なぜ、お肉は正しく保存できないと危険なの?
動物の腸の中には、サルモネラ菌やO157を代表とする病原大腸菌など、食中毒の原因となる様々な細菌がいます。これらの細菌は、肉の加工中や設備の殺菌不足によって肉に付着する場合があるそうです。
そのため、お肉を安全に食べるためには、細菌やウイルスが付着している可能性があることを前提に考えた上で、正しい保存や調理方法を心がけなければいけません。
お肉の常温保存は危険! 細菌が繁殖しやすい温度帯とは?
食中毒の原因となる細菌は、一般的に15〜50℃で繁殖が盛んになると言われています。そのため、食中毒やウィルス感染を防ぐためには、購入したらなるべく早く冷蔵庫あるいは冷凍庫で保存しましょう。
【肉の正しい保存方法 基本編1】水分を拭き取る
パックに水分がたまっているの見たことありませんか。その水分は「ドリップ」と言われ、肉を解凍した時に細胞組織が傷ついて流出する液体です。タンパク質やエキス分も含まれているため、ドリップがたくさん出ると肉の旨味が低下してしまうことも。
冷凍する前には、ドリップや水分をキッチンペーパーなどでふき取りましょう。余分な水分が残っていると、一度凍結した水分が解凍した時に、また細胞を傷つけて旨味が流出する原因となってしまいます。また、ドリップを取り除いておくことで余分な臭みも取れるので、おいしい状態で冷凍することができるそうですよ。
【肉の正しい保存方法 基本編2】小分けにする
保存するときは、小分けにするほうが短時間で冷凍できるのでオススメです。また、分量は1回で使い切る量を目安にすると、調理する時にとても便利ですよ。
ひき肉
1回に使う量をラップで包みます。このとき、短時間で冷凍しやすいように薄めに包むのがコツです。
包んだ肉は密閉容器にまとめて入れて、なるべく空気を抜いた状態で保存しましょう。
薄切り肉
広げたお肉を1枚ずつラップで包んだ後、密閉容器にまとめて入れて保存します。
塊肉・鶏肉
調理に使う分量に切り分けて、それぞれをラップで包みます。その後は密閉容器に入れて、空気を抜いた状態で保存します。
ささみは筋を取って、1本ずつラップで包んで冷凍しましょう。
【肉の正しい保存方法 基本編3】密閉する
油脂を多く含むお肉は、空気に触れると酸化してしまうので風味が落ちます。また、少なからず水分を含んでいるので、雑菌やカビが繁殖することも。ラップや密閉容器などを活用しながら、なるべく空気に触れない密閉状態で保存しましょう。
【肉の正しい保存方法 基本編4】下ごしらえする
塩麹や塩コショウで味付けや、軽くゆでるなどの、下ごしらえをしてから保存するのもオススメです。下味をつけたり加熱してから保存すると、下処理の方法にもよりますが家庭用の冷蔵庫でも2〜5日は保存期間が延びるものもあるそうです。保存性も高まりますし、料理時間も短縮できるので便利ですね。
【肉の正しい保存方法 基本編5】保存した日ごとに分けて置く
冷凍といっても、ずっと使えるわけではないので、保存した日にちがわかるように袋に記載をしておくようにしてください。冷蔵よりは日持ちしますが、なるべく早く使い切るようにしましょう。
【肉の正しい保存方法 基本編6】なるべく早く冷凍する
すぐに食べないお肉は、なるべく早く冷凍しましょう。鮮度の落ちた肉は、冷凍してもおいしくありません。
また、冷凍自体に時間がかかると細胞が壊れて、解凍する時にドリップが出やすく、おいしくありません。
急速冷凍モードなどがある場合は使用、無い場合は、冷凍の温度設定を下げ、金属製のトレイなどにのせて冷凍しましょう。金属製のトレイにのせることで、温度の伝わり方を早くすることができます。
【肉の正しい保存方法 基本編7】庫内には食材を詰めすぎない
冷気がきちんと循環して庫内が低温になるように、庫内に保存する食材の量は7割までを目安にしましょう。また、ほとんどの細菌は低温だと増殖しにくくなりますが、完全に死滅するわけではありません。定期的に掃除やアルコール消毒をして、庫内を清潔に保ちましょう。
