災害への備えは十分にできていますか?
いつ起こるか分からない災害。皆さんはどのような備えや対策をされていますか?
東京ガス都市生活研究所の調査によると、73%もの人が「備えが必要だと思うが実現できていない」と回答しています。
災害に対する備えと一口に言っても、食料品や飲料水のストック、明かりや電池の準備、避難経路の確保など多岐にわたるため、「十分にできている」という方は少ないのではないでしょうか。
そこで、災害に対する住まいのリスクや必要な備えを知るための「レジリエンス住宅チェックリスト」を開発した一般社団法人日本サステナブル建築協会研究開発部の井田浩文さんと早津隆史さんに、平常時から災害に備えることの重要性や、さまざまな角度から災害への備えを見直すことができるチェックリストの活用方法について教えていただきました。
いつ発生するか予測がつかない災害。対策するには、まずはどんなことが重要なのでしょうか。
リスクに気づくことが大事
「災害に備える前に、まずやるべきことがある」と、井田さんと早津さんは言います。
「まずは平常時や災害時のあらゆるリスクに『気づく』ことが必要です。リスクに気づいたら、どんな備えがあるのかを『知り』、自宅ではどう備えるか『考える』ことで、初めて暮らしの中で『備える』ことができます」(早津さん)
確かに、そもそものリスクに気づくことができないと、適切な対策や備えはできませんよね。
そこで活用したいのが、井田さん・早津さんが所属する日本サステナブル建築協会で作成された「レジリエンス住宅チェックリスト」です。
今知っておきたい「レジリエンス住宅」という考え方
そもそも、「レジリエンス」とは、どのような意味なのでしょうか?
早津さんによると、レジリエンスとは「しなやかさやしぶとさ、強靭さ」などを意味するのだそう。
「レジリエンス自体は建築用語ではありません。東日本大震災の教訓として、事業継続性や持続可能なまちづくりなどを考える際に使われ始めた言葉です」(井田さん)
つまり、レジリエンス住宅は、直訳すると「しなやかで強靭な住まい」ということになりますが、比較的新しい言葉でもあり、明確な定義はまだないのだそう。
しかし、災害が頻発するようになった昨今、重要な考え方であることに間違いありません。
早津さん「住まいのレジリエンスを高めるということは、平常時は快適に過ごすことができ、災害発生時には私たちが受ける被害を小さくし、かつ災害後には素早く回復できるようにする、ということです」
では、その住まいのレジリエンス力はどうやって高めていけばよいのでしょうか。
その第一歩として、まずは自分たちのレジリエンス力をチェックするところから始めてほしい、と早津さんは言います。
住まいのレジリエンス力をチェックしよう
「災害に備えるためには、平常時から課題に気づくことが大事です」と早津さん。
天災は忘れたころにやってくるもの、とよく言われるように、平常時はどうしても忘れがちです。しかし当然のことながら、発生してから備えるのでは手遅れになってしまいます。
早津さん「レジリエンス力チェックリストは、『平常時』『災害発生時』『災害後』の3つの要素から成り立っています。自然災害が起こる前に、この3つの観点からご自身のレジリエンス度をチェックし、対策に役立てていただければと思います」
また、チェックリストの項目には「はい」か「いいえ」で悩むこともあるかもしれません。
井田さん「ご自身なりに考えて対策できている場合は『はい』、なんとなく知っている・備えていない場合は『いいえ』と回答しましょう」
では、「平常時」「災害発生時」「災害後」の3つの観点ごとにチェックしていきましょう。
平常時の住まいのレジリエンス度チェック
災害が起きていない平常時に、災害を意識した行動をとるのは少し難易度が高いと思われるかもしれません。
しかし、災害の対策を日頃から行うことと、住まいの質を高めることは両立できる場合も多いそうです。
井田さん「例えば、防犯対策は普段から必要だと思いますが、実は災害時にも役に立ちます。避難所に行っている間に盗難の被害に遭う場合もありますし、逆にそのような被害に遭いたくないために二次災害の可能性がある自宅に残る方もいらっしゃるからです。そういった状況下でも防犯対策は活きてくるのです」
早津さん「災害時に使える蓄電池は、用意しておけば災害時に役に立ちますが、高価なので災害時のためだけに導入するのは考えにくいですよね。でも、太陽光発電とセットで導入することで、災害時はもちろん、平常時にも活用できるようになるのでより取り入れやすくなるのではないでしょうか。災害に対する備えは、平常時でも住宅や暮らしの質を高めることにつながる面があるということに気づいていただければと思います」
