本好きな子どもを増やした「歴史上の人物」とは?
「アン・キャロル・ムーア」という女性をご存じですか?
1871年アメリカに生まれ、世界で初めて「子どものための図書館」を作った人物です。
それまでの図書館は完全に大人向けで、「子どもは本を傷つけるに違いない」「図書館は静かにするところだ」という考え方。子どもが自由に本を手に取れたり、読み聞かせなどができる場所ではありませんでした。
でも、それでは子どもが本に親しむことができないと考え、子どもを尊重した児童室・児童図書館を作ったのが、「アン・キャロル・ムーア」です。
彼女のおかげで、現在は日本でもほとんどの図書館に児童室があります。また絵本専門店や、絵本カフェなども増えています。
子どもに本好きになってもらう効果&コツとは?
子どもが本好きになることの効果とは?
「本好きな子」というと、知識が豊富、勉強ができる、というイメージがあるかもしれませんね。もちろんそれもありますが、本を読むことは、実は「コミュニケーション能力」にとっても大切なのです。
物語を読むことは、様々な言葉の表現を知る「語彙力」や、場面を自分で想像する「想像力」を伸ばしてくれます。
「語彙力」は、自分の気持ちをより正しく、豊かに表現するために必要です。
「想像力」は、相手の気持ちを想像し、理解するために必要です。
特に小さいうちは、親が絵本や児童書をゆっくり読み聞かせてあげることが、子どもの言葉やコミュニケーション能力を育てることに大きな効果があります。
子どもに本好きになってもらうコツとは?
でも、実際に本を読んであげても、あまり興味を持っていないように感じることもあります。
そんなとき、親が焦って、気乗りしない絵本を強制的に読ませるのは問題があります。
子どもに本を好きになってもらうコツは、2つあります。
1. 子どもの、そのときの興味や好みに合った本を選ぶ
親が選んだ本を気に入るかどうかは、その子のそのときの興味や好み、内容が対象年齢に合っているかによって異なります。アン・キャロル・ムーアが考えたように、「自分が好きな本」を子ども自身が選べる環境はとても大切です。
もちろん、0~1歳の小さい頃は親が選んであげ、成長と共に「自分で選びたい」という気持ちが出てきたら、子どもと一緒に選んでみましょう。子どもの興味や好みを知るためにも、たくさん本がある場所に一緒に行って、自由に選ばせてあげ、その場で読んであげられるのが理想です。
本の魅力の一つは、「色々な世界」を知ることができること。
本は、子どもの多様な「好奇心」を満たす方法の一つです。
子どもの本専門の場所では、詳しいスタッフにその場で相談できたり、おすすめの本を教えてもらうこともできます。「いつも自分にぴったりの本がどこかにあるんだ」ということを子ども自身が理解すれば、自然に自分から本を読みたくなるかもしれません。
1. 子どもの、そのときの興味や好みに合った本を選ぶ
「色々な世界」が本の魅力ではありますが、とにかく色々な本をたくさん読ませればいいのかといえば、そういうわけではありません。
色々な本をどんどん読みたい子もいれば、一冊の本を何度も何度も読み返して、一生大切にするような子もいます。また、読み方は年齢や時期によっても変わってきます。
特に幼児期は、一度読んだ本を何度も繰り返し読みたがったり、昔読んだ本をしばらくして再び読みたがる、ということがあります。
子どもにとって、世界は「新しいもの」「初めて知るもの」だらけです。
新しいものに魅かれて飛び出していくときもありますが、しばらく「探検」すると、だんだん不安になってきて、今度は「安心感」を求めます。
以前読んだ絵本に立ち戻るのは、この「安心感」を満たすためとも言われています。
前読んだときと同じだ、これ知ってる、ということを繰り返して「安心感」を満たすことで、また新しいものを「探検」に行こうという気持ちが出てくるのです。
親にとっては、「またその本? 」「前も読んだでしょ」とウンザリして、違うものを読ませたくなりますが、できるだけ子どものペースに付き合ってあげることが大切です。何度も読むことで、新しい発見があったり、内容をより深く理解していくという意味もあります。
「本は新しいものを知ることもできるし、何度読んでも同じで安心できる。それは自分の好きなペースで行ったり来たりしていいんだ」、ということが分かることで、子どもは本を読むことが好きになるはずです。
子どもが本好きになる、首都圏の絵本・児童書スポット
そうはいっても、本の多い場所は大人中心の空間も多く、子連れでは気を遣うこともあります。
今回は、絵本・児童書を楽しめるスポットの中から、特に小さな子ども連れでも行きやすい、首都圏の絵本専門店、図書館、絵本カフェ等を、6つピックアップしてご紹介します。
