子育て中もメリット大! ミニマリストの生活
子どもがいる家庭では、気が付けばモノがあふれかえってしまいます。整理・掃除が大変でストレスが大きいことはもちろん、必要なものや大切なものが見つからなくなって困ってしまうことも。
子どもがいる家庭でも心地よく暮らせるミニマルライフの実践法を、ご自身も子育て中である整理収納アドバイザーでミニマリストのFujinaoさんに伝授してもらいました。
まず、ミニマリストの収納法を実践することでどんなメリットがあるのでしょうか。
メリット1 “自分の意思”を取り戻すことができる
「モノがあふれている状態だと、本当は何が大切で、何が不要なのか分からなくなってしまいます。自分の意思も大量の物の中で埋もれてしまうのです」(Fujinaoさん)
意識せずに何となく持ち続けているもの、必要かどうかも分からないものは少なくないはずです。片付けて取捨選択することにより、自分にとって本当に大切なものが分かり、自分の意思を取り戻せます。
「例えば、子どもたちがいつでもお友達を連れてこられるお部屋にしたい。そんなことをイメージしてはいかがでしょうか。他人を快く迎えられる部屋は、自分にとって居心地がよい場所と言えます」(Fujinaoさん)
メリット2 家事の負担が軽減できる
「床や棚の上にものが置いてあると、掃除をするためには、まずそれをどかさなければいけなくなります。その手間がなくなるだけでも、掃除がスムーズになります。また、ものが多ければそれを収納するための工夫も必要ですし、出し入れにも時間がかかります」(Fujinaoさん)
ミニマルな生活をするようになると、「楽になった」「心にゆとりができた」という声も多いそう。子育てに時間をとられる時期だからこそ、おすすめといえます。
メリット3 経済的な負担を軽減できる
セールなどで安いからといって、それほど必要ではないものや使いきれない量を購入してしまうことはよくあること。
「ものがないと心配な方もいるかもしれませんが、なければ何とか工夫をして乗り切るようになり、買わずに済むことも増えるでしょう。また、『ものを持つなら、気に入ったものを買おう』と考えるようになります。その方があまり気に入らないものがたくさんあるより、心が満たされ心地よく過ごせます」(Fujinaoさん)
メリット4 迷う・悩む時間を減らせる
「例えば、今日はどの服をどんな組み合わせで着ようか、外出する時はどのバッグを持とうか、どの靴を履こうかと悩むことは多いでしょう。また、料理をする時にも、調味料や調理器具、食器の選択で悩むこともありがちです。つまりモノがあればあるほど選択肢は多くなり、選択に時間をとられてしまうのです。でもこのような選択の中には重要ではないこともあるはずです。モノを減らすことによって、自分にとって重要ではないことで迷ったり悩んだりする時間を少なくできます」(Fujinaoさん)
選択肢を減らすことで悩む時間を減らせれば、余裕が生まれて自分にとって大切なことに注力できるというメリットもあります。
メリット5 子どもの学習にプラス作用がある
「片付いていることによって、勉強でも遊びでも思い立った時にすぐに取り掛かれます。やる気が出たその瞬間を逃さずに始めないと、子どもの興味がすぐに別のことにいってしまうのはよくあることです」(Fujinaoさん)
片付けは人生において、誰にでも必要な技術。片付けが苦ではない環境があることで、子どもに苦手意識を持たせずに済みます。
メリット6 子どもがモノを大切にするようになる
「鉛筆や消しゴムやノートなど、使いかけのものがたくさんあると、最後まで使い切ることが難しくなります。モノが多く、使い切る経験が少ないと、粗雑に扱うようになってしまうことも考えられます」(Fujinaoさん)
多くのものよりも、お気に入りのものを一つ与えることでものを大切にするという経験をさせやすいのです。
家族と一緒に整理整頓を行う際のポイントは?
