睡眠の質が低下すると老化が早まってしまう!?
快眠セラピストの三橋美穂さん(以下、三橋さん)によると、睡眠にはとても大切な役割があり、日中のストレスや刺激で傷ついた細胞の修復・メンテナンスをしてくれるそうです。
三橋さん「ぐっすり眠ってすっきり起きる熟睡感のある睡眠は、あらゆるものをもたらしてくれます。元気になるし、きれいにもなる、人にもやさしくなれる。心身のパフォーマンスが上がります」
逆に睡眠がとれていないと、どうなるのでしょう。脳の疲労回復ができず脳機能が低下し、集中力や記憶力が低下する、やる気が起きない、ネガティブになるなどの症状が出ます。また、細胞の回復力も下がるため、疲れが取れない、肌や髪が荒れるなど、さまざまな影響が出てきます。
三橋さん「睡眠不足や質の低下は、一言でいうと老化を早くしてしまう、ということです。そして、しっかり睡眠時間を取っているのにも関わらず、朝すっきり起きられない、昼に眠くなってしまう、なんとなく寝た気がしないというのは、熟睡できていないせいかもしれません」
睡眠の質の高さは「寝始め」で決まる
質のよい睡眠とはどんなものでしょうか。三橋さんは「長さ(量)」と「深さ(質)」のバランスが重要といいます。
三橋さん「眠りにはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があります。
レム睡眠中は体の力は抜けていますが、脳は活動しています。反対に、ノンレム睡眠中は、脳も休んでいます。さらにノンレム睡眠にも「うとうと」から「熟睡」まで深さのレベルが違う4段階の眠りがあります。ステージ3と4の『深睡眠』は、大脳を深く休ませる眠り。成長ホルモンが出たり、疲労回復効果が高いのも、この深睡眠です。
よい睡眠では、図のように、寝始めが一番深い『深睡眠』で、だんだん浅くなっていきます。長い時間眠っていたとしても、寝つきが悪いと最初の睡眠が浅くなり、夜中に何度も目覚めてしまうのです。ですから、まずは寝つきをよくすることを目指しましょう」
では、ぐっすり眠ってすっきり起きるために、睡眠の質を向上する方法としては、どんなものがあるのでしょう。
三橋さんによると、以下の8つがポイントとのこと。
- 朝、太陽光を浴び、朝食をとる
- 夕方以降は間接照明やキャンドルを
- 夕方以降は仮眠しない
- ぬるめのお湯で入浴する
- 寝る前の飲酒・タバコ・カフェイン・寝床スマホは控える
- 枕やマットレスは自分に合ったものを選ぶ
- 寝室は暗くする
- 寝室の空気環境を整える
以下で詳しくご紹介していきます。
【睡眠の質向上の方法1】朝、太陽光を浴び、朝食をとる
私たちの体の中には体内時計が備わっています。時計を見なくても一定の時間でお腹が空いたり、眠くなるのは、体内時計の働きによるものです。
このリズムを整えるタイミングが、朝。
三橋さん「体内時計は全身にあるのですが、いちばん強力な”親時計”は脳の中にあります。視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分です。体内時計は個人差もあるのですが、おおむね24時間より少し長い周期で設定されています。この”ズレ”を、毎朝太陽の光を浴びることで、カチッとリセットするわけです」
体内時計のリセットは、晴天なら太陽光を15秒ほど浴びればOK。ただし、部屋の電灯ではまったく明るさが足りません。
三橋さん「体内時計のリセットには、最低でも照度が2500ルクスほど必要です。部屋の照明だと明るくても1000ルクス程度、コンビニやデパートでも1200~1300ルクスくらいといわれます。リセットを室内の電灯でまかなうのは難しいんですね。
その点、太陽光はものすごく明るい。曇りの日でも1万ルクスくらいありますし、晴れていると10万ルクスを超える日もあります。室内のほうが明るく見えても、朝は必ずカーテンを開けて太陽光を浴びましょう」
さらに、30分以上太陽光を浴びることで、いい眠りへの準備が始まる、と三橋さん。
