赤ちゃんの「手づかみ食べ」、どんな意味があるの?
手づかみ食べとは、その名の通り、赤ちゃんが食べ物を自分の手で掴んで食べることです。
赤ちゃんの食事は、母乳やミルクを飲ませてもらうことから始まって、ママにスプーンで離乳食を食べさせてもらうようになり、それから自分の手で掴んで食べるようになります。
「手づかみ食べ」の大切な意味
手づかみ食べは、「自分の力で食べられるようになる」という、成長の大切なプロセスです。
近年、「はいはい」が赤ちゃんにとってとても大切だということが、よく知られるようになっています。まだ歩けないから仕方なく、ということではなく、全身を使って「はいはい」することが、身体のバランスの発達につながると言われています。
手づかみ食べも「はいはい」と同じで、「スプーンやフォークが上手く使えないから仕方なく・・・」ということではなく、「自分の手で食べ物を握って口に運ぶ」というプロセスをしっかり体験することが大切だと言われています。例えば以下のようなことです。
●五感の発達
・・・食べ物の温度、固さ・柔らかさ、触感、臭いなどを感じてから食べることが、五感の発達に繋がります。
●手先の発達
・・・目と手と口をすべて協調させて動かすことは、手先の発達に繋がります。おもちゃと違って、強く握りすぎると潰れるなど、力加減を学ぶこともできます。
●一口の量を学ぶ
・・・親がスプーンであげるときは量が調整されていますが、自分で手づかみ食べすることで、自分の口に適した大きさや量を学びます。
●食べる意欲
・・・自分のペースで食べることで、食べることの楽しさや意欲が育ちます。
手づかみ食べを十分にすることで、その後のスプーンやフォーク、お箸などへの移行もスムーズになると言われています。道具を使う練習を急がずに、まずは手づかみ食べをしばらくさせてあげましょう。
赤ちゃんの「手づかみ食べ」はいつから?
赤ちゃんの手づかみ食べには個人差がありますが、生後9ヶ月ぐらいから、離乳食が2回食になった頃ぐらいからと言われています。
固さも幼児食に近づいて、手で「持てる」固さ(歯ぐきで潰せるくらいの固さ)のものが食べられるようになる頃です。
赤ちゃんが自分から食べ物に手を伸ばしたり、自分で食べたがるタイミングでもあります。
「手づかみ食べ」の大切な意味
そうはいっても、赤ちゃんが手づかみで上手に食べられるメニューは限られますし、何でも手づかみで食べさせるのは難しいこともありますね。
親がスプーン等で食べさせることと、並行して進めていくとよいでしょう。
手づかみで食べさせるものは、
●持ちやすい大きさ・形のもの
●持ちやすい固さ(水分が少ない)もの
がおすすめです。
例えば、
・大根、にんじん、ブロッコリーなどのゆで野菜
・スティック状にしたパン、小さいホットケーキ、蒸しパン
・おやき
・小さなボール状のおにぎり
などなど。
また、なかなか手づかみ食べをしないからといって、焦る必要はありません。
気分や体調によって、食べ方や食べる量にばらつきがある頃でもあります。
赤ちゃんの食べる意欲を見ながら、少しずつ試してみることがおすすめです。
赤ちゃんの「手づかみ食べ」、いつまでやらせる?
「手づかみ食べを十分にすることが大切」とお伝えしましたが、いつまで手づかみ食べをさせていいものか、迷うこともありますよね。
赤ちゃんがスプーンやフォークを使えるようになるのは、1歳~1歳半頃からと言われています。また、上手に使えるようになるのは、2歳前後と言われています。
ママやパパがスプーンやお箸を使っていると、自分も真似をして使いたがることもあります。
でも、上手く使えないと、早く食べたい気持ちが勝って、手づかみ食べに戻ることも。
メニューによって、手づかみ食べとスプーン・フォークを使い分けることもあります。
子どもは「行ったり来たり」しながら発達していくものだと思って、その子のペースを見守ってあげることが大切です。
「マナー」のしつけは3歳頃からでOK!