平常時のチェックリストには、一見当たり前のような項目が並んでいます。これらの項目のリスクに気づき、改善していければ、災害時に役立つだけではなく、平常時の暮らしの質も向上しますね。
また、何か災害があった時に避難するのは自分自身です。
住まいのチェックに加え、自分の健康状態も維持向上できるようなチェック項目も含まれていますので、一人一人が確認しておきたいですね。
災害発生時の住まいのレジリエンス度チェック
災害発生時のチェック項目は、災害が起こった場合に備えてどのような対策をしておくべきかという観点でまとめられています。
さまざまな項目がありますが、大切なのは「自分事として考える」という点だそうです。
早津さん「ご自身の住まいが置かれている環境を確認することが大事です。例えば、海がないところでは津波は起こらないですよね。逆に、洪水は大丈夫、と思っていても、ハザードマップを見たら危険区域だった、というようなこともあります。チェックする方ご自身が、自分の生活の中に当てはまるものを考えてもらえればよいと思います」
災害後の住まいのレジリエンス度チェック
災害が起こった時にどのように対処するか、に目が行きがちですが、その後生き残るための備えも必要です。
災害後のチェックリストは、災害後の生存力を高め、二次災害を防ぐのに役立つチェック項目になっています。
レジリエンス力を測って、災害への備えをより強化しよう
レジリエンス住宅としてのチェックポイントを「平常時」「災害発生時」「災害後」の3つの観点からご紹介しました。
それぞれの項目のチェックができたら、「はい」の合計数を算出してみましょう。「はい」が多いほど住まいのレジリエンス力は高く、少ないほど低いことを示します。
しかし、「点数が低いからといって、落ち込む必要はありません」と早津さん・井田さんは言います。「チェックリストを使って、備えるべき項目に気づき、そこから対策を行うことに意味があります」(早津さん)
チェックをして終わるのではなく、全ての項目が「はい」になることを一つの指標に、ご自宅の防災対策を見直していきましょう。
チェックリストはこちらからも確認できます。
PDF版もあるので、印刷してご家族皆さんでチェックしてみましょう。
停電時の備えにも! 発電できるガス機器「エネファーム」とは?
地下に埋設されているガス管を通って各戸に供給される都市ガスや、1戸1戸にボンベで設置されるプロパンガスは、倒木や飛来物などで電線が切れてしまう電力に比べると、台風下の影響が少ないといわれています。実際に、2019年の台風15号、19号でも、電源供給が途絶えたため給湯は使えないけれど、ガスコンロは使えるという声が聞かれました。※
※乾電池式のコンロのみ使用可。100V電源のコンロでの使用は不可。
※停電中は換気扇が作動しないため、窓を開けるなど必ず換気を行いながら使用してください。
エネファームはガスと水道が供給状態であれば、発電中に停電しても電気とお湯をつくり出すことができます。前述の台風の時も、エネファームが発電したおかげで、スマートフォンの充電や照明が使えて安心した、という声もありました。
停電発生時のイメージ
最新のエネファームなら、レジリエンス機能が標準搭載されているので、停電した際、エネファームが発電中で、都市ガスと水道が供給されていればそのまま発電を継続でき、発電した電気とお湯を使うことができます。また、最大使用電力※まで、停電時専用コンセントから電気を利用することもできます。
災害下でもライフラインが生き残ってくれると、それだけでも心強いもの。機器の大きさや発電出力など、ご家庭のニーズに合わせてお選びいただけます。
ぜひチェックしてみてくださいね。
※エネファームの機種により異なります
おわりに
レジリエンス住宅チェックリストを使用することで、普段は気づきにくいリスクを発見された方も多いのではないでしょうか。お話を伺った井田さん、早津さんによると「10分くらいでできるので、難しく考えずにまずはチェックしてみてほしい」とのことでした。
また、チェックリストは、1回使って終わり、ではもったいないというお二人。
「日頃から災害対策を行っている方は多くないと思います。半年や1年に1回など、家族とのコミュニケーションツールにしていただいたり、防災意識を高めるツールとしても活用していただければと思います」(井田さん)
いつ発生するか分からない災害。チェックリストを活用してしっかり対策していきたいですね。