知っておきたい! 蚊の種類と生態
アース製薬さんによると、日本で一般的に見られる蚊は主に3種類。それぞれ発生場所や、吸血時間が異なるのだそう。あらかじめ蚊の生態を知って対策しましょう。
代表的な3種類の蚊について、以下にまとめてみました。
「ヒトスジシマカ」は、黒い体に白い縞模様のある蚊で、一般に「ヤブ蚊」と呼ばれることが多い蚊です。雑木林や公園、墓地、植物の多い庭などで朝夕に刺された場合にはヒトスジシマカの可能性があります。
「アカイエカ」は、その名の通り住宅地に多く生息し、屋内に入ってくることも多い蚊です。夜間活動性の蚊なので、寝ている時に家の中で蚊の羽音がする、蚊に刺されたという場合にはアカイエカが侵入している可能性が高いでしょう。
「チカイエカ」は、ビルの中や地下鉄の構内に生息する蚊で、一年中活動するのが特徴です。都会のビルや地下鉄などで蚊に刺された場合にはチカイエカの可能性があります。
蚊が人を刺す理由
蚊が生きるために必要な栄養は糖分です。そのため普段は花の蜜や草の汁などを吸って暮らしていますが、産卵を控えた雌だけが必要なタンパク質をとるために吸血します。
蚊に刺されるとかゆいだけじゃない!
蚊は吸血するときに、麻酔成分や血が固まらないようにする成分を注入します。これによるアレルギー反応で、刺されるとかゆくなるのです。
しかし蚊は刺されるとかゆくなるだけではありません。マラリアやデング熱などの感染症を媒介する蚊もいます。
2014年8月には、日本でもデング熱が発生しました。今後は、海外からの感染症などが日本へ侵入するケースも考えられ、さらに地球温暖化によってマラリアなど熱帯性感染症の感染域も拡大しているため、「蚊に刺されない」ということを第一に、より注意が必要となってくるでしょう。
蚊に刺されないための4つの方法~専門家に聞きました
蚊は、動物が呼吸によって出す二酸化炭素や汗、皮膚のにおい、体温などを察知して吸血源を探します。顔の近くによく寄ってくるのはそのためです。見落とされがちですが、実は足元は汗腺が多く、蚊に狙われやすい部位なので注意が必要です。
体温が高い妊婦、乳幼児、汗っかきの人はターゲットになりやすいです。
また、「お酒を飲んだ人がよく刺される」と聞いたことがあるかもしれません。これは、お酒を飲んだ人は呼吸が荒くなっていたり、体温が高くなっていたりするためと考えられています。
これらを元に、蚊に刺されないための方法をアース製薬さんに伺いました。
【方法1】蚊を発生させない
例えば、ヒトスジシマカはわずかなたまり水でも生育できるため、発生を防ぐには家の周りにある水のたまる場所をなくすことが大切です。
「不要な空き缶や、放置しているバケツなどを片付け、溝などはこまめに掃除をしましょう。竹の切り株にたまる水や墓地の花立(はなたて)の水も要注意です。
案外見落としがちなのが、植木鉢の受け皿。ヒトスジシマカは、ほんの少しの水でも繁殖できるので、幼虫(ボウフラ)が生息している可能性があります。気温25℃~30℃だと、わずか10日ほどで卵から成虫になるので、1週間に1度、受け皿の水を捨てることで予防できます」(アース製薬)
アカイエカは落ち葉などの有機物を含む汚水を好みます。どぶや防火用水、下水などです。
チカイエカは、ビルの地下水槽や浄化槽、地下鉄の坑道などで一年を通して都心部で繁殖しています。アース製薬さんによると、チカイエカとアカイエカは見た目ではほとんど区別がつかないとのことです。
蚊は黒色を好む性質があるといいます。具体的にいうと、明るい色と暗い色の対比を感知し、暗い色の方に寄っていきます。例えば、白と黒のボーダー柄、白いシャツにネイビーのボトムといった色の対比がはっきりしているコーディネイトは、暗い色の部分がターゲットになりがち。
そのため、昼間蚊に刺されないためには、全体を白っぽい服装にするのがよいでしょう。
【方法2】服装に気を付ける
蚊は黒色を好む性質があるといいます。具体的にいうと、明るい色と暗い色の対比を感知し、暗い色の方に寄っていきます。例えば、白と黒のボーダー柄、白いシャツにネイビーのボトムといった色の対比がはっきりしているコーディネイトは、暗い色の部分がターゲットになりがち。