三橋さん「太陽の光を30分以上浴びると、セロトニンが分泌されます。セロトニンは夜の睡眠ホルモンであるメラトニンのもとになるので、午前中にしっかりと太陽の光を浴びておくのが大事なんです」
「いい睡眠は朝から始まる」と三橋さん。コロナ禍のステイホーム中、睡眠の質が悪くなった人が増えていたそうですが、理由の一つが、日光浴不足。通勤など日常生活の中で30分以上太陽光を浴びていないと、ぐっすり眠るのが難しくなるのですね。
朝食をとることで体内時計を合わせる
太陽光で体内の親時計をリセットしたら、その後に朝食をとることも大事です。
三橋さん「朝食をとると、全身にある体内時計の”子時計”が親時計にピタっと同調します。消化吸収のために内臓が動き出すと全身の体内時計の調和が取れ、体温のリズムやホルモンの分泌リズム、代謝のリズム、睡眠や覚醒のリズムなどが整います」
毎朝同じ時間に起き太陽光を浴びて脳の親時計をリセットし、朝食をとることで体内の子時計を同期させるということです。一日をイキイキと過ごし、夜にぐっすり眠るためには、朝の一連の流れが大切なのですね。
上の写真は、イギリスやアメリカで食べられている「ポリッジ」というオートミールのミルク粥。
手軽に作れて栄養価も高いので、忙しい朝にもおすすめです。
【レシピ】手軽で栄養満点!「ポリッジ(オートミールのミルク粥)」
【睡眠の質向上の方法2】夕方以降は間接照明やキャンドルを
体内時計は光と関係しています。夜に明るい光を浴びると、体内時計が後ろにずれてしまうため、夕方ごろから徐々に照明の照度を落としていくといいそうです。
三橋さん「夜の室内照明はオレンジ色のやさしい光が理想的です。もしお使いの電灯が蛍光灯で調節が難しい場合は、寝る前2時間ほどは思い切って電灯をオフにして、間接照明やキャンドルの明かりで過ごしてみるのもいいですよ」
【睡眠の質向上の方法3】夕方以降は仮眠しない
一日の疲れが出て、夕方についうとうと・・・。これは、夜の眠りを妨げてしまいます。
三橋さん「眠気のもとになる睡眠物質は、起きている時間に比例してどんどんたまるものなんです。そして、まるで”ししおどし”のように、一定量の睡眠物質がたまると一気に眠気が訪れます。ところが、うたた寝すると睡眠物質が放出されてしまい、再びたまるのに時間がかかります。夕方以降に寝てしまうと、寝つきが悪くなるので避けましょう」
就寝前の8時間はしっかり起きて過ごし、睡眠物質を減らさないように。帰宅途中の電車で寝てしまうのも要注意です。
睡眠不足で仮眠をとるなら昼休みに!
忙しくて夜に十分な睡眠時間を確保できなかった場合は、昼休みに仮眠をとるのがおすすめ、と三橋さん。
「ランチの後、コーヒーを飲んで椅子に座って15分目を閉じましょう。視界からの情報を遮るだけで脳の休息になりますよ。また、仮眠の前にコーヒーを飲むことで、ちょうど起きる頃にカフェインの作用で覚醒します」
夕方以降の仮眠は夜の睡眠の妨げになってしまうため、仮眠は昼間に行うのが鉄則とのことです。
【睡眠の質向上の方法4】ぬるめのお湯で入浴する
睡眠中に体温がしっかり下がると、熟睡感を得られます。そこで効果的なのが、湯船に浸かる入浴。寝る前にいったん体温を上げると、その後急激に下がるので眠気が強くなり、寝つきがよくなります。
三橋さん「入浴は38~40℃くらい(冬は39~41℃)のぬるめの湯船に15~20分ほどゆっくりと浸かりましょう。額にうっすら汗をかくくらいがおすすめです」
シャワーではなく、湯船にお湯を張って入浴するのが効果的だそう。ただし、入浴は眠る前の1~2時間前に済ませておくことが大事だそう。
三橋さん「入浴で体温が上がった後、下がるのには少し時間がかかります。体が温かいままだとかえって寝つきが悪くなってしまうので、眠る1~2時間前が最適です。もし寝る直前でないと入浴ができないのでしたら、湯船に浸かる時間を5~10分程度に短くしましょう」
浴室の照明を消して、キャンドルの明かりで入るのも、リラックス効果が高まりおすすめとのことですよ。
【睡眠の質向上の方法5】寝る前の飲酒・タバコ・カフェイン・寝床スマホは控える
