圧力鍋とは? 仕組みとメリットをご紹介
その機能性の高さから幅広い層に人気の圧力鍋。「一度は使ってみたい!」と思っている方も多いのではないでしょうか。圧力鍋は、料理が好きな方にはもちろん、苦手な方でも使いやすい、とっても便利な調理器具なんです。
今回は、圧力鍋をはじめとした調理器具を扱う1845年創業のドイツの老舗キッチンウェアブランド、フィスラーの日本法人フィスラージャパン株式会社の古谷好美さん・吉田むつみさんに、圧力鍋の便利な使い方とすぐに実践できるレシピを教えていただきました。
そもそも、圧力鍋とは、どんな仕組みで調理する物なのでしょうか。
「圧力鍋とは、その名の通り圧力の力を使って高温調理ができる調理器具です。空気や水分が逃げないように密閉して圧力をかけることで、さまざまなメリットが生まれるんですよ」(吉田さん)
気になる圧力鍋のメリットを教えていただきました。
【圧力鍋のメリット1】時短調理ができる
「圧力をかけるために密閉するので、蒸気が外に逃げず、鍋の内部が高温になり、短時間でも火の通りが良くなります」(吉田さん)
後ほどご紹介しますが、通常1時間以上掛かる煮込み料理も、1/2~1/3程度の時間で作れてしまうんだとか。調理の時間を短縮できますね。
【圧力鍋のメリット2】おいしく、栄養も逃さない!
「圧力鍋は密閉して調理するので、食材のおいしい水分や栄養素を余すことなく利用できます。また、圧力鍋の内部は酸素がほとんどない状態になるので、食べ物が酸化しにくいという特徴もあります」(古谷さん)
余計な水分を入れなくても、野菜などの水分だけで調理できてしまうものもあるそうです。おいしいだけでなく、栄養素も逃しにくいのはうれしいポイントですね。
【圧力鍋のメリット3】エコで経済的
「調理が時短で済むということは、ガスや電気を使う時間が少ないということになります。実際に、普通の鍋だと1時間ほど煮込む料理が圧力鍋なら20~30分でできるので、光熱費はかなり削減されます。圧力鍋は、そういった意味で地球に優しいんですよ」(吉田さん)
圧力鍋は他の調理器具に比べて、少し高価な印象があるかもしれませんが、トータルコストで見ればお得なお買い物なのかもしれませんね。
【圧力鍋のメリット4】実は簡単! 料理に苦手意識がある方にもおすすめ
「圧力鍋は料理好きの方が使う物、というイメージはありませんか? 恥ずかしながら、私自身あまり料理が得意ではなかったのですが、そんな方にこそ使っていただきたいんです」(吉田さん)
取材にお答えいただいた吉田さんは、圧力鍋を使い始めてから料理がさらに楽しくなったのだとか。
実は圧力鍋の使い方はとっても簡単。時短でおいしく仕上がるからこそ、料理に苦手意識のある方にもおすすめなのだそうです。
【圧力鍋の使い方】初めて使う時の注意点もご紹介!
それでは、ここからは圧力鍋の使い方をご紹介していきましょう。
最初に圧力テストを行う!
購入後最初に使用する際には、以下の手順で、圧力が正しくかかるかのテストを行いましょう。
- 鍋に水を200~300ml入れる
- パッキンの付いたふたをしっかりと閉める
- 圧力のレベルを「高圧」にして、鍋底から火がはみ出ない程度の強火にかける
- バルブが上がったら圧力がかかった証拠。火を消しましょう
製品によって異なりますが、大体の圧力鍋は圧力を低・高など設定できるようになっています。
実際の調理では、この後、圧力がかかった状態で放置し、圧力が下がるのを待つ「自然放置」か、流水で鍋本体を冷やす「急冷」を行います。
圧力鍋がきちんと稼働することを確認したら、早速、圧力鍋を使って料理を作ってみましょう!