【肉の正しい保存方法 基本編8】冷凍・解凍を繰り返すのはNG
お肉は頻繁に温度変化があると、細菌が繁殖しやすくなり食中毒の原因になることも。また風味も落ちてしまうので、一度解凍したお肉は必ず使い切り、冷凍保存しないようにしましょう。
【お肉の保存期間】冷蔵保存の場合
お肉の種類と加工された形態で、適した保存期間が異なります。これは、それぞれのお肉の種類と形態で水分量が異なるため。一般的に、水分量が多いものほど保存期間が短くなるんです。
私たちが家庭でよく食べるお肉は、鶏肉・豚肉・牛肉の順に含まれている水分量が少なくなり、それに比例して、保存可能な日数も鶏肉・豚肉・牛肉の順に長くなります。安全に食べるためには、しっかり理解しておきましょう。
牛肉の保存期間
牛肉は屠畜(とちく)してから約10日〜2週間ほど熟成させて、食べごろになった頃に店頭に並びます。そのため、一般的な家庭の冷蔵庫では、加工方法によって適切な保存期間が異なります。
・スライス・・・3日
・ブロック・・・5日
豚肉の保存期間
豚肉は内側から傷んでくるので、悪くなっているかどうか分かりにくいそうです。そのため、2〜3日のうちに消費するのがオススメです。
鶏肉の保存期間
食肉の中で鶏肉が一番傷みやすいもの。購入したら、その日中か翌日には消費しましょう。
ひき肉の保存期間
牛肉・豚肉・鶏肉、いずれのお肉もひき肉に加工されたものは、その日のうちに使い切りましょう。ひき肉は空気に触れる面積が大きいので傷みやすいそうです。
【お肉の保存期間】冷凍保存の場合
家庭用の冷凍庫で保存するときは、約1ヶ月が風味を損なわない保存の目安です。また、冷凍保存したからといって細菌が死滅するわけではありません。解凍後は、しっかり加熱する調理方法を心がけて下さい。
ハム・ベーコン・ソーセージの保存方法は?
冷蔵保存のコツ
肉の加工食品は、一度開封すると保存が難しいので、なるべく早く消費するようにしましょう。どうしても食べきれないときは、できるだけ空気に触れないようにラップでしっかりと包んで保存します。
冷凍保存のコツ
ハム、ベーコン、ソーセージは一度冷凍すると風味や食感が悪くなる場合があるので、基本的に冷凍保存は向いていないそうです。どうしても冷凍が必要な場合は、1回に使う分量ずつに分けてラップした後に、密閉容器にまとめて入れましょう。
冷凍したお肉、風味を損なわずに解凍するコツは!?
冷凍保存は便利ですが、なるべく風味を損なわずに解凍したいですよね。どうすれば、美味しく解凍できるのでしょうか?
コツは「ゆっくり解凍する」こと。また、完全に解凍してしまうと、旨味のもとでもある肉汁が流れ出てしまいまうので注意が必要です。調理するのに一番ベストなタイミングは、肉の内部が少し凍っている状態なんだそう。
時間があれば、冷蔵庫に入れゆっくり解凍しておきましょう。
新鮮なお肉を選ぶのも美味しく保存するポイントです!
美味しく保存するためには、購入する時に良い状態のお肉を買うのもポイントです。
牛肉
肉の色が鮮やかな赤色で、ドリップがあまり出ていないものがオススメです。
豚肉
表面は淡いピンク色、脂肪は白色で弾力がありそうなものを選びましょう。豚肉も牛肉と同様、ドリップが少ないものがオススメです。
鶏肉
肉色が鮮やかで透明感がある、毛穴が盛り上がっている、肉に厚みがあるものが新鮮なお肉の特徴です。
おわりに
購入してからの小分けは面倒ですが、買ってきたパックのまま冷凍すると、使いたいときに手間がかかったり場所をとってしまうので不便なことも。
小分けにしておくことで、スペースもとらず、使いたい量だけ解凍できるので便利です。
参考:農林水産省「鶏肉トレーサビリティシステム導入の手引き」
参考:厚生労働省「お肉は焼いて食べよう」