トイレトレーニングはいつから始めるのがいいの?
「トイレトレーニングをするなら、早いに越したことはない」
「早く始めた方が早く身に付く」
そんな風に思っていませんか?
でも、トレーニングを急ぐあまり、親が一方的にパンツを脱がせて便座に座らせて、おしっこが出るまで待って・・・というやり方では、あまり意味がありません。
そもそも、トイレトレーニングは何のためにするのでしょう?
言うまでもなく、排泄を一人でするためですよね。
ここで「一人でする」というのは、自分でトイレに行って、自分でパンツを脱いで、自分でおしっこをして、自分で流して、また自分でパンツを履く、そんなプロセスが必要です。
一昔前は、1歳までにおむつを外したという話もよく聞きます。
でもそれは、布おむつを洗う手間を省くために、親が頻繁にトイレに連れて行くなど、親も子どももかなり頑張っていたからではないかと思います。
本当の意味で「一人でする」ためには、まず、おしっこをある程度、溜めておくための膀胱が発達している必要があります。また、自分の意思でおしっこを我慢してトイレに行き、自分でパンツの脱ぎ着ができる、という心身の発達も必要です。
日本小児泌尿器科学会によれば、1歳頃になると、尿が溜まった感覚が分かるようになるそうです。
ただ、通常は2~3歳くらいまでは、尿意を感じたとたんに、反射的に膀胱が縮んで、勝手に尿が出てしまい、本人の意思では止めることができないそうです。
また排尿機能の発達には、かなりの個人差があります。
つまり、トイレトレーニングを始めるのは、早くても1~2歳で、3歳以上になっても決して遅すぎるということはないと言うことです。
始める年齢やタイミングにもよりますが、おおよそ3ヶ月~1年くらいかかる場合が多いようです。
今は紙おむつも発達しています。急ぎすぎると、かえってなかなか終わらずにイライラしたり、子どもにとってもプレッシャーになってしまいます。
あまり焦らずに、子どもの身体と心の準備が整うタイミングを待つのが良いでしょう。
【トイレトレーニング時期の見極め方】「身体」の発達をチェック
まずは、トイレトレーニングに必要な「身体」の発達を見てみましょう。
□ トイレまで自分で歩いて行ける
□ 便座やおまるにある程度の時間座っていられる
□ おしっこの間隔が2時間以上空く
(お昼寝から起きたときにおしっこをしていない)
一人でおしっこをするには、「おしっこがしたいという感覚」が分かることが大切です。
かつ、その感覚(尿意)をトイレまで我慢できるようになって、初めてトイレでおしっこができるようになります。
トイレトレーニングの役割は、こうした感覚をつかめるようにしていくことです。
そのための目安が「おしっこの間隔」で、これはおしっこをある程度溜めておくための膀胱の発達を指しています。
【トイレトレーニング時期の見極め方】「言葉」の発達をチェック
トイレトレーニングは、親子でやり取りしながら進めることなので、簡単なコミュニケーションが取れるようになっていることも必要です。
□ 大人のマネができる、したがる
□ 大人の簡単な指示が分かる、実行できる(あのおもちゃを取ってきて、など)
□ 大人の問いかけに、簡単な言葉で答えられる(ウン、イヤなど)
□ 自分の欲求を簡単な言葉や仕草で伝えられる
大人のマネをする「ごっこ遊び」が好きな時期に、大人がトイレに行くところを見せてあげられると、トイレトレーニングがスムーズに始められます。
また、親が便座に座らせるのではなく、自分で便座に座れるようになるには、それを教えるためにコミュニケーション能力の発達が不可欠です。
なお、こうした言語能力の発達の目安は、1歳半~2歳頃だと言われています。
トイレトレーニングを嫌がる時はタイミングの問題の可能性も!
