『生きる力』をはぐくむ教育研究家から見た、家で水遊びするメリット
『生きる力』をはぐくむ遊びの基本、それは、子どもがやりたいことを、自分のペースで、思う存分できるようにすることです。
水遊びについても、それは同じです。赤ちゃんにコップの水をじゃーっとひっくり返されたり、机にこぼれた水を手の平でぱちゃぱちゃされたことはありませんか?
そうやって無意識に遊びたくなってしまうくらい、子どもは生まれつき、水に触れるのが大好きなのです。
でも、やっぱり食事中に遊ばれたら大変です。お風呂中に遊ぶこともできますが、身体や頭を洗う時間や、その後の生活リズムを考えると、思う存分というわけにはいかないもの。
では、プールや海に連れて行ったら、と思っても、小さい子と一緒に公共の場の水遊びはけっこう大変です。水を怖がったり、おしっこやうんちが心配だったり、人ごみでの着替えに疲れたり・・・
その点、夏のおうち水遊びは、親も子どもも自分のペースで、ゆっくりじっくり、思う存分水と触れ合えるチャンスなのです。
【家で水遊び】0~1歳におすすめのおうち水遊びとポイント
小さな入れ物や、ビニールシートをプール代わりに
ビニールプールってけっこうサイズが大きくて、スペースがないと置けないこともありますよね。
そんなとき、乳児なら、小さな入れ物でも十分プール代わりになります。
たとえば、新生児のときのベビーバスや、プラスチックの収納ケース(衣装ケース)、大き目の洗濯バケツなど。
ちょうどいい入れ物がなかったり、水を怖がる場合は、ビニールシートに水を撒いて、その上でバチャバチャさせてあげるだけでも、じゅうぶん楽しく遊べます。
洗面器やボールに水を入れて置いてあげれば、手を浸したり水を汲むこともできます。つるっと滑って転ばないようにだけ注意して下さいね。
おもちゃは、カップや小さなペットボトルでOK
水遊び用のおもちゃを買ってあげるのもよいですが、特に小さいうちは、捨ててしまうようなプリンカップや、小さなペットボトルなどでも十分遊べます。
遊び方が決まっているおもちゃでは、まだうまくその通りに遊べない年齢ですし、水と触れ合うこと自体が、この年齢の子どもには楽しいことなのです。
お食事のときにやりたがる、「コップをひっくり返してジャー」も、思う存分やらせてあげましょう。
注意ポイント:おしっこ・うんちの対策は?
普通のおむつをしたままだと、水を吸って膨らんでしまいます。
自宅なら見た目としては裸んぼでも大丈夫ですが、急に出てしまったうんちをキャッチするために、何か履かせておけたらより安心です。
赤ちゃん用の水着や、市販の「プール用のおむつ」は、そんなときに重宝します。水やおしっこは通してしまうので、おしっこをしたら水を取り替えましょう。
プールのサイズが小さければ、おしっこやウンチが出てしまってもすぐに水が取り替えられるので便利です。
【家で水遊び】2~3歳におすすめのおうち水遊びとポイント
ウォーターテーブルで水遊び
ウォーターテーブルとは、入れ物に水を張り、水で遊べるおもちゃを入れて遊ぶもの。踏み台などの上に置けば、立ったまま遊ぶこともできます。
ただ、小さくても無理に入ろうとしたり、水のかけあいっこに発展することもあるので、必ず濡れてもいい格好をすることをおすすめします。
おもちゃは、自由な発想で遊べるものを
手先が器用になってくる年齢ですので、魚釣りや水鉄砲、金魚すくいなどのおもちゃがあると、より楽しく遊べます。
0~1歳と同じように、プリンカップやプラスチックトレーなども活躍します。100円ショップなどで売っているような、シンプルな作りのものでじゅうぶんです。
たとえば、水に濡れても大丈夫なおもちゃを色々入れて魚釣りの魚代わりにしてみたり、プラスチックトレーが船になったり、おままごとやごっこ遊びに発展したり。
高機能なおもちゃもいいですが、シンプルな作りのおもちゃは、自分で色々発想して飽きずに遊ぶ力を伸ばしてくれます。
子どものアイデアで自由に発展していく遊びを見守ってあげましょう。
注意ポイント:ホースを持たないお約束を
この歳になると、お風呂でお湯を出しっぱなしにしたがって困ることはありませんか?