※今回は、フィスラー社のビタビットプレミアムを使用しています。圧力鍋のメーカーによって、圧力表示や圧力設定、急冷方法などは異なりますので、付属の取り扱い説明書をご確認ください。
圧力鍋を使う際の注意点
圧力鍋を使う時には、以下の点に注意しましょう。
- 圧力鍋のふたはしっかりと閉める
- 圧力がかかるまで(メインバルブがあがるまで)は放置をせずに調理する
- 指定の最大容量以上に具材を入れない
(容量以上入れてしまうと、メインバルブが正常に動かず、圧力がかからなくなってしまいます)
「フィスラーの圧力鍋は、ふたがしっかり閉まったことが確認できるように、カチッと音が鳴ったり、安全レバーの色の表示が変わるなどして閉まったことを知らせてくれます。ふたを閉め忘れることで爆発するようなことはありませんが、料理が失敗する原因にもなりかねませんので、ふたが閉まっているかは毎回確認するようにしましょう。
また、圧力鍋は、密閉することで内部に圧力がかかります。密着させるためのパッキンを付け忘れていないかも、併せて注意するようにしましょう」(吉田さん)
【レシピ1】浸水の必要なし! トータル20分でできる圧力鍋ご飯
ここからは、圧力鍋を使ったおすすめレシピを教えていただきました。
最初にご紹介するのは、圧力鍋を使ったお米の炊き方です。
圧力鍋でお米を炊くことができるのをご存じでしょうか? しかも、お米を研いでから炊き上げて食卓に上がるまでたったの20分ほど。お米を浸水しておく必要もないので、お米を研いだらすぐに炊飯できるのは圧力鍋ならではです。炊飯器と比べるとかなり時短になりますね。炊き上がりも炊飯器で炊いたご飯と比べると、甘みが強くてふっくらもちもちです。ぜひ挑戦してみてくださいね!
【圧力鍋でお米を炊こう】の作り方
作り方1
圧力鍋に研いだ米と水を一緒に入れます。水の分量は、炊飯器で炊くときと同様です。
(例:3合の場合、水は540ml)
作り方2
ふたをして、「高圧」に設定をして火にかけます。
圧力がかかってくるまで、大体5分程度強火にします。メインバルブが上昇してきて、カラー表示の緑の線が見えてきたら合図です。そこから弱火にして、緑色の線が見えるようキープしながら3分火にかけます。
作り方3
3分経過したら、火を止めて、そのまま自然放置します。8~10分程度でバルブが完全に下がったら、自然放置は完了です。
ふたを開けると、つやつやのご飯が炊けています!
炊きたてのご飯は、つやつや、もっちりの食感で、お米の甘みも感じられるおいしさです。
炊飯器のスイッチを入れ忘れてしまった! なんてときにも、圧力鍋があればすぐにおいしいご飯を食べることができますね。
基本の使い方が分かったら、別のレシピにもチャレンジしてみましょう!
【レシピ2】加圧時間はたったの6分! チキントマト煮込み
洋風煮込み料理の定番・チキントマト煮込みも、圧力鍋なら時短で、しっかり具材に火を通すことができます。
「圧力鍋で煮込み料理を作ると、時短でおいしくできるだけでなく、『煮る・焼く・蒸す』が鍋一つでできることも魅力です。洗い物が少なくて済みますよ」(古谷さん)
洗い物が少なく、手間がかからないと聞くと、「料理は面倒だから」と苦手意識のある方にもおすすめですね。
加圧時間が6分しかかからないのに、食べてみるとお肉はほろほろ。時間がない時にも手の込んだ料理を作りたい! なんて時にぴったりですね。
【圧力鍋で作るチキントマト煮込み】材料
・鶏もも肉・・・2枚(450g)
・小麦粉・・・大さじ3
[A]※合わせておく
・ホールトマト・・・1缶(400g)
・水・・・1/2カップ
・トマトケチャップ・・・大さじ3
・にんにく・・・半分に切ったものを2かけ分
・ローズマリーまたはタイム(生)・・・適量
・塩、こしょう、オリーブオイル・・・各適量
【圧力鍋で作るチキントマト煮込み】の作り方
作り方1
鶏肉の余分な脂を取り除き、1枚を半分に切る
塩・こしょうを振り、小麦粉をまぶす
作り方2
圧力鍋を中火で熱し、オリーブオイルを引いて、鶏肉の皮目を下にして焼き色が付くまで焼く
