デニムを知ろう!
洗濯方法をお伝えする前に、デニムの定義についておさらいしましょう。
「デニム」とは、インディゴ染めされたタテ糸と、染色されていない綿のヨコ糸を織った綾織物(あやおりもの)をいいます。
デニムとは生地の呼称で、デニムをズボンに仕立てたものをジーンズやジーパンと呼びます。
下の写真はジーパンの表と裏を並べたもの。インディゴ染めされたタテ糸と、綿の白いヨコ糸が見えます。
以前は綿100%のデニムが多かったのですが、機能性を付加していくうちに、ヨコ糸をポリエステルにしたり、ストレッチ素材にしたり、通気性や涼しさを求めて麻やテンセルにしたりと、デニムは時代と共に変化してきました。
デニムは洗っていい? 洗う頻度は?
「衛生面と生地のことを考えて、基本的にデニムは洗濯してください。皮脂の油分がついているのに洗濯せずにいると生地が劣化しますし、綿は水にぬれて乾く過程で生地にハリがよみがえるという特徴があるからです」(鄭さん)
デニムは洗濯するとどうしても生地が硬くなりますが、この過程が、いい色落ち(ヒゲやアタリ)をつくることに繋がるのだそう。また硬くなった生地も着用している間になじんできます。
鄭さんは「デニム以外の衣類で“洗濯するべきかどうか”という話題はあまり出ませんよね。デニムには、他の衣類にはない特殊な事情があるんです」と言います。
タテ糸のインディゴ染めが洗濯で薄くなったり、摩擦で青い部分が削れていくと、芯の白い部分が見えてきます。これがデニム独特の「色落ち」です。デニム愛好家の方の中には、コントラストがはっきりした色落ちを実現するために、あえて連続で着用し洗濯回数を極端に減らす方もいるそう。
「色落ちの美を追求するデニム愛好家や普段着としてデニムを着る人など、デニムに対する思いが人それぞれだからこそ、デニムの洗濯方法については多くの情報が飛び交っているともいえます。着用するたび、あるいは2~3回の着用で洗濯している人がいる一方で、色落ちを考慮してあまり洗濯しない、数百万円するヴィンテージデニムだから洗濯はしないという考えの人がいるのも理解できます」(鄭さん)
では、普段着として着用するデニムの場合は、どのぐらいの頻度で洗濯するのが最適解なのでしょうか。
「デニムを洗う頻度は、毎日着用するのか週に3日なのか、カジュアルに用いるのか色落ちの美しさを追求するのかによっても変わりますが、基本的には、2~3回の着用につき1回程度の洗濯をおすすめします」(鄭さん)
デニムの専門家が伝授! 正しい洗い方
好みの色落ちのデニムに育てていくため、そして他の衣類への色移りを防いで洗濯するための方法について、鄭さんに伺いました。下記3つのポイントを押さえることが大切だそうです。
1.裏返して洗う
裏返すと摩擦を避けられるので、できるだけデニムの色落ちを押さえたいときに有効で、一番簡単にできる方法です。
2.デニム単体で洗うか洗濯ネットに入れて洗う
特に濃色デニムについては他の衣類と一緒にせず、単体で洗ってください。とはいえ、デニムだけ別に洗うのは大変だと思いますので、濃色デニムは洗濯ネットに入れて洗うようにしてください。
3.水で洗う
デニムの色落ちをおさえるためには、お湯ではなく水で洗ってください。お湯だと洗濯洗剤が溶けやすく、汚れも落ちやすいかわりに、インディゴ染料も落ちやすいからです。
洗う前に行うこと
「洗濯機洗い・手洗い共通で、洗濯表示を確認し、ボタンやファスナーは閉じ、裏返します。洗濯ネットにいれておきましょう」(鄭さん)
デニムの洗濯に適した洗剤は?
