注目の「吊り下げ収納」ってどんなもの?
吊り下げ収納とは、フックなどを使って壁などに吊るして収納する方法です。例えば、上着がかかったハンガーをクローゼットの中のバーにかけるのも、「吊り下げ収納」です。また吸盤やマグネットで壁などに付けた収納にモノを入れる「浮かせる収納」も「吊り下げ収納」の仲間です。
そんな吊り下げ収納には、以下のようなメリットがあります。
- 掃除がしやすい
- 場所をとらない
- デットスペースの有効利用ができる
- 使いやすい(見えるので分かりやすい、手に取りやすい)
- 簡単に試せる(やり直しがしやすい)
吊り下げ収納のアイデアについて、整理収納アドバイザーの七尾亜紀子さんに伺いました。
吊り下げ収納が水まわりにおすすめな理由
吊り下げ収納は、自宅のいろいろな場所で活用できます。しかし、なんといっても強みを発揮するのは「水回り」。それには主に3つの理由があります。
その1.水回りのカビやぬめりが防げること。
ものが接触する面積が少ないので、水はけが良く、カビやぬめりの発生を防ぎやすくなります。拭き掃除がしやすい点もいいですね。
その2.狭い空間を有効に活用できること。
水回りは収納が少ない割に、多くの小物を使う場所です。例えばお風呂場では、家族それぞれのシャンプー・コンディショナー、ボディソープ、身体洗い用のグッズ、洗顔フォーム、シェーバーなど。しかし、収納は小さな棚のみのお宅が大半です。
また、洗面所では基礎化粧品や、歯ブラシ、歯磨きのチューブ、コップにハンドソープなどを置きたいもの。しかし収納スペースは、鏡裏や洗面ボウル周辺に限定されてしまいます。
「特にコンパクトな洗面台が設置されている住宅では、洗面台の上にハンドソープを置いてしまうと、コップや歯磨き粉といったモノを置く場所がないことがよくあります」(七尾さん)
その3.デッドスペースの活用と吊り下げ収納は、相性が良いこと。
水回りには収納が少ないため、わずかなスペースを有効活用することがポイントになります。
「鏡裏の扉に、収納グッズを貼り付けているご家庭もよく見かけます。また洗面台のすぐ横に洗濯機があるお宅の場合、洗濯機の側面に収納グッズをマグネットで貼り付けて、洗面台の上に置けないモノを置くのもおすすめです」(七尾さん)
水まわりは、【吊るして収納】【浮かせて収納】がポイント。
七尾さんからご紹介いただいたアイデアを写真とともに紹介します。「コレいいかも! 」というアイデアがあれば、参考にしてみてください。
【浴室】掃除道具も洗面道具も清潔keep!
浴室では、小さなフックやランドリーパイプを使う、「吊るす収納」と、普段見落としている空間を活用する「浮かせる収納」がおすすめです。
ここでは、浴室で取り入れられる吊り下げ収納のアイデア3つを紹介します。収納を工夫することで、キレイの習慣が定着したり、効率的な動線になるなどの効果も期待できそうです。
掃除グッズはランドリーパイプに吊るす
七尾さんのお宅では、お風呂のお掃除グッズは浴室内に吊るして収納しているとのこと。実はこの収納にする前は、洗面台下に掃除道具とお風呂用洗剤を収納していたそうです。
ところが「洋服を着ている時に足を濡らして掃除するより、お風呂に入ったついでにシュッと掃除したほうが楽」と思い、現在の収納方式に変更したのだとか。
掃除道具を吊るすメリットは、掃除の手軽さだけではないようです。
七尾さん「お風呂の中に掃除道具を置きたくないという方もいらっしゃいます。でも、浴室に吊るしたほうが掃除道具がすぐ手に届くため、『掃除の頻度が上がる』メリットがあります」
掃除がしやすい → 掃除の頻度が上がる → キレイが続くという好循環をもたらす収納法ですね。
洗顔フォームなどのチューブ類は、クリップ型フックで吊るす
洗顔フォームなどのチューブ類は、クリップ型のフックを使って浴室内のタオルハンガーに吊るすと便利とのこと。チューブ類を実際に使うときには、クリップがついたままチューブ洗剤を取り外し、使い終わったらまた吊るします。
「私たち整理収納アドバイザーの多くは、チューブ類を吊るしています。吊るしていない人の方が少ない印象です。お風呂場には小さな棚しか収納場所がないお宅も多いので、シャンプーやコンディショナーを置いたら棚がいっぱいになってしまうことも。そんな時はチューブ類を吊るしてみてください。棚のお掃除も楽になりますよ」(七尾さん)
バスシューズは壁面に浮かせる
浴室の壁面を使った「浮かせて収納」の事例もご紹介いただきました。こちらは、マグネット式のタオルバーを利用した浴室用サンダルの収納方法。
以前は、浴室ドアのタオルバーを利用していたそうです。当時バスシューズは、入浴時はタオルハンガーにタオルをかけるために洗濯機の上に移動。洗濯機を使う時は再度タオルバーに戻すという動線で、無駄が多く「何かうまいことできないか」と考えていたそう。この方法になって「日常のプチストレスから開放されました」と七尾さんは語ります。
なお、こうしたマグネット式の収納は、洗濯機の側面にも応用できるとのこと。
浴室近くに洗濯機を置いているお宅では、洗濯機の側面を活用する収納法も便利そうですね。
【トイレ・洗面所】ムダな空間が便利な収納スペースに!