作り方3
鶏肉に焼き色が付いたら裏返し、Aを入れる
作り方4
ふたをしっかりと閉め、メインバルブを高圧に設定し、強火にする
作り方5
メインバルブが上がり、カラー表示の緑のラインが見えてきたら、そのラインをキープできる程度の弱火にして、6分間煮込む
作り方6
火を止め、急冷する
※流水を圧力鍋の本体にかかるように当て、圧力を下げることを急冷といいます。メインバルブがしっかり下がるまで水を当てます。この時に鍋の内部に水がはいらないよう、バルブには水がかからないようにご注意ください
作り方7
ふたを開けて中火にかけ、とろみが付くまで煮込む。塩・こしょうで味を整える
【レシピ3】湯沸かしの必要なし! もちもちショートパスタ
煮込み料理のイメージが強い圧力鍋ですが、実はパスタをゆでることもできるんだそう。
「ショートパスタはゆで時間がかかるものも多く、お湯を沸かすところから考えるとさらに時間がかかります。圧力鍋なら、パスタの種類にもよりますが、1/3程度の時間でゆで上がりますよ」(吉田さん)
また、圧力鍋でゆでるともちもちに仕上がるので、ぜひ一度試してみてくださいね。
【圧力鍋でゆでるショートパスタ】材料
(1人前)
・パスタ・・・100g
・水・・・200g程度
・塩・・・適量
・お好みのパスタソースなど・・・1人前
吉田さんによると、パスタはくっつきにくいショートパスタがおすすめとのこと。長いパスタは半分に折るなどして調理するようにしましょう。
【圧力鍋でゆでるショートパスタ】の作り方
作り方1
圧力鍋にパスタを入れ、入れたパスタがかぶる程度の水、塩適量を入れる
(分量の目安は材料を参照)
作り方2
ふたをして、圧力鍋を高圧に設定し、強火にかける
作り方3
メインバルブが上がり、カラー表示の緑のラインが見えてきたら、そのラインをキープできる程度の弱火にして、4分間加圧する
作り方4
ふたを開け、くっつかないようにかき混ぜる
作り方5
お好みのパスタソースと和える
おいしく調理した後の片付けは? どこまで分解可能なの?
いずれのレシピも、圧力鍋を使うことで、時短かつ簡単に調理ができましたね。
そんな圧力鍋ですが、お手入れはどのようにしたらいいのでしょうか?
「圧力鍋の本体は、普段フライパンなどを洗うのと同様に、食器用洗剤で洗ってください。ふたについては、パッキンやメインバルブなどのパーツも外せるようになっているので、定期的に分解して洗うと衛生的です」(古谷さん)
調理は片付けまでセットですが、普段の洗い方でOKなのもうれしいポイントですね。
長く使うためにも、定期的にケアを行いましょう。
知っておきたい! 圧力鍋の選び方とは?
圧力鍋と一口に言っても、いろいろな種類や素材があることをご存じですか? また、圧力鍋を選ぶ際に気になるのは、「どんな大きさの物を選べばよいか」なのではないでしょうか?
古谷さんと吉田さんに、圧力鍋の選び方についても教えていただきました。
「おもり式」と「スプリング式」、違いは蒸気口の仕組み!
コンロで使える圧力鍋にも、「おもり式」と「スプリング式」という種類があるのだそう。
圧力鍋というと、シューッと勢いよく蒸気が噴き出すイメージを持っていらっしゃる方も多いと思いますが、それは「おもり式」の圧力鍋で、「スプリング式」の場合は、ほとんど蒸気も出ず、音も静かなのだとか。
「おもり式」と「スプリング式」の違いは、蒸気が噴き出してくる蒸気口の仕組みにあります。
- 「おもり式」は、圧力がかかり始めると蒸気口にあるおもりが揺れて「シュー」っという大きな音を立てて蒸気が出る仕組みで、音で圧力がかかっていることが分かるようになっています。
- 「スプリング式」は、蒸気口がバネになっており、そのバネの力で圧力を調整する仕組みなので、蒸気がほとんど出ないのが特徴です。
フィスラーさんの圧力鍋は「スプリング式」の圧力鍋。蒸気がほとんど出ないタイプなので、暑い夏の日の調理にも使いやすくおすすめとのことでした。
圧力鍋の素材が違うと性能も違う!?