自分一人の考えで整理整頓ができる一人暮らしとは異なり、家族がいる場合は、家族の承諾と協力が欠かせません。家族と暮らす家を整理整頓する際のポイントを伺いました。
まずは家族と話をしてみる
「家族の中でお母さんだけが片付かない状態に困っていて、家族は特に困っていないことはよくあります。また、家族とはいえ、価値観は異なります」とFujinaoさん。
だからこそ、具体的に自分が困っていることを家族に相談してみるステップが必要です。その上で、「こうしてみたい!」と提案したり、解決策を一緒に考えてみたりしましょう。
「特に、誰のものをどこに置くかというエリア分けは非常に重要で、このことをあらかじめ共有しておかないと、一度片付けをしても、分かっていない家族によって再びものがどんどん置かれてしまうことになります」(Fujinaoさん)
実際に片付けてみる
Fujinaoさん「家族が片付けの必要性を感じていない、片付けることに反対しているといったケースでは、実際に片付けをしてみてメリットを感じてもらうことが効果的です」
片付いた空間で暮らし慣れていない方は、そのメリットが想像しにくいのだそう。その場合は、実際に片付けてみて、「暮らしやすいな」「便利だな」と思ってもらうことが大切です。
片付けるにあたってのFujinaoさんのおすすめは、一つの部屋を一気に片付けること。そうした方が片付けのメリットを早くはっきりと感じやすいとのことです。
「例えば文房具などは1個だけでなく、同じリビングのあちらこちらにあるということはよくあること。片付けではものを仕分けして同じ種類で定位置を決めるので、部屋中のものを一気に片付けた方が効率はいいです」(Fujinaoさん)
しかし、それが難しい場合は、今回は引き出し、クローゼット、押し入れ、といった風に徐々に片付けていくのもよいとのこと。1カ所が片付くことで、他が片付いていないことが気になり、片付けへのモチベーションも上がっていきます。
引っ越し、入学などをきっかけに開始する
「気持ちが乗っている時、やる気が出ている時に取り掛かるのは、とても効果的です」(Fujinaoさん)
大掃除、引っ越し、入学、進級など、気分一新してスタートしたい時期をきっかけにすると、家族にも働きかけやすいです。家族の様子を見ながら声を掛けてみましょう。
家族の気持ちも尊重する
「片付けは習慣なので、家族に関してはすぐに結果を求めずに気長に対応することが大切です。また、片付いていると感じるレベルは人それぞれ。無理強いしてしまうと反発されてしまうこともあり得ますので、自分の価値観を押し付け過ぎないように気を付けましょう」(Fujinaoさん)
しかし、モノが増えるのはできる限り減らしたい。そんな場合は、「こだわりの一品」を一緒に探したり、提案したりするのがおすすめだそう。
「ボールペンや傘などは、どんどん増えてしまいがちです。そうした場合は、本人が気に入る1本を購入すると、それを使いたくなりますし、大事にするので、自然と増えなくなります」(Fujinaoさん)
空間を広く使える! ミニマリストの収納方法
ミニマリストならではのすっきりしていて使いやすい収納方法を、家のエリアごとに教えていただきました。
リビング
「リビングは家族の共有空間です。そのため、基本的には個人の私物を置かないようにするのがおすすめです。例えば学校の教室のように考えるとよいでしょう。日中は個人の私物があって散らかっていてもよいですが、夜寝る前には自分のエリアに私物は片付けるようにします」(Fujinaoさん)
Fujinaoさんのお宅では、夜寝る前にリビングをリセットする時間があるとのこと。お子さんはそれが習慣となっており、その時間になると黙々とお片付けを始めるそうです。
「ものの定位置を明確にすることも大切です。そうすることで、取り出しやすくなりますし、同じものをいくつも購入することを避けられます」(Fujinaoさん)
はさみやのりや電池など、リビングに収納することが多いちょっとしたものが見当たらず、買い直しているとどんどん増えていきます。そのため、細かなものは定位置を決めて、なくさないように管理することが大切です。
「定位置の決め方は、文房具なのか、お金に関するものなのかといった感じで、同じ種類で分類してまずはまとめてみること。さらに、同じ種類の中で細かく定位置を定めます」(Fujinaoさん)
散らかさないことよりも、片付けやすい仕組み作りがポイントとのこと。そのために、私物を片付ける時間を設ける、ものの定位置を決めることが大切なのです。
キッチン
「キッチンで優先したいのは“作業のしやすさ”と“衛生管理”です。作業台の上にはものがないことを基本にすれば、調理しやすく、掃除も簡単に済むのでいつも衛生的です」(Fujinaoさん)
