トイレの水が逆流!? 知っておきたい原因と対処法を解説

逆流とは、水を流した先に何か障害物があり、一旦流れていったモノが再びトイレの便器内に戻ってくる状態のことです。時には、トイレだけでなくお風呂やキッチンなどからの排水を含む汚水が戻ってくる場合もあります。

逆流の兆候として「ボコボコ」という水音がすることが多いそうです。加藤さんによると、「普段とは異なる音がした場合は直ちにプロに相談してください」とのこと。

また、いつもとは異なるニオイが兆候になることもあるそうです。

「便器の水は、下水のニオイが上がってこないように『ふた』の役目をしています。そのため、ニオイが気になる場合は、まず便器の中の水位をチェックしてください。水位がいつもよりも低い場合は、排水管にモノが詰まっていることも考えられます」(加藤さん)

加藤さんがかつて修理に訪れた集合住宅では、トイレと玄関の距離が近かったこともあり、到着したときには玄関先までトイレの水があふれ出ていたそうです。

また、別のケースでは2階建て住宅の2階にあるトイレであふれた汚水が1階の寝室の天井にまで漏れていたそうです。

一般的にトイレで逆流が発生する頻度はとても少ないそうですが、一度起きてしまうと大きな被害になることもあり得ます。

実際に、自宅のトイレが逆流したら慌ててしまいそうです。そこで加藤さんから、逆流の際の初期対応として3つのポイントを教えていただきました。

加藤さんによると、戸建て住宅の水まわりはトイレ、洗面所、浴室、キッチンが隣接しているケースが多く、下水管はつながっている場合が大半とのこと。他の場所でも異常が起きていないかを確認しましょう。

今はあふれていなくても、何かの拍子にトイレから排水があふれ出る可能性もあります。

「あらかじめ、汚れても構わないシーツなどを便器の周りに配置して汚水が広範囲に流れ出さないようにしましょう」(加藤さん)

「昨今の建築設計上、便器からあふれ出るような逆流が起きることはほとんどありません。それにもかかわらず発生した場合は、直ちにプロに相談しましょう」(加藤さん)

頻度は高くないとのことですが、逆流の原因について考えられる2点を加藤さんに挙げていただきました。

加藤さんは、逆流が発生した場合は下水管の清掃が行き届いていないことが原因として考えられると言います。

しかし、下水管の内部は普段目にすることがないので、どれだけ汚れているのかが分かりにくく、また、一般家庭では清掃も難しいのが実情です。

加藤さんによると、半世紀ほど前までは災害などで逆流が発生したと聞いたことがあるとのこと。

「災害によって逆流が発生した場合は、周辺一帯に同様の現象が起きています。そうした場合は個人や民間企業ではなく、行政が対応にあたる状況かと思われます」(加藤さん)

加藤さんによると、通常の使い方をしていたのに5～10年で逆流が起きた場合は、建物に異常があることを視野に入れた方がよいとのこと。

一般的な使い方でトイレを利用している限り、逆流はあまり心配することはなさそうです。しかし、よりリスクを減らすため以下のようなことを知っておくと安心です。

「分譲マンションは2年に1度排水管の清掃を行うことが努力義務となっています。戸建て住宅は7～10年ごとの清掃が推奨されています」(加藤さん)

定期的な清掃実施で、逆流発生のリスクを限りなく下げることができそうです。

戸建て住宅の場合、お風呂、キッチン、トイレなど各水まわりに1つずつ屋外に排水桝が設置されていることが大半です。

「排水桝は、排水管清掃の作業口です。どこに排水桝があるのかを知っておき、その位置を清掃などを依頼した際に伝えれば、速やかに作業に移ってもらえます」(加藤さん)

仮にトイレから水があふれるほどの逆流が起きてしまった場合は、清掃なども大変な状況です。その時点で時間をかけて業者を選定することは難しいでしょう。あらかじめ信頼できるプロを知っていれば、そうしたときにも迷わず相談できます。

集合住宅などはまず管理会社、家主などに連絡を入れましょう。集合住宅の排水管は共用部にあたるので、管理会社が修理を発注します。

戸建て住宅の場合は、自分で依頼することになるので、依頼方法や費用の目安を知っておくと安心です。

加藤さんによれば、逆流の修理は他のトイレ修理とは異なり、作業時間より汚水があふれたトイレやその周辺を清掃する時間の方が長いのが特徴とのこと。

「どの範囲まで清掃してもらえるのか、清掃時間は見積に反映されているのかなどを依頼前に確認するようにしましょう」(加藤さん)

前述の通り、逆流が発生した場合は下水管の清掃が行き届いていないことが原因として考えられるため、高い水圧で汚れやつまりを落とす、排水管の高圧洗浄が必要になる可能性が高いです。

「排水管の高圧洗浄はおおむね作業時間が3時間、費用は3万円程度ですが、大きな建物の場合は排水管も長い為、作業時間や費用もこれより多くなります」(加藤さん)

また、高圧洗浄と同時に、逆流により汚れた部分などの清掃も依頼した場合、1時間あたり1万円程度の費用がプラスされることが多いそうです。

なお、排水管の高圧洗浄はすべての業者ができるわけではないそうです。

「連絡後早く訪問してくれる業者であっても、高圧洗浄に対応していない場合もあります。

東京ガスの修理サービスは高圧洗浄も対応しています。ただし、戸建て住宅のみの対応となり、マンションなどの集合住宅の場合は、管理会社やオーナーに事前に確認することが必須です。戸建て住宅での高圧洗浄は、まず排水桝を確認し、ファイバースコープで排水管内の状況を撮影します。そのあと、高い水圧による高圧洗浄を行い、排水管のつまり除去を行いファイバースコープで排水管内を確認します。

東京ガスの修理サービスによる高圧洗浄作業は1か所あたり29,700円(税込)です(2023年時点)。どういった作業を行うかは、ご自宅の状況によって作業員が判断しご説明いたします。普段から高圧洗浄ができる業者を調べておき、ボコボコと音がしたら早めに高圧洗浄の予約を入れることをおすすめします」(加藤さん)

東京ガスの修理サービス担当の加藤さんに、トイレの逆流の原因と予防策、対応方法についてお話を伺いました。トイレの逆流はほとんど発生しないと聞いて、安心した方も多いのではないでしょうか。

ただし、トイレからボコボコと音がする場合は、すぐにプロに相談し、排水管の高圧洗浄の予約をとることがよさそうです。逆流により、トイレ以外の場所に排水が流れ出た事例もあるとのこと。少しでも不安に感じたらできるだけすみやかに信頼できるプロに相談しましょう。