布おむつのメリットとは? どんな方に向いているの?
敏感肌によい、環境に優しい、赤ちゃんとのスキンシップになる・・・。
布おむつのメリットについては色々と言われており、特に「できるだけ自然な育児をしたい」と考えるママ達に根強く支持されているようです。
赤ちゃんの育ちにも影響があるらしい・・・ということで、私も教育研究家として、実際に、一人目の赤ちゃんは布おむつで育児をしていた時期もありました。
その経験も踏まえて、布おむつのメリット・デメリットや、どんな親や赤ちゃんに向いているのかをご紹介したいと思います。
結論としては、「好み」の問題!
最初に結論をお伝えすると、布おむつは、総合的に考えると、ママにとっても赤ちゃんにとっても、紙おむつに対して特別にメリットが多いとは言えないと、私は考えています。
「どちらを使ったほうが、ママの気持ちがワクワクするか」で選ぶことをおすすめします。
布おむつを使った方がワクワクする、楽しい、と感じられるなら、布おむつを。
そうでないなら、紙おむつでも、特に大きなデメリットはないと考えています。
布おむつのメリットといわれることに対して、一つ一つ検証していきます。
コスト面での布おむつのメリット・デメリット
よく言われるのが、「布おむつは、長期的に見るとコスト面でメリットがある」というものです。
おむつが外れるまでは個人差がありますが、仮に2年間で見てみましょう。
【紙おむつのコスト】
1枚あたり 20円くらい (大きさによって15円~35円)
1日あたりの使用枚数 6〜12枚
20円×9枚×365日×2年=131,400円
【布おむつのコスト】
1枚あたり 150円くらい
用意する枚数 40〜50枚
おむつカバー 10枚程度(1枚 約1,000円)
150円×50枚+10,000円=17,500円+洗濯代
洗濯代やどのメーカーのおむつかにもよりますが、洗濯代を抜いて考えると約7.5倍の差があるようです。
洗濯代については、洗濯機か手洗いかや、選ぶ洗剤によってもかなり異なるので、一概に算出しにくいですが、それを加えたとしても、紙おむつのコストを上回ることはなさそうです。
また、初期費用はかかりますが使い回しができるので、2人目以降はおむつ代がかからないことにもなりますね。
さらに、布おむつであれば、使い捨てが多い「お尻ふき」も、洗えるものを買っておむつと一緒に洗う・・・ということもできるので、さらにコストが下がります。
このように計算すると、コスト面では、布おむつに大きなメリットがあります。
布おむつへの「こだわり」でコストUP!
ただ、ここで一つ注意いただきたいことがあります。
布おむつを選択する方の傾向を考えると、「節約のため」というコスト面よりも、「お肌に優しい」「環境に優しい」「デザインがおしゃれで可愛い」などの付加価値に魅力を感じている方が多いように思います。
その場合、布おむつ自体が高くなったり(お肌に優しい生地や可愛いデザインなど)、洗剤代が高くなったり(お肌や環境に優しい洗剤など)することも。
また、せっかく買ったけどお肌に合わなかった、結局洗濯が大変で使わなかった、ということも十分考えられます。
最初に一気に買いそろえるのではなく、少しずつ買って試してみたり、もし知り合いに布おむつを使っている方がいたら、貸してもらって使ってみることをおすすめします。
災害時の布おむつのメリット・デメリット
震災などの災害で流通に影響がでた時などは、紙おむつは不足しがちになりますね。
ただ、本格的に被災した場合は、水も止まってしまことがあるので、布おむつの方が洗えず、家に紙おむつを多めにストックしておいた方が、メリットがあることも。
非常用持ち出し袋にも、布おむつより紙おむつを入れておいた方がいいでしょう。
また、非常時は、ビニール袋とタオル・古布を使って非常用布おむつを作る方法もあります。
ビニール袋を切り開いて、長い一枚のビニールにし、真ん中にタオルや古布などを敷いて、赤ちゃんの腰の辺りで結ぶだけです。
真ん中のタオルや古布がおしっこ等を吸収し、ビニール袋が外に漏れるのを防いでくれます。布の部分は、汚れたら新しいものと交換しましょう。
外見面での布おむつのメリット・デメリット
布おむつは色々な柄があり、好みに合わせて選ぶ楽しさがあります。
布おむつを履かせると赤ちゃんのお尻がもっこりと膨らんで、それだけでも可愛いのに、絵柄が可愛いと見ていて本当に楽しくなりますね。
お肌に優しい、漏れにくい、サイズ合わせが柔軟など、メーカーによって色々な工夫があり、ニーズに合わせて選ぶこともできます。
ただし、服と違って、布おむつはその上に服を着せるわけですから、おむつだけの姿を見せる相手は限られます。
ママ自身や身内で楽しむとしても、ベビー服や赤ちゃん服だけでも、十分楽しめます。
可愛いから布おむつを使う、というよりも、どうせ使うなら、可愛い物を使うともっと楽しい、という付加的なメリットとして考えた方がよいと思います。
外出時の布おむつのメリット・デメリット
外出時においては、布おむつよりも、紙おむつの方がメリットが大きいと言えます。
布おむつは持って行く際、ぺったんこにできる紙おむつよりもかさばります。
また、紙おむつは、専用のゴミ箱があるなど、捨ててくることが可能な場合もありますが、布おむつは必ず持ち帰らなければなりませんし、その場で予洗いなどもできません。
赤ちゃんと外出するときは、ただでさえ、着替えやミルクなどのお世話グッズで荷物が多くなるので、さらに布おむつがかさばるのは大変です。
また、実家へ行ったり、旅行に行くなど、泊まりでのお出かけの場合は、行く先でも、布おむつを洗える環境を整える必要があります。
「家の中では布おむつだけど、外出時は紙おむつを使う」という選択肢もあります。臨機応変に考えることをおすすめします。
赤ちゃんの育ちにおける布おむつのメリット・デメリット
布おむつが赤ちゃんの育ちにプラスになる、ということもよく言われます。
私が布おむつを使ってみようと思ったのも、これが大きな理由でした。
実際に使ってみた結論としては、プラスになる・ならないは、赤ちゃんと親のタイプによるもので、一概には言えない・・・というものです。
よく言われるメリットについて、一つ一つご説明したいと思います。
赤ちゃんのお肌に優しい?