「デニムの色落ちを抑えたいのであれば、蛍光剤や漂白剤が入っていない中性洗剤を使うことをおすすめします。
また、ジーンズ専用洗剤もあります。これは、汚れだけを落としてデニムの色落ちは抑えるつけ置き洗い用の洗剤です」(鄭さん)
洗濯機で洗う場合の注意点
鄭さんによると、「”お急ぎコース”で手短に洗いましょう。脱水も、短い時間(1~3分程度)で行ってください」とのことです。
手洗いの方法と注意点
「デニムを手洗いする場合、裏返してデニム単体で洗ってください。デニム専用洗剤を使うのなら、水と洗剤の量や洗い方は、洗剤の取扱説明書で確認しましょう」(鄭さん)
長持ちするデニムの干し方
鄭さんによると「普段着のデニムは、外に干しても衣類乾燥機で乾燥しても構いません。ヴィンテージデニムなどこだわりのあるものは乾燥機にかけず外に干すのもよいでしょう。どちらも干す前にしっかりシワを伸ばしてください」とのことです。
外で干す際の注意点
「外で干す際のポイントは、干す前にシワをしっかり伸ばしてから陰干しすること」と鄭さん。シワやよじれが残ったまま干してしまうと、そのまま乾いてシワが硬くなり、その部分が色落ちしやすくなるそうです。
「干す時はウエスト部分が上でも下でも構いませんが、ウエストや脚の部分が丸くなるよう筒状に干すと、風が通って乾きやすいです」とも教えてもらいました。
衣類乾燥機を使う場合の注意点
鄭さんによると、「綿100%のデニムは基本的には衣類乾燥機が使えます。ただし、使う前には素材表示や洗濯表示を見て、洗濯方法を確認しましょう。
綿100%のデニムではなく、ポリエステルやポリウレタン、テンセルなど熱に弱い繊維が用いられているものは乾燥機にかける時間を短めにしてください」とのことです。
タンブラー乾燥不可の表示があるデニムもあります。
「ドラム式洗濯乾燥機の場合は、洗濯から乾燥まで自動にするとシワになりやすいので注意が必要です。洗濯までは他の衣類と一緒に行っても、脱水後、一度デニムを取り出してしっかりシワを伸ばし、デニム単体で乾燥機にかけてください。他の衣類と一緒に乾燥機にかけるより、デニム単体で乾燥した方が早く乾き、折れ癖がつきにくいです」(鄭さん)
浴室乾燥機を使う場合も、熱に弱い素材が使われているデニムは熱風が直接当たらない位置で干すとよいでしょう。
ガス衣類乾燥機「乾太くん」や「浴室暖房乾燥機」でスピーディに乾燥!
衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!
ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。
だからガス式は短時間で乾くんですね。
さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。
衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。
浴室暖房乾燥機がついている場合は、「換気」より「乾燥」運転がオススメ。
「換気」は空気を入れ替えるだけですが、「乾燥」運転は温風を当てながら換気をするので、洗濯物が早く乾きます。夜に洗濯をする場合でも、入浴のあと、浴室全体を乾かしながら洗濯物も乾かすことができるので、浴室のカビ対策と衣類の乾燥ができ一石二鳥ですよ。
特殊なデニムの洗い方
リジットジーンズ(生デニム、ノンウォッシュデニム)は、のり付けされたままの硬い生地のジーンズです。
「のりを落とす過程で洗いますが、洗濯機洗いでもつけ置き・手洗いでも構いません。インディゴの色をできるだけ残したい人は、専用洗剤を使って手洗いするとよいでしょう」(鄭さん)。
また、布裂けや穴あきといったダメージ加工を施したデザインのダメージジーンズは、はいているだけで破れてしまうこともあるほど繊細なので手洗いをおすすめするそうです。
カラージーンズ、ブラックジーンズ、ホワイトジーンズはタテ糸がインディゴ染めではなく、硫化染料や反応染料で染められています。鄭さんによると「タテ糸とヨコ糸のどちらも染められていることも多いため、一般的なデニムほど洗濯による色落ちを心配しなくてもよいでしょう。ただし、硫化染料は摩擦に比較的弱く、色落ちしやすい特徴がありますので、手洗いがベター」とのことです。
デニムの洗い方 Q&A
Q1.デニムはクリーニングに出せますか?
鄭さん「出せます。特に一部分だけ汚してしまったときは、利用されるといいのではないでしょうか。素材および洗濯表示を確認の上、クリーニング店にご相談ください」
Q2.想像以上に縮んでしまったデニムは洗濯で何とかなりますか?
鄭さん「縮んだデニムを洗濯で戻すのは難しいです。ただし一般的なデニムは元々洗いがかかって縮んでいますので、洗濯で縮む心配は少ないと思います」
おわりに
デニムの洗濯については情報があふれていますが、基本を押さえておけばあとは自分のライフスタイルに応じてアレンジすればよさそうです。
色落ちを抑える洗濯方法も意外とシンプル。デニムを裏返して洗濯ネットに入れて水で洗う。これだけです。あとは乾燥前にシワをしっかり伸ばすのがポイント。これだけ覚えておけば、デニムは丈夫な生地なので、あまり神経質にならなくても大丈夫!
デニムは洗濯すると、生地にハリが戻りますし、清潔に保つことは生地が傷まないためによいことです。デニムを長く愛用するために、適切に洗濯したいですね。