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音読はどんな効果があるの? KUMONの担当者にズバリ聞く

子どもが小学生になると、多くの家庭でお子さんの「音読」の宿題に接することが増えてきます。声に出して文章を読む「音読」、いったいどんな教育効果があるのでしょう? 音読は何のためにやるのか、また、楽しみながら音読に取り組むためには、乳幼児期にどんなことをやっておくといいのか。国語教材の学習の一部に「音読」を取り入れ、「歌・読み聞かせ」を乳幼児教育の大切な柱に据えているKUMONの担当者に伺いました。

最終更新日:2024.8.23

目 次

小学校で「音読」を行う理由は、理解度を高めるため

教科書を読む子ども

PIXTA

小学校の宿題の定番となっている「音読」。

スラスラ読む子、詰まりながらもなんとか読む子、ジャンルや内容によって上手に読めるもの・そうでないものなど、いろいろな個性を発見することができますね。

そもそも、なぜ学校の教育課程に音読が取り入れられているのでしょう。

文部科学省が作成した「学習指導要領解説」によると、音読には、自分が理解しているかどうかを確かめたり深めたりする働きと、他の児童が理解するのを助ける働きとがあるとのこと。

自分のために音読をする場合、文字を確かめ、内容が理解できるか、どのように感じるかなどを、自分の声を自分で聞きながら把握していく狙いがあります。他の人のために音読する場合は、音声化することによって、互いに理解し合っているかを確認し合う狙いがあるようです。

子どもが「音読」をする理由は、自分が読んだ事柄を確認するため

指差しながら読む子ども

PIXTA

自分で字が読めるようになると、絵本を声に出して読む子が増えてきます。いったい、なぜなのでしょう?

KUMONの澤野欧輔さん(以下、澤野さん)によると「自分で読んだ文や語彙を耳で聞くことで、理解を促す効果があるのではないか」とのこと。

確かに記者の6歳児も、日々大きな声で本を読みあげています。

見ているとだんだんヒートアップして声が大きくなってくるので、自分が読書を楽しんでいるうちに、自然に声になって出ていることがわかります。声に出して読むことで、言葉を確認しながらお話を理解していっているのですね。

音読は、黙読へ進むステップの中のひとつ

読書する人

PIXTA

澤野さんによると、「音読は黙読(一人で本が読める状態)に発展するためのステップの一つ」なのだそう。

「KUMONでは、読書が最終的に目指すところは、自分で様々な分野の本を選んで読むことができ、未知の課題も自分で切り拓いていける力をつけること、と考えています。そのために、幼児教材から小学校3年生相当の教材には音読練習できる紙面を設けて、読むことそのものが大好きになってもらえるように、学習をサポートしています」

なるほど! 音読は、読書を楽しめるようになるための、大切な成長段階なのですね。

子どもは音読を通じて文字に親しむ

教科書を音読する子ども

PIXTA

「読解力を高めるために、音読はとても効果があります」と、澤野さん。

「例えば、文節の区切り方を間違えて音読している場合は、文章の内容理解度も不十分だといえます。また、その子にとって知らない語彙はたどたどしくなってしまうことが普通です。音読を聞けば、文章を理解できているかの確認ができます。

とはいっても、上手に音読することを目標にして注意ばかりしていると子どもの意欲は萎えていきます。

本人が楽しそうに音読することが大切で、音読は今のお子さんの状態を表している結果なので、上手と思えた点をほめてあげると次の意欲につながります」

読書は未知との出合い

絵本を見る子どもたち

PIXTA

小さいころの絵本から、長編の書籍へ、子どもの読書は徐々に世界を広げていきます。

本によって子どもは何を得ているのでしょう?

