「火育」とは何か、今こそ知りたい理由
近年はキャンプブームも手伝って、夏休みなどにキャンプやバーベキューで「火」に触れる体験をされる方もいらっしゃると思います。
東京ガス都市生活研究所が20~70代の男女を対象に実施した調査では、子どもの頃、7割以上が「キャンプファイヤーやバーベキューで火や炭を扱う経験をしたことがある」と回答しています。
一方で、日常の暮らしの中で「火」にふれる機会は、どんどん少なくなっています。
昔は、薪で料理したりお風呂を沸かすことは当たり前でした。現代は、そんな生活の「火」はもちろん、仏壇や神棚のろうそくに火を灯すといった経験も少なくなっています。
マッチを擦ったことすらない子どもが増えているのです。
子どもに「火」を扱わせることは、「怖い・危ない」というイメージが強いかもしれません。しかし、その扱い方を「子どものうちにきちんと知ることは大切である」、と考える人も多いようです。
調査引用:東京ガス都市生活研究所 「火」を学び、「火」を楽しむ
【火育の難しさとは】子どもは「火」が大好き! でも・・・
子どもは、本当は「火」にとても興味があります。バースデーケーキやクリスマスケーキのろうそくを見つめる瞳は、とてもキラキラしています。
でも、現代において、公園などの公共の場所での焚き火は禁止されています。庭で焚き火をする人も、昔に比べて少なくなりました。花火ですら、住宅密集地やマンションでは、なかなか難しいことも多いようです。
大人が意識して、子どもが「火」にふれる機会を作ることも大切です。
【火育のメリットとは その1】「火」を学ぶことが『生きる自信』につながる
人類は暮らしの中に「火」を取り入れることで、より暖かく、より美味しく、より明るく、より快適な暮らしを手に入れてきました。
今はスイッチひとつで灯りがつき、部屋が暖まり、ご飯が炊けて、お湯が使えますが、昔の暮らしは「火」というエネルギーで、それらの全てを賄っていました。「火」を扱うことは、そうした人類の歴史を追体験することにつながります。
今の私たちは、電気やガスなどのエネルギーを当たり前のように使っていますが、それがない時は「火」で代用できることを知ることは、子どもにとって、目には見えない『生きる自信』につながります。
原始的なようですが、「どんなところでも生きられる」力を育むことはとても大切なことです。
【火育のメリットとは その2】災害時への備えになる
「火」を正しく扱えることが具体的に役立つときがあります。それは、インフラが停まってしまうような大災害時です。東日本大震災直後に被災地に入ったボランティア・リーダーの方は、こう語っていたそうです。
「避難所での生活は、まず火をおこし、お湯を沸かすことから始まるんだよ。」
また、1995年に発生した阪神・淡路大震災の被災者で、避難所で炊き出しを担当していたある女性はこう語っていたそうです。
「被災地では本当に火は重要なの。火を扱えない人が当時本当に多くて私は火の番をし続けてたの。もっと多くの人が火を扱えたら楽だったのにね。」
大きな災害は、いつどこで起こるか分りません。
火のおこし方や正しい扱い方を知っておくことは、もしもの時の「備え」として非常に大切なことなのです。
引用:東京ガスネットワークの火育「防災と火育」
家庭でできる「火育」とは?
こんなに大切なのに、なかなか子どもが触れ合う機会の少ない「火」。
でも、少し工夫すれば、家庭でも「火育」ができます。
その1 お休みは火と接するチャンスがたくさん!
夏休みやお休みは、火にふれる絶好のチャンスです。
キャンプでの飯盒炊飯、キャンプファイヤー、バーベキュー、花火。「大人がやった方が早い・・・」ということもありますが、できるだけ、子どもが火にふれる機会を作ってあげましょう。
小さな子どもでも、火に木をくべたり、ゆれる炎を見つめたりするだけでも楽しいものです。火をおこせるようになった子どもは、とても誇らしげな顔をすること請け合いです。
その2 火が使える遊び場、「プレーパーク」で遊ぼう
「プレーパーク」をご存知ですか? 別名、「冒険遊び場」といいます。
その名の通り、子どもにとってちょっと「冒険」になる遊びを、地域のボランティアやプレーリーダーと呼ばれるスタッフに見守られながらできる場所です。
具体的には、普通の公園では禁止されているような、「焚き火」や「泥遊び」や「木登り」などを、思いっきりすることができます。プレーパークは様々な地域で開催されていて、常設だったり、週に何回かのイベント型だったりさまざまです。
かなりアクティブな遊び方ができるので、パパと一緒に行ってみるのもおすすめ。
ぜひ一度、お近くのプレーパークを探してみて下さい。
参考:NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会
その3 「火育」イベントに参加してみる
東京ガスネットワークでは、長年火とともに歩んできた企業として、2012年より「火育」に取り組んでいます。次世代を担う子供たちが、火について学び、正しく扱い、そして火がもたらすさまざまな恵みを楽しむ体験を通して、「災害時に生き抜く力」と「生活を豊かにする力」を育むことをめざしています。
がすてなーに ガスの科学館では、「火育フェス」と題して、災害時の火の役割や、火をおこす方法、炎のコントロールの仕方、災害時に役立つ知識などを学べるイベントを開催します。今年も楽しい体験プログラムが盛りだくさんです。ぜひ、ご家族で火に親しむ 1日を体験してみませんか?
