【男の子のイヤイヤ期】イヤイヤ期はいつからいつまで?
子育ての難関「イヤイヤ期」。
「魔の二歳児」と呼ばれることもあり、2歳半頃がピークと言われています。
その始まりはおよそ1歳後半頃からで、3歳頃まで続くことが多いようです。
「第一次反抗期」とも言われるイヤイヤ期。
あまり激しく反抗されると、「育て方が悪かったのかな・・・」「将来大丈夫だろうか・・・」と心配になってしまいますよね。
そもそも、イヤイヤ期はどうしてあるのでしょうか?
最新の脳科学の研究で、子どものイヤイヤ期は「成長の過程で、必然的な行動」であることが明らかになったそうです。
【男の子のイヤイヤ期】脳の発達と関係がある!?
2~3歳の時期は、脳の表層にある「前頭前野」と呼ばれる部分が、まだ機能し始めていないそうです。
前頭前野とは、衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢です。この部分が未発達なうちは、欲求を抑えることがどうしてもできないそうです。
一方で、1歳半頃から、歩いたり話したりと、自分でできることが増え始めます。「自分」という存在に気付くのも、この頃からと考えられています。
いわゆる自我が芽生え始めるのです。
つまり、あれをやってみたい、これをやってみたいという欲求が強くなる一方で、その欲求を抑える能力は発達していません。
周りの状況や、相手の気持ちを考えることも、物理的に脳が発達していないため、まだできません。
それが、激しいイヤイヤ行動になって現れるようです。
つまり、順調に自我が発達していく過程で、必ずイヤイヤ行動が出てくると言えます。
やがて脳の機能が育ってくると、イヤイヤも自然と収まっていきます。
もちろん個人差はありますが、決して、それまでの育て方が悪かったわけではありません。
参考:NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫るニッポンの子育て」
そうはいっても、激しいイヤイヤをされると、どう対応していいか分からなくなってしまいますよね。
特に、ママにとっては「異性」である「男の子」のイヤイヤの対応に困ってしまう・・・という方も多いと思います。
私も、上の息子のイヤイヤ期には、散々悩まされました。
次の章から、特に困りがちなイヤイヤの行動パターンと、その対応方法についてご紹介します。
【男の子のイヤイヤ期】パターン1. 言うことを聞かず暴れる
イヤイヤ期の子どもは、親の言うことを素直に聞くことができません。
遊んでご飯を食べない、お風呂に入るのは嫌がるのに、一度入ったら出るのを嫌がるなど、理不尽な行動をたくさんします。
また、外出先でわがままを言って大騒ぎし、座り込んでてこでも動かなかったり、地面にひっくり返って泣き喚くことも・・・。
特に男の子が全力を出すとけっこう力が強いので、無理に引っ張っていくのも大変です。
おちおち外出もできず、かといって家の中だと子どものストレスが溜まるしで、憂鬱になる方も多いと思います。
そんなとき、どう対応すればよいでしょうか?
対応方法1. 状況を変える
第一の対応方法は、「状況を変える」ことです。
この時期に言葉で言い聞かせても、あまり効果はありません。かといって力尽くで言うことを聞かせようとすると、大暴れして手がつけられなくなることも。
そこで、例えばご飯を食べないときには、食べるのに必要な時間は十分経ったら、「食べないなら片づけるよ」と声がけして、反応がなければ本当に片づけてしまい、「状況を変えます」。
大騒ぎするかもしれませんが、「状況の変化」には、子どもも抵抗できません。
罰ではないので、本当にお腹が空いたなら、後からまた軽食などを食べさせるとよいと思います。
対応方法2. 他のことで誘う
第二の対応方法は、「他のことで誘う」ことです。
イヤイヤ期のわがままは、目の前のことにこだわっているだけで、それ自体を本当にやりたいわけではないこともあります。
理想的には、例えば「お風呂を入ったら/出たら、こんな楽しいことをしよう! 」と、より楽しそうな提案ができたらよいと思います。
あるいは、おもちゃを離さなかったら、「じゃあ、それ持ったままお風呂入ろうか! 」など、柔軟に対応するのもコツです。
また、どうしても困ったときは、モノやお菓子でつるのもアリだと思います。
モノでつったりすると、それを目当てに余計ワガママを言うようになるのでは・・・と心配かもしれません。
でも、イヤイヤ期くらいの年齢では、少しくらいモノでつっても「じゃあまたワガママ言ってみよう」という考えにはなりにくい、と言われています。
何しろ、目の前のことしか見えていない時期ですから。
ですので、例えば「お風呂の中で/お風呂を出たらゼリー食べよう」とか「おもちゃの入った入浴剤入れよう」など、その日そのときを乗り切るための提案してもよいと思います。
四歳以上になれば、本当に必要なことは、きちんと言い聞かせれば理解できるようになりますよ。
対応方法3. 期待せず、でもしっかり言い続ける
「言うことを聞かないのは、ビシッと叱らないからだ」という考えもあるかもしれません。