アロマをたいたり、ゆったりとした音楽を聴いたり・・・。快眠のためにと、普段の生活にプラスするものばかりを考えてしまいがちですが、三橋さんは「《快眠を妨げることをやらない》という引き算の考え方も大切です」といいます。
三橋さん「寝る前に避けることは、お酒、タバコ、夜食、カフェイン。これらは脳や体を活性化させてしまい、寝ている間にしっかりと休むことができなくなってしまいます。あとは、寝床でスマホを使うのも避けましょう。暗い寝室で強い光のスマホを見ると、明暗差がより際立つため刺激が強く、脳が活性化したままになってしまいます」
これらのNG行動は、週末に朝寝坊をしてしまい、体内時計が狂って月曜日の倦怠感につながることの原因に。やらない方がいいNG行動を「引く」ことも忘れないようにしたいところです。
【睡眠の質向上の方法6】枕やマットレスは自分に合ったものを選ぶ
寝具の寝心地も、快眠に直結する重要な要素の一つ。ただ、一概に「軟らかいほうがいい」「硬いほうがいい」とは言えず、「立っている時の姿勢が、寝ていても保たれるようにする」という点に重きを置きましょう。
三橋さん「適切な姿勢を保たねばならない理由は、血液の流れやリンパの流れ、筋肉や呼吸の流れを妨げないため。
例えば、枕が高いと首や肩の筋肉が突っ張って血行が妨げられますし、気道がふさがれると呼吸が十分にできなくなり、イビキが出たりします。マットレスが軟らかすぎるとお尻が落ち込みますし、硬すぎると腰が浮いてしまう。つまり、体のどこにも強い圧迫がかからないことが大事なんです」
適切な姿勢を保った上で、好みの感触であることも重要だそう。また、人は寝ている間に頻繁に寝返りをするため、スプリングなどの反発で寝返りを助けてあげるのがよい場合も。実際に寝て感覚を確かめた上で自分に合ったものを選びましょう。
【睡眠の質向上の方法7】寝室は暗くする
寝室は真っ暗にするのがベスト。まぶたを閉じていても、眼は常夜灯の光を感知してしまうのだそうです。
三橋さん「暗いほどメラトニンが分泌されるので、眠りやすくなります。ただし、急に暗くすると明暗差が強すぎて逆に脳が覚醒してしまうこともあるので、夕方から徐々に照明を暗くしておくことが大事です」
【睡眠の質向上の方法8】寝室の空気環境を整える
寝室の空気環境を快適に保つことも重要です。
寝室の掃除が十分でない場合、カビやダニが繁殖し、空気環境が悪化します。カビやダニの死骸、フンなどを寝ている間に吸い込むと、体内に入った異物を除去するのに体のエネルギーが使われてしまい、ぐっすり眠れなくなる恐れがあります。
三橋さん「せき込むほどひどいハウスダウトでなくても、睡眠の質に影響してくることは考えられると思います。マットレスや寝具が寝汗を吸うと、カビやダニの繁殖の原因にもなります。日ごろからよく乾かしておくことをおすすめします。起きたらすぐにベッドメイキングをせず、布団を広げておくのも大切ですよ」
また寝ている間も寝室は暖房器具やエアコンなどを活用し、温度や湿度をコントロールすることが大切だそうです。
三橋さん「また寝る時には、温度18~28℃、湿度は40~60%が心地よいと感じるはずです。寝る時に暖房器具を使うのを避ける方もいますが、暖房器具で室温は一定に保ち、衣類や寝具で温度調節をすると、寝室の空気の質も保たれるのでおすすめです」
プロの力を借りて、快適な寝室環境を手に入れましょう
ベッドなど大型の家具が多く、なかなか掃除の手が行き届きにくい寝室。エアコンの掃除も、寝具がある環境ではこまめに掃除がしづらいものですね。
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おわりに
分かりやすいトークで、睡眠のメカニズムを教えてくださった三橋さん。「いい眠りは朝から始まる」「足すことよりも前に引くことを考える」というメッセージが印象的でした。ぐっすり眠ろうと夜からあれこれ頑張っても、質のいい睡眠を手に入れるのは難しいことが分かりました。朝きちんと起きること、朝日を浴びることを意識的に心掛けたいですね。