2歳頃からスプーンやフォークを上手に使えるとお伝えしましたが、2~3歳頃までは、子ども自身のペースや興味に従って、手づかみ食べとスプーン・フォークの並行でも。
食事のマナーとして、スプーンやフォークを使うように教えたいと思ったら、イヤイヤ期を抜けた3歳頃からを目安にしてみるのもよいでしょう。それまでは、言って聞かせてもなかなか聞いてくれないし、「理性」を司る子どもの脳もまだ育っていないと言われています。
「手づかみ食べ大好き!」な子でも、幼稚園や保育園で、周りの子がスプーンやフォークを使っているのを見ると使いたくなることもありますし、「フォークを使った方が手が汚れない」、と自分で気づくこともあります。
2歳を過ぎると、手づかみ食べはお行儀が悪く見えてくるかもしれませんが、子どもの手先の発達や、食べ方への興味・関心には個人差があります。
手づかみ食べどころか、ママ・パパに食べさせてもらいたがることもよくあります。
そんなときは、まだまだ手をかけてもらいたい、甘えさせて欲しい、という子どもなりの気持ちがあるのかもしれません。
繰り返しになりますが、「マナー」や「しつけ」ができ始めるのは3歳くらいからだと言われています。
また、子どもの成長・発達は「行ったり来たり」するものです。
最低限、「栄養が足りる程度に食べられていればOK」くらいに思って、子どものペースでできるようになっていくプロセスを見守ってあげましょう。
「遊び食べ」をしてしまうときの対処法
手づかみ食べの時期は、「遊び食べ」をしやすい時期でもあります。
「遊び食べ」とは、その名の通り、赤ちゃんがご飯やおやつを食べながら遊び始めてしまうこと。
赤ちゃんは、おもちゃとそうでないものの区別が付かないので、食べ物の触感が気になったり、テーブルの上から物が落ちるのが楽しかったり、はたまたママ・パパの反応が面白かったりして、食べている途中で遊んでしまうようになります。
下手っぴでも、一生懸命手づかみで食べようとしている場合は、見守ってあげましょう。
でも、食べ物をわざとぐちゃぐちゃにしたり、机の上や床や投げたり、あるいは席を立ったりして、明らかに「遊んでるな」と思うときがあります。
そんなときは、「遊んだらごちそうさまね。」と静かに声をかけて片づけることがおすすめです。
遊び食べも、2~3歳頃まで続くと言われています。
これも発達の過程なので、特に怒ったり叱ったりする必要はありませんが、あえて食べ物で遊ばせておく必要もありません。
「これは食べるもので、遊ぶものじゃないからね。」と根気強く言い続ければ、少しずつ分かっていくようになるはずです。
赤ちゃんの手づかみ食べのストレスを減らすには?
赤ちゃんの発達にとって、大切な手づかみ食べ。
でも大人にとっては、机や床や服が汚れたりして、ストレスが溜まりますよね。食べさせる方がよっぽど楽だと思うことも・・・。
幸い、現代は便利なアイテムがたくさんあるので、物理的な環境を整えることでストレスを減らすことがおすすめです。
1. 汚れをなるべく防ぐ対策をする
まず、汚れをなるべく防ぐようにしましょう。
●ひっくり返りにくいお皿やコップを使う
●エプロンやスモッグを着せる
●手拭き・口拭きを常備する
●椅子にクッションや座布団を敷かないようにする
・・・などなど。
2. 片付けが楽ちんな対策をする
とはいえ、全く汚れさせないのは難しいので、汚れたときの片付けも楽ちんにしましょう。
●食事の後は着替えをする
●テーブルの上に大きなマットを敷く
●床にシートや新聞を敷く
●食事の後にお風呂に入る
●乾湿両用のハンディ掃除機を使う
●床の水拭きロボットを導入する
・・・などなど。
物理的な対策をすることで手づかみ食べや多少の遊び食べも、心のゆとりを持って見守ることができるとよいですね。
おわりに
赤ちゃんの手づかみ食べはいつから始まって、いつ頃まで続くのか、手づかみ食べは赤ちゃんの発育にとってどんな影響があるのかについてご紹介しました。
手づかみ食べは発達にとって大切なプロセスではありますが、親が無理をし過ぎる必要はありません。
親も子どももストレスを溜めることなく、楽しく食事の時間を過ごせたらいいですね。
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