でもイヤイヤ期においては、誰がどうやって叱っても、あまり効果はありません。
欲求を抑える脳が物理的に育ってないのだから、たとえダメだと理解できても、衝動を抑えることが難しい年齢なのです。
ただ、毎日イヤイヤしているだけに見えても、子どもは毎日少しずつ発達しています。
言っても無駄だからと諦めるのではなく、「言っても聞かないけど、言い続ける」ことが必要です。
特に公共の場のルールやマナーや、生活リズムに関わることは、しっかり言い聞かせ続ける方がよいでしょう。
くどくど言い続けたり、理屈で説得しようとせず、シンプルに「ダメなものはだめ」「これはしないといけないこと」と伝えれば大丈夫です。
ただし、子どもがすぐに行動に移せることは、期待しないで。
かなり根気のいることですが、下積みのようなものだと思って続けていきましょう。
いつか、段々、行動に表れてくるはずです。
【男の子のイヤイヤ期】パターン2. 暴力をふるう、乱暴する
特に男の子に困らされがちなのが、叩いたり引っ掻いたり蹴ったり、あるいは物を投げたりと、暴力や乱暴なことをすること。
これは、「家族にする場合」と「他人にする場合」で、対処法がやや違います。
それぞれの場合をご紹介します。
家族にする場合
家族、特に親にする場合は、一言で言えば「甘え」の表れです。
この「甘え」は、決して悪いことではありません。
ママやパパに対する安心感や、どんな自分も認めて欲しいという気持ちの表れなのです。
ママ・パパが嫌いだから叩くのではなく、大好きで安心しているから叩くのです。
自分でも息子を見ていて感じるのは、「あっち行って! 」と物を投げるときは「寄り添って欲しい」とき、「大嫌い! 」と叩いてくるときは「抱きしめて欲しい」ときです。
困ったものですが、これも大切な心の成長の一環です。
保育園・幼稚園など、外ではやらないのに、家では乱暴をすることもあります。
これも決して悪いことではなく、外ではやっちゃいけないことを分かってるから頑張る、でも家では気を抜いて、ありのままの自分でいたいという気持ちがあるからです。
まずはこのことを理解してあげて、その「甘え」を受け止めてあげることが大切です。
10歳までたっぷり「甘え」を受け止めてあげた子は、自己肯定感が高まり、人の気持ちが分かるいい子に育つと言われています。
暴れたり乱暴するのには、なにかきっかけがあるはずです。まずは、子どもの「怒っている」「腹が立っている」という感情を受け止めてあげましょう。
これが欲しいと言ったら「これが欲しかったんだね」と繰り返したり、泣いて気持ちが混乱しているときは、「○○したかったんだね」と子どもの気持ちを代弁してあげるのも効果的だと言われています。
できれば、ふとんを敷いた寝室など比較的安全な場所に連れて行き、クールダウンを待つのが理想です。
もし、ママ・パパ自身もかんしゃくを起こしそうなときは、少しだけその場を離れて、何かで気持ちを落ち着かせるとよいでしょう。
それから、できればスキンシップを取って、子どもの気持ちを落ち着かせてあげましょう。
お互いに落ち着いてから、「気持ちは分かったよ。でも、叩くのは痛いからやめてね」と改めて伝えるよいと思います。
すぐには分からないかもしれませんが、段々と分かるようになります。
他の子にする場合
親以外の、お友達や下の兄弟などに乱暴をする場合は、少し対処法が異なります。
そんなときおすすめしたいのは、「気持ちは認め、行動は制限する」ことです。
この時期、「やめようね」などと、いくら口で言い聞かせても、まず言うことを聞いてはくれません。逆に「そんなことしたらダメ! 」と頭ごなしに叱っても、火に油を注ぐだけです。
そこでまずは、抱き締めたり、両腕を掴んだり、抱えて違う場所へ連れて行ったりして、物理的に行動を制限します。
そして落ち着いたら、「怒ったんだね」「嫌だったんだね」などと子どもの気持ちは認めつつ、「でも叩くのはいけないよ」と伝えましょう。
「気持ちは認めるよ。理由もあるんだよね。でも、その行動はママとして止めるね」というスタンスです。
子どものケンカに親がむやみに介入してはいけないとも言いますが、それはもう少し大きくなって(4歳以上)、子ども同士がしっかりコミュニケーションできるようになってからのことです。
この年齢では、他の子とのコミュニケーションの取り方がまだ分からなかったり、分かっていても手や足が先に出てしまいます。
親がうまくサポートしてあげましょう。
【男の子のイヤイヤ期】パターン3. 危険なことをする
特に男の子で困るのが、言うことを聞かずに「危険なこと」をすること。
高いところに登る、触ってはいけないものに触ろうとする、入ってはいけないところに入ろうとする・・・など。
基本的には、これも暴力と同じく、物理的に行動を制限するしかありません。
ただ、ただでさえ言うことを聞かないのに、何でもかんでもダメ! と管理するのは、親にとっても子どもにとってもしんどいことです。
そこで考えてみたいのが、「リスク」と「ハザード」の違いです。
「リスク」と「ハザード」の違いとは?