お肌に合う・合わないは、赤ちゃんの体質によって細かく違います。
現在は紙おむつもかなり進化しているので、一概に、布おむつならお肌に優しい、とは言えないと感じています。
実際にうちの子は、普通の布おむつだとかぶれてしまい、特定のメーカーの布おむつなら大丈夫で、さらに紙おむつならメーカー問わず大丈夫・・・という体質でした。
紙おむつも、メーカーによって、これなら合う・合わないというものがあるようで、それも、単純に価格の違いだけではないようです。
布おむつでも、メーカーによる違いがあります。敏感な子であれば、洗剤などでも異なる可能性があります。
今のおむつが赤ちゃんのお肌に合わないな、と思ったら、紙おむつ・布おむつという違いだけでなく、色々なメーカーのものを試してみることをおすすめします。
おむつ外れが早い?
これも、布おむつのメリットとしてよく言われることです。
布おむつは、濡れるとすぐ分かるため、すぐに泣いて知らせてくれることが多い、と一般的には言われています。
何回もその経験を重ねていくうちに、濡れるのが嫌で濡れる前に伝えてくれるようになってくれる、という説もあります。
また、親のほうも、赤ちゃんの様子を注意深く見るようになるので、おしっこやうんちの前兆が分かるようになったり、トイレトレーニングを取り入れるのが早かったり、必然的に工夫するようになります。
そのため、おむつが早く外れることが考えられます。布おむつだと、早ければ1歳半くらいから外すことが可能になる・・・とも言われています。
ただ、実際のところ、本格的にトイレのコントロールができるようになるのは、「濡れたことが分かる」能力ではなく、「尿意・便意を我慢できる」能力が育ってからです。
スウェーデンの約50人の赤ちゃんの追跡調査研究によると、昼間の尿が全く漏れなくなる頻度は、3歳52%、4歳93%、5歳100%、夜間睡眠時の尿が全く漏れなくなる頻度は、同じく17%、63%、87%と報告されているそうです。
日本小児泌尿器科学会によれば、1歳頃になると、尿が貯まった感覚が分かるようになるそうです。
ただ、通常は2~3歳くらいまでは、尿意を感じたとたんに、反射的に膀胱が縮んで、勝手に尿が出てしまい、本人の意思では止めることができないとか。そして、排尿機能の発達には、かなりの個人差があります。
こうして考えると、1歳~2歳の早い時期におむつを外すというのは、赤ちゃんも大人も「かなり頑張っている」状態だと思います。
なぜ頑張るのかといえば、布おむつにおしっこやうんちをすると、赤ちゃんにとっては「不快」であり、大人にとっては「大変」だからです。
紙おむつがなかった時代は、今よりおむつ外しは早かったと言われます。それは、やはり当時の親や赤ちゃんが、不快や大変さを避けるために「頑張っていた」こともありそうですね。
つまり、布おむつだと、おむつ外れが「自然と早くなる」というものではなく、おむつ外しを「早くしたくなる」「そのためにお互い頑張る」、という風に考えた方がよいかもしれません。
ちなみにうちの子の場合は、そもそも布おむつが濡れても気にしないタイプだったようで、それを泣いて知らせてくれるということからして全くありませんでした・・・。本当に個人差があるのだと感じています。自分達にとってやりやすい方を選ぶことをおすすめします。
参考:日本小児泌尿器科学会「小児の排尿機能発達・尿失禁症」
スキンシップやコミュニケーションが増える?
