お雑煮の由来
「お雑煮」は、年神様に供えた餅を下げ、野菜や鳥、魚などの具材を加えて食べたのが始まりだそう。その歴史は古く、室町時代には食べられていたそうです。当時は貴族や武士などの間で食され、上流階級では新年の豊作や家内安全を祈るお祝いの食事として定着していたようです。
餅は昔から特別な日に食べる「ハレ」の食べ物で、当時は高価なものだったそう。お雑煮が庶民の間に定着したのは、庶民でも餅が手に入るようになった江戸時代以降だとか。
元日から3日にかけては祝いの膳にお雑煮を添えますが、「食い上げる」と言って、毎日1個ずつ餅の数を増やすと縁起がいいという言い伝えがあります。
【お雑煮の地域性1】地域による具材の違い
「関東風お雑煮」、「関西風お雑煮」などと言ったりしますが、各地域でお雑煮の具材はそれぞれ。その土地で採れた食材を使用し、普段手に入りにくい食材や、高価な食材を使用する地域もあるそうです。
たとえば、宮城県では焼きハゼ、新潟県ではいくらや鮭、香川県ではあんこの入ったお餅、広島県では牡蠣、長崎県ではブリなど、地域によってさまざま。また各家庭によっても味付けや調理方法が異なり、代々引き継がれた味があるご家庭も多いのではないでしょうか。
【お雑煮の地域性2】お餅の形の違い
一般的に東日本は角餅、西日本は丸餅をお雑煮に使うと言われています。
ただ、昔はいずれも丸餅を使っていたそうです。江戸時代に入り、1つ1つ手で作る丸餅ではなく、効率的に作れる角餅が江戸周辺(関東)で普及していったと言われています。
丸餅を使っていた理由は諸説ありますが、一説によると、角が立たず円満に過ごせるようにとの意味が込められているそうです。
【お雑煮の地域性3】汁の味による違い
一般的に東日本は醤油ベースのすまし汁、西日本は味噌ベースの汁でお雑煮を作ることが多いようです。
お雑煮発祥の地は、実は京都。京都の食文化の影響を受け、関西地域では味噌ベースの文化が広がったんだそう。京都では白味噌を使いますが、日本海側の地域や一部の山間部では、赤味噌でお雑煮が作られているそうです。
関東地域で醤油ベースに変化したのは、武家文化の影響だとか。「味噌をつける」という言葉には「失敗して面目を失う」という意味があるため、武士が味噌をつけることを嫌ったためだと言われています。
また、西日本では味噌ベースの汁が主流といっても、関西から離れるにつれて、味噌ベースでないお雑煮も多いようです。
おわりに
今回は、お雑煮の由来と地域性による違いを3つご紹介しました。地域による違いやその意味を知ると、また違ったお雑煮の楽しみ方ができそうですね。お正月に地方へ行く機会がある方は、是非その土地のお雑煮を食してみてくださいね。
参考:農林水産省「全国のいろいろな雑煮」
参考:日本鏡餅組合
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