身体・頭脳の発達の時期とは別に、「精神的」にこの前後でトイレトレーニングを始めない方がいい、というタイミングがあります。
例えば、以下のようなときです。
□ 引っ越し
□ 入園、転園
□ 卒乳
□ 下の子を妊娠中、出産直後
□ 旅行の予定がある
□ 病み上がり
トイレトレーニングは、子どもにとって大きな挑戦。
また、親にとっても、気持ちと時間の余裕が必要なことです。
環境の変化や、情緒不安定になる出来事、生活リズムが不規則になるときにかかってしまうと、できるようになるまで必要以上に時間がかかったり、一度できるようになっても、またできなくなってしまうことがあります。
イヤイヤ期があまり激しいときなども、避けた方がいいと言われることもあります。
ちょうどいいタイミングを見つけるのはなかなか難しいかもしれませんが、焦らなくても大丈夫。
いつかはできるようになる、と長い目で見てあげましょう。
シールは有効? トイレトレーニングの進め方のコツ
トイレトレーニングの進め方は色々な本も出ていますが、基本的な進め方のステップとコツをご紹介します。
ステップ1. 「トイレに行く」という意識づくり
まず、「これから、おしっこやうんちをトイレでする練習をするんだよ」ということを理解してもらいましょう。
ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、親がトイレでおしっこやうんちをするところを見せてあげるのが一番です。
その際は、パンツを脱いだり、履いたり、流したりする仕草もゆっくり分かりやすく見せてあげるとよいでしょう。
あるいは、絵本や動画などでも大丈夫です。
おトイレ関係の絵本はたくさん出ているので、子どもが気に入る一冊を探してみましょう。
また、「ごっこ遊び」の感覚で、おむつはまだつけたまま便座に座らせてあげ、「ここでおしっこやうんちをするんだよ」と教えてみましょう。
この時点で、座ることをとても嫌がる、ちょっとの間も座っていられない、という場合は、まだトイレトレーニングを始めるのは早いかもしれません。
お手本や絵本を見せることは続けながら、やる気の出るタイミングを見計らいましょう。
ステップ2. 定期的に便座でおしっこ・うんちをさせる
次に、生活リズムに合わせて便座に座るよう誘い、そこでおしっこ・うんちをする体験をさせましょう。
子どもの排泄のリズムを、あらかじめ観察・記録するなどして把握しておけると便利です。
それほど定期的でない、分からないという場合は、15分~30分おきなど定期的に誘ってみましょう。
簡単な表を作って、おしっこ・うんちが出た時間を記録していくと、翌日以降に参考になりますよ。
パンツの上げ下ろしについては、もたもたしているうちに直前で漏らしてしまうこともあるので、最初は手伝ってあげましょう。
パンツの脱ぎ履きを自分でやらせるのは、トイレにすっかり慣れてからでもよいと思います。
ステップ3. 自分でおしっこ・うんちの意思表示をさせる
布パンツやトレーニングパンツに切り替えるタイミングには諸説ありますが、ある程度進んで便座に座ることができるなら、切り替えた方が子どもの意識も高まると思います。
そうすると、お漏らしをしたときに自分で分かるようになるので、その前の「おしっこがしたい感覚」も、自分で分かりやすくなると言われています。
まだ1歳~2歳であれば、「トイレに行きたい」というハンドサインを教えて、サインを出したらすぐ手伝ってあげるのもよいでしょう。
尿意が自分で分かるようになれば、だんだん自分からトイレに行くことができるようになります。
この段階で大切なことは、便座でおしっこ・うんちができなかったり、便座でないところで漏らしてしまっても、叱ったり小言を言ったりしないこと。
そして、成功したらたくさん褒めてあげることです。
子どもが2~3歳なら、シール表を作って、成功したら貼っていくのも、子どものやる気を高められるでしょう。
トイレトレーニングは子どものやる気と努力も大切なので、「これが埋まったら遊園地に行こうね」など、ご褒美の約束をしてもよいと思います。
ステップ4. 就寝時のおむつ外し
お昼寝や夜の就寝時については、昼間のトイレトレーニングよりも「遅い時期」がよいと言われています。
スウェーデンの約50人の赤ちゃんの追跡調査研究によると、夜間睡眠時の尿が全く漏れなくなる頻度は、3歳17%、4歳63%、5歳87%と報告されているそうです。
寝ているときの尿は意識の問題ではなく、身体の発達の問題です。
しばらくは夜間用のおむつをつけ、朝起きたときにおむつが濡れていないことを確認しましょう。
夜間におしっこをするとがなく、朝一番に自分から毎日おしっこができるようになったら、外しても良いタイミングです。
小学生に上がるまでくらいは防水シーツなどを常備するのも手。おねしょで子どもをがっかりさせないようにしてあげましょう。
布パンツ? トレパン? 自分達に合ったやり方を!
