保冷剤の使い道は1回切り? 再利用しても良い?
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保冷剤メーカーの三重化学工業株式会社 大林さんによると、業務用のパウチタイプの保冷剤は日本保冷剤工業会でJIS規格が定められています。衛生面でのリスクを最小限にするため、基本は1回利用を想定しているそう。あらかじめ使用時の注意点や避けた方がいい使い道についても確認しておきましょう。

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特に不織布タイプは、結露しにくいため食品に添えるには最適ですが、アルコール殺菌しても雑菌のリスクが高いと言います。再利用するのであれば、フィルムタイプを使い、雑菌には注意したいところです。三重化学さんでは抗菌フィルムタイプも発売しています。
保冷剤の原料は9割以上が水! それ以外に含まれている成分の違い

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保冷剤の原料は90%以上の水とゲル化剤だそう。商品によってゲル化剤に使っている原料が異なります。
多く使われているのが、CMC(カルボキシメチルセルロース)と高吸水ポリマーの2種類。融点が「ー3℃〜0℃」と食品の鮮度をキープする保冷力に優れています。この2種類は90%以上の原料が水という特徴があり、保冷時間に差はありません。
CMCは原料が天然素材なので、コストは高めですが、高吸水ポリマーに比べてより安全性が高いのが特徴です。また繰り返し冷凍や解凍を繰り返したり、紫外線に当たっても安定性を保つ傾向にあります。
一方、高吸水ポリマーは価格はお手頃ですが、紫外線に弱く、冷凍・解凍を繰り返すと分離しやすい性質があります。
三重化学さんでは保冷剤は誤飲誤食のリスクがあるため、小さいタイプ(10g〜50gサイズ)の原料はCMCにしているそうです。
最近、登場したマイナスグレード(低融点タイプ)と呼ばれる保冷剤は、増粘多糖類(グアガム)と塩分を原料に加え「ー15℃」の融点で強力な冷却力を持ちます。

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鮮度を維持するだけでなく、クーラーボックス内を5℃〜10℃の温度に下げて冷却する効果が期待できます。高い冷却力は魅力ですが、凍結させるのには時間がかかります。また保冷時間が短いというデメリットもあります。
保冷剤の再利用は、あまり推奨していないとのことですが、複数の使い道について可否をお伺いしてみました。
【保冷剤の使い道】これは基本! 気温が高い時期のお弁当に

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気温が高い時期のお弁当には、保冷剤を一緒に入れてあげるとよいでしょう。菌は低い温度で繁殖力が鈍ります。
お弁当のふたの上に置き(できれば上下で挟んで)、保冷して温度調整を行ってみましょう。
【保冷剤の使い道】冷、温ボディケアをお手軽に!

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食材用と思われがちな保冷剤、実はボディケアにも活用できます。
保冷剤を冷たく凍らせたままで【毛穴ケア】

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本来の保冷剤の役割そのままに、洗顔後などの毛穴を引き締めるために保冷剤を使用するのもおすすめです。
冷蔵庫や冷凍庫で冷やした保冷剤をタオル等に包んでお肌に当てて冷やします。毛穴がキュッとひきしまりますよ。繰り返し使えるので毎日のお手入れにぜひ取り入れたいですね。ただし、冷やしすぎは凍傷のリスクがあるのでご注意を。
保冷剤を温めて【カイロ】のように使うことも
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保冷剤といわれていますが、温めて使うこともできます。
保冷剤カイロの作り方はとっても簡単。40度ぐらいのお湯で2〜3分湯せんするだけです。
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手拭いでくるんで背中に当ててみると、じんわりする温かさで癒されます。
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適度な柔らかさ、温かさはアイマスクにもおすすめです。温かさと湯気で目の周りの疲れがほぐれるようでした。
ちなみに、電子レンジでの温めは短時間で保冷剤の成分が沸騰することで保冷剤が膨張し、破裂する危険があります。また火傷の危険もあり、破裂すると電子レンジがジェルまみれに。温めるときは、電子レンジを使わず、低めの温度で湯せんするのがおすすめです。
【保冷剤の使い道】園芸用アイテムとしての活用できる?

