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米麹

米麹とは? 野菜麹や塩麹、料理のコクと甘みを引き出す発酵調味料の素

甘みとうまみが凝縮された「発酵の素」米麹。蒸した米に、特定のカビの一種である麹菌を付着させて製造されます。うまみやコクを凝縮させてくれるため、塩麹や醤油麹、野菜麹など、いろいろな用途に活用できます。米麹の種類や活用方法について、管理栄養士の中村りえさんにお話を伺いました。

最終更新日:2026.1.28

目 次

米麹とは日本の伝統を支える発酵調味料の素

米麹

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食卓に欠かせない味噌や醤油、そして近年「飲む点滴」として再評価されている甘酒。これら日本を代表する発酵食品の多くは、ある共通の原材料によって成り立っています。それが「米麹(こめこうじ)」です。

米麹とは、蒸した米に麹菌(こうじきん)を付着させて繁殖・発酵させたものを指します。米のでんぷん質に麹菌の胞子が付くと、まるで白い花が咲いたように見えることから、日本では「米」に「花」と書いて「糀(こうじ)」という漢字が生まれました。この「糀」という漢字は、特に米麹に限定して使われる、日本特有の表現です。一方、「麹(こうじ)」という漢字は、中国から伝来したもので、米だけでなく、麦や大豆など、全ての穀物で作られる麹全般を指します。

一説には、中国から製法が伝わったとされる麹ですが、起源は定かではありません。一方で、日本では独自の発展を遂げてきました。古来より酒造り、味噌や醤油などの製造に用いられ、江戸時代には、米麹から作る甘酒が夏の風物詩として庶民に親しまれていました。米麹には、古来より日本人の食生活と健康を支えてきた歴史があります。この麹菌、正式名称は「ニホンコウジカビ」といい、2006年には日本醸造学会により「国菌」にも認定されています。

米麹は酵素の働きでうまみとコクを生み出す

黒麹

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麹菌が作り出す酵素の力で、食材のうまみやコクを引き出します。麹菌に含まれる酵素には、米のでんぷんを分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼなどがあります。

これらの酵素の働きにより、米麹はただの米を、甘みとうまみが凝縮された「発酵の素」へと変貌させ、さまざまな食品に深い味わいをもたらすのです。

【米麹の種類】多彩な顔を持つ発酵の立役者

麦麹と米麹

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米麹は、主に使われる麹菌の種類や原料となる米の種類によって、いくつかのタイプに分類されます。

麹菌は4種類

麹菌は4種類

uchicoto

出典:村上 英也・稲橋 正明・吉田 清・野呂 二三(1981). 白麹菌とA. candidus麹菌の分類学的研究 (第34報), 日本釀造協會雜誌/76 巻 (1981) 12 号/書誌, 1981 年 76 巻 12 号 p. 817-820

一般的に流通しているのは、味噌や醤油、日本酒の原料となる黄麹菌(きこうじきん)を使った米麹です。ほかにも麹菌には、焼酎の原料となる白麹(しろこうじ)、泡盛などの原料となる黒麹(くろこうじ)、豆腐ようなどの原料となる紅麹(べにこうじ)があります。

麹そのものになじみはなくても、これらの麹を使った食品は、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

米麹には白米麹、玄米麹があり、その他、麦や大豆の麹も!

米麹種類

uchicoto

米麹の中でも、原料となる米によって風味や食感が異なります。米麹以外にも、麦麹や大豆麹があります。

白米麹

板麹と粒麹

uchicoto 板麹と粒麹

白米を使用して作られる白米麹は、最も一般的な米麹です。米味噌や酒、醤油など、さまざまな用途で使用されています。

また、米麹は製造過程の違いから、主に「生麹」と「乾燥麹」の2種類に分けられます。酵素の力に大きな差はありませんが、生麹の方が新鮮に感じられる場合もあります。用途に応じて使い分けましょう。

  • 生麹:水分が多く、生鮮食品と同様の扱いです。酵素の働きが活発ですが、保存期間が短く、冷蔵または冷凍保存が基本です。
  • 乾燥麹:市販されているものの多くは、生麹を乾燥させたものです。水分が少ないため常温保存が可能で、長期保存に向いています。また、使用する際は水でふやかしてから使うこともあります。


形状としては、板状の板麹と粒状の粒麹(バラ麹)があります。板麹の方がより多くの水分を含んでいます。

玄米麹

玄米麹

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精米されていない玄米を使用して作る玄米麹。白米麹と同様に使えますが、玄米独特の風味豊かな味わいがあります。

麦麹

麦麹

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麦を原料とした麦麹はプチプチした食感があり、麦味噌などに使われます。

