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【教育研究家に聞く】子どもは薄着が良いって本当?メリット&注意点とは?

「子どもは薄着が良い」と耳にすることもありますが、本当なのでしょうか?またそのメリットは何なのでしょうか?子どもの薄着のメリットと注意点について、教育研究家の征矢里沙さんにご紹介いただきました。

最終更新日:2024.12.9

目 次

子どもが薄着で過ごすメリット・注意点とは?

笑顔のこども

PIXTA

一年を通して、子どもの体調管理には気を使いますよね。
「子どもは薄着がよい」と耳にしたことがあるかもしれませんが、本当なのでしょうか?
そのメリットや注意点は一体何? 具体的にどれくらいが薄着なの? と思う方も多いかもしれませんね。

今回は、「子どもの薄着」について、「生きる力」をはぐくむという観点からご紹介します。

子どもは薄着をすればするほどメリットがある?

寝そべる父子

PIXTA

昔の子育てでは、「とにかく身体を温めた方がよい」「厚着をさせた方がよい」と言われていたこともありました。
昔の建物や暖房器具では家の中は寒く、医療体制の不足もあって、赤ちゃんが風邪をひいて重症化することもあったためだと考えられます。でもこれは、現代では当てはまりません。

ただ、「子どもは薄着すればするほどよい」というわけでもありません。
厚着説の一方で、「薄着をした方が寒さに強くなる」「寒さを克服して身体を鍛える」という考え方も昔からあります。しかし、これはどちらかというと精神論的な考え方だといえます。例えば乾布摩擦なども、今は医学的に根拠がないと言われています。

とはいえ、ある程度の「薄着」は、子どもの成長にとってメリットもあります。
一体どんなメリットがあるのでしょうか。

1. 子どもの体温調節機能を育てる

外で運動する子ども

PIXTA

大切なのは、子どもが「自分自身で体温を調整する力」を育てることだと言われています。
これは、冬だけでなく、夏についても同様です。

冬に暖房を効かせすぎたり、夏に冷房を効かせすぎたりすると、子どもが自分で体温を調整して外気温に適応する力が弱くなってしまいます。

エコの観点からも、冬は20℃、夏は28℃が推奨されていますが、これは「外気温との差を大きくし過ぎない」という観点からも大切です。

日本は四季がある国でもありますので、一年を通して同じ温度ということはなく、子どものうちから気温の変化をしっかり体験した方がよいということですね。

のぞきこむ子ども

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特に、体温調整には「汗」をかくことが大切ですが、汗をかくための「汗腺」の数は、赤ちゃんの頃から幼少期までに決定すると言われており、この時期に汗をかかせないと、汗腺が未発達で体温調整が出来ない子になる恐れがあると言われています。

そうはいっても、夏にエアコンを一切付けずに子どもに汗をかかせるのは、熱中症などの危険もあり、かえって健康を損なう可能性も考えられます。

「ある程度汗をかくのも大事なんだ」と心がけ、室内を極端に涼しい温度にして、夏の間ずっと室内だけで過ごすといったことは避けたいですね。

2. 子どもの身体の動きを活発にする

室内を走り回る子どもたち

PIXTA

では、冬の服装についてはどうでしょうか。

関東での夏の日中の外気温は、暑い日でおよそ30℃~31℃。冬の日中の外気温は、寒い日でおよそ3~5℃です。室内温度が夏28℃、冬20℃だとすると、外気温と室内温度の差は、夏より冬の方が大きくなります。

では、外気温との差を縮めるには、エコの観点からも冬はもっと室内温度を下げて、厚着をすればよいのでは? と思うかもしれませんね。

部屋で過ごす家族

PIXTA

でも、子どもの成長という面から見ると、「活発に動き回れる」ということも大切です。

手足を動かして遊ぶことは、子どもの運動能力はもちろん知能の発達にも繋がります。そのためにも、できるだけ「活発に動きやすい環境」を作ってあげることも大切です。

このとき、室内温度が低すぎると、身体が縮こまってしまい、活発な活動がしにくくなります。「寒さに耐える」ことにエネルギーを使ってしまい、心も身体も固まってしまうのです。また、もこもこと厚着をさせることも、身体を動かしにくくなります。