布おむつは取り替え頻度が多いので、赤ちゃんとのスキンシップや、赤ちゃんとのコミュニケーションが増える、ということもよく言われています。
確かに、紙おむつであれば、ある程度「ほったらかし」にできるので、布おむつによって接点が増えるということはあるでしょう。
親子の触れ合いが多いほど、赤ちゃんの心理的発達によい影響を与えることは、言うまでもありません。
ただ、この点を気にするのであれば、紙おむつであっても、普段からスキンシップやコミュニケーションを心がけていれば、特に問題はありません。
おむつ替え以外にも、授乳・ミルクや着替えなど、赤ちゃんと触れ合う機会はたくさんあります。
一方布おむつの場合、「洗濯」という作業に時間が取られます。
考え方によっては、紙おむつの場合は、その時間を赤ちゃんとの触れ合いにあてられる、とも言えます。
紙おむつだといってほったらかしておくのは、もちろんよくありませんが、布おむつだからこそできるスキンシップがあるかといえば疑問です。
紙おむつでも布おむつでも、赤ちゃんにはたくさんスキンシップをしてあげて、おむつ替えのときは声かけをしてあげ、手が空いたらコミュニケーションを心がけることが大切です。
手間の面での布おむつのメリット・デメリット
「手間がかかる・かからない」に関して言えば、結論から言って、圧倒的に紙おむつの方が手間がかかりません。
紙おむつにかかる手間
紙おむつにかかる手間は、以下です。
●買い出しにかかる手間
●ゴミ捨ての手間
特に紙おむつのゴミは、重い、かさばる、臭いがするなど、たくさんのデメリットがあります。
ただ、多くの自治体では紙おむつは「燃えるゴミ」で出すことができ、ゴミ出し頻度も高いですし、収集も無料の場合が多いです。
消臭グッズも、おむつが臭わない袋やゴミ箱、消臭剤など色々なものがあります。
買い出しについては、スーパーで買うのは大変ですが、現在は通販や宅配などで定期的に買うこともできるので、ちょっと工夫すれば、そこまで手間ではないと思います。
布おむつにかかる手間
一方、布おむつは、「洗濯・乾燥」に圧倒的に手間がかかります。
単におむつを洗濯するだけならいいですが、布おむつはどうしても漏れやすいので、下着や服、場合によっては自分の服や絨毯などまで洗濯する事態になることもあります。
(もちろん、紙おむつでも漏れることはあります)
洗濯はもちろん、乾燥にも時間がかかります。晴れた日ならよいですが、季節や天気によって乾きにくいときは、うっかりすると布おむつが足りない・・・という事態も起こりかねません。
おしっこだけなら大した手間ではありませんが、うんちとなると、予洗いやつけ置きなども必要になります。
また、赤ちゃんがねんねのうちは、動きも少ないので比較的楽ですが、動き回るようになると漏れやすくなります。
さらに、離乳食が始まるとうんちの質が変わって、臭いも量もUP・・・ということになります。
もしも、洗濯に専念できるなら、作業自体は難しくはありません。
でも、赤ちゃんが泣いたりぐずったりしている状況で、同時に布おむつの処理をしなくてはいけないというのは、かなり大変です。
もし、布おむつを使ってみたいのであれば、できるだけ他の家族の理解を得て、助け合って取り組むことをおすすめします。
布おむつの最大のメリットは「ワクワク感」!
色々と述べましたが、布おむつの最大のメリットは「手間をかけるからこその楽しさ」ではないかと思います。
紙おむつを使っていると、どうしても「おしっこやうんちを処理している」という感覚になります。ポイっと捨てて終わりになり、ゴミに出すときは、どうしても臭くて嫌な気持ちになります。
「便利」「楽ちん」という感覚はあっても、「ワクワク感」は得にくいと思います。
でも布おむつだと、「手をかけるからこそのワクワク感」があると言えます。
また、ある程度おむつの生地や洗剤にこだわったとしても、長い目で見れば、かなり節約になる可能性は高いです。
可愛い柄のものを選んで、大切に洗って使うことにワクワクする方や、赤ちゃんのお世話に手をかけることを楽しみたい方、工夫しながら節約することが楽しいという方は、布おむつのメリットを感じやすいのではないでしょうか。
さらに、赤ちゃんのお肌に合っていたり、尿意に対して赤ちゃんの反応がよくなるようなことがあれば、親子で嬉しいですね。
一方で、紙おむつであれば、圧倒的に手間も時間もかからず、楽ちんです。
だから、その分の時間で、親子で嬉しいと思えることをしたり、自分がワクワクする過ごし方をしたらいいのではないかと思います。
おわりに
その経験も踏まえて、布おむつのメリット・デメリットや、どんな親や赤ちゃんには向いているのかをご紹介しました。
布おむつでも紙おむつでも、自分に合った方を選んで、楽しいお世話ができるといいですね。