水遊びでも、もしお庭やベランダにホースを引く場合、ホースを子どもに持たせると、じゃーじゃー出して水がもったいない上、濡れては困るところまでびしょびしょになってしまうことも。
ジョーロや大きなペットボトルや水鉄砲を用意して、ホースは子どもは使わないお約束にした方がいいかもしれません。やりたがる気持ちは大切にしたいですが、水を張るのは大人の仕事、と線引きができるといいですね。
【家で水遊び】4~5歳におすすめのおうち水遊びとポイント
頭を使って工夫する遊び方を
この年齢になると、近所のプールで遊べる体力もついてきますが、前述のウォーターテーブルでもまだまだ楽しく遊べます。
この歳になると、段々と「ルール」のある遊びができるようになっていきます。
水鉄砲では、的を作って当ててみたり、魚釣りなら、一緒に釣り競争をしてみたり。
アクティブな遊び方をしようとすると、狭いスペースでは物足りなくなってしまうかもしれないので、少し工夫した遊び方がおすすめです。
おもちゃは、手作りや実験遊びが楽しい
ペットボトルや牛乳パックやストローなどで、水車や船やシャワーなどの手作りおもちゃを一緒に作ることも、この年齢になれば一緒に楽しむことができます。
自分で作った水車がくるくる回ると、子どもはそれだけで感動します。
(作り方は、ネットで調べればたくさん出てきます)
また、水彩の絵の具があれば、水に溶かして、色水を使って実験遊びをすることも、この年齢におすすめです。
青、黄、赤の三原色だけ用意して、色を混ぜて新しい色を作ってみるのも、楽しい水遊びのひとつです。
プリンなどのカップやペットボトルに色ごとに入れれば、おままごとやお店やさんごっこに発展して遊ぶこともできます。
注意ポイント:お勉強につなげる必要はありません
おもちゃを手作りするときも、色の実験をするときも、原理を教え込んだり、色の法則を覚えさせる必要はありません。
水車が回った! 船が浮いた! 色が変わった! という感動体験がまず大切で、どうしてそうなったか、という理屈を本当に理解できるのはもっと先です。
この歳だと、どうして? なんで? と聞いてくるので、つい詳しく教えたくなってしまいますが、簡単な説明で十分です。
「不思議だね、すごいね」と、まずは一緒に共感してあげましょう。
【家で水遊び】トラブルを起こさずに楽しむために、その他の注意ポイント
年齢別の注意ポイントもご紹介してきましたが、ちょっとした水遊びが思わぬトラブルにならないために、以下のポイントにも注意しましょう。
少量の水でも目を離さない
洗面器一杯程度の少量の水でも、小さい子どもは場合によって溺死の危険があることが知られています。
水深の浅い省スペースの水遊びでも、油断して目を離さないようにしましょう。
日焼け・熱中症対策を忘れずに
ベランダや屋外など日の当たる場所では、日焼けや熱中症対策を忘れずにしましょう。
特に子どもは、遊びに夢中になっていれば喉が渇いても訴えないこともあります。
日焼けについては、おうちでコンパクトに遊ぶなら、裸よりも濡れてもいい服を着せたままの方がいいかもしれません。
日焼け止めを塗る、シェードをつける、帽子をかぶらせる、こまめに水分補給させるなど、気をつけてあげましょう。
身体を冷やしすぎない
熱中症とは逆に、水に触れていると、思った以上に身体が冷えることもあります。
入れる前に水温を必ず確認し、冷たいようならお湯を足して、少しぬるくしてあげましょう。
また、長時間遊ばせすぎず、0~1歳なら15分程度、2~3歳なら30分、4~5歳でも一時間程度で切り上げるのがおすすめです。
(だいたいそれくらいで飽きてきます)
水遊びの後は、温かいシャワーやお風呂に入るとよいでしょう。
近所への配慮
遊び終わった後の水を一気に流すと、お隣のベランダや敷地に流れ込んでしまう場合があります。
楽しい遊びがご近所トラブルに発展することがないように、排水の仕方には気をつけましょう。
遊び終わったらゆっくり休める時間を
水遊びは体力を消耗します。
終わった後は、家の中でゆっくり休む時間を持ちましょう。
年齢によってはお昼寝するかもしれないので、夜に響かない午前中に遊ぶなど、時間帯も意識することをおすすめします。
おわりに
家で省スペースでできる水遊びの、年齢別のアイデアと注意点をご紹介しました。
プールで思いっきり遊ぶのも楽しいですが、自宅だからこそできること、自宅ならではの楽しみ方もたくさんあります。
おうち水遊びも取り入れて、楽しく夏休みを過ごしましょう。