冬の室内はある程度温めてあげて、子どもが活動的になれる環境を作ってあげる方がよいのです。

3. 子どもの体温変化や個人差に対応する

凧揚げ

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では、外で遊ぶときはどうでしょうか。寒い冬の外遊びでは、最初から薄着をさせすぎると、やはり寒さで身体が縮こまってしまいます。

ただ、子どもの体温は大人よりも変化しやすく、また個人差もあります。最初はある程度温かい服装にしつつ、段階的に「薄着」にできるような着方ができるとよいでしょう。活発に活動することで体温が上がり、体温調整機能の発達にもつながります。

厚着をしすぎると動きにくいですし、厚着したまま激しく動いて必要以上に汗をかいてしまうと、汗が冷えた時に風邪をひく原因になることもあります。

子どもの様子によって脱ぎ着させやすい、あるいは、子どもが自分で着脱しやすい上着を選んであげましょう。暑くなったら脱ぐ、寒かったら着る、ということを自分で判断して自分でできる、自己管理能力を育てることも大切ですね。

【子どもの薄着のメリット】具体的な着せ方のコツは?

着替えをする子ども

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それでは、具体的には、どんな着せ方をするとよいのでしょうか。
特に、冬の服装についてご紹介します。

基本的な「枚数」は?

すべり台で遊ぶ子ども

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子どもは大人より体温がやや高いです。また、動きも大人より多く、体温が変動しやすいのが特徴です。そのため、大人が3枚着用していたら2枚というように、基本は「大人より1枚少ない程度」がよいと言われています。

ただし個人差があるため、「うちの子は寒がりかも」という場合は、無理をせずに枚数や服装を調節してあげましょう。

また、乾燥肌・敏感肌のお子さんの場合、寒くて乾燥する時期は、肌がそのまま露出するような服装(半袖など)は避けましょう。乾燥した冷たい風が、皮膚に刺激になることも考えられます。

厚着は着脱しやすい方法で

おしゃれな服装の子どもたち

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厚着をするときは、着脱しやすい着方をさせるとよいでしょう。
分厚い上着を1枚着込むよりも、薄手の洋服を重ね着する方が、温度調節がしやすくなります。

また、手袋や帽子はもちろん、マフラーやレッグウォーマーなど、首や手首・足首など「首」のつく部位を温めるアイテムを使うと温かさを感じやすく、かつ暑くなったとき脱ぎやすくなります。ただし、なくしやすいのでご注意してください。

肌着は薄くて機能性のあるものを

子ども用の肌着

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肌着には温度調節をする大切な役割があります。特に子どもは汗をかきやすいので、吸水性、速乾性のある素材がよいでしょう。

また、肌着を厚いものにすると暑くなったときに脱ぎにくいので、よほど寒い場所に行くようなとき以外は薄めの方がおすすめです。
タートルネックの肌着も汗をかきやすいので、マフラーやネックウォーマーの方が調整しやすいかもしれません。

子ども自身の様子を見て調整を

両手を上げる子ども

PIXTA

子どもが自分から脱ぎたがったり、実際に体調や肌に異常がなさそうであれば、大人から見て寒そうでも、無理に着せようとはせずに様子を見てみましょう。子どもが活発に過ごしているようであれば、外で薄着になっても大丈夫です。

ただし、たくさん動いて汗をかいた後に冷えてしまうと風邪を引きやすいので、注意してあげましょう。

逆に、室内で寒そうにしていたら、足元を温めてあげるのがおすすめです。分厚い靴下は室内で滑りやすい面もあるので、上靴に温かい中敷きを敷く方法もあります。足湯をしてあげるのも効果的ですよ。

おわりに

ブランコで遊ぶ子どもたち

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子どもに薄着をさせるメリットや注意点、大切なポイントや具体的な着せ方をご紹介しました。
とにかく薄着をして鍛えるのが大切というわけではなく、子どもの成長・発達のために、「子どもの体温調節機能を育てる」「子どもの身体の動きを活発にする」「子どもの体温変化や個人差に対応する」ことが大切です。
子どもの様子をよく見てあげながら、その子に合った着せ方を工夫してみて下さいね。

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公開日:2016.11.16

最終更新日:2024.12.9

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