【子どもを本好きに】子連れOKの絵本・児童書専門店
クレヨンハウス東京店
表参道にある「クレヨンハウス東京店」は、ビルをまるごと使ったお店です。
各階それぞれに、子どもの本の専門店、おもちゃの専門店、女性の本(育児・暮らしなど)やオーガニック・コスメ等の専門店、そしてオーガニック・レストランが入っている、全てが子どもとママに嬉しいお店です。
なんと常時約50,000冊の子ども向けの本が揃えられ、世界中から厳選された質の高いおもちゃやベビーグッズもたくさん販売されています。子どもと一緒に本を試し読みしたり、おもちゃで遊ぶことができ、オーガニック・レストランでは親子で体に優しいランチをゆっくりいただくことができます。小さい子連れが多く、座敷席もがあるのも嬉しいポイントです。
●クレヨンハウス東京店
住所:東京都港区北青山3-8-15
電話番号:03-3406-6308
しかけえほんショップ&工房 Meggendorfer(メッゲンドルファー)
子どもが大好きな「しかけ絵本」。しかけ絵本が600種類以上も用意されている「しかけ絵本の専門店」が、鎌倉にあります。
海外作家の精巧な飛び出す絵本や、あっと驚くしかけのある絵本は子どもが喜ぶこと間違いなし。赤ちゃんも楽しめる簡単なしかけ絵本もたくさんある一方で、「こんなしかけがあるのか! 」と大人も唸らされる、珍しいしかけ絵本もたくさんあります。
すべての本に「見本用」があり、中身が見られるのも嬉しいところ。一つ一つ手にとってしかけを楽しんでいると、何時間いても飽きません。
店内がやや狭いので、ベビーカーは畳んで入口へ。また小学生以下の子どもには、試し読みに大人が付き添って、本を破ったりしないよう注意が必要です。
場所が鎌倉なので、小旅行がてら訪れたい、一見の価値があるお店ですよ。
●しかけえほんショップ&工房 Meggendorfer(メッゲンドルファー)
住所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-9-61
電話番号:0467-22-0675
教文館 子どもの本のみせ ナルニア国
銀座で120年の歴史を持つ、老舗書店「教文館」。
その6階に、ロングセラーから新刊書まで約15,000冊を揃えた、子どもの本の専門フロアがあります。子どものためのおはなし会などのイベントや、展示会、フェアなども多く、本好きにはたまらない空間です。
フロア内にはところどころ椅子もあり、ゆっくりと試し読みができます。
教文館の店舗全体としては大人向けのお店なので、幼稚園~小学生以上のお子さんにおすすめです。
●教文館 子どもの本のみせナルニア国
住所:東京都中央区銀座4丁目5−1
電話番号:03-3563-0730
【子どもを本好きに】子どもものびのび楽しめる図書館
笹塚子ども図書館
渋谷区の笹塚子ども図書館は、子育て支援センターが併設された、子どものための図書館です。公共の図書館でありながら、赤ちゃんから児童まで親子で楽しめるように設計されています。
蔵書数は約23,000冊。「もりのへや」「ほしのへや」「きょうりゅうのへや」と、子どもの年齢に合わせてスペースが分かれているので、小さい子から小学生まで安心して過ごせます。
乳幼児向けの「もりのへや」は、靴を脱いで入ることができ、ゆっくりと読み聞かせができるので、小さい子連れのママにも嬉しい図書館です。
●笹塚こども図書館
住所:東京都渋谷区笹塚3-3-1
電話番号:03-3378-1983
東京子ども図書館
東京子ども図書館は、中野区の新江古田駅近くにある「私立」の図書館です。
もともとは、1955年から家庭文庫(個人宅の蔵書を近所の子どもたちに貸し出したり、読み聞かせをする活動)から始まったそうで、アットホームで温かみのある図書館です。
児童室には、長い年月をかけて選りすぐった絵本、物語、昔話、詩、ノンフィクションなどが約8,000冊。煉瓦の壁や北欧の薪ストーブのある「おはなしのへや」で、読み聞かせやわらべ歌の会もやっています。
「子どもと本の世界で働くおとな」のために、資料室の運営、出版、講演・講座の開催、人材育成など、さまざまな活動を行っているのも特徴です。
●東京子ども図書館
住所:東京都中野区江原町1-19-10
電話番号:03-3565-7711
国際子ども図書館
国際子ども図書館は、上野にある日本唯一の「国立」の児童書専門図書館です。もとは、1906(明治39)年に帝国図書館として建てられた明治の趣のある建物を再生・利用しています。
国立なだけあって、蔵書は国内書籍・海外書籍合わせてなんと約380,000冊!
