土鍋でご飯を炊くと中が気になる・・・
鍋をことことと火にかける。
蒸気の穴からしゅうしゅうと湯気が吹き出してくると、たちまちおいしそうな匂いが広がります。そんなとき、中をのぞいてみたくなるのが人間の性というもの。
けれども開けてはいけない、開けられない時がある。
圧力鍋だったり、ご飯を炊く時だったり。
初めちょろちょろ中ぱっぱ。
赤子泣いてもふた取るな。
古くからの歌は日本人なら誰でも知っています。
ガラス製の蓋がついた土鍋とは?
けれども今回出会った鍋「ご飯釜」は、真っ向からこの逆をゆくのです。
フタがガラスのため、炊ける様子も見られる。
ふた取るな・・・はちょっと意味が違うかもしれませんが、中をうかがい知ることができます。
本体は350度まで耐熱性のある万古焼の鍋。
ここにタジンのような円錐形のガラスのフタがついています。
底面は通常の土鍋の2~3倍の厚みで、肉厚です。縁はすこし反って、吹きこぼれがしにくい形状。目を離して吹きこぼれが・・・ということもないのです。
炊ける量は2合か3合。
水量の目安は鍋の内側にある線を目安にすればよく、簡単です。
30分ほど吸水させて、点火。
炊きあがりを知らせるホイッスル音で1分待ち火を止める
点火したら、初めちょろちょろは不要。むしろ強火で8~10分ほど加熱します。
厚い鍋なので、ふつふつとゆっくりと沸騰して行く様子がなごみます。
すると、おお、湯気があがり、最後は中がぶくぶくと泡が立っています。
そしてヒュイーーーーーと、焼き芋屋さんのようなホイッスル音が。
これが合図です。
「ホイッスルが鳴ったらそのまま1分程度待ち、火を止める。お焦げがほしい時は3分」と、説明書には書いてあります。
とりあえず1分。ガラスのふた越しに見えるご飯は、つやがあって期待できそう。
この鍋をつくったハリオグラスは実は耐熱性ガラス製品に強いメーカーなのです。熱と蒸気の力に耐えるフタがあってこそ、下の土鍋の保温力が活かされるのですね。
円錐形のフタは高さがあって、その中で湯気が循環する。だから通常の土鍋のように行き場のない湯気が吹きこぼれたりすることがない。さらに蒸気の勢いでホイッスルが鳴る。フタの形は、手間なくご飯を炊くための大切な秘密でした。
15分ほど蒸らして、いよいよフタをとります。
お米がぴんと立った・・・とは月並みな表現ですが、ご飯がきらきらと輝いています。
口にしてみると、程よい固さの残った凛々しい感じの炊きあがりです。
あまりの輝きに、手がご飯に伸びます。急におにぎりを作りたくなったのです。
「アチッアチッ! 」
手をやけどしそうになりつつ止まらない。塩だけの、真っ白なおにぎりができあがりました。
現在、高機能タイプのガスコンロの大半には炊飯ボタンが付き、自動制御も当たり前の時代。それはうれしいことだけど、一方でこの鍋は火加減調節不要なので、置き型のガスコンロなどを使っている人でも、気楽にお鍋で炊くご飯を楽しむことができますね。
直火で炊くご飯はやっぱりいいなあ、と思います。
この中が見える感じ、炊き込みご飯ならもっと楽しそうです。
タケノコご飯、グリーンピースご飯、炊ける時の色みが、料理の時間を彩るのです。
参考:HARIO