「読書は、想像力や興味をより広げてくれるもの。見知らぬものを子どもなりに”一体何だろう?”と考えることは、自分にとって興味のある世界を広げるきっかけになります。いわば未知のものに出合う経験といえますね」と、澤野さん。

子どもが毎日過ごしている日常生活では得られない経験を、本は与えてくれるというわけですね。

また澤野さんはこうもおっしゃっています。

「未知のものとの出合いは、やがて未知のものを”類推する力”につながるのではないでしょうか。この話だからこの展開はこうなる、主人公の気持ちはこうではないか、と想像する経験から、他者のことを考える力を身につけていくこともあると思います。歌や読み聞かせを通じて、本の世界を楽しい! と感じられるようになると、一人でも本を読んでみたいと思うようになります」

本を楽しめる力は、小さいころの読み聞かせによって土台がつくられていくんですね。

「読み聞かせ」はなぜ学びの土台になるの?

読み聞かせする家族

PIXTA

KUMONが歌と読み聞かせに注目したきっかけは、1980年代半ばのこと。

当時行われた “就学前に中学相当以上の教材を学習するようになった子どもたちの成育歴調査”で、調査の対象となった子どもたちの成育歴でほぼ全員に共通していたのが、“家庭での歌と読み聞かせ”だったそうです。

その後、脳科学者・心理学者と歌と読み聞かせに関する共同研究をスタート。

「その結果、歌い聞かせ・読み聞かせが、子どもたちの脳の辺縁系(情動の源・心の脳)に働きかけることがわかりました。これはつまり、経験的に知られていた ”歌や絵本の効果”が、科学的にも解明されたわけです」

上記の内容は、以下のサイトより抜粋しています。

株式会社 公文教育研究会「Vol.003 "歌と読み聞かせ”を科学する 医療現場でも注目される“絵本の力”について、KUMONが“歌と読み聞かせ”を おすすめする理由(わけ)子どもたちから学んだ「歌と読み聞かせの大切さ」

【子どもにとっての読み聞かせの効果1】喜怒哀楽=心の脳を育てる

絵本を読む親子

PIXTA

読み聞かせをしてもらっている子どもは、知らない言葉が多くても、楽しい場面ではニコニコと笑い、かわいそうな主人公がいれば悲しそうな顔をしますね。

読み聞かせによって「心の脳」が発達し、こわい、悲しい、うれしい、楽しいなどがしっかりわかるようになる。
生きていく上で、とても大切な力ですね。

【子どもにとっての読み聞かせの効果2】自ら学ぶ力を育てる

おもちゃで遊ぶ子ども

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読み聞かせが子どもにもたらすもう一つの効果は「安心感」。

「ママやパパからやさしい笑顔を向けられ、言葉のやりとりをたくさんしてもらった子どもは、自分が守られていることや、愛されていることを実感して安心します」と、澤野さん。

また「身近にいる大好きな人の存在は、子どもの心の安全基地。”心の安全基地”があることで子どもは安心し、いろんなものに挑戦しようという気持ちが育ち、恐れることなくコミュニケーションできるようになると考えています」ともおっしゃっています。

毎日の歌や読み聞かせによって、親子の絆が形成され、ますます子どもはママやパパのことを大好きになりますね。

また、繰り返し同じ本を持ってきたり、同じ話を読んで欲しがったりすることも、子どもが「安心感」を求める行動の一つだそう。

絵本に対して、初めてのものに出合うという刺激を求める反面、安心感を求める子どもも。

記者の子も繰り返し同じ絵本を読んで欲しがりますが、これからは、嫌がらずに読んであげようと反省しています・・・。

【親にとっての読み聞かせの効果1】子どもの趣味嗜好がわかる

飛び出す絵本を楽しむ親子

PIXTA

プリンセスのお話を好む子、ファンタジーや冒険ものが好きな子、ちょっぴり怖いお話が好きな子など、子どもたちの趣味嗜好は本の数だけ無限にあります。

読み聞かせは、そんな子どもたちの趣味嗜好を探る、絶好のツール。

繰り返し読んで欲しがる本から、近いジャンルのものを次々と読み進めていくうちに、だんだんと知識を増やして興味のある世界が深まっていきます。

「KUMONでは、子どもたちの興味に合わせて”くもんのすいせん図書”を用意しています。古今東西の名著を中心に650冊の本を、読みやすい本から13段階に分けて紹介しています。昔から読み継がれている絵本もあるので親子で楽しめると思いますよ」と澤野さん。

