ドライフラワーはお家で簡単に作ることができる?!
ドライフラワーとは花や葉、果実などを乾燥させたものです。
ドライフラワーの始まりは17世紀以降のヨーロッパだといわれており、日本に定着していったのは昭和期以降。近年ではドライフラワーを束ねてスワッグと呼ばれる壁飾りを作ったり、リースにしてお部屋に飾るなど、おしゃれなインテリアとして人気が高まっています。
そんなドライフラワーを、「おうち時間を使って作ってみたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。一見難しそうに思えるドライフラワーですが、実は、初心者の方でもおうちで簡単にドライフラワーを作ることができるんです。
今回は、ドライフラワーの販売や、お花のある生活の楽しみ方を提案しているドライフラワー・スワッグ専門店「土と風の植物園」の店主である山崎由佳さんに、ドライフラワーの魅力や初心者でもできる作り方、楽しみ方を伺いしました。
ドライフラワーの魅力とは?
生花とは違った魅力があるドライフラワーですが、どのようなところが人気なのでしょうか。山崎さんにドライフラワーの魅力を3つ教えていただきました。
【魅力その1】ドライフラワーならではの色味
山崎さん「乾燥させて水分を抜くことで、生花とは違う風合いを楽しめます。思わぬ曲線が生まれたり、アンティーク調の色合いに変化していくのはドライフラワーならではです」
【魅力その2】お世話の必要がない
山崎さん「生花だと、お水を替えたり切り戻しが必要だったり・・・と毎日のお世話が必要になってきます。その点、ドライフラワーは日々のお手入れの必要がないので、取り入れやすいと思います」
お花を飾りたいけれど日々お仕事や家事に追われてお手入れができない、という方にはぴったりですね。
【魅力その3】作る過程や経年変化を楽しめる
山崎さん「お花の種類や飾っていただく環境によってスピードは違いますが、色が少しずつ変化していく様子を楽しむことができます」
ドライフラワーも月日が経つうちに色が変化していくものです。生花からドライフラワーになるまでの色の変化はもちろん、その後の経年変化も楽しめるのがドライフラワーの魅力です。
また、山崎さんはドライフラワーの寿命について「種類によって違うのではっきりとは言えませんが、私たちは『魅力を感じなくなった時が寿命です』とお伝えしています。くすんだような色味に魅力を感じる方もいらっしゃいますし、それぞれの感じ方で楽しんでいただきたいですね」と教えてくださいました。
ドライフラワーに向いている植物とは?
ドライフラワーを作る場合、ドライフラワーに向いている花とそうでない花があります。初心者の方はドライフラワーにしやすい花を選びましょう。
山崎さん「カスミソウや千日紅などの水分量が少ないお花がおすすめです。パリッとしたきれいなドライフラワーに仕上がりますよ。人気のものだと、春が旬のミモザ、秋が旬のパンパスグラスがおすすめです。また、南半球の乾燥したところに生えているワイルドフラワーもドライフラワーにしやすいお花です」
上の写真は秋が旬のパンパスグラスです。お部屋に合わせやすいクリーム色の穂が印象的ですよね。
また、アジサイもドライフラワーとして人気がある花ですが、種類や時期によってドライフラワーにしやすいものとしにくいものがあるそう。水分量は見た目には分かりにくいので、お花屋さんでドライフラワーになりやすいお花を聞いてみてもよいでしょう。
初心者でも簡単に! ドライフラワーの作り方
ドライフラワーに向いている花が確認できたら、次は作り方についてご紹介します。今回は、ハンギング法、ドライインウォーター法、シリカゲル法の3つの作り方や、それぞれの作り方に向いているお花をご紹介します。
吊るしておくだけ?!「ハンギング法」
ハンギング法は、ドライフラワーの作り方の中でもポピュラーな方法です。吊るすだけでできる方法なので初心者の方にもおすすめとのこと。山崎さんのお店「土と風の植物園」でもドライフラワーのほとんどはこの方法で作っているそうです。
山崎さん「お店では、お花の色や形をきれいに残すために、一番良い状態の時にドライフラワーを作るようにしています。ハンギング法はそれが最もやりやすい方法です。また逆さに吊ると茎が垂れ下がるようなこともなく、真っ直ぐな形になりやすいため、きれいなドライフラワーを作ることができます」
【手順】
1.お花が密になりすぎないように束にし、茎を紐で縛る
2.直射日光の当たらない風通しの良いところで吊り下げ、ドライフラワーになるまで乾燥させる
(※日の光が当たると退色してしまうので、外には干さないようにしましょう)
ハンギング法のアレンジ方法として、生花の時からスワッグやブーケのようにお花を束ねて吊るすことで、生花からドライフラワーへと変わっていく様子も楽しむことができます。
【おすすめのお花】
ミモザやパンパスグラス、ワイルドフラワーなどの水分量の少ないお花であればハンギング法できれいにドライフラワーにすることができます。
手軽さが魅力!「ドライインウォーター法」
ドライインウォーター法は、少しずつお花の水を抜いていく作り方です。