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保冷剤は水を含んだ吸収ポリマーなので、園芸用品としての使い道もあるといわれることがあります。例えば、帰省や旅行などで家を留守にしがちな時、解凍したジェル状の保冷剤を鉢植えや庭の花壇に撒いておくと、水を含んだ吸収性ポリマーから水分が徐々に土の中に溶けていき、保水剤としての役割になるというものです。
他には、植物の周りに解凍したジェル状の保冷剤を袋から出して敷きつめ、その上に土を被せておけば2〜3日は植物を乾燥から守ってくれるという情報もよく見かけます。
実はこちらの方法は、オススメではありません。理由は、保冷剤の成分には園芸に向かないものが含まれている可能性があるためです。根腐れしたり、逆に植物から水分を吸収してしまう可能性もあるそうです。また少なからず、防腐剤の影響も想定されます。長持ちさせたい植物に使うのは避けた方が良いでしょう。
フラワーアレンジメントのオアシス代わりとしてもNG!

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保冷剤を切り花やアレンジメントを生ける際のオアシス(吸水スポンジのこと)にも活用できるという声もよく聞かれます。
ジェル状になっているので茎が安定しやすく見た目も涼しげですが、こちらも園芸用品と同様にオススメではありません。茎を塞いでしまうことで、花がうまく吸水できなかったり、逆に植物から水分を吸収してしまう可能性があります。
また、保冷剤の成分はほとんどが水と吸水ポリマーですが、その他に含まれる微量の成分は多様化しており、物によっては植物を傷めてしまう可能性もあります。
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実際にオアシスに水を浸したものと、保冷剤に水を足したものでどれくらい差が出るのかを実験してみました。
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上の写真は10日目の様子です。それほど大きな差は出なかったのですが、使う保冷剤によっては差が出る可能性があります。特に大事な切り花の場合には、通常のオアシスを使った方が良さそうです。
【保冷剤の使い道】消臭剤として活用できる?

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保冷剤には消臭効果があるといわれますが、実はそうではありません。たしかに、保冷剤の成分である「高吸水性ポリマー」は、消臭剤で使われることがありますが、この場合は消臭剤を吸わせることで「消臭剤」として販売しているそうです。
三重化学さんによると「保冷剤はすでに100〜400倍の水を含んでいる状態」で、さらに消臭剤を吸収するのは難しいでしょうとのこと。ただ、上からアロマオイルなどをかけて、芳香剤として使用するのはOK。お気に入りのアロマオイルがあったらぜひ試してみたいですね。
【保冷剤の使い道】防災グッズの携帯トイレとしての活用は厳しい!?

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防災グッズに必ず入っている携帯トイレ。断水時は水洗トイレが使用できなくなります。そのため、携帯トイレには尿を吸わせる吸収剤や防臭ポリ袋がセットになっています。
この携帯トイレ、吸収剤として使用されている主成分は吸水ポリマーです。保冷剤の吸水ポリマーを活用することはできるのでしょうか。
三重化学さんによると、メーカーにより見解が分かれる可能性はありますが、十分に水分を吸わない可能性が高く、携帯トイレとしては機能しないのではないかとのことです。保冷剤の中に入っている吸水ポリマーは限界近くまで吸水した状態になっているので、これ以上吸水しない可能性が高いそうです。
「一度、乾燥させれば、吸水させることができるのでは?」という疑問がわきますが、さまざまな微量成分を含んでいるため、同じように吸水させるのは難しいことが想定されるそうです。
保冷剤の基本知識

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製品にもよりますが、ケーキなどにある小袋タイプの保冷剤は、安全性の高いゲル化剤を使っている場合が多いので、健康を害するリスクは少ないようです。粒状やゼリー状のタイプを口にしてしまった場合は、牛乳を飲んで様子をみるという対処法もあります。
もし保冷剤の製造メーカーが確認できる場合は、インターネットでHPを検索してQ&Aを調べてみましょう。対処法が書いてあることがあります。
乳幼児や高齢者が誤って口にしてしまった場合は、しばらく様子を見ておくのが安心です。また、多量に食べてしまった場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
保冷剤を捨てるときは燃えるゴミ? 燃えないゴミ?
一般的には「可燃ごみ」で大丈夫な自治体が多いようです。ただし、地域によって異なるので自治体のHPなどで確認しておくと安心です。
おわりに
何げなく保存していた保冷剤、冷凍庫にたまってしまう時がありますよね。保冷として再利用するだけでなく、温めて使うなど、かしこく再利用してみてはいかがでしょうか。