子どもが野菜を苦手になるのはこんな理由
こんにちは。管理栄養士の辻本なみです。
子どもの成長や健康のために野菜を使った料理を作っているのに、「全然食べてくれない・・・」と悩んでいる方も多いと思います。私も同じく子どもの野菜嫌いに悩む一人です。
今では少しずつ食べてくれるようになりましたが、子どもが1〜3歳ごろは野菜が少し入っているだけでも食べたがらず、毎日食事作りに苦戦していました。
野菜が苦手な理由は子どもによって異なります。例えば、「苦い」「酸味がある」など味が理由で嫌いになるケース。これに関しては、苦味や酸味は腐敗や毒などの危険信号であると捉え、命を守るために本能的に避けてしまうという説もあります。他には、「青臭い」「見た目がイヤ」といった香りや見た目が理由で野菜を敬遠することも。初めて嗅ぐにおいや、見たことがない食材を怖いと感じ、食べる前から苦手だと思い込んでしまっている場合も多いようです。
子どもの野菜嫌いは特別なことではないですが、食べてくれないと食事の栄養バランスが気になりますよね。そこで今回は、子どもの野菜が苦手な理由や、野菜が食べやすくなるポイントについてご紹介します。日々の食事作りの参考になればうれしいです。
苦手な子が多いピーマンとなす
野菜にはいろんな種類がありますが、中でもピーマンとなすを苦手だと感じてしまうお子さんが多いようです。ピーマンやなすのどういったところが苦手なのでしょうか? 苦手な理由が分かると、どうすれば食べてもらえるのかという対策の方法が見えてきます。あわせて、知っておきたい栄養面についてもご紹介していきます。
ピーマンが苦手な理由と、知っておきたいその栄養について
子どもがピーマンを苦手な理由の一つは苦味です。
子どもの味覚は大人よりも敏感で苦味も感じやすいといわれています。また大人は食経験から苦味も美味しいと感じますが、経験が少ない子どもは美味しいと感じることが難しいようです。
また青臭さもあるため、子どもには食べづらい野菜です。鮮やかな緑は料理を華やかにしてくれるのですが、子どもにとってはピーマンの緑が強すぎて苦手と感じる場合も。
ピーマンだけでなく、濃い緑の野菜が苦手な子どもはかなりいるようです。栄養価の高い野菜が多いので、悩ましい問題ですね。
ピーマンの栄養
ピーマンはビタミンCが豊富な食材です。実は100g中のビタミンC含有量はレモンよりも多いです。
ビタミンCを効率よく摂取するには生で食べるのが一番ですが、ピーマンのビタミンCは加熱をしても減りにくいといううれしい特徴があります。
さらに皮膚や目の健康を守るβ-カロテンも含まれています。β-カロテンを効率よく摂取するためには、炒め物など油を使う調理方法がおすすめです。
なすが苦手な理由と、知っておきたいその栄養について
なすはアクが強く、渋味や苦味がある野菜です。そのため、下処理や調理法によっては食べにくいと感じてしまうこともあるようです。また、なすは他の野菜と違い特有の光沢があるので、食べる前から苦手と思われがちな野菜です。
また、なすを噛んだときのグニャッとした食感や、皮が固く口に残る感じが苦手な場合もあるようです。
なすの栄養
なすは90%が水分でできているため栄養が少ないと思われがちですが、実は健康に良い栄養を含む食材です。
なすの皮にはアントシアニンの一種のナスニンが含まれています。ナスニンには抗酸化作用があり、老化予防・動脈硬化予防が期待されています。ナスニンは水溶性のため、油で調理することで流失を抑えられます。
また、夏野菜であるなすは昔から「体を冷やす」といわれています。理由は「カリウム」を多く含んでいるからです。カリウムには利尿効果があり、体の熱を逃がしてくれます。また、カリウムには体から過剰な塩分を排出する効果もあり、血圧を下げることも期待できます。
苦手な野菜を食べやすくするアイデア
子どものためを思って栄養面を考えた食事を作っているのに、苦手な野菜が入っているだけで食べてくれなかったりすると、イライラしてしまいがちですよね。私も小さい子どもを持つ母なのでその気持ちはよく分かります。
しかし、苦手な野菜を無理に食べさせようとすると、食事の時間が楽しくなくなり、さらに苦手意識を高めてしまうことも。
まずは、苦手の理由を探って、その要素を減らす工夫をしてみましょう。ここからは、苦手な要素別のおすすめの調理アイデアをご紹介します。
見た目や食感が苦手な場合
野菜の見た目が苦手な場合、野菜を「細かく刻んだりすりおろして他の食材に混ぜる」「衣をつけたり、お肉で巻く」など見た目を変える方法があります。カレー、ミートソース、そぼろ、ハンバーグなど子どもが好きなメニューに混ぜたり、野菜の肉巻きにしたり、見た目の抵抗を減らす工夫をすることで、お子さんも食べやすくなると思います。
