前回のおさらい
小さい頃に作った経験がある方も多いプラバン。プラバンとは、専用のプラスチック板に絵を描いてカットし、オーブントースターで焼き縮め、キーホルダーなどの雑貨を作るクラフトのことです。さまざまな種類のものが、100円ショップや文房具店、ホビーショップなどで販売されています。1回目ではプラバンについて、楽しみ方や作れるアイテム、面白いポイント、また実際に作る際の材料、道具、下準備や注意点について、プラバン雑貨を製作されているイラストレーターの福家聡子さんに教えていただきました。
子どもも大人も楽しいプラバン雑貨の作り方~Vol.1 プラバンの魅力とは?
幾何学模様のアクセサリーを作ってみよう!
今回からは実際にプラバンで雑貨を作っていきます。初回は絵が描けなくても安心! 図案を重ねて模様を写すだけ、パーツを貼り付けたら完成のウロコ縞のブローチピンの作り方を福家さんに教えていただきます。パーツや図案を変えた、ヘアゴム、ブローチ、マグネットなどのアレンジも併せてご紹介。画材は身近で入手しやすい、油性ペンと色鉛筆を使用します。
今回のデザインのポイントはどういったところなのでしょうか?
福家さん「初回はプラバン初心者の方への入門編として、色合わせで必ずかわいくなる幾何学模様を選びました。幾何学模様は、線や丸が少し歪んでしまったり、色塗りで少しはみ出したりしても、焼いて縮むとそれが不思議と味になってかわいく仕上がります。画材は手軽な油性ペンと色鉛筆を選びましたが、数色しか持っていなくても大丈夫。例えば黒の油性ペンと数色の色鉛筆だけでも、模様を変えたり、サイズを変えたりするだけで多様なデザインが楽しめます。色の組み合わせで、かわいらしくも大人っぽくもできるので、自分好みにアレンジして作ってみて欲しいです」
今回は福家さんに、個性的なウロコ縞、トラッドな雰囲気の格子、かわいい水玉、スマートな印象の縞と、4種類の図案をご用意いただきました。
こちらの幾何学図案は以下よりダウンロードできます。
今回のアイテムに使用する材料
- 接着剤:金属、プラスチックの両方に使用できる多用途タイプの接着剤を使います。
- 好みのアクセサリー、雑貨パーツ:今回は長さ6㎝ブローチピン、金具付きヘアゴム、長さ2㎝ブローチピンのアクサセリーパーツと、直径2㎝マグネットの雑貨パーツを用意しました。パーツはパーツ専門のお店、ホビーショップ、100円ショップなどでも購入できます。
作り方1
プラバンの紙やすりをかけた面を上にして置き、コップやお皿の縁を利用して鉛筆で円を描きます。今回は直径6.5㎝のコップを使用しています。はさみを使い、描いた線の内側でカットします。
作り方2
図案を用意し、その図案にカットしたプラバンを重ねます。プラバンはやすりをかけた面に着色していくので、重ねる時はその面を上にして重ねます。図案とプラバンの間を輪にしたマスキングテープで2カ所程度固定します。
福家さん「図案にプラバンを重ねる時は、模様のどの部分が入るか、模様がどの部分で切れるかを、しっかり確認しながら位置を決めるのがポイントです」
作り方3
色を塗っていきます。今回は図案のグレーの部分を油性ペン、白の部分を色鉛筆で塗ります。始めに油性ペンでグレーの部分を塗ります。塗り終わったらインクをしっかり乾かします。
福家さん「油性ペンは重ね塗りしないようにサッと塗ってください。重ね塗りをくり返すと、インクの出が悪くなってしまうことがあります。少しくらい図案からはみ出してしまっても気にせずに! 手早く塗っていきます」
作り方4
次に色鉛筆で残りの白の部分を塗っていきます。色鉛筆は一方向からだけでなく、角度を変えていろいろな方向から塗ることで、ムラになるのを防ぎ、きれいに仕上がります。色の濃さはお好みで、濃くしたい場合は重ね塗りをします。
全体を塗ったら着色の完成です。図案を外します。
福家さん「焼いて縮むと濃くなるので、それを考慮して色の濃さを調整しましょう」
作り方5
