洗濯物の色移りとは? 基本的な落とし方は?

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「洗濯による色移りで、よくご相談いただくのは、子どもの体操服と赤白帽を一緒に洗ったら赤い色が体操服に移ってしまったというお悩みです」と平島さん。
実は、色移りを落とすのは非常に難しく、必ずしも落とせるとは限らないそうです。そのうえで、平島さんは次のようにアドバイスしています。
「白い体操服に色移りした場合は、塩素系漂白剤を使って落とします。塩素系漂白剤は取り扱いに注意が必要なので、十分に気をつけてください。使用時には必ず換気を行いましょう。ポイントは、表示通りの分量を使用することです。分量が少ないと効果が出ず、多すぎると茶色く変色してしまうことがあります」(平島さん)
ただし、白以外の色柄ものに色移りしてしまった場合は、酸素系漂白剤を使うのが基本とのこと。酸素系漂白剤も製品の表示に従って使用しましょう。
- 白い衣類に色移りした場合:塩素系漂白剤
- 色柄もの衣類に色移りした場合:酸素系漂白剤
このように覚えておくといいですね。
洗濯中に色移りに気付いたらどうする?

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洗濯を始めてすぐ、洗濯槽の水に色がついていることに気付くこともあります。
「色落ちに気付いたら、まず原因となる衣類を取り出しましょう。取り出さないと、色が他の衣類に移り続けてしまいます。残りの衣類は、しっかりと洗い、すすぎや脱水まできちんと行いましょう。
色落ちしてしまった衣類は、定着していない染料を落としきらないといけないので、単独でしっかり洗ってから、その後すすぎと脱水を行いましょう。
このとき、余分な染料が残っていただけであれば、それを落としても色抜けは起こりません。ただ、もともと染色が十分でなかった場合は、色抜けが生じることがあります」(平島さん)
洗濯中に色移りに気付いた場合は、できるだけ早く対処することが大切ですね。
「色移りは一度起こると落とすのは難しいため、予防が大切です。ただし、色移りは初回の洗濯時に起こることがほとんどなので、注意が必要なのは最初だけです。色移りしやすい素材の衣類を初めて洗うときは、白や淡い色のものと一緒に洗わないようにしましょう」(平島さん)
色移りを防ぐためにするべきこと
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色移りしやすい素材を知っておく
「特に色移りしやすいのは、天然素材やデニム素材です。なかでも綿デニムは、初回だけでなく2回目以降の洗濯でも色移りしやすいため、他の洗濯物と分けて洗う習慣をつけましょう。基本、濃い色のもの以外とは一緒に洗わない方が良いですね」(平島さん)
デニムの正しい洗い方についてはこちらの記事をチェックしてみてください。