キッチンはスペースの割にものが多い場所。細々としたものがたくさんあるので、以下の3種類に分けて考えます。
食品
食品については賞味期限をチェックして、過度に過ぎてしまっているものは手放すようにしましょう。使っていない調味料類がないかもチェックしてください。
インスタントコーヒーやお茶漬けの素など、個包装されているものは袋から取り出してボックスなどに入れておくと取り出しやすく、整理しやすくなります。
調理機器・器具など
「使用していない調理機器や器具、便利グッズなどで、機能がかぶってしまっているものは手放すようにしましょう」(Fujinaoさん)
例えば、魚焼きグリルでパンを焼けばトースターを手放せますし、魚焼きグリルの網を使えば揚げ物のバットを手放せます。
その他に、フルーツナイフは使わず三徳包丁のみにする、炊飯器を使わずお鍋でご飯を炊くといった工夫も可能です。
食器類
Fujinaoさんのお宅では、食器類の収納場所は2カ所に限定して、そこに収まるように工夫しているとのこと。
「保管場所が限られていますので、重ねやすいお皿やコップを選んでいます。家族は4人で近所に私の両親が住んでいますので、個数も6人分に決めています」(Fujinaoさん)
ピザカッターやカニスプーンなど、用途が限られた道具については、本当に必要なのか、他に代用できないか検討してみることも大切だそう。
玄関
玄関でかさばるものといえば、靴です。それぞれの生活スタイルや地域性もありますが、靴は家族それぞれが保有する数と収納エリアを決めて、その範囲に収まるようにします。
「足が痛くなるから何年も履いていない靴、メンテナンスしていない靴などは手放しましょう。普段使う靴はだいたい3~4足あれば十分ではないでしょうか」(Fujinaoさん)
ビーチサンダルや下駄など使用頻度の低い靴は、一緒に使う水着や浴衣とそれぞれセットにして収納しておくのもおすすめです。
玄関に置くことが多い傘も増えてしまいがちなので、布製のしっかりとした1本を買ったり、置き傘をしたりして増えないように工夫しましょう。
洗面所
「洗面所には使いかけの化粧水や整髪料などがたまりがちです。『また使うかも』と取っておきたくなりますが、使っていないなら手放しても問題ないでしょう。また、使いかけがあるなら、できる限り新しいものを購入しないことも大切ですね」(Fujinaoさん)
試供品を「携帯に便利かも」とたくさんため込んでしまうこともよくあること。試供品は少量のため、使用期限が半年から1年程度と言われています。そのため、古いものは手放しましょう。
旅行の際も、新しく買ったトラベル用のキットや残しておいた試供品などを持っていくより、普段使用している化粧品を小分けにして持っていく方が肌にも安心です。
そして、特別なこだわりや事情がない場合は、家族で化粧水や整髪料を共有すると、洗面所にたくさんのものを置かずに済みます。
子ども部屋・子どもスペース
「お子さんの成長や間取りによって子ども部屋なのか、リビングなのか場所は異なるかと思いますが、家の中のどこかにその子専用の収納スペースをまず決めましょう。わが家は引っ越しの際に小学生の子どもたちに部屋を与えましたが、リビングにも学用品を置くスペースがあり、ダイニングテーブルでもすぐに勉強ができる状態です。その子にとって手におえる量で、しまう場所がはっきりしているなら、例え幼児でも無理なく片付けはできます」(Fujinaoさん)
「誕生日やクリスマスなどで急にものが増えたり、進級して環境が変わったりすると、片付けが複雑になって面倒になりがちです。そのため必要なものかどうかは定期的に見直しをするようにしましょう。また、子どもの成長スピード以上にものを増やさないことも大切です」(Fujinaoさん)
子どもに片付けさせるコツ
子どもに「片付けなさい」「モノを捨てなさい」と言うだけでは、すぐに片付けができるようにはなりません。「お姉さんになったからふさわしいお部屋にしようね」といった感じで自身の成長を意識させる前向きな声掛けを心がけましょう。
何度も繰り返し伝えながら、片付けが習慣となるように長い目で見守ることも大切です。いずれは自分一人で片付けられるように、親がサポートしていけるとよいでしょう。
おわりに
ミニマリストであり、二人の男の子のお母さんであるFujinaoさんに、子育て家庭がミニマリストの考えを取り入れるメリットや、具体的な実践方法を教えていただきました。今日からすぐに始められることもたくさんありますので、「家が片付かない」「モノが多すぎる」とお悩みの方はぜひ実践してみてください。家の中をすっきりさせて、家事の負担を軽減し、心地よい暮らしを手に入れましょう。