着色した面と反対の面を上にして置き、表面に付着しているゴミ、指紋をティッシュペーパーで拭き取ります。ゴミや指紋が付いたままだと、焼いた時にそのまま焼き付いてしまうため、丁寧に拭き取りましょう。
作り方6
オーブントースターの網の上にアルミホイル、クッキングシートの順に重ね、その上に着色したプラバンを置きます。プラバンは作り方5で拭き取った面が上、着色した面が下になるように置きます。
福家さん「焼く工程はどうしても不安ですよね。なので、本番を焼く前にプラバンの端材に簡単に着色して試し焼きをしてみましょう」
作り方7
いよいよ焼いていきます。今回はオーブントースターの温度を200度に設定して焼きました。焼き始めると全体的に端が反り上がってきます。段々と縮み始めて、さらに焼いていると縮まなくなります。平らな状態に戻ったら、オーブントースターを止めます。
福家さん「もし焼いている途中でプラバンがひっくり返ってしまった場合でも慌てないで大丈夫! 火傷に注意しながら扉を開けてクッキングシートごとプラバンを取り出し、触れるくらい冷めてからプラバンを元に戻し、またオーブントースターに入れて扉を閉め、そこから再度続けて焼いてください」
作り方8
火傷に注意しながら、クッキングシートごと取り出し、平らな机(熱に弱い材質の場合は厚紙を敷きます)に置きます。プレス用のトレーを上に重ねて、3〜5秒程度、軽く押さえます。このプレスは強く押しすぎないようにするのがポイントです。きれいに焼き上がり、焼き上がりは3㎝程の大きさになりました。
福家さん「この工程は慌ててしまいがちですが、急がず進めて大丈夫です。もし遅くなってプラバンが冷えて固まってしまった場合は、再度焼けばまた柔らかくなるので、やり直すこともできますよ」
作り方9
着色面の細かいゴミをマスキングテープで取ります。色落ちや色移りを防ぐため、着色面に水性アクリルニスを薄く塗り、しっかりと乾燥させます。これを2〜3回くり返します。
作り方10
ブローチピンに接着剤を塗り、プラバンの着色面に貼り付けます。接着剤が乾くまで、マスキングテープでしっかりと固定します。
完成
接着剤が完全に乾いたら、ウロコ縞のプラバンのブローチピンの完成です。図案やパーツを変えれば、いろいろなアレンジが楽しめます。
今回はブローチピンの他に、格子の図案でヘアゴム、水玉の図案でブローチ、縞の図案でマグネットを作れるよう、福家さんにご用意いただきました。画材や塗る順番などは下の写真を参考にしてください。
オーブントースターがない場合は魚焼きグリルで
もしオーブントースターをお持ちでない場合、プラバンは魚焼きグリルでも焼くことができます。その際の注意点をいくつか紹介します。
オーブントースター同様、グリルにもアルミホイル、クッキングシート、プラバンの順に重ねて置きますが、クッキングシートが焦げて燃えてしまう場合があるので、クッキングシートが火に当たらないよう大きさを調整するなどして、注意して焼くようにしてください。魚焼きグリルの中は暗いので、ライトでプラバンを照らしながら縮み具合を確認して焼き時間を調整しましょう。
また続けて何回も焼く場合、魚焼きグリルの中が熱くなり過ぎてしまうので、一度焼いたら冷めるまで少し時間をおいて焼くようにしてください。
まとめ
今回はシンプルな模様を油性ペンと色鉛筆で描いていきました。多少はみ出したり歪んだりしても、縮んでしまうとあまり気にならなくなるので、大らかに着色するのがポイントです。着色は油性ペン、色鉛筆の順で着色し、同じ画材で色分けをする場合は、薄い色から順に塗っていくときれいに仕上げることができます。
次回、3回目は画材をステップアップ。ポップでしっかりした色合いが特徴の不透明水性顔料マーカーを使ったアイテム作りです。お子さまにも人気の高い、フルーツモチーフのキーホルダーを作ります。
福家さん「次回は身近なモチーフに挑戦します。と、言ってもシンプルなラインのフルーツですので、気軽に作ってみてください。使用する不透明水性顔料マーカーは、使い方のコツさえ掴めば、楽しい画材です。どうぞお楽しみに!」