デニム・ジーンズの洗い方、干し方を徹底解説!
「あまり知られていませんが、海外ブランドの衣類も要注意です。特に、色鮮やかなイタリア製のものは色移りしやすいので、色柄ものを購入した際は分けて洗濯してください。価格に関係なく色移りすることがあるので、ハイブランドであっても油断は禁物です」(平島さん)
ハイブランドなど高価な衣料は色移りしにくいのかと思ったら、そうでもないようです。
「もちろん、ハイブランドは品質は良いのですが、お国柄なのか、ブランドに対する考え方が私たちとは違うのかもしれませんね。イタリア製の色物はクリーニング店に任せる方が安心です」(平島さん)
色移りする、しない、は、使われている染料によるのでしょうか。
「染料を使用した後の工程で、染料をしっかり定着させていないことが原因かもしれません。同じメーカーの同じ服でも、生産工場が異なると色移りの程度に差が出ることもあるようです。いずれにせよ、濃い色のものや天然素材は初回の洗濯で色移りのリスクがあるため、分けて洗うようにしましょう」(平島さん)
洗剤や漂白剤の使い方に注意する
「繊細な素材を洗濯するときには中性洗剤を使うのが基本ですが、デニムなどの丈夫な素材であればアルカリ性粉末洗剤を使っても大丈夫です。また、洗濯時に酸素系漂白剤を多用する方がいらっしゃいますが、これはおすすめできません。中性洗剤がクレーンゲーム機のようにやさしく汚れをつかんで落としていくものだとしたら、酸素系漂白剤はハンマーでガンガン叩いて汚れを落とすようなイメージなんです。そのため、ある日突然、衣類に穴が空いてしまうことも。酸素系漂白剤の使い過ぎには注意してください」(平島さん)
低めの水温で洗う
「色移りしやすい衣類は、水に浸した時点で染料が溶け出しますが、水温が低いほど色移りしにくいです。逆に考えると、洗濯表示に『40度以下』のマークがあるものは、色移りリスクが高い可能性があります」(平島さん)
衣類をぬれたままにしない
「衣類をぬれたまま放置すると、色移りのリスクが高まるため注意しましょう。たとえば、新品のTシャツを着て汗をかいた子どもが、それを脱いでそのまま洗濯かごに入れておいたら、いつの間にかかごの中にあった白い衣類に色移りしてしまうことも。このような失敗はよくあるケースです」(平島さん)
脱水後は速やかに乾燥を
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色移りの可能性がある衣類はぬれた状態だと色移りしてしまうことがあるため、脱水後は早く乾燥させることが大切です。また乾燥には、浴室暖房乾燥機などを利用するのがおすすめです。
「色移りしそうなものを分けて洗うと洗濯機を回す回数が増えるため、浴室暖房乾燥機などを利用した方が楽ですし、時短にもつながります。吊るして干す浴室暖房乾燥機は、衣類同士が密着しにくいため、摩擦や熱によるダメージが少なく、色移りや縮みのリスクも比較的低くなります。一方、衣類乾燥機は高温と回転による摩擦で衣類を乾かすため、色移りが起こりやすいです。特に濃色やデリケートな素材は、摩擦で繊維が傷んだり、熱で染料が移るリスクがあるため、衣類乾燥機の使用は避けた方が無難です。そもそも乾燥機不可の衣類も多いため、必ず洗濯表示を確認してから使用しましょう。
浴室暖房乾燥機を使用する場合は、サーキュレーターも併用するとより早く乾かせますよ。そして、浴室に干す場合におすすめしたいのは、広げるだけで使える平干しネットのような道具です。洗濯物をネットの上に並べるだけで乾かせますので、洗濯ばさみやハンガーを使う場合より手間がかかりません」(平島さん)
色移りのリスクを考えると、浴室暖房乾燥機を上手に利用したいですね。

TOKYO GAS
浴室暖房乾燥機がついている場合は、「換気」より「乾燥」運転がオススメ。
「換気」は空気を入れ替えるだけですが、「乾燥」運転は温風を当てながら換気をするので、洗濯物が早く乾きます。夜に洗濯をする場合でも、入浴のあと、浴室全体を乾かしながら洗濯物も乾かすことができるので、浴室のカビ対策と衣類の乾燥ができ一石二鳥ですよ。
色移りに関するQ&A

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色移りに関して、よく寄せられる質問について伺いました。
Q.色移り防止シートは有効?
「気休め程度かもしれません。専用の商品を購入するよりも、衣類を分けて洗う方が効果的です」(平島さん)
Q.白ものをきれいに洗うために重曹は効果がある?
「重曹には消臭効果はありますが、漂白効果はありません」(平島さん)
白い衣類をきれいに保つには
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色移りを防ぐためには「分けて洗うこと」が有効だとわかりましたが、白い衣類の白さを保つ洗濯方法はあるのでしょうか?
「たとえば、白シャツが黄ばんでしまうのは、皮脂などタンパク質汚れの影響です。そのため、アルカリ性の粉末洗剤をぬるま湯に溶かし、30分から1時間ほどつけ置き洗いをすると、くすみ感が改善されますよ」(平島さん)
おわりに
色移りしてしまったものを元に戻すのは難しくても、少し意識して工夫することで、色移り自体を予防できることがわかりました。
色移りリスクが高い衣類は、初めて洗う際に「分けて洗う」「水温を下げる」「速やかに乾かす」といった基本を守ることで、長く美しく保つことができます。
日々の洗濯時に色移りを防ぐ気配りをすれば、今よりもっとおしゃれが楽しめそうです。