トイレトレーニングを始めるとき、迷いがちなポイントについてご紹介します。
布パンツ? 紙パンツ? トイレトレーニング中はどちらが良い?
トイレトレーニング中、布製のパンツを使った方がいいか、紙製のトレーニングパンツを使った方がいいのか、迷う方も多いと思います。
紙製のトレーニングパンツは、漏れないけれど濡れた感覚が子どもに分かるという優れものですが、漏れない安心感が子どもに伝わってしまうので緊張感がない、と言われることもあります。また、値段が普通のおむつよりも割高です。
一方、布パンツは、失敗すると濡れるし漏れるのでリスクが高いですが、だからこそ親子で頑張ろうという気持ちになれますし、その後も長く使えるので経済的です。
個人的には、子どもの年齢が1~2歳で、トイレトレーニングがスムーズに進むか分からない初期の段階では、トレーニングパンツの方がお互いに楽だと思います。なお、トレーニングパンツの他、布パンツの上にあてるトレーニングパッドなども市販されています。
子どもがもう3歳以上で、短期決戦で挑戦できそうな場合は、布パンツに挑戦してみてもよいかもしれません。その場合は、布パンツを多めに(6~8枚)用意しておき、洗剤を入れたバケツを常備しておいて、汚れたらすぐ入れられるようにするのがおすすめです。
厚めで漏れにくい、トレーニング用の布パンツも市販されています。
お漏らしをしたときに子どもを責めてしまったり、子どもに過度なプレッシャーを与えてしまうと、トレーニングがかえって進みにくくなることもあります。
精神的に無理をしない方法がおすすめです。
トイレトレーニングを行う時期は夏? 冬?
よく言われるのが、トイレトレーニングは夏がよいということです。
夏は、おもらしをしても洗濯物がすぐに乾く上、家では最初からパンツ一枚で過ごすこともできる、というのがその理由です。
もしタイミングが合うようであれば、確かに夏だと楽だとは思います。
ただ、今は衣類乾燥機もありますし、暖房をつければ室内でパンツ一枚になることもできます。
上の章でご紹介した、心身の発達の時期や、精神的にふさわしいタイミングに合わせる方が大切だと思います。
あまり季節にはこだわりすぎず、子ども自身の様子に合わせて始める方がおすすめです。
おまる? 補助便座?
おまるを使うか、補助便座を使うかも、迷うところです。
これは、家の間取りと合わせて考えるとよいと思います。
子どもが普段よく過ごしている部屋(リビング・子ども部屋など)とトイレが近いようなら、トイレに補助便座の方が、後処理なども楽ですし、おまるからトイレへ移行する手間もありません。
3歳以上なら、補助便座がなくても普通の便座で用を足せるかもしれません。
普段子どもがいる部屋とトイレが遠いなら、特にトレーニング初期は、子どものいる場所に持ち運べるおまるがおすすめです。
トイレに行くのを嫌がったり、冬でトイレが寒い場合も、おまるの方が始めやすいかもしれません。
なお、1階・2階にトイレがある場合は、補助便座を2つ用意することがおすすめです。
できればおまるも2つ用意した方が、1階と2階に持ち運ばずに済んで楽ですね。
おわりに
トイレトレーニングを始める時期やタイミングのコツについてご紹介しました。
私も上の子のときは張り切って早めに挑戦しましたが、今思えば本人にあまりやる気がなく、あえなく中断・・・。
そのとき保育士さんから言われたのが、「トイレに一人で行けるようにならない子どもはいませんから、遅くなっても大丈夫ですよ」という言葉でした。
その言葉を励みに、しばらくしてからご褒美シールを武器に再挑戦すると、比較的短期間でできるようになりました。
時期やタイミングの見極めは難しいですが、もしやってみてダメだったら、仕切り直せばいいことです。
無理をしすぎず、親子で楽しく取り組めるといいですね。