【開けた缶詰の保存の前に】「缶詰は長期保存できる? 」
缶詰は空気を除いて密封し、真空の状態にして加熱殺菌することで中を無菌状態にします。無菌状態なので食物を腐敗させる菌や微生物がいないため、長期保存ができるんですね。
ちなみに加熱殺菌して食物を保存する方法は、今から約200年前の1804年にフランスで発明されたのだとか。その後、1810年にイギリスで現在でもよく見かけるブリキ缶が発明され、世界各国で量産化されるようになりました。
日本では、1871年に長崎で「いわしの油漬缶詰」を作ったのが始まりだそうです。
開けた缶詰の保存はどうする?
缶詰は日持ちするというイメージがありますが、それは未開封での状態のこと。缶詰の中身に保存料は使われていないため、一度開けると生鮮品などと同様に日持ちしないので注意が必要です。
缶の素材により、開けた缶詰の保存方法は異なります
一般的に缶詰の素材は鉄製のブリキ缶(スチールにスズメッキしたもの)か、アルミ製。内側のコーティングは、入れる食材の色や味の変化や缶の腐食を防ぐために、それぞれに適したものが使われています。
魚や肉、調理品などの缶詰の内面には、中身の食品と容器の金属が接触しないよう主にポリエステルフィルムをラミネートしたもが使われています。
一方、果実や一部の野菜缶詰は内面塗装をせずに金属スズを露出させたブリキ缶を使用しています。これらの缶詰で内側をコーティングをしないのは、果物などに含まれている酸素をスズが吸収し、中身の品質が変化することを防ぐためです。
なお、溶け出た微量のスズについては、人体に蓄積せずに排泄されてしまうことが分かっているので安全性に問題はありません。このように、スズは食品衛生上安全であることから、世界共通の仕様として使われています。
一度開けた缶詰の保存【果物の缶詰の注意点とは? 】
先ほどご紹介したように、果物の缶詰では、内面を塗装してないブリキ缶(スチールにスズメッキしたもの)が使われているため、開けてから缶のまま置いておくと、空気に触れてスズが溶けやすくなるそうです。
缶詰開封後は、必ず別の容器(ガラスや陶器、プラスチックなど)に移し替え、冷蔵庫に保存した後、早めに食べきりましょう。
【魚介類や野菜の缶詰の場合】開けた缶詰の保存は?
魚介類や野菜の缶詰も、「もう一品」という時に便利ですよね。開けた缶詰が余ってしまった場合、どのように保存すれば良いのでしょうか?
魚介類や肉類、調理類の缶詰に関しては、内面が塗装されている缶が使われているので、基本的にはそのまま冷蔵庫で保存しても問題ありません。
ただし、一度開けた缶詰は再度密封できないため、生鮮品や家庭で調理したものと同様に空気や微生物の影響を受けて時間の経過と共に傷んできます。使い残したら冷蔵庫に入れて2~3日で使い切りましょう。
日頃からよく使う缶詰などは、使い切れるサイズを購入するよう意識しておくと良いですね。
未開封の缶詰も保存中、温度や湿度に注意が必要
未開封の缶詰は、温度変化や湿度の少ない所で保管しましょう。
缶詰は加熱殺菌し、空気や微生物などが入らないように密封しています。しかし、どんな缶詰でも温度や湿度の高いところに長期間保存すると、品質は低下してしまいます。
コンロ下や暖房機器の近く、直射日光の当たるところなど、高温になりやすい場所での保管は避けましょう。また、缶に錆が発生するのを避けるため、湿度の低い場所で保管すると良いそうです。
【缶詰の保存Q&A】こんな缶詰でも大丈夫?
さびた缶詰でも食べられる?
湿気が多かったり、温度変化が大きい場所で長期間保存すると、ふたの表面がさびてくることもあるのだとか。少々のさびであれば、中身には問題ないそうです。
ただし、さびが大きい場合は缶が腐食して中身が劣化している可能性もあるので、多少でも不安を感じたら食べるのを止めましょう。
凹んだ缶詰でも食べられる?
缶詰は真空状態で保たれているので、何らかの衝撃が加わると缶が凹みやすくなっています。凹んでしまった缶詰でも、中身にほとんど影響がありませんが、ふた付き(巻締)が曲ったり凹んだりしたものは、密封に問題がある可能性もあるので注意しましょう。
賞味期限が切れた缶詰でも食べられる?
缶詰は、加熱殺菌により腐敗の原因となる微生物を殺滅しています。そのため、保管中に微生物が侵入しないかぎりは、開封前であれば賞味期限が切れても中身が腐ることなく長期間の保存ができるそうです。
ただし安全性は期待できても、味まで期待できるかは微妙なところ。缶詰に記載されている賞味期限のうちにおいしく食べ切りましょう。
また、缶詰の保存環境が良くない場合、品質の低下により安全性が損なわれることも。賞味期限を過ぎた缶詰は、以下の点を確認してみましょう。
・缶詰の缶がさびていないか
缶自体が腐食して穴があき、そこから空気や水分とともに微生物が侵入している場合があるため
・ふたや容器が膨らんでいないか
微生物が入ったり内側に腐食があると、ガスの発生により容器が膨張することがあるため
・ふたを指で押すとペコペコとへこまないか
少しでも不安を感じたら、食べるのを止めましょう。
おわりに
使い残した缶詰については「容器を移し替えて冷蔵庫で保存」が基本です。
缶詰を安心しておいしくいただくには、賞味期限のうちに、常に一度で使い切るよう意識しましょう。
缶詰は長期保存でき、いざという時にも役立ちますね。
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