「見た目を変えて食べさせるのは良くないのでは?」という意見もありますが、少しでも野菜を食べられたという経験は苦手意識を減らす他、自信にもつながるので、野菜克服のための大事な一歩になります。
また、野菜のシャキシャキした食感が苦手な場合は、スープ、味噌汁、シチューなどの煮る料理にすると柔らかくなり食べやすくなります。
私の息子の場合は、野菜の緑色の見た目が苦手だったようです。そこで、ほうれん草のポタージュスープを作ったところ美味しいと食べることができました。息子の苦手ポイントが分かってからは、それに合わせた調理の工夫ができるようになったので、息子も少しずつ野菜が食べられるようになりました。
におい・苦味・酸味が苦手な場合
野菜の青臭さが苦手な場合、風味の良い調味料や食材を活用するのもおすすめです。例えば、野菜炒めにカレー粉を少し加えると野菜の香りを和らげてくれます。ごま油で炒めたり、ごまやかつお節で和えたりしても食べやすくなりますよ。
苦味や酸味が苦手な場合、「野菜のアクを抜く」「油で炒める」「野菜の切り方を変える」など調理工程を工夫します。例えば、ピーマンは繊維を断ち切るのではなく繊維に沿って細切りにすることで苦味を減らすことができます。またチーズを使うと野菜の苦味や酸味をまろやかにすることができ、食べやすくなります。
特定の野菜にこだわりすぎる必要もありません。青臭い野菜が苦手な場合、キャベツなどクセの少ない野菜から食べてみるのもいいでしょう。
ピーマンもなすも美味しく食べられるおすすめおかず 2選
それでは、ピーマンとなすが苦手なお子さんも食べやすいおかずレシピをご紹介しますね。
カレー風味! ピーマンじゃこ炒め
ビタミン豊富なピーマンにカルシウムたっぷりなじゃこを使った副菜レシピです。ピーマンとじゃこを炒め合わせて、カレー粉で味付けしました。カレー粉の香りでピーマンの青臭さを包み込むので、子どももきっと食べやすいはず。ピーマンは繊維に沿って切ることで苦味を和らげることができます。
材料(2人分)
ピーマン・・・2個
ちりめんじゃこ・・・15g
[A]
醤油・・・小さじ1/2
砂糖・・・小さじ1/2
カレー粉・・・小さじ1/5
植物油(米油やサラダ油など)・・・小さじ1
作り方
【手順1】
ピーマンは縦に半分に切り、種とヘタを除いて3~4mm幅の細切りにする。
【手順2】
フライパンに植物油(米油・サラダ油など)を入れて中火で熱し、ピーマンを入れてしんなりするまで炒める。
【手順3】
弱火にして2にAを加えてさっと炒める。
【手順4】
3にちりめんじゃこを加えてさっと炒め合わせる。
カレー粉の香ばしい香りが食欲をそそるおかずです。カリカリのじゃこの食感もきっと子ども好みのはず。お弁当の彩りがちょっと足りないときにも使えます。
ご飯がすすむ! なすの肉巻き
こちらはご飯のおかずにぴったりな、なすの肉巻きです。
大人が食べると美味しいなすですが、特有の光沢のある見た目が苦手なお子さんもいます。そんななすは、お肉で巻いてあげましょう! 見た目の抵抗感なく食べやすくなります。
材料(2人分)
豚バラ薄切り肉・・・8枚(120g)
なす・・・1本
片栗粉・・・適量
ごま油・・・小さじ1
酒・・・大さじ1
みりん・・・大さじ1
醤油・・・小さじ2
白いりごま・・・適量
リーフレタス・・・2枚
作り方
【手順1】
なすはヘタを切り落とし、長さを半分に切ってから縦に4等分に切る。
【手順2】
1に豚バラ薄切り肉を1枚ずつ巻きつけ、片栗粉をまぶす。
【手順3】
フライパンにごま油をひいて中火で熱し、2の巻き終わりを下にして並べ、転がしながら焼き色がつくまで焼く。
【手順4】
焼き色がついたら余分な油を拭き取って水大さじ1(分量外)を加え、蓋をしてなすに火が通るまで弱火で3分ほど蒸し焼きにする。
【手順5】
4の蓋を取り、酒、みりん、しょうゆを順に加えて中火で水分を飛ばしながら炒める。
【手順6】
器にリーフレタス、5を盛り付け、白いりごまをかける。
なすに豚肉の旨みが染み込み、あと引く美味しさ。醤油とみりんを絡めて香り良く仕上げました!
おわりに
ご紹介した調理のポイント以外にも「子どもと一緒に野菜を買いに行く」「料理をする」など、お手伝いの中で野菜に触れ合う経験を増やすのも野菜を好きになるきっかけ作りになるかもしれません。ぜひお試しくださいね。
次回は子どもも食べやすいオートミールレシピをご紹介します。お楽しみに!