吉田さんによると、圧力鍋の素材は、メーカーによってアルミ製やステンレス製があり、その素材によって性能も異なるのだそう。上の表がその違いをまとめたもの。それぞれに特徴があるので、自分の利用シーンをイメージして最適な素材を選べるといいですね。
ちなみに、フィスラー製品の場合は、さびにくくお手入れしやすい高品質ステンレスを使用し、鍋底には熱伝導が良くなるように、アルミを挟んだステンレス素材を使用している多層構造なのだそう。それにより、素早く加熱することができるんだとか。
どのサイズの圧力鍋を選べばいい?
一般的に圧力鍋のサイズは人数+1Lが目安といわれているそうです。古谷さんによると、2.5Lがコンパクトで普段使いにも便利とのこと。圧力鍋を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
圧力鍋は決して安い買い物ではないので、圧力鍋を選ぶ際には、「圧力鍋の種類」「素材」「大きさ」を見比べて、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶようにしたいですね。
電気圧力鍋との違いとは?
今回ご紹介しているフィスラーさんの圧力鍋は、コンロの火力調整を伴う圧力鍋ですが、調理家電として電気を用いる「電気圧力鍋」もあり、それぞれ違いがあるそうです。
「コンロで使用する圧力鍋は、強火で圧力をかけ、バルブが上がったらごくごく弱火で短時間加熱するだけなので調理時間も短く、さらに栄養素や風味を逃さないので、食材本来のおいしさを感じることができます。一方で火力調整を行う必要があります。電気圧力鍋は、最近ではボタンひとつ押すだけで料理ができるものもあるようですが、圧力のかかり方は比較的弱いように感じます。食材のおいしさをしっかり味わいたい方には、コンロで使用する圧力鍋が向いていると思いますよ!
また、大きな違いとしては、保証期間を挙げることもできますね。メーカーにもよりますが、コンロで使用する圧力鍋は、長期保証が付いている場合が多いですね。弊社の場合はご購入から15年保証になります。お母さまから娘さんへ圧力鍋を引き継いだなんていうお話をよく伺うこともあります。長く安心して使い続けていただけるというのも、コンロで使う圧力鍋の魅力の一つと言えるかもしれませんね」(古谷さん)
おわりに
圧力鍋の便利な使い方からすぐに実践できるレシピまで、フィスラージャパンの古谷さん・吉田さんにその魅力をたっぷりと教えていただきました。
「時短で簡単に、しかもおいしく調理ができるので、お料理好きな方はもちろん、苦手な方もぜひ使ってみてください。一度使うと手放せなくなりますよ」と吉田さん。料理の幅がぐっと広がる圧力鍋。ぜひ、その魅力を実感してみてくださいね。
圧力鍋には、最新のガスコンロがおすすめ!
最新のガスコンロには、料理を強力にサポートする便利機能が満載です。
自動で火加減を調整する揚げ物・焼き物に便利な「温度調節」機能や、ボタン一つでガス火炊きのご飯が炊き上がる「自動炊飯」機能。お湯が沸いたり、設定した時間になると消火する「湯わかし」や「コンロタイマー」機能など、「ガスコンロ」には調理をサポートする機能がたくさんあります。(※)
また、“魚を焼く”イメージの強い「グリル」ですが、実は肉や野菜料理、トーストやピザ、揚げもののあたため直しにも使える万能調理器です。
専用容器対応のグリルでは、手軽にオーブン料理も楽しめますよ。(※)
ガスコンロで「おいしい」をもっと簡単に! レパートリーをグンと増やしましょう!
(※)搭載機能や機能名は機種によって異なります。