アイスクリームの種類は大きく4つある? それぞれの違いは?
アイスクリームの種類は、乳成分の量によって大きく以下の4つに分かれます。
● アイスクリーム
● アイスミルク
● ラクトアイス
● 氷菓
このうち、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(略して乳等省令)」によって「アイスクリーム類」に分類され、氷菓は「食品の規格基準」によって成分規格等が定められています。
パッケージの原材料表示欄を見ると、「種類別」として記載されているので、どの種類なのか確認することができます。
では、具体的な成分や分類について詳しくご紹介していきましょう。
アイスクリームの種類を決める基準とは?
「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」など「アイスクリーム類」を分ける基準は、製品に含まれる「乳固形分」と「乳脂肪分」の量です。
「乳固形分」とは、乳及び乳製品の中の乳由来の固形分のことで、「無脂乳固形分」と「乳脂肪分」があります。
「乳脂肪分」は、乳固形分に含まれる脂肪分のことで、バターやクリームの主成分となります。
以下にて、乳固形分と乳脂肪分の量の違いとともに、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓それぞれの特徴を見ていきましょう。
【アイスクリームの種類1】アイスクリーム
アイスクリームは、「乳固形分15.0%以上 うち乳脂肪分8.0%以上」とされています。
4つの中でも乳固形分と乳脂肪分が一番多く含まれており、ミルクの風味が豊かです。また脂肪分の高さからコクのある味わいに。この種類「アイスクリーム」には素材重視の商品が多いことから、他の種類に比べるとお値段もやや高めのものが多いです。
【アイスクリームの種類2】アイスミルク
次に「アイスミルク」について見てみましょう。
アイスミルクは、「乳固形分10.0%以上 うち乳脂肪分3.0%以上」と定められています。
アイスクリームに比べて乳固形分と乳脂肪は少なめですが、牛乳と同じくらいの乳成分を含み、同等の栄養が含まれているそうです。商品によっては植物性脂肪が使われることもあります。
アイスクリームと比較してややあっさりしています。「デザートにアイスクリームを食べたいけど、さっぱりしたものにしたい」という時にオススメです。
【アイスクリームの種類3】ラクトアイス
ラクトアイスは、「乳固形分3.0%以上」と定められています。
乳脂肪分の成分規格はなく、植物油脂が多く使われていることもあります。さっぱりした口当たりのものや比較的リーズナブルなものが多いようです。
ミルク感を補い、滑らかな口当たりにするために、植物油脂が使われており、中には高カロリーなものもあるそう。乳脂肪分が少ないからカロリーが低い訳ではないそうなので、気にされる場合は表示を確認してみてくださいね。
【アイスクリームの種類4】氷菓
最後に氷菓についてご紹介します。
乳固形分3.0%未満のものは「アイスクリーム類」とは別に、「食品の規格基準」によって「氷菓」と定められています。
乳固形分はほとんどなく、果汁などを凍らせた「シャーベット」や「かき氷」、「アイスキャンディー」などもこれにあたります。
アイスクリームのようなクリーミーさはありませんが、キーンとした冷たさは暑い夏にぴったりですね。比較的低カロリーなものが多いのも特徴です。
アイスクリームの保存で気をつけたいことは
アイスクリームには賞味期限が記載されていないものが多いことをご存知でしたか?
実は、消費者庁 食品表示基準の規定により、「アイスクリーム類にあっては、期限及びその保存方法を省略することができる」と定められています。
冷凍保存がきちんとされていれば、細菌が増えることもなく、長期間保存しても品質の劣化はわずかなことから、賞味期限の代わりに「要冷凍(-18℃以下保存)」などと記載しているのです。
ただ、いくら長期保存が可能と言っても、時間の経過や冷凍庫の開閉頻度が高いなど、冷凍庫の使用状況によって品質変化が起こることもあります。美味しくいただくためにも、購入後は早めに食べるようにしてくださいね。
ヒートショックにはご注意を
アイスクリームの「ヒートショック」についてご存知ですか?
これは、温度変化によってアイスクリームの品質が変わることを指します。アイスクリームが一度柔らかくなったり溶けた後に再び凍らせると、ジャリジャリとして食感が悪くなってしまったことはありませんか? これは、アイスクリームが溶けた後、再び冷凍すると氷の結晶が大きくなり、アイスクリームの滑らかさが損なわれてしまうから。まれに、乳成分中の乳糖が結晶化して、ジャリジャリと舌に残ることもあります。
せっかく買ったアイスクリームは、美味しくいただきたいもの。
アイスクリームのヒートショックを防ぐためにも、お店で購入した後は、なるべくアイスクリームを溶かさないように気をつけたいですね。自宅まで保冷バックやドライアイスを使って運び、帰宅後はすぐ冷凍庫に入れるようにしましょう。
【アイスクリームの豆知識】凍っているのに口溶けが良い理由は?
アイスクリームは、凍っているのに口溶けが良くなめらかですよね。秘密の一つは「空気」。アイスクリームに含まれた空気の泡や脂肪の粒子が、冷たさを伝えにくくなめらかな口どけになるのです。
この空気が入る割合は「オーバーラン」と呼ばれます。ちなみに、一般的なアイスクリームのオーバーランは20~80%程度。オーバーランが低いとコクのある味になり、高いとフワッと軽い食感になります。
また、アイスクリームは脂肪やたんぱく質、糖類、水、空気からできています。水はアイスクリームの中で氷となって存在しますが、微細な氷の結晶を作ると同時にこれらが細かく均一に分散した状態になっているため、口溶けがよくなるのです。
【アイスクリームの豆知識】アイスクリームとジェラート、ソフトクリームの違いって?
アイスクリーム、ジェラート、ソフトクリームの違いをご存知ですか?
実は、法律上の分類ではなく、独自の呼称なのです。
ソフトクリームは、フリーザーで-5℃~-7℃程度に冷凍され、アイスクリームのように固めないで食べるもの。つまり、ソフトクリームは省令上の分類ではなく、工程上のひとつの呼び名です。
アイスクリームの食べごろ温度は-8℃~-14℃。一方のソフトクリームの食べごろは、-5℃~-7℃と高めです。
ジェラートの意味は「凍ったお菓子」。一般的にイタリアでは、アイスクリーム類や氷菓のことをいいます。成分によって、アイスミルクや氷菓に分類されることも。
ジェラートは、一般的に空気の混入割合が20~40%と低く、味にコクがあり食べごろは-8℃~-10℃くらいのものが多いようです。
おわりに
アイスクリームの種類は「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」の4つがあり、それぞれ乳成分の割合で分けられています。味や風味も種類により違うので、気分によって選び分けてみるのも良いかもしれませんね。