続いては、トイレや洗面所での「吊るして収納」「浮かせて収納」のアイデア4つのご紹介。吊り下げ収納は、普段見落としている空間を活用するアイデアがいっぱいです。なんとなく感じていた毎日の不満に対し、「こうすればよかったのね! 」と解決のアイデアが見つかるかもしれません。
掃除用メラミンスポンジは、パイプに吊るす
水アカやホコリが混じった汚れがすぐに付着する、手洗いボウル。掃除を面倒くさがるあまり、見て見ぬふりをしている方も多いのではないでしょうか?
上の写真のように、洗面台やトイレの洗面ボウル下のパイプに袋を吊るしてメラミンスポンジを入れておけば、掃除道具を持ってくるひと手間がなくなり、掃除のハードルが下がりますね。
ヘアピン、髪ゴムは扉裏に浮かせる
洗面所の鏡裏を活用した収納法としてご紹介いただいたのがこちら。100円均一ショップのヘアピンホルダー、ヘアゴムホルダーという商品を利用しています。ホルダーを粘着テープで鏡裏にペタリ。あっという間にスタイリッシュな収納が完成です。
「洗面台の上にヘアピンを置くと濡れて茶色くさびてしまいますよね。こうしたグッズを使うと、直接置くことなく収納できます。写真は鏡裏に使用していますが、直接鏡に貼ってしまう方法もよいと思います」(七尾さん)
換気扇フィルターの収納も、扉裏を活用して
こちらは洗面所下の扉裏に換気扇フィルターを保管している写真です。カード類を入れる軟質フォルダーを両面テープで扉裏に貼り付け、その中に換気扇フィルターを収納しています。
七尾さん「フィルターを交換するとき、いちいちパッケージをビリビリあけて1枚出して、またパッケージを戻すという作業が結構面倒くさいですよね。この収納方法であれば、すっとフィルターを1枚取るだけですぐに換気扇に取り付けられます」
七尾さんのお宅では、同じ方法でトイレにはトイレ用換気扇フィルターを収納しているそうです。
掃除道具は100円均一グッズで挟んで床から浮かせる
次に、トイレのタンク側面を活用した掃除道具の収納アイデアを紹介していただきました。
例えば、100円均一ショップでも販売しているワンキャッチを使うと、床用ワイパーなど浮かせるスタイルで収納できます。ワンキャッチは、左右のアームで棒状の持ち柄を挟み、浮かせるグッズ。粘着テープを使って取り付けます。タンク側面に床用ワイパーがあれば、手を洗うついでに立ち姿勢のままスッっと床掃除ができます。
タンク側面を使った収納は、トイレブラシにも応用できます。トイレブラシを浮かせる場合は、ワンキャッチの下方にブラシ先端が入るケースを吊るします。トイレブラシからおちる滴を受けることができるので、床は常にカラッとした状態。とても衛生的ですね。
【キッチン】浮かせる収納で空いたスペースを有効活用
最後に、キッチンでの「浮かせる収納」アイデア2つを紹介します。収納方法を変えることで、買い忘れを防げるなど、行動や気持ちの面での良い変化も期待できそうです。
ゴミ袋は、突っ張り棒を活用してゴミ箱の上に浮かせて収納
まずご紹介するのは、冷蔵庫の横のキッチンのゴミ袋収納法。ゴミ箱の上の空間に突っ張り棒を2本使い、ゴミ袋をかけます。一枚ずつ取り出しやすいことに加え、ストックの量もひと目で把握できます。ゴミ袋の買い忘れもなくなりそうですね。
食品パッケージの水切りにも便利な「浮かす」一時置き
収納ではないものの、便利な「浮かす」アイデアもご紹介いただきました。上の写真は、水切りラック専用のペットボトル用水切りハンガー。ハンガーを水切りラックの側面に引っ掛けて濡れたペットボトルを逆さにかぶせ、ペットボトルから出る水滴が、シンクに流れるようにして使います。
七尾さんのお宅では、こちらを水筒を乾かす際に利用しているそうです。
さらに2本並べて、食品保存用のファスナー付きのフリーザーバッグや、お肉やお魚が入っていた食品トレイを乾かす際の一時置き場としても利用しているとのこと。
七尾さんによると「食品パッケージは、汚れたまま捨てるとニオイが気になりますよね。この方法はファスナー付きのフリーザーバッグや、お肉やお魚が入っていた食品トレー、お豆腐のパックなどを乾かす時などにも利用でき、とても便利なんです」とのこと。捨てる前のひと手間で、衛生的にも、精神的にも気持ち良く過ごせますね。
吊り下げ収納のポイントは「プチストレスを見逃さない! 」
七尾さんは「今回紹介したピンポイントで足していく収納は、『プチストレスを見逃さない』ことがポイントです」と話します。
「何となく不便だなと日頃感じていながら、ズルズルそのままにしてしまうことも多いかと思います。また、家族が置きっぱなしにしていることに常に腹をたてていることもあるかもしれません。それらを見逃さずに『何でこうなってしまうのだろう? 』と考えてみましょう。そうすると、『しまう場所がちょっと遠い』『しまうまでのアクションが多いから面倒くさい』などの原因が見えてきます。そうしたら、解決策の仮説を立てて、試してみるとよいですよ」(七尾さん)
おわりに
日常のプチストレスを見逃さずに、仮説を立て解決に向けて試すことがキレイ&便利な収納のポイントのようです。
吊り下げ収納は、100円均一ショップで手に入るグッズを活用しても簡単に試せます。今回ご紹介したアイデアで、気になる収納法があればぜひお試しください。