家庭でのガス漏れ事故は継続して発生している
「ガス警報器は設置義務がないからいらない」「火災警報器があれば大丈夫」と考えている方も多いかもしれません。しかし、うっかり換気扇を回し忘れたり、気付かないうちにコンロの火が消えていて、ガスの臭いがして慌てたといった経験のある方も少なくないはずです。
ガス漏れ事故は年々減少傾向にあるとはいえ、ゼロではありません。経済産業省の「都市ガス事故事例一覧」によると、ガス漏れによる事故は、毎年一定数の割合で報告されています。
参考:経済産業省 都市ガス事故情報一覧
普段からガスコンロの掃除はしっかりしているけれど、ガスコンロの接続具の点検までは目が行き届いておらず、気付かないうちに接続具が劣化していてガス漏れが起こったという事例もあります。また、ガス警報器工業会のサイトによると、不完全燃焼などが原因の一酸化炭素(CO)中毒事故も事例として挙げられています。
参考:ガス警報器工業会 ガス警報器の体験談
このようにガス漏れやガスの不完全燃焼は重大な事故につながります。それを防ぐために役立つのがガス警報器です。
火災警報器とガス警報器それぞれの特徴は?
ガス警報器と火災警報器の違いは意外と知られていません。ここでは、ガス漏れなどを検知して知らせるガス警報器と、火災を検知して知らせる火災警報器の違いを分かりやすく解説します。
火災警報器の仕組み
2006年6月より賃貸や持ち家にかかわらず、全国の全ての新築住宅への設置が義務付けられている火災警報器には、煙を感知する「煙式」と、熱を感知する「熱式」があります。煙式タイプは住居スペースで煙を感知すると警報音が鳴り、火事の発生を知らせてくれます。熱式タイプはキッチンなど大量の煙や湯気が滞留することがあるスペースでも使用可能で、一定の温度に達すると警報音が鳴ります。
ただし、火災報知器だけでは、ガス漏れは検知できません。
ガス警報器の仕組み
ガス警報器は、ガス設備の老朽化やソフトコード等の接続具が劣化してガスが漏れた場合でもガス漏れを早期に検知できる機器です。「都市ガス用」と「LPガス用」があります。
また、一酸化炭素(CO)を検知するCO警報器もあります。一酸化炭素は、換気が不十分であったり、ガスが燃えるのに必要な酸素が不足した場合に、不完全燃焼を起こし発生する毒性の強い気体です。しかも無味無臭のため気付きにくいという特徴があるので、すばやく危険を知らせてくれるCO警報器の役割は大きいといえます。
ガス警報器には火災や一酸化炭素(CO)を検知するタイプも!
実はガス警報器には、火災検知機能や一酸化炭素(CO)検知機能がある複合型タイプがあります。
先に書いたように火災警報器ではガス漏れは検知できませんが、火災警報機能があるガス警報器であれば、ガス漏れと火災の両方を検知できます。
また、一酸化炭素の検知もできるタイプなら、煙草の消し忘れなどによるくん焼火災でも火の手があがる前に一酸化炭素が発生するため、火災時の逃げ遅れを防ぐ可能性も高いと言われており、家族の身の安全を守れます。
また、近年では「快適ウォッチ(R)」※という商品のように、複合型ガス警報器に暑さ指数を算出して熱中症の危険のある状態を警告音で知らせたり、乾燥の警戒度を知らせたりする「快適機能」がついたものもあります。
このように複合型のガス警報器は、365日24時間、家族の命と住宅を見守ってくれる、心強いツールといえるでしょう。
※快適ウォッチ(R)は、新コスモス電機(株)の登録商標です。
ガス警報器の的確な設置場所は?
便利で使い勝手の良いガス警報器ですが、住宅のどこに設置すると効果的なのでしょうか。おすすめの場所を紹介します。
ぜひ設置したい場所は、
●キッチン
●寝室、子ども部屋
●リビング、ダイニング
ガスコンロや小型湯沸かし器があるキッチンでのガス警報器の重要性はもちろんですが、ガスファンヒーターなどのガス機器用のガス栓がある寝室や子ども部屋、リビング、ダイニングには、火災警報機能付きガス警報器を設置しておくことがおすすめです。
都市ガス用のガス警報器は、ガス機器(一定の位置に固定しないで使用するガス機器の場合はガス栓)から水平距離8m以内かつ、警報器の下端が天井面から30cm以内の位置にあるように設置する必要があります。
反対に、以下のような場所は、警報遅れ、誤報、故障の原因になりますので設置しないでください。
・ガス器具からの排気や湯気、また油煙などが直接かかる場所
・空気吹き出し口から1.5m以内の場所
・ドア付近など風通しの良い場所
・周囲温度がー10℃以下又は50℃以上になる恐れのある場所
・電源にAC100Vをつかうものにあっては、浴室内及び水しぶきがかかる場所
設置基準の範囲内で、事前に取り付けたい箇所の確認をしておきましょう。
「ガス警報器いらない」が「ガス警報器いる!」に変わったら
ガス警報器はいらないと考えていた方も、ガス警報器のさまざまなメリットを知ると、「導入を検討しようかな」と考えが変わる方も多いでしょう。
実際に導入するために知っておきたいことをご紹介します。
ガス警報器は購入とリース制度がある
ガス警報器を導入する方法は、購入とリース制度があります。東京ガスの警報器リース制度の契約期間は5年間(60回)としており、毎月のリース料金(月額)とガス料金を一緒に支払うことができるので便利な制度です(設置費用込み)。
取り付けは専門スタッフに依頼するのが安心
ガス警報器は自分で設置することも可能ですが、正しく作動させるためには正しい位置に設置する必要があります。そのため、取り付けは専門スタッフに頼んだほうが安心です。
東京ガスでは、警報器の取り付けからリース、修理など幅広く対応しています。
【知っておきたい】ガス警報器が鳴ったら
東京ガスネットワークのホームページでは、緊急時のやるべきことを掲載しています。もしガス警報器が鳴ったら、ガスが漏れているかもしれないので、すぐにガス漏れ通報専用電話にご連絡ください。また、窓を大きく空けて機器栓・ガス栓・メーターガス栓を閉めておきましょう。
おわりに
意外と知られていない、ガス警報器と火災警報器の違いやガス警報器のメリットなどをご紹介しました。現在、火災警報器だけを設置している家庭では、より安心・安全な暮らしのために、ガス警報器の導入を検討してみてはいかがでしょうか。