これらは一覧表にまとまり、PDFで配信もされているそうです。絵本や本選びの参考になりそうですね。

【親にとっての読み聞かせの効果2】子どもの成長を感じられる

子どもと遊ぶ人

PIXTA

読み聞かせは親と子の絆をつくるためのもの。子どもだけでなく親も楽しむことで、子どもをかわいい、いとおしいと感じることができ、豊かな感情のやりとりが育まれていきます。

とはいえ、子育ては日々の地道な積み重ね。

ときには苦しいこともありますが、子どもの成長を感じられる瞬間があるからこそ、親にも笑顔が生まれます。

「成長を実感するための方法として、記録をしておくことをおすすめします。絵本を通じて、こんなことがあった、こんなところで反応した、ということを簡単にメモしておくだけでも、あとから振り返って “大きくなったんだな” と実感することができますよ」と澤野さん。
成長を感じるためには、記録を残しておくことが大切なんですね。

そこで、読み聞かせの記録に活用できるツールをご紹介します。

【絵本を通じた成長記録の残し方1】KUMONの「ミーテ」を活用

ミーテのサイトイメージ

ミーテ

「KUMONでは、子育て応援活動の一環として、2014年から”ミーテ”という歌や絵本の読み聞かせを支援するサイトをオープンしました。親御さんが読んできた絵本の記録を残したいと思ったり、わが子にはどんな絵本が合うのかな?と迷ったりしたときに、ご利用いただけます」(澤野さん)

この”ミーテ”を利用している人たちは、「わが子の成長の記録が残せる!」と喜んでいるそう。

「同じ本を読んでも、子どもの反応は日々どんどん変わっていきますよね。前とは違う場所で反応するようになったり、より深く絵本の世界にのめりこんでいったり・・・。こうした変化を”ミーテ”では記録できるので、ときどき記録を読み返すと、お子さんの成長がわかって、育児へのモチベーションがわいてくるのではないかと思います」(澤野さん)

”ミーテ”は、WEBサイトのほか、専用アプリも。

”ミーテ”に子どもの年齢を登録すると、その子に合った絵本のおすすめが見られたり、同じ月齢の子たちが読んでいる絵本がわかったり、読んだ絵本のバーコードを読み込むだけで記録できたりします。

「記録することでこんなにたくさん読み聞かせていたんだと気づくきっかけにもなり、また自分と同じように子育て中の親御さんの声も読めたりして、孤独や不安の解消にもつながるようです。

読んだ本が100冊になると “100冊おめでとう”と表示されるなど、励みになりますという声をたくさんいただいています」(澤野さん)

おわりに

ママもパパも多様化しているいま、絵本の読み聞かせの形はさまざまに広がっています。

澤野さんにも聞いてみたところ、「デバイスやツールを使いこなしている方もいるので、デジタル絵本を検討するのもよいと思います。紙の絵本だけではなく、要は親子が絆を深め、絵本の世界を楽しむために、その家庭に適した形を選択することが大切ではないでしょうか」とお話しくださいました。

”ミーテ”の中には、お気に入りの絵本を登録する機能があり、読み聞かせアプリ「みいみ」で読んだ絵本を「ミーテ」に登録することもできるそうです。

ツールをうまく使いこなして、読み聞かせの世界を親子で楽しみ、音読へとスムーズにつなげていきたいですね。

参考:文部科学省「小学校学習指導要領解説〜国語編」

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公開日:2020.9.28

最終更新日:2024.8.23

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