスを遮断します。
ガスコンロだけでなく、例えば、旅行中に床暖房のタイマーを切り忘れたと気づいた場合などにも対応可能です。
自動通報サービス
ガスが長時間連続して使われているなど、普段と異なる使用状況を検知した場合、電話で知らせてくれます。
大塚さんによると、「ご年配の方がコンロの火をつけたまま寝てしまっていたところ、東京ガスからの電話連絡で目が覚め、大事に至らなかった事例もあるんですよ」とのこと。24時間365日見守ってもらえるのは、安心感がありますね。
ガス未使用のお知らせサービス
24時間ガスの使用が一度もなかった場合、前日にガスが未使用だったことをLINE、またはメールでお知らせするサービスです。メールの送信先を家族にしておくことで、離れて暮らす親御さんの見守りにも役立ちます。メールが届いたら「昨日ガスを使っていないから、具合でも悪いのかと思って」と電話をかけてみるなど、さまざまな利用の仕方が考えられます。
エネルギーご使用量のお知らせサービス
毎日、週1回など、設定した頻度で、登録したメールアドレスにエネルギー使用量の情報が送られます。
使用状況を正確に把握することは、省エネや家計管理に役立ちます。「ガス使用量が多いのは留守中の床暖房の切り忘れかも?」「思いのほか夜間のガス利用が多いから使い方を見直してみよう」というように、生活チェックのきっかけにもなるでしょう。
「マイツーホー」開発者の思い
大塚さんによると「マイツーホー」の歴史は、1983年7月に設置開始された「マイコンメーター」までさかのぼるのだそう。ガス利用の異常をデータ化し、見守り、感知するソフトの製作や、10年以上継続してマイコンを動かすための電池の開発など、いくつもの課題を乗り越えて、設置が開始された「マイコンメーター」。この「マイコンメーター」の設置により、ガスの遠隔操作が可能になりました。
そして、これらの技術と知見を活かして、リリースされたサービスが「マイツーホー」です。より安全に安心してガスを使っていただきたいという思いから、2024年6月には、LINEでガスの消し忘れ確認・遠隔遮断・遠隔復帰ができる機能が追加。より快適にご使用いただけるように、リニューアルを果たしました。
ガスコンロをつけっぱなしだとガス代はどうなる?
万が一ガスコンロを長時間つけっぱなしにしてしまった場合、ガス代はどうなる? というのは、多くの方が気になるところでしょう。
大塚さんによれば、仮にガスコンロの消し忘れがあっても、ガス代には大きな影響はないとのこと。「ガス料金の大部分は、給湯器や暖房機器などのコンロ以外の使用によるものなんです」(大塚さん)
東京ガスの「ウルトラ省エネブック」によれば、鍋でお湯を沸かした時に沸騰後にすぐに消火した場合と、2分間放置して消火した場合のガス代の違いは1回あたり1.3円とのこと。このまま1時間放置した場合でも、差額は39円にしかなりません。
ガスコンロを消し忘れたときは、ガス代より火事の心配をした方がよさそうです。
おわりに
ガスコンロの消し忘れを防ぐために最も大切なのは、調理中は火のそばを離れないこと。加えて、安全機能が搭載されたガスコンロを選ぶ、コンロのオート調理機能などを使うといった方法も有効です。また、東京ガスの「マイツーホー」などのサービスを活用することも消し忘れによるリスクを下げるために大いに役立ちます。
新しい技術やサービスをうまく取り入れて、安全にガスを使っていきましょう。