山崎さん「花瓶さえあれば置いておくだけでドライフラワーを作ることができるため、なんといっても手軽さが魅力です。ただ、少しずつお花の水分を抜くため、水分量の多いものだと腐ってしまうこともあります。乾燥しやすいお花を選ぶことがポイントです」
【手順】
1.花瓶の中に少量の水を入れ、花瓶に差す
2.水が蒸発しきるまで待つ
【おすすめのお花】
水分量が少ないお花はもちろんですが、花を縦にして乾かしていくため、茎が弱い植物は曲がってしまう可能性があります。ミモザやカスミソウなどの茎がしっかりした植物を選びましょう。
鮮やかな色を残せる「シリカゲル法」
シリカゲル法は、お菓子などに入っている乾燥材のシリカゲルを使用した作り方です。ハンギング法やドライインウォーター法とは仕上がりが異なり、お花の鮮やかな見た目を保てることが特徴です。
山崎さん「プリザーブドフラワーのように生花に近い見た目に仕上がります。シリカゲルに花を埋める形になるため、長い枝がついている状態だと扱いが難しいです。お花の部分を生花に近い状態で残したいときにおすすめの方法です」
【手順】
1.花の茎を少しだけ残し、切る
2.プラステック製密閉容器にドライフラワー用のシリカゲルを敷き、その上に花を並べる
3.その上から花が隠れるようにシリカゲルを振りかける
4.密閉容器のふたを閉め、一週間ほど待つ
5.花びらを壊さないよう取り出し、シリカゲルを払う
【おすすめの花】
カーネーションなどの花びらの多い花が向いています。ハンギング法やドライインウォーター法だと花がきゅっと密集した状態になりやすいのですが、シリカゲル法だと花びらの広がりを生かすことができます。
ドライフラワーの楽しみ方
ドライフラワーを作れるようになったら、次は飾り方を知りましょう。
無造作にお部屋に置いておくだけでもインテリアとして楽しめるドライフラワーですが、アイデア次第でさまざまな飾り方や楽しみ方ができるのも魅力の一つ。初めてドライフラワーに触れた方でも、手軽に楽しめる方法を3つご紹介します。
山崎さん「ドライフラワーは生花よりも軽く、生花ほどお手入れがいらないのが魅力。生花のように花瓶に入れて飾るのはもちろん、マスキングテープなどでも簡単に留めることができるので気軽に飾ってみてください」
【楽しみ方1】ガーランドにする
ドライフラワーは花瓶に飾るだけでもきれいですが、ドライフラワーによっては茎が弱く折れてしまうものも。そんな時は、ドライフラワーをひも状の装飾品のガーランドにして壁に吊るしてみましょう。麻紐を壁につたわせて端をピンで留め、小さく束ねたドライフラワーを等間隔にピンチで留めていくと簡単におしゃれなインテリアになります。
山崎さん「束ねるだけで高い技術がいらないので、初心者の方におすすめの楽しみ方です」
【楽しみ方2】スワッグを作る
自分の好きなドライフラワーを組み合わせて、スワッグを作ってみましょう。ドライフラワーを束ねて壁飾りにしたものは「スワッグ」といわれ、人気のある楽しみ方の一つです。
山崎さん「スワッグにしやすく皆さんに人気なものとしては、ユーカリが手に入りやすくおすすめです。葉物が入ると、ぐっとスワッグらしい素朴でかわいい雰囲気になります。また、季節を問わず手に入れやすいのがスターチスです。乾燥がしやすく色が残りやすいので、初心者の方にも取り入れやすいお花です」
お花の組み合わせを選ぶ過程も楽しめるのがスワッグの良さですが、初めてで相性がいいお花の組み合わせが選べない・・・という方は、見本となるような写真を探してみたり、手作りスワッグキットを購入してみるのもよいでしょう。
【楽しみ方3】小さなドライフラワーを飾る
ドライフラワーを小さなボトルやガラスドームに並べれば、いろいろな角度から楽しむことができます。
山崎さん「ボトルに入れていただくと埃もかぶらないので、掃除の必要もなく、スワッグなどを飾る場所がない方にもおすすめです」
また、お部屋に飾る以外にもお手紙やラッピングに添えることで、いつもとは一味違ったプレゼントに早変わり。普段とは違う特別な贈り物をする際に試してみてはいかがでしょうか。
【さらに長く楽しむために】お手入れ方法
こまめなお手入れが不要とはいえ、飾っているとどうしても埃がついてしまいますよね。そんな時にはどのようにお手入れをしたらよいのでしょうか。 山崎さん「埃をかぶってしまったときは、ドライヤーの冷風を軽く当てるとよいです。折れやすい繊細なドライフラワーに関しては、化粧筆のようなものでなでるように掃除してあげましょう」 埃はカビの発生の原因にもなることも。お気に入りのドライフラワーを長く楽しむために適度なお手入れを心掛けましょう。
おわりに
「ドライフラワーは飾ることはもちろん、作る過程も楽しんでいただけたらうれしいです」と山崎さん。
今回の取材を通して、飾るだけではなく、作る過程や経年変化、お花ごとの個性の違いなども楽しめることがよく分かりました。
ドライフラワーは、普段お花に触れる機会が少ない方でも簡単に作ることができ、さまざまな楽しみ方ができます。この記事を参考に、おしゃれなドライフラワーを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?