子連れで入るのが心配になるほど立派な建物ですが、靴を脱いで本を読める部屋があり、休憩・飲食・おむつ替え台・授乳スペースも完備された、子連れに優しい空間です。
なお、この図書館では「本を借りる」ことはできませんので、ご注意を(図書館や学校に貸し出すための施設だそうです)。博物館や科学館、動物園も近くにあるので、上野で遊んだついでに、休憩がてら本を読みに立ち寄るのもよいかもしれません。
●国際子ども図書館
住所:東京都台東区上野公園12-49
電話番号:03-3827-2053
【子どもを本好きに】親子でゆっくり楽しめる絵本カフェ等
アンリ・ファーブル
劇団の街・高円寺にある、ひときわ目立つ建物「座・高円寺」の2階にある、カフェレストラン「アンリ・ファーブル」。
一見大人向けの空間に見えますが、実は約250冊の絵本が常時展示されていて、大人も子どもも自由に読める、子連れに嬉しいお店です。
劇場なだけあって、天井の高い広々とした空間で、ベビーカーのままでも大きな荷物があっても、周りへの迷惑を心配することなくゆったりと過ごすことができます。
カフェレストランは火曜日定休ですが、スペースは解放されているので絵本は読みに来ていい、というのも嬉しいですね。
●アンリ・ファーブル
住所:東京都杉並区高円寺北2-1-2
電話番号:03-3223-7500
星と森と絵本の家
名前からして素敵な「星と森と絵本の家」は、三鷹市にある国立天文台の中にある、大正時代の古民家を再利用した施設です。
昔は国立天文台に勤める上官の家だったという古民家には、市民から寄付された古い電話機や足踏み式のミシン、火鉢などが置かれていて、昔の生活を垣間見ることができます。
読書室には約2,500冊の絵本が並び、家の中のどこでも読んでいいことになっていて、縁側や畳の上、ソファなどで、ゆったりと絵本を読むことができます。
名前通り、星や地球などをテーマにした絵本や、自然科学系の本が比較的多いのも特徴です。
授乳室や、木のおもちゃで遊べるスペースもあり、畳なので赤ちゃんがハイハイしても大丈夫。駅からバスで15~20分と、少しアクセスは不便ですが、おばあちゃんの家に行くような気持ちで訪れてみたい施設です。
●星と森と絵本の家
住所:東京都三鷹市大沢2丁目21番3号 国立天文台内
電話番号:0422-39-3401
立川まんがパーク
立川まんがパークは、全国でも珍しい「市営の漫画喫茶」のような場所です。
漫画だけでなく、小さい子ども向けの絵本スペースもあり、漫画の蔵書は約40,000冊、絵本は約1,000冊あります。
靴を脱いで入り、中は畳敷きになっているので、赤ちゃんや小さい子どもものびのび過ごせます。また漫画コーナーには、オープンスペースだけでなく「押入れ」や「ロフト」のような半プライベート空間もあり、大人も子どもものんびり漫画を読むことができます。
公共施設でありながら、パーク内にフード販売があり飲食OK。飲食物の持ち込みOKなのも嬉しいところ。下の階には子育て支援センターもあり、おもちゃで遊べる広場もあります。兄弟姉妹がいれば、上の子は漫画、下の子は絵本を読む、という過ごし方もできます。
●立川まんがパーク
住所:東京都立川市錦町3丁目2番26号 子ども未来センター2階
電話番号:042-529-8682
おわりに
子連れで楽しめる、首都圏の絵本・児童書スポットについてご紹介しました。
面白そうな本がたくさんある場所へ行くとわくわくしますね。絵本専門店や子ども図書館では、スタッフに相談すれば、今の子どもにぴったりのおすすめ本を紹介してくれます。
子どもの心の一生の宝物となるような、お気に入りの本に出会えるとよいですね。