そのため、昼間蚊に刺されないためには、全体を白っぽい服装にするのがよいでしょう。
【方法3】蚊の居ない空間をつくる
屋外のヤブ蚊対策には、ヤブ蚊用スプレーが効果的です。庭仕事をする前や子どもが庭で遊ぶ前に、庭木周り・茂み・地面にスプレーしておくだけで、蚊が寄り付かない空間が数時間持続します。防除効果が続き、ヤブ蚊の発生を防げるタイプもあります。
室内では、安定した蚊の駆除&侵入防止効果のある電子蚊とりを使うとよいでしょう。コンセントに挿すタイプと電池タイプ、USB電源式などもあるので、部屋や用途に応じて使い分けてください。
この他、スプレータイプは持ち運びができるので、室内の気になる場所ですぐに使うことができて便利です。
【方法4】外出時に肌の露出部分に虫よけ剤を使う
肌の露出が増える夏や外出時は、スプレー式の虫よけ剤が活躍します。
「使い方のコツは、腕や足などの露出する部分の肌に、約15cm離した位置からスプレーし、その後、手のひらでムラにならないよう満遍なく塗り広げること」(アース製薬)
日焼け止めを使う場合は、日焼け止めを塗った後に虫よけ剤をスプレーしましょう。つまり必ず最後に虫よけスプレーを使用するのです。
顔や首に使いたい時は、まず手のひらにスプレーし、それを顔や首に塗るようにします。ただし、目の周りに虫よけ剤を塗ることは大変危険なので、避けてください。
蚊に効く虫よけ剤はどれ? 使われている有効成分は?
蚊に刺されることも多い日本の夏。虫よけ剤はアウトドアレジャーには欠かせないアイテムにもなっています。エアゾールタイプやミストタイプ、ジェルやシートタイプなどさまざまな剤型があるので、用途に合わせて使い分けている方も多いのではないでしょうか。
そんな方ならきっと気になる、蚊に効く虫よけ剤の種類や成分・使用時の注意点などをアース製薬さんに詳しく教えていただきました。
アース製薬さんによると、虫よけ剤を選ぶ時にも商品パッケージの裏面に記載されている使用上の注意をよく読んでから使用した方がよいのだそう。
「実は蚊に効くのは『医薬品』や『防除用医薬部外品』の表示があり、効能や適用害虫に『蚊』と記載された商品です」(アース製薬)
そして、もう一つ覚えておきたいのが、虫よけ剤は殺虫剤とは違うということ。
「一般的な虫よけ剤の有効成分『ディート』『イカリジン』は、蚊が人を感知できなくする忌避剤であり、蚊を殺すわけではありません」(アース製薬)
忌避剤であるディートとイカリジンには、それぞれ特徴があります。
「『ディート』は日本で約60年近く使用され、蚊やマダニなど身近な害虫に効果があるとともに、ヤマビルやアブ、ブユ(ブヨ)など多くの害虫に効果を発揮します。そのためお買い物やガーデニングだけでなく、屋内レジャーから公園やアウトドア、スポーツ、旅行など、幅広いシーンで使えます。
『イカリジン』は、日本では2015年に承認された成分です。年齢による使用・回数制限はありません」(アース製薬)
虫よけ剤を選ぶ時には、成分もぜひ確認しましょう。また虫よけ剤には有効成分だけでなく、添加物も入っているので、そちらにも注意を。
アース製薬さんによると、最近では、アルコール・香料・着色料・パラベン(防腐剤)・界面活性剤などが無添加の、低刺激なものもあるのだそう。気になる方は、しっかりチェックして選べるとよいですね。
それでも蚊に刺されてしまったら?
蚊に刺されないよう万全の対策をしたつもりでも、刺されてしまう場合もあります。アース製薬さんからのアドバイスとして、「刺されてかゆみが出てきた時は、まずはいったん冷やして様子をみてください」とのこと。
それでもかゆみや赤みが収まらずひどくなる場合や、水泡などができてしまった場合などは、速やかに皮膚科を受診してください。
おわりに
刺されるとかゆいだけでなく、さまざまな危険もある蚊。しかも夏だけでなく、秋になってもまだまだ活動している可能性があります。「蚊にさされるくらい」と油断せず、しっかり対策した方がよさそうです。自分に合った蚊に刺されない方法を見つけてくださいね。