大豆麹

大豆を原料とした大豆麹は、豆味噌や醤油の製造に使われます。

米麹は食卓を豊かにする万能調味料

米麹

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米麹はそのままの形状では硬く食用には適しませんが、他の調味料と混ぜて発酵させることで食材のうまみやコクを引き出すことができ、「万能調味料」と呼ばれることもあります。

塩麹(しおこうじ)

塩麹(しおこうじ)

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米麹と塩、水を混ぜて約1週間発酵させるだけで完成します。塩麹は塩の代わりに使える万能調味料で、食材のうまみを引き出し、肉や魚をやわらかくする効果があります。

使い方

肉や魚に30分ほど漬け込むと、麹菌のプロテアーゼの働きでタンパク質が分解され、驚くほどやわらかくパサつきのない仕上がりになります。野菜のディップや汁物、ドレッシングにも使え、料理に深いコクと自然な甘みを加えます。

醤油麹(しょうゆこうじ)

醤油麹(しょうゆこうじ)

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米麹と醤油、水を混ぜて作ります。醤油の代わりに使用でき、深いうまみとまろやかさを加えます。

使い方

刺身や豆腐、卵かけご飯など、醤油を使う料理全般に使えます。塩麹同様に漬け込みにも使えますが、醤油の力で発酵が進みやすく、漬け込み時間が長いと酸味も出やすくなります。一方で、醤油麹は塩麹よりも旨味成分であるグルタミン酸が豊富で、コクと深みが出やすいという特徴もあります。

甘酒

甘酒

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米麹と炊いたおかゆ(または米麹と水)だけで作る甘酒は、アルコールを含みません。麹菌の酵素によって米のでんぷんが糖に分解される「糖化」を経てできあがります。栄養豊富な飲み物で幅広い年代の方が楽しめます。

作り方

おかゆや米麹に水を加え、50〜60°Cの温度で6〜8時間保温することで完成します。保温の際、ヨーグルトメーカーを使うと適温をキープでき、手軽に作れます。米麹の自然な甘さで疲労回復や美容にも良いとされています。

米麹を使った香味野菜麹

野菜麹

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塩麹や醤油麹に加えて、近年注目されているのが、野菜と米麹を組み合わせた「野菜麹」です。米麹の酵素の力に香味野菜の風味と栄養素が加わり、さらに豊かな味わいに。万能な調味料として活用できます。

野菜麹の作り方

米麹と塩、水に、玉ねぎ、しょうが、にんにくなどの香味野菜をすりおろして加え、発酵させます。すりおろした野菜はすぐ使う必要がありますが、野菜麹にすることで長持ちします。チューブ状のすりおろし香味野菜の感覚で使うにも便利です。

また、発酵させるとうまみやコクが増すため、まろやかな味わいになります。小さなお子さんや香味野菜が苦手な方でも食べやすくなります。

野菜麹のレシピ

野菜100g、米麹100gに対し塩30gを加え、表面が乾かない程度に水を加えます。そのまま毎日、かき混ぜながら1週間ほど発酵させます。

調理時の注意

麹に含まれる糖分が多いため、高温で焦げやすい性質があります。炒め物や焼き物に使用する際は、弱火で焼いたり、火の通り具合を見ながら加えるなど、焦げ付かない工夫が必要です。

保存時の注意

野菜から水分が出るため、常温では傷むことがあります。冷蔵保存を基本としましょう。

野菜麹のバリエーション

野菜麹に向く野菜の種類と特徴は以下の通りです。使う野菜によって全く違った味わいになります。

玉ねぎ麹

玉ねぎの甘みとうまみが加わります。肉や魚を30分ほど漬け込むとやわらかく仕上がります。スープや煮物に加えると深いコクが出ます。

しょうが麹

生のしょうがのすりおろしの代わりに使えます。発酵によって辛みがまろやかになり、うまみが加わります。

にんにく麹

しょうが麹同様、生のにんにくのすりおろしの代わりに。和食、洋食、中華など、ジャンルを問わず使えます。

トマト麹

トマトの酸味とうまみが凝縮したソースに仕上がります。サラダのドレッシングやマリネ液、クラッカーや野菜スティックにつけるディップとしても楽しめます。パスタソースに加えても複雑な味わいに仕上がります。

【実践編】香味野菜の野菜麹を作ってみた

野菜麹

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中村さんに教えていただいた、「野菜100g、米麹100gに対し塩30gを加え、全体が湿る程度に水を加える」というレシピを元に、ウチコト編集部が実際に野菜麹を作ってみました。

香味野菜は家にある野菜なら何でも良いとのことだったので、今回は玉ねぎ、しょうが、にんにく、トマトを使って野菜麹を作りました。玉ねぎは、すりおろしとみじん切りの2パターンで試してみました。