・日時:2018年11月18日(日)9:30~17:00(入館は16:30まで)
※11月18日(日)はキャンドルナイトのみ17時30分まで
・場所:がすてなーに ガスの科学館(豊洲)
・参加費:無料(事前申し込み不要)
(このイベントは終了しています)
以下にプログラムの一部をご紹介します。
◆身近な材料で火をおこそう ~かまど編~
家庭にある道具や素材を使って火をおこし、お湯を沸かす体験を通して、火の扱い方を学びます。
◆薪を組んで火をおこそう ~たき火編~
火をおこすための材料選びや、燃やす順番を考えます。
また実際にたき火台を使って薪を燃やす体験を通して、火の扱い方を学びます。
◆火の歴史と昔の火おこし道具
紙芝居を使ったクイズで、火の歴史について学びます。古代の火おこし道具にも触れる体験付きのプログラムです。
◆キャンドルナイト
大小さまざまな約1000個のキャンドルに火が灯ります。(写真はイメージです)
炎の明るさや癒しの力を感じて頂きます。
時間:17:10~17:30 ※17時以降は展示室へ入れません。
場所:気球ひろば
その4 料理や食事に火を使ってみよう
火おこしまではできなくても、「火でできること」をまず知ることも、立派な火育です。
いつもは炊飯器で炊くお米を、コンロの火と鍋で炊いてみたり、食事のときも電気を消してろうそくに火を灯してみるだけで、ちょっとした「おうちキャンプ」が体験できます。
ろうそくに火をつけるために、マッチの擦り方を伝えるだけでも、大きな一歩です。
家族で揺らめく炎を見つめるのは、きっと楽しい時間になりますよ。
子どもと一緒にお料理する時に何から教えたら良いのか、どうやって教えたら良いのか、不安な方は「親子料理教室」に参加してみるのもおすすめです!
東京ガスでは、1992年から子どもを対象とした料理教室「キッズ イン ザ キッチン」を開催しており、親子クラス(4歳から小学2年生と保護者対象)は、親子で料理を作るクラスです。
保護者の方々には、お子さんと調理をする上で参考になるヒントがたくさん!
普段あまりお料理をされないお父さんも大歓迎! しっかりサポートいたします。親子の料理デビューにもぴったりの教室です。
火育のときの注意点とは?
火の扱い方を伝える際には、まず「火をおこすために必要な3つの要素」を説明しましょう。
「酸素」「燃えるもの」「熱」、この3つがそろって火がおきます。火おこしでうちわを使ったり、燃えるものを火に投入することで、知識と体験が結びついていきます。
また、火を扱うときの注意点も、必ず伝えましょう。
東京ガスネットワークの「火育」サイトでは、「火を使うための6つの約束」を提案しています。
1. 必ず「おとな」と一緒に使います。
2. 火でいたずらをしたり、危ないことはしません。
3. 火のまわりに燃えるものをおいてはいけません。
4. 衣服のそで口に火がつかないように注意します。
5. 火を使っている間は、その場からはなれてはいけません。
6. あらかじめ消火用の水やぬれぶきんを用意します。
大人も改めてこちらを見直し、トラブルのないように注意したいですね。
引用:東京ガスネットワークの火育「火を扱う」
おわりに
今こそ子どもに伝えたい【火育】についてご紹介しました。「東京ガスネットワークの火育」のサイトでは、家庭での火育にも活かせる様々なコンテンツがありますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
子どもの「生きる力」を育み、万が一の備えとしても大切な【火育】。大人が意識して、子どもに伝えていきたいですね。