カレーのシミはどうして落ちないの?
手洗いしてもなかなか落ちないカレーのシミ。洗濯後もうっすらと黄色いシミが残りがちですね。どうしてカレーのシミは落としにくいのでしょうか? クリーニング店を運営する傍ら、シミ抜きのプロとして全国で講師も務める横倉靖幸さんにお話を伺いました。
(横倉さん)「カレーのシミが落としにくいのは、香辛料のターメリックが主な原因です。植物性の色素はシミになると落としにくい性質があります。ワインのシミや芝生などの草の汁が落としにくいのと同様です」
ターメリックに含まれるのはクルクミンという黄色い色素。このクルクミンの色素が頑固なシミとして衣類に残ってしまうのだそうです。
【カレーのシミの応急処置】スピードが大切!
横倉さんによると、カレーが衣類についてしまったら、すぐにシミ抜きをするのが一番ですが、外出先にいてすぐに対処できない場合もありますよね。そうした場合は応急処置をするのが大切だそうです。応急処置により、シミが広がったり、沈着するのを防いでくれます。
(横倉さん)「まず、具などの固形物があれば取り除きましょう。すぐに洗濯できなければ、紙ナプキンなどで水分を抜いてシミが広がるのを防ぎます。この時、紙ナプキンなどを両面に当て、挟むようにして水分を取り除いてください。慌ててこすってしまわないように注意しましょう」
水分が残っていると、水分と一緒にシミが広がってしまいます。また、こすってしまうと、繊維に傷がつきシミの色素が深く入り込んでしまうこともあります。
シミがついたらおしぼりで拭いてしまいがちですが、それも「こすることになる」ので避けた方が良いとのこと。両面からそっと挟み水分を取りましょう。
【カレーのシミの落とし方】自宅にあるもので作れる!『魔法水』の作り方
横倉さんいわく、シミには「生き物のシミ」と「生き物以外のシミ」と2種類あるそうです。「生き物のシミ」とは、血液や排泄物などの動物性のシミや植物性の色素のことで、生き物以外のシミとは、石や石油を原料とした顔料などの色素によるシミを指します。
「生き物のシミ」全般を落とすのに効果的なのが、横倉さん提唱の「魔法水」です。自宅にあるアイテムで簡単に作ることができますよ。
魔法水の原料とは?
・衣類用酸素系液体漂白剤・・・小さじ3
・食器用中性洗剤・・・3滴
・重曹・・・小さじ1
(横倉さん)「シミ落としには衣類用の酸素系液体漂白剤が有効ですが、市販の物は家庭でさまざまな衣類に対応できるようにと、パワーを調整された配合になっています。このパワーを重曹で強化したのが魔法水です」
ーーー重曹と酸素系液体漂白剤を混ぜると、どのような効果があるのでしょうか。
(横倉さん)「酸素系液体漂白剤と重曹を混ぜると活性酸素が多く発生し、繊維から汚れを剥がし、落としやすくしてくれるのです。こうして繊維から剥がされた汚れは、食器用中性洗剤の界面活性剤によって、衣類に付着しないようにコーティングされ、洗い流されるのです。ちなみに、酸性の酸素系液体漂白剤とアルカリ性の重曹を合わせると中性になるので、衣類を傷めずに汚れを落とす効果が期待できますよ」
ーーーどのご家庭にもありそうなアイテムですが、この配合で組み合わせることでそれぞれの利点を活かし、頑固な汚れを落としやすくしてくれるとのこと。ただし分量を間違えると効果が期待できないので注意が必要だそう。他のアイテムでの代用もできないそうです。
魔法水が使える衣類とは?
(横倉さん)「魔法水が使えるのは綿・麻・化繊の繊維で、洗濯表示に自宅での洗濯が可能と記載のあるものに限ります。動物性の繊維であるカシミヤやウールは、洗浄効果が強すぎて繊維を傷めてしまう場合があるので、魔法水を使うことはできません」
カレーのシミを落とす! 『魔法水』の作り方
1. ボウルに液体の酸素系漂白剤(小さじ3)を入れ、重曹(小さじ1)を加える。
2. 1に食器用中性洗剤(3滴)を加える。
3. 歯ブラシで5回かき混ぜる。
横倉さんいわく、コツはよくかき混ぜないこと。かき混ぜすぎると、漂白反応が終わってしまい効果が薄れてしまう可能性があります。
『魔法水』を使ったカレーのシミの落とし方
魔法水が完成したら、早速シミを落としましょう。使い方は簡単で、魔法水をつけた歯ブラシでシミをトントンと叩くだけ。シミを落とす前に、まずは衣類の目立たないところでテストしてみると安心ですね。以下に詳しくご説明します。
シミの下にタオルを敷き、魔法水をつけた歯ブラシでトントンとシミを軽く叩きます。
タオルにシミが移ったら、タオルをずらして再び魔法水をつけた歯ブラシでシミを叩き続けます。
シミが落ちたら、水でよくすすいでからいつも通り洗濯します。シミの具合によっては、完全に落ちるまで根気強く叩かなければいけません。実験では数回叩いただけでキレイに落ちました。
魔法水でもなかなか落ちない時は?
上で紹介した方法でもなかなか落ちない時は、小さじ3のお湯にクエン酸をひとつまみ加えて溶かしたクエン酸水を使います。クエン酸水を歯ブラシをつけて、シミを叩きましょう。ある程度叩いたら、再び魔法水をつけた歯ブラシで叩きます。
このように、魔法水に含まれるアルカリ性の成分と酸性のクエン酸が反応してシミ汚れを落としていきます。この時、シミの色が赤やピンクに変色することもありますが、化学反応によるものなので問題ありません。根気強くこの手順を続けてください。シミが落ちたら、最後は水でよくすすいで普段通りに洗濯しましょう。
※シミがついてから時間が経過していた場合や衣類の素材によって上にご紹介した方法で落ちない場合もあります。また色落ちや変色などのリスクがあるため、失敗したくない衣類の場合は、プロのクリーニング店に依頼するようにしましょう。
おわりに
カレーのシミの落とし方がわかっていると、お子さんがカレーを食べている時も安心して見守ることができますね。自宅にあるもので簡単にシミが落とせるので、ぜひ試してみてください。上記の方法でも落ちなかった場合や、水洗いできない衣類に関しては、クリーニング店などでシミ抜きの相談をしてくださいね。