前回のおさらい
プラバンとは専用のプラスチック板に絵を描いてカットし、オーブントースターで焼き縮め、キーホルダーなどの雑貨を作るクラフトのことです。さまざまな種類のものが、100円ショップや文房具店、ホビーショップなどで販売されています。
1回目ではプラバンの楽しみ方、材料、道具、下準備、注意点について、2回目では幾何学図案を写して作るプラバンアクセサリーの作り方、3回目はいろいろな画材を駆使して作るフルーツのキーホルダーの作り方、4回目は動物のネームタグを作りました。
今回も引き続き、プラバン雑貨を製作されているイラストレーターの福家聡子さんにプラバン雑貨の作り方を教えていただきました。
アクリル風スタンドを作ってみよう!
最終回の今回は、今までと少し趣向を変えた完全オリジナルのプラバン作りです。お好きな写真からトレース(転写)して作るアクリル風スタンドの作り方を紹介します。アクリルスタンドは最近人気のアイテムですが、そのアクリルスタンドをオリジナルで作れるなんて驚きです。お子さんやペットの思い出の一枚を使って作ってみるのも素敵ですね。
福家さん「今回は、印刷した写真を型紙として使用します。トレースしやすい写真の選び方、プリントする時の下準備、なぞる時のポイントなど細かくコツはありますが、工程は今まで紹介したものとほぼ一緒ですので、決して難しくはありません。着色など存分に楽しんで、素敵なオリジナルアイテムを作ってみてください」
今回のアイテムに使用する材料
- カッターと定規とカッターマット:土台となる厚紙をカットする際に使用します。カッターはよく切れるものを用意してください。
- 厚紙:アクリル風スタンドの土台として使用します。サイズは5×5㎝程度あれば十分足ります。0.05㎝程度の厚みがあるもの(官製ハガキ程度)を用意します。お菓子の空き箱などでも代用可能です。
- 穴あけパンチ:直径0.6㎝の一穴タイプのもの。ホビーショップ、100円ショップなどで販売されています。
作り方1
次の手順で型紙となる写真を選び、下準備をします。
- 写真のサイズは余白を含めて10×10㎝以内、トレースする部分は8×8㎝以内に収まるように、写真のデータを調整します。
- 裏側から着色するので、写真データを左右反転させます。
- トレースする部分の輪郭がくっきりと出るように写真を明瞭化します。
- 印刷後、輪郭が曖昧な部分はペンで輪郭を描き足します。
福家さん「写真は描き写す部分が細かすぎず、輪郭がはっきりしたものがおすすめ。初めは、適度に明るい場所で撮影された全身が写っているものが描きやすいと思います」
作り方2
印刷した写真にプラバンの紙やすりをかけた面を上にして重ね、間をマスキングテープでしっかりと固定します。油性ペンの黒で輪郭をなぞっていきます。
福家さん「輪郭は細かく描き過ぎないのがポイント! 細かくてよくわからない部分は適度に省略しましょう。描き込み過ぎると、縮んで小さくなった時にごちゃごちゃしてしまいます」
作り方3
同じ油性ペンで黒く塗りつぶしていきます。
作り方4
写真からプラバンを外します。写真を見ながら色鉛筆で色を塗ります。質感を出したい部分は、色鉛筆の線を意識して塗り進め、細かく重ね塗りをします。
福家さん「色鉛筆では繊細なニュアンスが出せるので、光が当たっているところ、影になっているところなど、重ね塗りで塗り足すと奥行きが出ます」
作り方5
描き写した部分のまわりに少し余白を加えて、はさみで周りをカットします。スタンドとして立てたいので、下側は平らになるようにカットします。
作り方6
表面にゴミや指紋が付着したままだと、焼いた時にそのまま焼き付いてしまうため、ティッシュペーパーで表面を丁寧に拭きます。
作り方7
オーブントースターの網の上にアルミホイル、クッキングシート、プラバンの順で重ねて焼きます。プラバンは着色した面が下になるように置きます。焼くと全体的に端が反り上がり、段々と縮んでいきます。縮まなくなり、平らな状態に戻ったら、オーブントースターを止めます。
福家さん「プラバンの端材を簡単に着色をして、本番を焼く前に必ず試し焼きをしましょう」
作り方8
火傷に注意しながら、クッキングシートごと取り出します。平らなところ(熱に弱い材質の場合は厚紙を敷きます)に置き、プレス用のトレーで3~5秒程度、軽く押さえます。
福家さん「強く押しすぎなくても大丈夫です! もしプラバンが冷え固まってしまった場合は、もう一度焼けばまた柔らかくなります」
作り方9
着色面に付着した細かなゴミをマスキングテープで取り、色落ち、色移り防止のために、水性のアクリルニスを薄く塗ります。しっかりと乾かし、2~3回くり返します。プラバンの完成です。
作り方10
最後に土台を作ります。厚紙を2.5×3㎝のサイズにカットし、下から1㎝のところに長さ2㎝の線を引きます。
作り方11
線の両端に穴あけパンチで穴をあけ、その間をカッターで0.2㎝幅に切り抜きます。
作り方12
カッターの刃の反対側で中心に浅く切り込みを入れ、そこで半分に折ります。土台の完成です。
完成
土台の切り込みにプラバンを差し込んだらアクリル風スタンドの完成です。
今回は型紙となる写真の選び方、データの調整、印刷後の下準備が一番のポイントです。あとは細かい線の拾いすぎにも注意が必要です。焼き縮めた後にごちゃごちゃし過ぎないように意識しながら線を拾うときれいに仕上がります。
応用でネコの写真からのトレースしたプラバン風スタンドも紹介します。細かく重ね塗りをして、毛並みを表現しました。着色の順番は下の写真を参考にしてください。
まとめ
5回に渡り、さまざまなプラバン雑貨作りを福家さんに教えていただきました。今回は図案や型紙をなぞって作るものを中心に紹介しましたが、アイデア次第でお店で売っているようなアイテムを手作りすることもできます。基本の作り方がわかれば、可能性は無限大です。これを機にぜひ自由にプラバン作りを楽しんでみてください。
福家さん「手軽に作れるプラバンの魅力、楽しさを少しでも感じていただけたらとても嬉しいです。ぜひ作ってみてください」
おまけ
東京ガスのキャラクター、パッチョを福家さんにプラバンで作っていただきました。「パッチョくんの身体のグラデーションは気合いを入れて色鉛筆で細かく塗り込みました!」と福家さん。マグネット(左)とアクリル風スタンド(左)に仕立ててくれました。チャームポイントのぷりっとしたおしりも一段とかわいく見えます。下の写真はさらにおまけのコラボレーションです。
福家さんが相撲好きということで、化粧回しを着けて土俵入りをしているパッチョと電パッチョをプラバンで作ってもらいました。凛々しい表情がしっかりと再現されています。こちらも後ろにスタンドを付けてアクリル風スタンドに。