「リスク」と「ハザード」。日本語ではどちらも「危険」と訳されますね。
でも、「成長のために必要な、挑戦に伴う危険」は「リスク」、「成長につながらない、致命的な危険」は「ハザード」、と呼び分ける考え方があるそうです。
「リスク」の例は、走ったりジャンプして転ぶ、ちょっとした虫に刺される、切り傷や擦り傷をつくる、など。
「ハザード」の例は、高所から転落する、有毒生物に噛まれる、刃物で重傷を負う、などです。
「リスク」は、あえて避けずに、できるだけ見守ることが大切だそうです。
「ハザード」は、大人の責任として、しっかり防止策を立てるべきだそうです。
何でも親が先回りして、危険や困難が一切ないようにしてしまうと、それは過保護であり、過干渉です。自分で判断したり、危ないことを避けたり、力加減をする能力が育たなくなってしまいます。
イヤイヤ期は「やりたい! 」の気持ちが芽生え始めたからこそ起こること。
自分からやりたいと思ったことを、できるだけ体験させてあげることも、やはり大切なのです。
ちょっと心配でも、多少怪我して泣くくらいは成長に必要なことだと思って、なるべく見守ることが必要です。
絶対に危ないことは、なるべく事前に対策をしておくか(例えばベランダに足場を置かないとか刃物を手の届く所に置かないなど)、他の場所に連れて行くなど、物理的に行動を制限することがおすすめです。
【男の子のイヤイヤ期】女の子との違いは「言語能力」?
ここまで、特に男の子で困りがちなパターンを書いてきましたが、女の子との違いはどれくらいあるのでしょうか?
実は、「男の子でも女の子でも、イヤイヤ期に感じるストレス度合いは同じ」という調査結果があります。
性別以上に、子どもの個人差が大きいこともあるでしょう。これまで書いてきたことが、女の子に当てはまることもあれば、男の子だけど当てはまらないこともあると思います。
参考:博報堂こそだて家族研究所「イヤイヤ実態調査」
ただ一般的には、女の子の方が「言語能力」が発達するのが早いと言われています。
自分の気持ちを言葉で表現することができると、ひっくり返って暴れたり、乱暴をしたりと、手や足が出ることはやや減ってくるそうです。
ただ、言葉が発達しても、イヤイヤ衝動自体が抑えられるわけではありません。
たとえ言葉の早い子でも、言葉だけで説得しようとしたり、一度言ったことをすぐ行動に移してくれることは、期待しすぎない方がよいと思います。
【男の子のイヤイヤ期】「自分の気持ち」への対処も大切!
これまで、子どもへの対応方法を書いてきました。
でも、実は一番大切なのは、イヤイヤ期の対応でストレスを抱えてしまう、ママ・パパ自身の気持ちへの対処法です。
どれだけ上手く対応したとしても、イヤイヤ期はとにかく根気が必要で、ストレスが溜まります。
それを解消するためにも、何か自分が心からリラックスしたりリフレッシュできることを、一つは見つけることをおすすめします。
また、できるだけ周りの人に状況を伝えて、助けてもらったり、頼れるとよいと思います。ときには子どもを人に預けて、「自分の時間」をもらうことも、とても大切だと思います。
子どもと向き合うことは大切ではありますが、頑張りすぎると疲れてしまい、子どもに上手く対応することも難しくなります。
「自分自身の気持ち」への対処法も意識して、気分転換をしながら乗り切っていきましょう。
おわりに
このパターンの対処法は、ママの方が大人な対処をすることです。忙しい時にこれが発生すると、つい怒ってしまうという方もいると思いますが、それは多くの場合、逆効果です。ママとのやりとりを楽しんでいると考えて、ユーモアを交えたリアクションを思いっきり見せてあげましょう。特に男の子のイヤイヤ期への対応方法についてご紹介しました。
イヤイヤ期は健全に成長している証拠でもあり、また、ずっと続くわけではありません。
いつか必ず、子どもの成長を実感できる日が来るはずです。
色々な人に助けて貰いながら、上手く対応していけるといいですね。