すりおろし玉ねぎの野菜麹作りを実践

すりおろし玉ねぎ

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玉ねぎは、1個を半分にカットすると、ちょうど100g程度でした。手ですりおろしましたが、フードプロセッサーなどがあるとより手軽に作れるそうです。

すりおろし玉ねぎ、米麹、塩

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玉ねぎのすりおろしに米麹、塩を混ぜます。すりおろしは水分を十分に含んでいて、水を足す必要はありませんでした。

すりおろし玉ねぎ、米麹、塩

uchicoto

清潔な瓶に入れて保管します。

玉ねぎのみじん切りは水分が足りなかったため、少量の水を加えました。しょうが、にんにく、トマトのすりおろしには、水分を追加する必要はありませんでした。

野菜麹が出来上がるまで

それでは、仕込んだ野菜麹が出来上がるまでの様子をご紹介します。

2日目

2日目 米麹

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上の写真が2日目の様子。食材から水分が上がってきました。しょうが、おろし玉ねぎ、みじん切り玉ねぎ、にんにく、トマトの順になります。

5日目

5日目 米麹

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上の写真が5日目の様子。ふたを開けてもガスは出てこず、ガス抜きは必要ありませんでした。

7日目 米麹

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上の写真が7日目の様子。結局、一度も水分を足す必要はなく完成しました。玉ねぎ、しょうが、にんにくは仕込んだ直後はツンとした刺激臭がありましたが、完成後はどれもまろやかな香りになりました。特にすりおろし玉ねぎは、少しフルーティーでリンゴのすりおろしのような甘い香りに変化しました。トマトはチーズのような、独特のニオイがしました。

実食

どれも野菜のすりおろしの代わりとして使い、おいしくいただけました。玉ねぎのすりおろしとみじん切りを同じようにスープに加えてみましたが、味や香りには大きな違いは感じられませんでした。お好みに合わせて選ぶと良いでしょう。

すりおろす手間はかかりますが、にんにくやしょうがは野菜室に入れておいても乾燥したり傷んでしまいます。少量ずつ長く使える便利な方法です。

余った米麹、どう活用する?

米麹

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せっかく手に入れた米麹も、使い方によっては余ってしまう場合もあるかもしれません。そんなときの活用アイデアを中村さんに教えていただきました。

味噌汁に加える

麹を少量の水でふやかしてそのまま味噌汁に加えると、深いコクと自然な甘みが加わります。

自家製シロップに

果物シロップに少量の米麹を加えることで発酵を促し、より複雑な風味を生み出すことができます。また麹菌の酵素が果実をやわらかくし、エキスが早く抽出されるため、短期間でシロップが完成します。

甘味料として

水を加えふやかしてペースト状にした米麹を砂糖の代わりに使用することができます。ドレッシングやパウンドケーキに砂糖代わりに加えれば、より自然な甘さでヘルシーに仕上がります。

米麹を扱う上での注意点

 パック入りの市販の納豆

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米麹は生きている菌ですので、取り扱いにはいくつか注意が必要です。

温度管理

麹菌は高温に弱い性質があります。夏などの暑い時期には菌が弱ってしまい、うまく発酵しなかったり、変質することがあります。

カビ・酵母

白っぽいフワフワとした産膜酵母菌が生えることがありますが、これは乳酸菌の発酵が進んでいるサイン。一般的には無害です。酵母菌を見つけた際は、よくかき混ぜて冷蔵庫で保存しましょう。ただし、色が変わったり、カビのようなニオイがする場合はカビが発生している可能性があります。カビが見えた場合は、瓶のフチや表面など、ごく少量であってもすべてを廃棄してください。

納豆の近くに保存しない

納豆菌は非常に強力な菌で、米麹に触れると発酵を阻害してしまう可能性があります。開封した米麹は密閉容器に入れ、冷蔵庫の中でも納豆の近くに置くのは避けましょう。

発酵しすぎに注意

発酵が進むとガスが発生し、容器が爆発することがまれにあります。基本的には冷蔵保存とし、保存容器のふたは時々開けてガス抜きをすることが推奨されます。

おわりに

米麹は日本の気候と風土が育んだ伝統の調味料です。日常の料理に、米麹や麹調味料を取り入れ、発酵文化の恵みをぜひ体感してみてください。

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  • この記事取材先

    中村 りえ

    管理栄養士/米粉料理家

    中村 りえ

    大手食品メーカーでの商品開発や広報を経て独立。レシピ開発、コラム執筆、セミナー講師、メディア出演など幅広く活躍中。家族の小麦アレルギーをきっかけに米粉の美味しさに魅了され、その魅力を多くの人に伝えるべく、2019年より米粉料理家としてレシピを発信。

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公開日:2026.1.9

最終更新日:2026.1.28

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